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2014年3月5日(水)

『穢翼のユースティア』がPS Vitaで2014年に発売――ハードなストーリー展開が魅力の本格ファンタジーADV。キャラクターや世界設定を紹介

文:キャナ☆メン

 ヒューネックスは、PS Vita用ソフト『穢翼(あいよく)のユースティア Angel’s blessing』を2014年に発売する。価格は、6,900円(税抜)。

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』
『穢翼のユースティア Angel’s blessing』
▲PC版のパッケージイラスト。

 本作は、2011年4月にPCゲームブランド・オーガストから発売された『穢翼のユースティア』をPS Vita向けに移植した作品。未曾有(みぞう)の大災害によってスラム化した隔離地域“牢獄”に暮らす主人公・カイムが、背中に羽が生えるなぞの病にかかった少女・ユースティアと出会うことで物語は始まる。複数のヒロインたちとの関係を描きながらも、退廃的な世界観のもと社会の格差や闇を描き出す、ハードなストーリー展開が特徴のファンタジーアドベンチャーゲームだ。移植にあたり、タッチスクリーンによる操作など、PS Vita版の独自機能も搭載される。

■『穢翼のユースティア Angel’s blessing』ストーリー

 悲劇は往々にして不条理なものだが、これほど不条理という形容がしっくりくる悲劇もなかった。

 その日、この都市の一角が多くの人命とともに大地へと崩落した。性別、年齢、人間性、地位、経済力……犠牲者に一切の区別はなく、ただそこにいたという一事だけが、彼らの命を奪った。

 なぜ死なねばならなかったのか。
 無数の死に何の意味があったのか。

 答えはなく、残された人々に与えられたのは、輪郭のない茫洋(ぼうよう)たる喪失感だけだった。後に“大崩落(グラン・フォルテ)”と呼ばれる悲劇だ。

 あれからずっと、この都市“ノーヴァス・アイテル”には不条理の雨が降り烟(けむ)っている。上層から下層へと、都市を濡らした水は低きへ流れ、やがて牢獄に聚(あつ)まり澱(よど)む。嵩(かさ)を増す汚水を取り除く術もないまま、囚人たちはただ喘(あえ)ぐ。

 いつの日か、この都市に陽が差す時が来るのだろうか。

■キャラクター紹介

 一部が崩落した浮遊都市“ノーヴァス・アイテル”を舞台に、シリアスなストーリーの描かれる本作。その物語を彩るヒロインや主人公、サブキャラクターたちを紹介する。なお、後述するノーヴァス・アイテルの成り立ちや世界設定などを参照してもらうと、より深くキャラクターや物語のことがわかるはずだ。

ティア(ユースティア・アストレア/Eustia Astraea)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』 『穢翼のユースティア Angel’s blessing』 『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 血液型:A 身長:149.6cm 体重:39.1kg

 牢獄に運ばれる際に謎の怪物に襲われ、倒れていたところを、カイムによって救われた少女。その後、カイムに“アストレア”という姓をもらい、表向きは彼の妹として一緒に暮らすようになる。背中に羽が生える羽化病に冒されているが、ほかの羽化病患者とは違った反応を見せることも多い。かつては上層にある貴族の家で下級の召使いとして暮らしていたため、料理や掃除など家事全般は得意。そのせいか、基本的に明るくほがらかな性格だが、時に「自分には価値がない」と言うことも。

“辛いことしかないのだと、彼女は言う。
 悲しいことしかないのだと、彼女は言う。
 それでも彼女は生きることをやめなかった。
 すべてに見放され、最果ての地に流れ着いても、
 少女は歩き続ける。
 運命の差し示す先に希望があると信じて。
 今日もまた一人。”

【イベントCG】

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』 『穢翼のユースティア Angel’s blessing』
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エリス(エリス・フローラリア/Eris Floralia)

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 血液型:B 身長:158.8cm 体重:46.3kg

 牢獄の歓楽街で働いているところを、カイムに引き取られた女性。現在は医師として活動し、周囲からの信頼はとても厚い。しかし、カイムのこと以外に執着しないドライな性格で、基本的に面倒くさがり。家事も得意ではなく、生活能力はかなり低い。その分カイムへの執着は異常なまでに強く、彼の周辺の女性に毒を吐き、対立することもしばしば。

“自由の空に彼女は立っていた。
 何ものにも囚われず、苦しみも憎しみもない、
 無風の草原に似た魂を持っていた。
 だがいつか、人は絶望と歓喜の大地へと生まれ落ちる。
 寒風から身を守る外套も持たぬまま。”

【イベントCG】

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』 『穢翼のユースティア Angel’s blessing』
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聖女イレーヌ(Saint Irene)

