2014年1月7日(火)
PS3『ドラッグ オン ドラグーン3』で描かれる人間の心の闇とは? 狂気をはらんだ人物が織りなす物語は必見【電撃オンラインアワード2013】
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昨年末、8キロほどのダイエットに成功したものの、お正月でさっそく2キロほどリバウンドしちゃった、電撃オンラインの編集・TDBです。トホホ……。基本的に、ゲームはRPGやSRPGが大好物である僕が、2013年のベストゲームを決める“電撃オンラインアワード2013”にて猛プッシュしたいのは、昨年末に発売されたばかりのPS3用ARPG『ドラッグ オン ドラグーン3』です。
本作は、スクウェア・エニックスが誇る人気ダークファンタジーシリーズの最新作。ヨコオタロウ氏や藤坂公彦氏、岡部啓一氏や柴貴正氏ら、歴代作品に携わってきたクリエイターが集結して手掛けている、シリーズ10周年を飾るにふさわしい一作となっております。
新春らしく、『DOD』シリーズの魅力を一言で表すと、僕の心には“狂気”の2文字が浮かんできました。そう、このシリーズは“人間なら誰しもが持ち合わせる(かもしれない)心の闇”を軸に、狂気をはらんだ物語が展開していくのが、大きな魅力となっているんです。
と言っても、『DOD』シリーズを知らない人もいるかと思いますので、まずは簡単にシリーズの特徴を説明しましょう。
【そもそも『DOD』シリーズとはなんなのか?】
そもそも本シリーズは、人間とドラゴンの絆を描くARPG。壮大なダークファンタジーとして楽しめますがが、それはそれとして、物語を織りなす登場人物たちがどこかオカシイことが大きな特徴です(少なくとも自分的には)。
たとえば『DOD1』の主人公は、己の復讐心に身を焼き、人を斬ることでしかその渇きをいやせない戦闘狂ですし、ヒロインはそんな主人公の実妹でありながら、兄への欲情をおさえきれない、困った妹だったりします。
目の前で子どもを惨殺されたことから、幼い子どもを見ると自らの体内に取り込む(すなわち、食す)ことで守ろうとするエルフや、母親からの強烈な虐待がトラウマになって、世界の崩壊を望む少女など、もうね……。
普通のゲームでは考えられない、“濃い”ヤツらばかりが登場しまくる。それが『DOD』というゲームなんですね……。
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▲例として極端な人物ばかりを挙げたわけではないですよ。ホント、かなりキテるキャラばかりが登場するのが本シリーズの特徴なわけで。これは続編である『DOD2』や『ニーア』も同様なのです(写真は『DOD1』のもの)。 |
最新作の『DOD3』でも、そんなシリーズの流れをしっかり踏襲し、どこか危うい連中ばかりが登場しては、過激な物語を盛り上げていくことになります。僭越(せんえつ)ながら、ここからはそんな本作の何がスゴイのかを、じっくり書き進めていきたいと思います。
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▲ちなみに僕は、この『DOD3』を自宅でプレイしていたら、いつの間にやら年が明けていました(若干誇張してますが……)。 |
■“ウタウタイ”と呼ばれる美女姉妹が、血で血を洗う姉妹ゲンカを繰り広げる!
本作で描かれるのは、人知を超えた力を持つ6人の“ウタウタイ”の姉妹による、激しい戦いの物語です。姉妹ゲンカ……なんかこう書くと、ものすごく規模の小さいお話のように思えるかもしれませんが、その姉妹ゲンカが世界の行く末さえ左右しちゃうんだから、始末に負えないというか、なんというか。
主人公は、“裏切りのウタウタイ”と呼ばれる長女のゼロ。彼女が、その他5人のウタウタイを皆殺しにするため、白き竜・ミハイルとともに行動を開始するところから、本作の物語は動き出すことに!
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面倒くさがり屋かつ乱暴な性格をした、およそゲームの女性主人公らしからぬ人物・ゼロ。人間とは思えないほどの身体能力を誇る“ウタウタイ”の長女であり、右目には謎の花が咲いているなど、さまざまな謎を秘めています。こうして書くと、個性の塊だなぁ。
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そしてこちらが、そんなゼロのパートナーである白き竜・ミハイル。まだ竜種として幼く、非常にピュアな心の持ち主。正義感も強く、その純粋さがときにゼロを苛立たせます(そして、プレイヤーをほっこりさせます)。このゼロとミハイルを中心に、物語が展開していきます。
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▲ウタウタイ同士の争いの先に、何が待つのか? おちゃらけた部分こそ多いものの、ラストに近づくにつれてシリアスさを増していくストーリーは一見の価値あり。ラストシーンは僕、ぶっちゃけ泣きました。 |
異能の力を持つ姉妹同士が殺し合うストーリーは、シリーズのお約束ともいえるダークな展開。ウタウタイと、彼女たちに付き従う“使徒”と呼ばれる男性たちの思惑が複雑に絡み合い、先の読めない物語が展開するので、ミステリアスなストーリーが好きな方にはうってつけといえるでしょう。しかし本作には、これまでのシリーズ作品とはやや趣きが異なる部分も存在しています。
その最たる部分が、キャラがすべからく“お下品”であること。主人公のゼロからして、性に関して恥じらいがなく、常にあけっぴろげです。使徒やミハイルとの会話中に、昨夜の“プレイ”の内容があけすけに語られることもあるくらいですからね。なんたるハレンチ!
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▲物語の主軸はしっかりとダークファンタジーしてますが、それを彩るキャラがお下品なぶん、テイストは明るめ(?)に感じられます。 |
彼女と共闘する使徒たちも、ドSな美少年からマッチョな変態ドM紳士、老いてなお性欲旺盛なジジイ、残念なイケメンなど、オールスター勢ぞろいって感じ。そもそも、使徒はウタウタイの性のはけ口であるなど、人によってはドン引きしかねない設定も存在しており、“これが本当にあのスクウェア・エニックスのゲームなのか?”といぶかしんでしまうほどですよ。ほひっ!
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▲会話の掛け合いの量は非常に豊富。ただ漫然とプレイしているだけでは、すべてを聞くのは不可能なのでは、とすら思えるほど。 |
シリーズ作品がすべて大好きな僕としては、最初は正直「んんーっ!?」と思った部分もありました。それくらい、これまでのシリーズとは毛並みが違っているといえます。しかし、遊んでキャラの個性がわかるにつれ、登場人物への愛着が増していくこともあり、いつしか些細なことはまったく気にならなくなったのも事実。
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▲本作ではキャンプ画面などにとどまらず、戦闘中でもキャラ同士の掛け合いがバリバリと展開していきます。台本が辞書2冊分くらいにおよんだ、というのも納得。 |
夜の営みに関するトークや、それぞれの性に関する趣味・嗜好など、殺伐とした戦場に不似合いな会話の影に隠れがちですが、物語の根幹にはしっかりと”絶望に抵抗する人間の強さ”というテーマが描かれています。これこそが、プレイヤーを惹きつけて離さない『DOD』シリーズの魅力の1つではないでしょうか。
→スピード感あふれる戦闘シーンの爽快感もシリーズ屈指!(2ページ目へ)
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Character Design : Kimihiko Fujisaka.
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