2014年9月22日(月)
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画としてスタートした、“周年連載”。今回は特別編ということで、名作ゲームではなく、とある“名言”を振り返りたいと思います。
その名言とは――。
「ほっちゃーん! ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」です。
ことの発端は、2004年9月に開催された“東京ゲームショウ2004”。そのメインステージで行われた『双恋 -フタコイ-』スペシャルイベントでの出来事でした。
堀江由衣さんや小清水亜美さん、門脇舞さん、伊月ゆいさん、綱掛裕美さんら人気声優が登壇したステージと会場の様子を、当時の電撃オンラインスタッフが以下のように記事にしたのです。
【元記事】歓声と奇声が飛び交った!メインステージで『双恋』イベント開催(2004年9月25日掲載)
特筆すべきはファンの盛り上がりで、お目当ての声優さんがステージへ上がるたびに「まいちゃーん! まい、まい、まいーっ!!」などの歓声が上がっていた。しかし、歓声はいつしか奇声へ。最初はそれぞれの愛称を叫んでいたファンたちも、「ほっちゃーん! ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」や「ひろみさーん! ひろみひろみひろみ! アーッ!! ああーっ!!」と本能の趣くままに声を上げ始める。かと思えばライブで、声優さんたちのステージアクションに合わせて一糸乱れぬ振りを展開。押しと引きを上手に使い分ける、イベント慣れしたファンたちの姿が印象的だった。
“歓声はいつしか奇声へ”から“イベント慣れしたファンたちの姿が印象的だった”の流れは、無記名の真面目なイベントレポートとしてはかなり異質な内容です。その異質さが理由なのか、この記事を読んだ一部の読者のツボにハマり、インターネット上でネタとして使われるようになります。
ゲームやアニメの中でもパロディとして使われることも多く、ニコニコ動画では、堀江由衣さんが出演したり堀江さんが演じるキャラクターが登場したりするだけで、2014年現在でも必ず「ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」のコメントが1つは流れるという浸透っぷり。
そんな「ホアーッ!!」も2014年9月25日で誕生から10周年を迎えます。実はこのフレーズには、“本当にそんなふうに聞こえたのか?”、“反響した声のせいで、そう聞こえたのでは?”という謎や、これを書いたスタッフが、別の媒体で記者をしているという噂があるのですが……せっかくなので、10周年を記念して書いた元電撃オンラインのスタッフ“表六玉”本人に真相を確かめてみました!
▲表六玉。かつては電撃オンラインの記者だった男。かの名フレーズを残した張本人。 |
――早速ですが……あれ、なんであんなことになったんですか?
表六玉:なんででしょうね……自分でも分からないです……現場には魔物が住んでいるんだよ!
――ぶっちゃけ「ホアアーッ!! ホアーッ!!」って、実際には言ってないですよね?
表六玉:そんな解説をネットで目にして、確かに後日、自信をなくしました。ただ、「あたしの耳にはそう聞こえた」、「聞こえた“音”をテキストで表現する際ものすごく悩んだ」ことは記憶しています。そう、『できるかな』のゴン太くんの声をテキスト化するのがものすごく難しいのと似た感覚でした。ゴフゴフでもモ゙ッフモ゙ッフでもないし。
――書いた当時、この言葉がここまで有名になると思っていました?
表六玉:まったく思っていませんでした。おもしろいこと書いてやれみたいな気持ちも皆無で、「プレスルームが閉まるまで30分しかない! 急いで記事を書かなきゃ!」と焦っていただけです。
――以前、「ホアーッ!!」を生み出した記者が“メディアワークスから離れた”なんて噂もありましたけど。
表六玉:ありましたねぇ。よその媒体で編集長になってるとかって話。
――不思議ですね~。
表六玉:某インタビューで、「ちなみにこのニュースの編集担当が、今●●●●の編集長をやってるんですよ」ってインタビュアーが書いちゃったからじゃないでしょうか。
――嘘じゃないですか(笑)。
表六玉:いやいやいや! 厳密には、嘘ではないんですよ。ニュースの“編集”担当という表現なら、確かにその通りですから。あの日、会場でご一緒していましたし、あたしの記事をチェックして“編集”する立場にあった方なんです。でも取材して、記事本体を書いたのはあたしです(笑)。ソースは当時の同僚。「編集長をやってるんですよ」の話が出たあと、ずいぶんからかわれました。「いつの間に編集長になったんですかァ~?」って。あたしゃ今でもヒラだよ。
――表六玉さんはずっと弊社にいましたよね?
表六玉:あっ、1年だけ! 2006年に、PCゲームの業界紙を出してる編集部で仕事してたことがあります。でも編集長じゃないですし、その会社はもう潰れてます。
――電撃オンラインから離れた後は、どんなお仕事をされていたのですか?
表六玉:やっぱりWebの仕事が中心ですね。その業界紙が持っていたWebサイトで、新作の紹介記事やイベントのレポートなどをやっていました。でも会社が潰れちゃったので、1年で電撃に出戻りました(笑)。今もWebサイトの更新とか、結局は同じような仕事をしています。編集長どころかデスクになったこともないです。
――全然関係ないですが、『フタコイ オルタナティブ』っておもしろかったですよね。
表六玉:第1話からパンチラ満載だったしな!!! あと、オトーチャンが“くるくる回してジッポをつける”のが超カッコよくてマネしたかったんですができませんでした。
――最後に……最近「ホアアーッ!! ホアーッ!!」みたいに、表六玉さんが書いた「これは!」と思うフレーズがあったら教えてください。
表六玉:自分で書いたフレーズではサッパリですね。あのあれだ、話題になるとかおもしろいとかって読者さんが決めることで、たかがネット記者風情が自分でエッヘンしたりドヤ顔したりしちゃカッコ悪いと思うんですよ。当時の電撃オンラインも無記名がデフォでしたし。
でも今回は10周年ということで、恥ずかしながら出てまいりました。表六玉の名前が出るのは、これが最後になるでしょう。これからも無記名でネットの海に沈み続けます。さようなら、皆さん。今後のご多幸をお祈り申し上げます。
――なに退職メールみたいな締め方してるんですか!!
表六玉:あとちょっとだけ続くんじゃー!!
【周年連載 バックナンバー】
→特別編:「ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」10周年記念。生み出した記者に当時の真相を聞いた【本記事】
→第4回:PS『夕闇通り探検隊』15周年記念。伝説の隠れた名作ホラーゲームの魅力を今一度振り返る
→第3回:『ファイアーエムブレム 紋章の謎』20周年記念。攻略しがいのある手強いSRPGの金字塔を振り返る
→第2回:リメイクを望む名作『ライブ・ア・ライブ』20周年記念。本作を語れば、人はみんな1つになれる……なあ……そうだろ 松ッ!!