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2013年12月14日(土)

新作にかけた爆アツな想い! 『ガイストクラッシャー』小林裕幸エグゼクティブプロデューサーらがデザインやストーリーの開発経緯を熱弁

文:たて りょうた

■無機物ではなく生命の躍動を感じるメカを描く

――デザイナーの視点から見て、どういうことを意識しましたか?

『ガイストクラッシャー』

末次:デザインの人間は“生きてる感”という言葉をよく使うんです。本作に登場する“ガイスト”はロボットではなくて、生きているんです。自分が子どもだったころ何が好きかっていうと怪獣が大好きでした。飛行機とかロボットとかのメカも好きだったんですが、やっぱり最終的には怪獣が好き、なぜかと言ったら生きているからなんです。なので、無生物ではなく、命を持った感情移入できるもののよさを“ガイスト”のデザインに残そうとしました。

 “ガイスト”のデザインにはたくさんのデザイナーが参加して、若いデザイナーもたくさんいます。ですので、今風のロボ感が強い、操縦者がいそうな“無機質なガイスト”はデザインとして避けて、生物としての“ガイスト”をデザインしようと徹底してバランスをとりました。また、造形もぱっと見て鳥やサメなど、解りやすいものにしています。普通はいろいろな要素を複合させて、「オレなりのかっこいいメカ」にするんですけど、今回は造形としてのかっこよさは残しつつ、ぱっと見てモチーフは何だというのが判別できるようにしました。

バナ隊長:「なんだかよく解らないけど、かっこいいもの」というのは極力止めています。

末次:デザインの過程で、実際に“ガイスト”のデザインを子どもたちに見せて「どれが好き?」という子ども調査というのをやったんですね。そうすると、子どもたちからは「ライトニング・ドラグーンが好き! だってドラゴンだから」という答えが返ってきたんです。そこから、モチーフに興味を持ってもらえるところって大きいんだなと感じるところはありました。

 もちろん、実際にゲーム画面に映り込む時のかっこよさというのはもちろんおさえています。ゲームモデルとしてのよさ、キャラクターとしてのよさ、そして、生きている感を混ぜたデザインというのが、今回の僕らの形です。

――なるほど。

末次:『宝島Z』でやったデザインは、動いた時に気持ちのいい形というのを心がけたんです。情報量を削ったプリニティブ(素朴)なものって僕大好きなんですね。例えば、角砂糖ってすごくカッコいいんですよ!

バナ隊長:……角砂糖がかっこいい?

『ガイストクラッシャー』

末次:かっこいいんですよ! ただの四角なんですけど、一個何グラムという機能が見えるじゃないですか。そして、「これ以上どう簡単にできようか」という、嘘偽りのない立体の気持ちよさがあるんですね。ただ、『宝島Z』で情報量を減らしたことで、“止め絵”が非常に安く見えると意見をいただきました。

 その後、『モンスターハンター』チームで武器のデザインをした時に、「ああ、情報量は大事だな」ということを感じたんです。なので、“ガイスト”のデザインには、それまでの経験で学んだものをフィードバックしたものを入れこんでいます。ただ、情報量を入れ過ぎるとアニメになった時に「作画がつらそうだな」とも思いました(笑)。

バナ隊長:情報量はメリハリでしたね。

末次:最初はアニメにもするので、アニメ絵のようなセルシェーディングにしようと石原さんとも話していたんですけど、デベロッパーとして参加してもらっているトレジャーさん側から「こうしたい!」と金属光沢が入ったモデルが上がってきたんです。それを見た時に、安っぽく見えない情報量があって「これが動いたらテカリも入るし、いいな!」と思いました。そうやって段々と画面ができていきました。画面に動きがあるというのはすごく大事なことなんです。

 今回“ガイスト”に入れた発光ラインって、それだけでもすごく動きがあるんです。なので、金属光沢が生みだす画面の動きにすごく手ごたえは感じました。

石原:やっぱり、止まっている画面はすごく寂しいといつも感じていて。何かは動かしていたいと思っています。

バナ隊長:エクストリームフォームに変形した時、線がパクっとひらいて光のラインになるというのは石原さんのアイデアでしたね。

『ガイストクラッシャー』

末次:それが一番顕著に表れているのが、アカメザメがモデルの“ガイスト”です。最初は目の周りがベタ塗りだけだったんですけど、それだとやはり寂しいんですよ。そこで、目の部分に動く光のラインを入れてもらったんです。もう、「これだ!」と叫びたくなるくらいの変わりぶりで(笑)。ちょっと変わっただけで、こんなに生き生きとするんだと感動しました。

――光が鼓動というか、血液の流れのようで、生きてる感がありますね。

末次:まさに、発光ラインのイメージが“ガイスト”の生命エネルギー的な意味もあって、本当に「コレだ!」という感じでした(笑)。

バナ隊長:これが世に言う“アカメザメ事件”です!

――先ほど少しお話が出ましたが、デベロッパーとしてトレジャーさんと組まれてます。こちらは、どういった経緯で組むことになったんですか?

バナ隊長:もともと、バナ隊長がカプコンに入隊する前からトレジャー社と組んでみたいと思っていて、今回新しいことをやってみないかということで、企画を出し合ったところ、カプコンのカラーとトレジャーのカラーが合致し、どちらのよさも発揮できる作品として生まれたのが『ガイストクラッシャー』です!

武器やガイストをデザインするうえでの苦労話は3ページ目で!

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