2013年12月18日(水)
これまでのレビューや作品紹介でもさんざん言われていることですが、『DOD3』は本当に、登場人物がおかしい。それも、主人公を含む全員が。具体例を列挙してみますと……。
「“ウタウタイ”と呼ばれる超常の能力を持つ姉妹が殺し合う」
うん、まあ、これはわかります。ゲームの設定として、むしろグッとくる。
「“ウタウタイ”はみな性欲が旺盛である」
ん? んー。設定としては異質ですが、キャラクター付けとしてはアリ……かも。今までにないインパクト。
「ウタウタイはその従者である使徒を性のはけ口にしている」
……えっ!?
「使徒は使徒でそれぞれ特殊な性癖を持ち、性格が破綻している者ばかり」
ファッ!?
▲世にRPG数あれど、主要人物全員があからさまにおかしいとか、他に類をみません。 |
……とまぁ、基本設定からして、どう考えてもおかしい。実際にプレイしても、傍若無人なゼロは血を分けた妹を平然と殺そうとしますし、性に対しても本当に開放的で、「これ、主人公やヒロインが言うセリフじゃないなあ」といった下ネタトークやドSなセリフがポンポンと飛び出します。ウフフ。
ゼロの妹たちは妹たちで、かなりキテるキャラばかり。スリイやファイブは超絶フリーダムだし、ワンやトウ、フォウといった一見普通の人物でも、その裏に何かしら歪んだものが見え隠れしています。
使徒にいたっては、サディストな美少年のディトに、ガチムチのマゾヒストのデカート、“ジョイ”の求道者である性豪オクタに、残念イケメンなセントと、よくもまぁこんなに個性づけができるものだと関心するほどのキャラがそろい踏み。まともな思考(嗜好)の持ち主は、竜のミハイルくらいのものです(彼は彼でいろいろありますが)。
▲この作品において、設定が1人歩きしているキャラなど皆無。みんな本当におかしいのです。 |
こんな問題児ぞろいの登場人物がつむぐ物語が、先行きを想像できるわけがない! プレイ中は本当、いろいろな意味で驚かされてばかりでした。そして驚くと同時に、すごく楽しかったわけで。
▲ウタウタイも使徒も、1人としてテンプレ的なキャラクターはいません。普通に話している時も、裏では何を考えているのか……。そこに“狂気”の片鱗が見え隠れします。これがヨコオタロウ氏の作品の恐ろしさかっ!! |
ストーリー自体も、ミステリアスな展開が目白押し。詳細はネタバレになるので書けませんが、序盤からド肝を抜かれる展開が続出します。また、プレイ中はゼロやミハイル、使徒たちがしゃべりまくるのですが、そのかけ合いが実に楽しい。
サドのゼロやディトがピュアなミハイルやマゾのデカートをいじったり、オクタが自分のジョイについてひたすら語り続けたりと、彼らの会話を聞くだけで大いに笑わせてもらいました。アハハハハハハハハハハ!!
▲ゲーム中のキャラの掛け合いが本当に豊富。会話内容にはいろいろな意味で圧倒されますが、いつしかそれを聞くのが楽しくて仕方ない状態に……。 |
▲キャラ同士の会話が楽しくて、戦闘を終わらせるのを待ってしまう局面も(笑)。RPGとして考えると効率は悪いのかもしれませんが、会話自体が本当におもしろくて、それが許せてしまうんですよね。 |
……と、ここまでに書いてきた内容だけを見ると、“ちょっと物語がアダルトなだけの、ハートフルなRPG”だと思われるかもしれませんが、そこは“鬱ゲーの代表格”とすら呼ばれる『DOD』シリーズ。シリアスな展開や狂気をはらんだドラマ、それに続く感動もしっかり描かれていました。
その怒涛の展開は、あたかも甘味も塩味も辛味も苦味もすべてシャッフルしたうえで、絶妙のバランスが保たれている独創的な料理のようです。ぶっちゃけ、珍味なんだけどクセになるって類のもの。ウフフフフ。
自分は別に聖人君子ではありませんし、それなりに悪い子心や人に言えないフェチな部分もあると自負していましたが、『DOD3』を遊ぶと、自分の未熟さに恥じ入ってしまいます。さすがはヨコオタロウさん! ただ、絶対に自分の知り合いの子どもには見せたくない物語ですね(苦笑)。
▲自分は決してゲテモノ食いではないと自負していますが、この『DOD3』のような作品は、今まで味わったことがないだけに新鮮でした。うぅっ、ううっ!! |
シリーズ未プレイの自分ですら、これだけノメり込める作品なのは間違いありません。自分と同じ『DOD』シリーズ未体験の人にこそ、この複雑怪奇にして玄妙な味わいを知ってもらいたい。少しでも興味があるのなら、ぜひその味を自らの舌で確かめてもらいたいなと思うわけです。えへへ。
→アクションゲームとしての完成度の高さは本気ですごい(3ページ目へ)
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Character Design : Kimihiko Fujisaka.
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