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2013年12月6日(金)

PS3/PS Vita『英雄伝説 閃の軌跡』これぞ青春! これぞ王道RPG! 親しみやすい“学園もの”和製RPGとして高評価【電撃オンラインアワード2013】

文:アツゴロウ

 アクションでもスポーツでもRPGでも、気に入ったゲームはとことんプレイするやり込み好きライター・アツゴロウです。そんな自分が2013年のベストゲームを決める“電撃オンラインアワード2013”にプッシュするのは、PS3/PS Vita用ストーリーRPG『英雄伝説 閃の軌跡(以下、閃の軌跡)』(9月26日発売)です。

 本作は、RPG開発に定評のある日本ファルコムの代表作『軌跡』シリーズの最新作にして、PS3初のタイトルであり、さらにはPS Vitaとのマルチプラットフォームまでなしとげた意欲作です。グラフィックも、2Dから3Dへと大きく進化。『軌跡』シリーズ10周年を飾るにふさわしいタイトルと言えます。

『英雄伝説 閃の軌跡』

 『軌跡』シリーズは、古代文明の遺産から発見された“導力”と呼ばれる神秘的なエネルギーを利用した文明が発達し、多くの国家が存在するゼムリア大陸を舞台としたRPG。『閃の軌跡』は、その中でも最古の歴史を持つ巨大軍事国家・エレボニア帝国を舞台にした物語が描かれます。

 エレボニア帝国は、これまでのシリーズで幾度となくその名が出ており、帝国出身の重要人物も多数登場していました。ですが、その詳細が語られるのは『閃の軌跡』が初めて。自分を含め、シリーズファンには帝国の真実が明らかになるということで、発表段階から注目されていました。

『英雄伝説 閃の軌跡』
▲“緋の帝都”と呼ばれる帝国の首都・ヘイムダルの外観。この大都市をはじめ、帝国についての情報が少しずつ明らかになっていきます。

 また、神秘のヴェールに包まれていた帝国編ということで、その主人公や仲間たち、周囲の人物などは新キャラクターがほとんど。これまでのシリーズで起きたことの説明も、物語内で大半はフォローされているため、シリーズ初心者の方でも入り込みやすい作品になっています。

 それでは、そんな『閃の軌跡』の魅力について1つ1つ解説していきましょう。

『英雄伝説 閃の軌跡』
▲帝国の放蕩皇子ことオリヴァルトや、帝国政府を統べる鉄血宰相、ギリアス・オズボーンの動向からも目が離せません!

■士官学院の学生が軍事大国・エレボニア帝国を覆う闇に立ち向かう!

『英雄伝説 閃の軌跡』
▲本作の主人公であるリィン・シュバルツァー(声優:内山昂輝)。

 『閃の軌跡』の主人公は、帝国でも由緒正しい士官学校の1つであるトールズ士官学院の新入生、リィン・シュバルツァー。彼と彼の所属する特科クラス《VII組》のメンバーが、物語の中心を担うことになります。

 これまでのシリーズ作品では、民間人や国家からのさまざまな依頼をこなす“遊撃士”、もしくは周辺の治安維持を任務としながら、人々からの依頼にも対応する特務支援課の“警察官”と、いわゆる専門家が主役でした。ですが本作では、学生が主役。そう、『閃の軌跡』は“学園もの”という側面も持ち合わせているのです。

『英雄伝説 閃の軌跡』 『英雄伝説 閃の軌跡』
▲座学やプールの授業を受けるリィンたち。学園という設定が、ストーリーにもシステムにも生かされています。

 物語は入学式から始まるし、普通の授業や定期テストもあり。夏になればプールの授業、秋には学園祭など、そのシーズンならではのイベントや学校行事も満載です。個人的には、ファンタジー色の強かった『軌跡』シリーズに、多くの人が実際に体験し、理解するのが簡単な学園ものという要素が組み込まれることで、いっそう親しみやすくなった印象があります。

 《VII組》のメンバーも、特科クラスだけに実技試験や特別実習などの特殊なカリキュラムがある以外は、他の生徒たちと扱いは同じ。彼らも放課後は自分の所属する部活動にいそしむなど、充実のキャンパスライフを楽しんでいる様子が見られます。そんな彼らの学園青春ストーリーが楽しめただけでも、本作をプレイしてよかったと思いますね。

『英雄伝説 閃の軌跡』 『英雄伝説 閃の軌跡』
▲特別実習では帝国内の各地へ行き、そこでさまざまな依頼をこなすことになります。移動の列車内ではカードゲームの“ブレード”で仲間と勝負。この辺りは普通の学生と変わらない印象ですね。

■個性派ぞろいのトールズ士官学院・特科クラス《VII組》の青春の日々がここに!

 さて、先ほどから話に出てくる《VII組》ですが、これは新型の戦術オーブメント(導力を引き出す機械で、戦闘用に特化したもの)の《ARCUS(アークス)》の試験運用のため、トールズ士官学院に新設されたクラスです。メンバーには、《ARCUS》の運用適性が高いことを条件に、帝国の各地から9人の男女が集められました。リィンはそのうちの1人で、帝国の支配階級の貴族でありながら、実は平民の養子だったという過去を持っています。

『英雄伝説 閃の軌跡』 『英雄伝説 閃の軌跡』
▲公園で無防備に眠っているフィーや、教会で祈るガイウスなど、プレイを終えた今にして思えば、それぞれのキャラクターにふさわしい出会い方だなあと感じました。

 リィンの他にも、大陸随一の巨大工業メーカーの令嬢、大貴族の御曹司や、北方の高原からやってきた留学生など、何かと訳ありの人物が勢ぞろい。こんな寄せ集めのメンバーたちが、同じクラスで顔を合わせるのですから、衝突がないわけがありません。

 ですが彼らは、特別実習などで帝国内の問題に直面して悩み、互いの事情を徐々に知っていき、いつしかその手を取り合うようになります。こういった展開が、これぞ青春! という感じで実にいい。彼らの間で交わされる、こちらが恥ずかしくなるような青臭いセリフもいいものです。荒削りな若者たちがぶつかり合いながらも成長していく群像劇。

『英雄伝説 閃の軌跡』
▲大貴族のユーシスと、貴族を嫌う平民のマキアスは、最初は最悪の仲でしたが、徐々に相手を認め合うことに。その過程を見ていくのも楽しいものです。

 よくある王道的な展開とも言えますが、こういった王道を真正面から描ききってくれるのが『軌跡』シリーズの真骨頂! この辺りは、実際にプレイしていただければ、そのよさがわかってもらえると思います。

→大幅に進化を遂げたゲームシステムにも注目!(2ページ目へ)

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