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 血液型:A 身長:155.3cm 体重:42.7kg

 第29代の聖女。歴代の聖女と同じく、祈ることでノーヴァス・アイテルを空に留めている。上層に位置する、聖堂の奥にある聖域で毎日祈りを捧げており、民衆の前に姿を現すことは少ないが、盲目の聖女と呼ばれて人気は高い。非常に信仰心が強く、天使を冒涜する者には厳しく、時にはシニカルに接する。またカイムも驚くほど負けん気が強い。

“聳える聖域の最奥。
 孤高の少女は祈りを捧げ、世界を天空へと縫い止める。
 その声はさまよう民に道を示し、
 その身体は明日なき民に安らぎを与える。
 誰が知ろう。
 光なき瞳に映るものを。
 誰が知ろう。
 胸奥に燃える冷たき焔を。”

【イベントCG】

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』 『穢翼のユースティア Angel’s blessing』
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リシア(リシア・ド・ノーヴァス・ユーリィ/Licia de novus Yurii)

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 血液型:AB 身長:146.0cm 体重:37.7kg

 ノーヴァス・アイテルを治める王家の第1王女。現国王が病にふせっているため、本来なら唯一の血縁者として代理で政務を行わなければならない立場である。しかし、その多くを執政公ギルバルトに任せ、自分は世俗への興味を満たすため、召使いの真似や料理などをして城内の人々を困らせている。性格は明瞭かつ快活。王女として大切に育てられたため自然と気位は高い。

“困ったとき、彼女は笑うことにしていた。
 それで問題の多くは消える。
 迷ったとき、彼女は肯くことにしていた。
 それで軋轢の多くは未然に防げる。
 無冠の女王は今日もまた笑顔で一つ肯く。
 行き着く先に、何があるのかを知りながらも。”

【イベントCG】

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』 『穢翼のユースティア Angel’s blessing』
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『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

フィオネ(フィオネ・シルヴァリア/Fione Silvaria)

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 血液型:O 身長:162.6cm 体重:48.9kg

 羽化病が発症した人間=羽つきを治癒院へと連れて行く組織・羽狩りの中で、牢獄地域を担当する部隊の隊長を務める。まだ若いが、立場にふさわしい統率力と剣の腕前を持つ。ただし正義感が強過ぎるあまり、自分たちの活動の意義を理解しない牢獄民や、職務に不真面目な一部の部下に苛立ちを感じている。潔癖な性格のため、自由な気風のカイムたちとは衝突することも。

“彼女は常に戦っている。
 無知蒙昧な民衆と。
 無能な部下と。
 治安を牛耳る不逞な輩どもと。
 精神を堕落させる賤業の従事者と。
 彼女は常に戦っている。
 何を勝ち得るのかも知らずに。”

【イベントCG】

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カイム(カイム・アストレア/Caim Astraea)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 牢獄の何でも屋として働く、本編の主人公。幼少時には下層に住んでいたが、大崩落によって家族を失う。そして牢獄へ売られ下僕として酷使されていたところを、彼の運動神経を見込んだ不蝕金鎖の先代頭に救われた。

 その後は暗殺者として生きていたが、ある時から殺しの仕事は辞め、おもにリリウムの用心棒をしている。大崩落以降の数奇な運命によって、性格はシニカルで冷静沈着。他人と積極的に関わろうとはしないが、ジークやメルトなど、昔から付き合いのある人々には心を許して交流している。

「理不尽な不幸は人生につきものだ。特に、牢獄には腐るほど転がってる」


ジーク(ジークフリード・グラード/Siegfried Grado)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 牢獄を影から支配する不蝕金鎖の頭。組織を立ち上げた先代の息子で、カイムとはその先代の下でともに働いた昔なじみ。カイムが部外者となった現在も信頼を置き、重要な仕事を依頼する。普段は組織の頭として堂々としているが、軽妙な振る舞いを見せることもある。

「捕まっても女は殺されないからな。気楽なもんだ」


メルト(メルト・ログティエ/Melt Logtie)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 酒場・ヴィノレタの店主。不蝕金鎖の先代頭に請われて以来、酒場を1人で切り盛りしている。酒場の店主らしくいつも明るく、荒くれ者を恐れない度胸もある。

「カイムとは長い付き合いなの。弱点なんかぜーんぶ知ってるんだから」


クローディア(Claudia)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 不蝕金鎖が運営するリリウムの稼ぎ頭。ほかの娘たちを妹のように面倒を見ており、周囲の人間からとても信頼されている。普段は牢獄では珍しい優雅な言葉遣いをしているが、彼女の口からその過去が語られることはない。

