2013年12月27日(金)
『DOD3』ジョシカイ、開幕。女性視点(映島×名取×白本×サガコ)で語られる『ドラッグ オン ドラグーン3』の狂気の深淵とは?【電撃DOD3】
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好評発売中のPS3用ダークファンタジーAPRG『ドラッグ オン ドラグーン3』。今回は、クリエイティブ・ディレクターのヨコオタロウ氏とともに、その世界観設定やシナリオを手掛けた女性スタッフの座談会企画のレポートをお届けしていく。
女性ならではの視点で語られる『DOD3』の魅力や、開発秘話などをひも解くことを主旨に始まった本企画。あの歪んだキャラクターたちはどのようにして生まれたのか? ファンに愛される名言“セルフジョイ”の発案者とは? といった謎の一端も明かされていくのでお見逃しなく。
なお、企画のコンセプト的に数々のネタバレにも抵触しているが、まだプレイが終わっていない人のことも考慮し、肝心な部分は伏せ字にさせてもらっている。その点はご了承いただきたい。それでは、罪深き“ジョシカイ”企画、いよいよスタート!
●“DOD3 ジョシカイ”参加メンバー
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・映島 巡:『DOD』シリーズのノベライズを手掛ける小説家。公式サイトに掲載されているサイドストーリーや、2本のコミック版の原作も手掛ける。永嶋恵美名義でも活動中で、『転落』(講談社文庫/解説 ヨコオタロウ)など、著作多数。『ドラッグ オン ドラグーン 10周年記念BOX』の資料集では、サイドストーリーの他、表に出せないアレやコレな作業を担当した。
・名取佐和子:ゲームシナリオライター。小説家。『DOD3』はもちろん、『DOD1』や『ニーア』のシナリオも手掛けている。多くのファンに愛されている名曲『尽きる』の作詞も、名取氏によるもの。著作に『交番の夜』(Linda BOOKS!)の他、名取なずな名義で『ほっぺちゃん』シリーズ(角川つばさ文庫)などがある。
・白本奈緒(ILCA):ILCAに所属するプランナー。ヨコオタロウのサンドバック(?)。『DOD』シリーズには『ニーア』から開発にかかわり、本作でも世界設定などを担当。『千年勇者~時渡りのトモシビト~』(スクウェア・エニックス)でも、世界設定やシナリオを担当している。『ドラッグ オン ドラグーン 10周年記念BOX』の資料集にも携わった。
・サガコ:本企画の進行役であるライター。電撃では『ニーア』の記事や、連載コラム『藤やん・うれしーの悩むだけ損!』の編集を担当。小説家としても活動中で、松下彩季名義で『リペットと僕』(電撃文庫)を刊行。『ドラッグ オン ドラグーン 10周年記念BOX』の資料集では年表パート、アニメ企画の制作進行、超時空キャラクター座談会のテキストなどを手掛けた。
■そもそもこの企画とはなんなのか? 4人の女子が集まった理由
――12月某日、電撃編集部の会議室
サガコ:さて、今日は映島さん、名取さん、白本さんという『DOD3』にかかわる女性陣に、編集部に集まってもらったのは他でもありません。ズバリ、発売直後のタイミングで“この『DOD3』は女子の目から見てどう魅力的なのか”というのを、小一時間語り合いたいと。そういう企画なのでございます。表向きは。
映島:わー拍手ー! 表向きってどゆことー!? 今日はお菓子を持って来たよ。いかにも女子会っぽく。
一同:いえーい!!
サガコ:開けたら真っ赤で血まみれとか……?
映島:いやいやいやいや。残念ながら血まみれではない。いちおうハート型。新宿伊勢丹限定の。
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サガコ:新宿……聖地ですもんね。じゃあ、お菓子をつまみながら聞きます。みなさんはこの『DOD3』で、ヨコオタロウさんとがっぷりよつで仕事をされているわけですが、どうやってアレを……あ、しまった。
映島:“アレ”って言った!(笑) ヨコオさんをアレ呼ばわりしたよ、今!
