News

2015年1月9日(金)

新要素か遊びやすさか。円熟した『ブレイブ フロンティア』の選択とは?【アプリインタビュー】

文:デルチ

 おもしろいゲームが好きな電撃Appが注目するスマホアプリ。そのアプリがどのようにして生まれたのか、開発者に直接お話を聞きに行くインタビュー企画を連載中です。

 今回はエイリムから配信されている本格RPG『ブレイブ フロンティア』の開発者・高橋英士氏にインタビュー。本作がどのようにして誕生したのか? そして、ゲームとしてのおもしろさを追求する熱意の原点などをお聞きしてきました。

『ブレイブ フロンティア』

 開発秘話の他、最新のアップデート情報や今後の展開などについてもお聞きしました。本作に興味を持っている方はもちろん、すでにゲームをプレイされている方も要チェックですよ!

『ブレイブ フロンティア』
▲本作のプロデューサーであり、エイリム代表取締役COOを務める高橋英士氏。

●『ブレイブ フロンティア』とは?

 スマホで遊べる本格RPGとして、多くのユーザーに遊ばれている基本無料アプリ。ユニットを自由に編成したパーティでバトルに挑んだり、拠点となる村を発展させたりと盛りだくさんの要素で楽しむことができます。

 バトルでは、描きこまれたドット絵による、どこか懐かしさすら感じるユニットたちによるド派手なバトルが展開。タッチ&フリックによるシンプルな操作ながら、属性を考慮するなど戦術的な深さも楽しむことが可能です。

『ブレイブ フロンティア』
▲簡単操作でド派手な演出が楽しめる戦闘パート。属性やスキルを考えたパーティ編成の楽しさもRPGの醍醐味です。

 また、練りこまれた世界観やストーリーも本作の大きな魅力。アップデートのたびに、新たなエピソードが開放されメインキャラクターを中心とした壮大な物語が展開していきます。

『ブレイブ フロンティア』
▲村を開発すれば、レアな強化素材などを得ることもできます。ちょっとした空き時間に素材回収といった遊び方ができるのも魅力。

■『パズドラ』の衝撃から見つめ直した『ブレフロ』らしさ=RPGの楽しさとは?

――まずはじめに、『ブレイブ フロンティア』はどのような経緯で誕生したのでしょうか?

 開発が動き出した動機は、“スマホ向けのRPGを作ろう”というシンプルなものでした。そのなかでも、自分たちの世代のようにドット絵に思い入れのあるプレイヤーの方が楽しめるようなゲームを作ることを目標に開発を進めていました。ある意味、ターゲットは自分たちだったんですよ。

 その開発が約3年前に始まったのですが、当初はダンジョン内を移動する探索パートがあり、バトルもコマンド選択タイプを考えていたりと、いわゆるRPGでした。ただ、開発の途中で『パズル&ドラゴンズ』が配信されて、いろいろと考えさせられたんです。『パズドラ』はRPGの楽しさの中でも育成やバトルに関するおもしろさをクローズアップして、ある意味で不要な要素をそぎ落とすことで、誰でも遊べるとっつきやすいゲームになっていました。

 自分たちとしては、従来のRPGの流れを踏襲して街やダンジョンを自分で動かせる形を考えていましたが、それはある意味で先入観や形式美だったのかもしれないと考えさせられたんです。この要素は本当に『ブレイブ フロンティア』にとって必要なのか。スマホで楽しく遊ぶために必要なことはなんなのか。そういった部分を考えて、現在の形に定まっていったんです。

『ブレイブ フロンティア』

――その際に意識した『ブレフロ』らしさとは、なんだったのでしょうか。

 ドット=2Dでキャラクターを表現することと、バトルや育成のおもしろさ、そしてストーリーの魅力です。また、そういったことを踏まえて、スーパーファミコン時代のオーソドックスなRPGを遊んだ時のような楽しさを再現することを目指しました。

 それらに加えて、スマホで快適に遊べるインターフェースも重視しました。特にUIの考案は本当に大変でしたね。これがゲーム機なら、そのハードのコントローラがいい意味で制約になるので、おのずと遊びやすいボタン配置の正解が見えてきます。でも、スマホの場合はアプリ側でなんでもできるのでキリがないんです(苦笑)。

 ただ、そこで悩んだからこそ、フリック操作でバトル中のコマンドを選ぶという『ブレイブ フロンティア』ならではの遊びが生まれたのだと思います。

◆『ブレフロ』独自のバトルシステムとは?