「きっと陰で沢山の女が泣いてますよ」


リサ(Risa)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 リリウムで働く娘で、クローディアやアイリスと行動をともにすることが多い。ただしほかのふたりに比べると、仕事の成績は芳しくない。牢獄での辛さを忘れるためか、とにかくお気楽で明るく振る舞っており、カイムにもしばしば呆れられる。

「大人……そう! 禁断で淫靡な大人の関係ね!」


アイリス(Iris)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 クローディアらと同じく、リリウムで働く娘。愛想が悪く、口を開けば毒を吐いてばかりだが、そんなところが好きな客も意外と多く人気は高い。いつも片手に人形を持っている。

「これ以上人気者になったら、身体が持たない」


ルキウス(ルキウス・ディス・ミレイユ/Lucius dis Mireille)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 改革派の中でも特に有力な若い貴族。民衆のことを考えた施策や、防疫局局長としての仕事を進め、周辺の貴族からの信望が厚いだけでなく、民衆からの評判も高い。彼の生家であるミレイユ家は先代を始め、多くの執政公を輩出してきた名家で、ルキウスも政治家となるための英才教育を受けてきた。そのためか温厚で上下関係にも寛大なように見えるが、常に思慮深く、本音を悟らせない。また牢獄のことにも通じており、最大勢力であるジーク率いる不蝕金鎖に、なにかと協力をする。

「わたくしにあるのはただ、この都市のために働けるという喜びのみです」


システィナ(システィナ・アイル/Sistina Uyl)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 ルキウスの副官として、いつも付き従っている女性。ルキウスへの忠誠心は高く、彼にとって利益があるかどうかで物事の判断をする。性格はとても事務的で、感情を出すことはほとんどない。氷のように冷たい雰囲気をまとっており、気に入らない相手とは世間話もしないほど。

 その一方でカイムが感心するほどの剣技を持っている。彼女の出自や、ルキウスとの付き合いの経緯を知るものはいないが、話し方から漂う気品と物腰から、彼と同じく上層の貴族出身ではないかと噂(うわさ)されている。

「目的さえ達してもらえれば、誰に担当していただいても構いません」


ラング(ラング・スクロープ/Lang Scrope)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 牢獄担当の羽狩り部隊の一員で、副隊長を務める。羽つきを害悪と考えており、多少の無理や非道を通してでも職務を忠実にこなす。同じく羽狩りとして優秀な隊長のフィオネには付き従うが、常に香水をつける気障な皮肉屋のためか、部下からの信頼は薄い。

「もっと抵抗していいんだぞ。最近、体がなまっているんでな」


ギルバルト(ギルバルト・ディス・バルシュタイン/Gilbert dis Balstein)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 王の執務を支える役職・執政に就き、貴族たちからは執政公と呼ばれている。病にふせたゲオルグに代わり、経験の浅いリシアを支えながら、実質的に国政を取り仕切っている。また、羽狩りが保護した羽つきを連れていく施設である、治癒院の監督でもある。

「本当に守らねばならぬものは意外と少ない。そういうものだ」


ヴァリアス(ヴァリアス・メイスナー/Varrius Meisner)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 近衛兵を統率し、王城内の警備を行なっている近衛兵騎士団長。若いころに王に見出されて騎士となった。国に対する忠誠心はとても厚く、真面目な堅物で、剣技に関しては強者揃いの近衛兵の中でも随一の腕前。現王が病にふしてからは、王の快復を祈りながら城内の秩序維持に力を尽くしている。

「なんのために剣を振るうかは、私が決める」


ラヴィリア(Lavria)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 聖女イレーヌの世話役として、聖域で暮らしている女性。イレーヌ(コレット)とは彼女が聖女の地位に就く前からの知り合いで、現在は都市を支える彼女を信じ、食事の支度や儀式の手伝いなど、あらゆる面で支えている。ほかの聖職者と聖女の連絡役も務めるが、押しが弱いため板挟み状態になることも。献身的な性格で、カイムやティアに対しても懇切丁寧に接する。

「あなたは、悪いことをしない人だと思います」


ナダル(ナダル・アトレイド/Nudar Atraid)

『穢翼のユースティア Angel’s blessing』

 聖女を中心とした聖教会のシステムの中で、すべての業務を仕切っている神官の長。教会内部の統率だけでなく、王家や貴族などとの折衝も行なっており、その政治的手腕は高い。しかし聖教会の維持を重視するあまり、聖女と対立をすることもしばしば。

「聖女様は、都市の平穏をお守り下さるからこそ聖女様なのです」

→すべての始まり――浮遊都市“ノーヴァス・アイテル”の成り立ちと“牢獄”が生まれるまで――を紹介。濃密な世界観を支える設定の数々も掲載(2ページ目へ)

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