サガコ:つい本音が……じゃなくて、いや、私の中ではヨコオタロウさんというのは、もう解析不能なレベルにファンキーで浮世離れしたクリエイターなんですよ!! そういう意味では“あの人”じゃなくて、もう人外の領域。敬意を込めて“アレ”って呼んじゃう感じなんですよ。
白本:ちょっとわかります(笑)。
サガコ:そんなヨコオさんの頭の中を、みなさんはどう理解しながら仕事を回しているのかな、って。名取さんや映島さんは10年来の、白本さんも『ニーア』からの仕事仲間なわけで。
映島:そんなこと言ったらサガコさんだって、『ニーア』でヨコオさんのヨコオさんらしさには、とことん触れたでしょう?
サガコ:だけど、ライターとして関わるのはゲームが“世に出せるレベルにまで、ある程度作られてから”じゃないですか。その頃には、もう見れば分かる状態。けれど、シナリオや小説、世界設定を手掛けているみなさんは、何もないところからゲームにする、その過程の最初や途中から、ヨコオさんの考えていることを理解しつつ形にするお仕事ですよね。
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名取:でも、どう理解しているかっていうと……実は理解なんてしていない気がします。私はヨコオさんが提示されたことを、「そうなんですか~」って飲み込んでいることが多いので。
基本は人物中心というか、キャラクターの性格がどうなっているかを突っ込んで聞くことはありますが、ヨコオさんの頭の中にある、あの“豊穣な世界”に関しては、ほとんどノータッチなんですよね。
映島:豊穣な世界(笑)。豊穣すぎて、何があるのかさっぱりわからない。それがヨコオワールド!
名取:でも、映島さんはそんなヨコオさん相手でも、ものすごく突っ込んでいきますよね。設定なりなんなりを、自分が納得するまで掘り下げていく感じ。
映島:名取さんは突っ込まないんだ? 私が設定について突っ込むのは、小説やコミックの原作を考えるうえで必要だから。文章や絵にする時って、詳細な部分まで理解できていないと、ごまかしが効かない部分も多いでしょう?
でも、私が理解できない部分を突っ込むと、ヨコオさんは「そんなこと気にするのは映島さんだけですよ。あなたが特殊だからですよ」って逃げようとする! そりゃゲームのシナリオを作るだけなら必要ない部分なのかもしれないけどさ!! 私には必要なのよ!! 赤目のみんなも知りたいよね!! と、私は思うんですけど。
ヨコオさんの言うように、私が特殊なだけで、みんなは必要ではないのかな……(しょんぼり)。
白本:いやいや、突っ込みは大事ですよ! 映島さんが質問してくれることで、初めてヨコオさんはいろいろ整頓してくれるから……。
私が「これをハッキリさせてください! じゃないと困ります!」って言ってもスルーされるのに、映島さんが尋ねたら、ものすごくていねいに整頓したりするんです、ヨコオさんは。
だから私にとって映島さんは、さながら女神みたいな存在です。
映島:う、うん。『DOD』の話をしていて“女神”って言われると、ちょっと複雑なんだけどね。
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サガコ:ギョロアエ的な意味で?(笑) でも、『ニーア』の時にも思っていたんですが、映島さんや名取さんのノベライズがあって本当によかったです。じゃないと、わからないこと多すぎてのめり込むことすらできなかったんじゃないかって。なんせ豊穣すぎるもんだから。
名取:ヨコオさんの中には、“わからないからこそいい”っていう美学があると思うんですよね。匂わせるだけにとどめたいっていう。
映島:そのへんのさじ加減は、私たちとヨコオさんとでは大きく違うのかもって思うかなぁ。ヨコオさんへの突っ込み作業、楽しくはあるけれど、それなりにいつも苦労してます。
「ヨコオさん、この新事実はなんですか!? こんなの聞いてませんでしたよ!」
「ええ、言ってません」
「どうして言ってくれなかったんですか!!」
「聞かれませんでしたから(にっこり)」
って!! そういうのだらけで!! 本当に!! もう!! あーーーもう!!
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名取&白本&サガコ:よーし、映島さん、お菓子を食べて落ち着こう!! クッキーおいしいよ、おいしいよっ!
→オクタの名言「セルフジョイ」の生みの親は誰なのか?(2ページ目へ)
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