 『ブレイブ フロンティア』のバトルは敵味方交互に行動するターン制です。パーティは最大6人で、自分で5人+他のプレイヤーから助っ人を1人選ぶ形になります。

 バトル中の基本操作は、画面下部の味方キャラクターのパネルをタッチすること。すると、いわゆる“たたかう”となり、敵に向かっていって通常攻撃を繰り出します。この通常攻撃はタッチした瞬間にリアルタイムで行われるので、6人のキャラを連続してタッチすると、次々とほぼ同時に敵に攻撃を仕掛けていきます。この際、キャラによって通常攻撃のアクションやヒット回数&タイミングが異なるので、まるでアクションゲームを見ているような感覚になるのが特徴です。

 なお、キャラのパネルを少し長めにタッチすると、コマンドメニュー的なアイコンが表示されます。ここで上下左右にフリックすることで、4種類の特殊な行動を行えます。感覚的には、RPGのコマンド入力をもっと直感的にした感じですね。

 ちなみに下フリックでガード、上フリックで必殺技のブレイブバースト、右フリックでさらに強力なスーパーブレイブバーストを繰り出すことができ、最近では、左フリックでアルティメットブレイブバーストを発動できる状態になる仕様も追加されました。アルティメットブレイブバーストは特定の条件を満たさないと使えない、非常に強力な必殺技です。

――ちなみに、高橋さんはどのような部分を担当されたのでしょうか。

 プロデューサーとして全体を統括するのが僕の役割です。よく、総監督でありエイリムの社長の早貸久敏が世界観やキャラクターの設定で、僕がシステム部分と、完全に分業していると勘違いされているのですが、2人ともゲーム全体を見ています。

 ただ、世界観やキャラクターについては、あまり人数が多くなっても統一がとれませんので、早貸自らが打ち出す開発スタイルを変えずにいます。

――開発中、おもしろいゲームになると手ごたえを感じた瞬間はありましたか?

 正直なところ、開発中は本当に試行錯誤が多くて、悩んでいた部分ばかりでした。まさにスクラップ&ビルドといった感じで、手探りでしたね。バトル時にキャラクターをタッチして攻撃を行うという仕様についても、6人=6回もタッチするのは面倒くさすぎるという意見もあり、何が正解なのか誰もわからない中で調整を進めていった部分もあります。

 ただ、振り返ってみると、やはりパーティキャラ6人をタッチするだけで戦えるバトルシステムを触った時に、“これはゲームとしておもしろいものになる!”と確信したことを覚えています。

――確かにバトル中の操作感覚は、『ブレフロ』ならではですよね。RPGでありながら、まるで対戦格闘やアクションゲームのような感覚でタイミングをはかってタタタタッとタッチをしていく感覚は、他にはないものだと思います。

 我々の世代からすると『ヴァルキリープロファイル』が連想されるバトルシーンですが、タッチ操作による直感的なプレイ感覚は従来のアプリのRPGとは違う新鮮さがありました。

 当初はコマンド入力がタッチ操作になっただけで物足りない部分もあったのですが、“スパーク”を追加した時にゲームシステムとして一気に完成度が上がったと感じましたね。

◆スパークとは?

 『ブレイブ フロンティア』では、キャラがまるでアクションゲームのように動きまくって攻撃を行います。その“アクションゲームっぽさ”にさらに拍車をかけるシステムが“スパーク”です。

 スパークとは、複数のキャラが同時に同じ相手に攻撃をヒットさせると発生するもので、通常よりも大ダメージを与えることができます。キャラごとに攻撃アクションが異なる『ブレイブ フロンティア』ならではのシステムですね。

 正直なところ、最初はあまり考えなくても大丈夫ですが、強力なボス敵と戦う時には非常に重要になります。このスパークは通常攻撃だけでなく、ブレイブバーストなどでも発生します。攻撃を行う順番やタイミングを考えてスパークを狙う感覚は、対戦格闘ゲームのコンボをつなげる感じにも似ており、うまく決まるとめちゃくちゃ爽快です!

――実際、ユーザーの反響はいかがでしたか?

 配信後にはユーザーさんだけでなく、業界の方々からも大きな反響をいただきまして、うれしかったです。バトルシステムはインターフェースも含めて高い評価をいただけたので、本当によかったです。

 先ほども少しお話しましたが、スマホのゲームはコントローラごとデザインしなければいけないようなものなので、インターフェースには本当に苦労したんですよ。余談ですが、今のようにフリック操作でブレイブバーストなどを選ぶシステムは、早貸が「夢で見た!」と言って盛り込んだ仕様です(笑)。

――まさに天啓だったんですね! また『ブレイブ フロンティア』といえば、ドットへのこだわりも魅力かと思います。何度かドッターの募集をかけられていたようですが、経験者と新人とどちらの比率が高かったのでしょうか。

 経験者の方がほとんどですね。やはり特殊な技術やセンスが必要となることも多いので。

――なるほど。ベテランのドッターとなると、それこそスーパーファミコン時代からゲーム開発に携わっているような方々がメインとなりそうですね。匠の技といった感じがしますし。

 いえ、そこまで年齢層が高いわけではありません。というのも、一時期、フィーチャーフォンでのアプリ開発が盛り上がったので、その時にドット技術を学んだ若い世代もおりますので。

 なんにせよ、ドットでの演出には非常にこだわっています。ちょっと愚痴になりますが、こだわりすぎて納期が遅れそうになることもあるので、プロデューサーとしては複雑な気持ちになることもあります(苦笑)。でも、そこが『ブレフロ』らしさにつながっていると思っています。

『ブレイブ フロンティア』
▲往年の名作を思い起こさせるドット絵で描かれたキャラクターたち。高橋氏を含めたスタッフのこだわりの表れだとか。

■ガチのゲーム好きだからこそ突き詰めたい“かつてのRPGの魅力”

――お話を聞いていると、高橋さんは本当にゲームが好きで、特にスーパーファミコン時代のRPGに強い思い入れがあるようですが、そもそもどんな理由でゲーム業界に入ったのでしょうか?

 我々『ブレフロ』のスタッフは、子どものころにファミコンやスーパーファミコンで『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』をリアルタイムで遊んできた世代が多いんですよ。そういう意味では、自然とゲームが好きになり、RPGへの思い入れが強い時代を過ごしてきたわけですから、いざ就職となった時にゲーム業界で仕事をしたいと思ったのは当然だったと思います。

 ただ、ゲームは好きだったんですけど、別にゲーム会社向けの勉強をしていたわけでもないので、いきなりゲーム会社に就職することは出来ませんでした。当たり前ですが、何も経験がない僕を雇ってくれるほど広き門ではなかったんです。

――それでも、好きという一念でゲーム業界を目指したわけですよね。どんなルートを通ったのですか?

 当時、プログラマーを募集している会社を見つけて、そこでプログラムのノウハウを学びました。ゲームとは関係がない業種でしたが、プログラムの技術はゲーム業界に就職する際に役立つと思いましたので。

 その後、やはりゲーム業界で働きたいと考えていた時にお世話になったのがG-modeでした。G-modeは携帯電話用のアプリを多数リリースしてきたゲーム会社で、RPGやアクションなど、幅広いジャンルでのゲーム開発を行っていました。そこでのゲーム開発は、本当に勉強になりました。

――ちなみに、ゲームは今でも遊んでいるのですか?

 最近だと『サイコブレイク』にハマっています。『バイオハザード』シリーズが大好きだったので。あとは、こちらも昔から大好きな『信長の野望』シリーズもずっとプレイし続けていますね。最近新しい作品が発売されたのですが、プレイする時間がなくて……。

 僕の『信長の野望』好きはスタッフも知っているのですが、以前に風邪で休んだ時がちょうど『信長の野望』の新作が発売された時期と重なっていて、社内では『信長の野望』で遊ぶために休んだという話になっていて困りました(苦笑)。

――あのう、それはどちらが真実だったのでしょうか。

 その時は本当に風邪でした。でも、ゲームクリエイターが新作ゲームで遊ぶのは悪ではありませんよね。そういう意味では、ゲームを遊ぶために休みたいと思うことはありますね(笑)。

――かなりガチなゲーマーなんですね。遊ぶジャンルはアクションや歴史SLGがメインなのでしょうか。

 そうとも限りませんね。とあるFPSにはオフ会に参加するくらいハマっていましたし、MMORPGもやり込んでいた時期があります。特に学生時代は『ウルティマオンライン』で遊ぶため、テレホーダイの時間帯を中心にした昼夜逆転の生活を過ごしていましたね。

――それだけゲーム好きな高橋さんが考える、ゲームのおもしろさとはどういったものでしょうか。

 そのゲームをプレイしていない時にどれだけ楽しめるかが、おもしろいゲームの条件なのではないかと考えています。子どものころ、学校で授業を受けている時なんかに、“家に帰ったら昨日のあのシーンの続きをプレイしよう”とか、“クリアできなかったあの場面は、もしかしたらこうすればいけるかも?”なんて考えていたという人は少なくないと思います。

――ああ、ものすごく覚えがあります!

 そんな時って、実はゲームを実際にプレイしている時間よりも楽しかったりしませんでしたか? 実際のプレイが、遊んでいない時間に考えたことの再生や確認になることってありますよね。その“考えさせる魅力”を持ったゲームこそ楽しいゲームなのではないかと、僕は考えています。

 遊んでいない時間でも、あの先はどんな展開が待っているのかとワクワクしてもらったり、早く遊びたいと思ってもらえるような、おもしろさが連鎖していくようなゲームを目指しています。

■“四堕神編”が完結した今、次なるストーリーの着地点は?

――本作ではキャラクターの設定もかなり細かく作られていますが、デザインと設定、どちらを先に作られているのでしょう?

 それは、そのときどきで変わりますね。キャラクターの設定を練ってから、その設定を見てデザインする場合もありますし、完成したイラストをもとに設定を詰めていくこともあります。例えば、人気が高い“護神十二聖”はシナリオが先に完成していて、そこからデザインを描いていくという流れでした。

――キャラクターのテイストは統一されているように感じますが、デザイナーは1人なのでしょうか?

 いえ、複数の人間が担当しています。統一感が出るように、ある程度のデザインの方向性は定めていますが、よく見るとキャラのポーズや衣装の細かなデザインなどにデザイナーの個性が出ている場合が多いです。

――多くのキャラクターが登場していますが、お気に入りのキャラクターは誰ですか?

 性能的な面でいえばゼルナイトですね。ステータスも高く追加効果も優秀で、使えない場面がないってくらい万能ですよね(笑)。

――確かに、ドロップ率アップというリーダースキルやBBをアップさせるブレイブバーストは便利すぎます!

『ブレイブ フロンティア』
▲大怪盗ゼルナイト。リーダースキル“大怪盗の技巧”はBC、HC、ゼル、カルマ、アイテムのドロップ率をアップする効果。ブレイブバースト“バトルスティール”は、敵全体に樹属性9連ダメージ&味方のBBゲージが少し上昇する。

 デザイン面ならリーナが好きです。カラーリングも好きですし、立ち姿がキレイなんですよね。

 あと、シナリオ的に気に入っているのはミセルです。ミセル世代という言葉も生まれるくらいで、ユーザーからも高い評価を受けているため、強く印象に残っているんです。

『ブレイブ フロンティア』
▲金騎士リーナ。リーダースキル“雷神の力”雷属性ユニットの攻撃力が25%アップする効果。ブレイブバースト“エリミナルシャイン”は、敵全体に雷属性6連ダメージ&確率で麻痺効果を付与する。
『ブレイブ フロンティア』
▲紅蓮の斧姫ミセル。“五光の力”は5属性以上で攻撃25%アップする効果。ブレイブバースト“フレイムチェンジャー”は、3ターン攻撃力アップ&攻撃に炎属性を付与する。

――キャラクターといえば、本作ではさまざまなコラボも印象的です。思い出深いものはありますか?

 繰り返しになりますが、我々自身がスーパーファミコン世代なので、かつて遊んだRPGとのコラボはとてもうれしく思っています。そういう意味ではスクウェア・エニックスさんとのコラボはどれも印象深いのですが、特に『エンペラーズ サガ』はうれしかったですね。

 ただ、コラボの際の最終判断基準として、世界観を大事にしています。ありがたいことに、さまざまなコラボのお話をいただけているのですが、世界観に合わない作品はお断りさせていただいたりしているんですよ。すごく有名なキャラクターでも、それを『ブレイブ フロンティア』のキャラクターとしてユーザーが受け入れてくれるのか、ドット絵にした時にどう見えるのかは、特に気を遣っているんです。

――確かに『サガ』のキャラなどは、ドット絵との相性がいいですよね。

◆『サガ』とのコラボとは?

 『エンペラーズサガ』とのコラボでは、『ロマンシング サ・ガ』の主要キャラが登場しました。仲間にできたのは、アイシャ、クローディア、シフ、アルベルト、グレイ、ジャミルの6名。いずれも『ブレフロ』らしいデザインで登場し、バトル中のドット絵のアクションも秀逸でした。

 もちろん、スキルなども原作にちなんだものが登場。シフのブレイブバーストが“飛翔脳天撃”だったり、ジャミルのリーダースキルが“ラピッドストリーム”だったりと、『サガ』ファンならニヤリとできるものになっていました。

 『ブレイブ フロンティア』のユーザーだけでなく、コラボ先のファンにも喜んでもらえるものが1番ですからね。最近では映画『ホビット 決戦のゆくえ』とのコラボを行っていますが、そのお話をいただいた時は本当に驚きました。

『ブレイブ フロンティア』
▲現在は、映画『ホビット 決戦のゆくえ』とのコラボが開催中。『ビルボ』はTwitterで『ホビット 決戦のゆくえ』公式アカウントをフォローをすると、もれなくもらえます。2月27日(金)23:59まで予定。

※『レゴラス』『ガンダルフ』が登場するスペシャルダンジョンは、1月9日(金)14:59で終了。詳細は、公式サイトのお知らせをご確認ください。

――RPGの元祖みたいな存在ですからね。ちなみに、コラボキャラって☆5が限界じゃないですか。最近のアップデートで☆7進化が開放されましたし、そろそろコラボキャラの☆6進化もありえませんか!? って、もはや質問というより個人的な要望で恐縮ですけど(笑)。

 う~ん。それはユーザーの皆さんからもたくさんの要望をいただいているのですが、僕はコラボキャラはあくまでファンサービスだと考えているんですよ。異文化との交流と言いますか、お祭り的なスタンスと言いますか。

 例えば、コラボキャラが強くなりすぎて、それを入手できなかったユーザーさんが不満に感じるようなことがあれば、それは本末転倒になってしまいます。また、世界観的な意味でも、コラボキャラが台頭をしすぎると『ブレイブ フロンティア』という作品の世界観を保てなくなるような気がするんです。

 そういったもろもろの状況を加味して、現状でのコラボキャラのゲームバランスは“初心者でも頑張れば入手できること”と“ある程度の即戦力として便利”という部分だと考えています。コラボ作品のファンの方が『ブレイブ フロンティア』に興味を持って遊んでいただくため、そして『ブレイブ フロンティア』を遊んでいる方にとって好きな作品のキャラがゲーム中に登場することを楽しんでいただくためのコラボだと思っています。そのため、現時点ではコラボキャラの☆6への進化は考えていません。

――ちょっと残念ですが、理由がわかってスッキリしました。続いて、ストーリー面に関する質問です。“四堕神編”がひと区切りを迎え、現在は新章のスタートが期待されています。ストーリー全体の展開は、開発当初から考えていたのでしょうか?

◆“四堕神編”とは?

 2013年7月の配信開始時から展開してきた物語が、“四堕神編”と呼ばれるもの。召喚師としてグランガイアという異世界に呼ばれた主人公が戦うべき相手が、世界に混沌をもたらす四堕神でした。

 その長きにわたる戦いは、最近のアップデートで完結を迎えました。ネタバレになるので詳細は書きませんが、きっと「これぞRPG!」という熱い展開の末に第2部となる新章へと突入することでしょう。何を書いてもネタバレになりますが、いい意味での予想通りな部分と予想外のどんでん返しを味わえるはず。なんにせよ、“連載的に長期展開をしているRPGのシナリオは引き伸ばしばかりで完結しない”なんて先入観(自分はそうでした。苦笑)を打ち砕いてくれるほど、ストーリーに力が入ったゲームだと思います!

 そこはもちろん、大まかなストーリーラインは最初から考えて進めています。我々が考えるRPGの魅力の中でも、ストーリーやキャラクターが占める比重はとても大きいと思っていますし、そもそもストーリーを展開したからには、しっかりと終わらなければ、ずっと追いかけてきてくださったユーザーさんに対して不義理ですからね。

 ただ、本作はコンシューマのような売り切りのタイトルではなく、運営を続けていかなければいけません。そのため、ストーリーが終わったからゲームも終わりというわけにはいきません。だから、区切り方はしっかりと考えていく必要がありました。まだ先の話にはなりますが、どんな形でエンディングを迎える形にするのかは、ユーザーさんと対話しながら完結を目指すという形になると思っています。

――また『ブレフロ』では、“ブレイブ キャスト チャンピオンシップ(ブレキャス)”などイベントも数々開催されてきました。なかでも印象に残っているものはありますか?

“ブレキャス”とは?

 “ブレイブ キャスト チャンピオンシップ(ブレキャス)”とは、プレイヤー参加型のゲームプレイ動画コンテストのこと。2014年の秋に行われ、大きな盛り上がりを見せました。レイド早解き部門、縛りプレイ部門、ブレフロあるある部門、アテレコ部門、フリー部門などのお題に対して、さまざまな動画が投稿されました。

 “ブレキャス”は本当に印象深いイベントでした。コンシューマゲームも含めてそうですが、ここ数年でゲームと動画のかかわりはすごく強くなってきているので、僕としても無視できない存在だったんです。その中で、“縛りプレイ”や“レイドの早解き”といったゲーム動画で盛り上がるコンテンツをお送りできたのは意義があったと思っています。

――今後はレギュラー化もありえるのでしょうか。

 現時点では何も言えませんが、いろいろと課題があることも事実です。運営方法ひとつとっても、外部の方にお願いをするのか自分たちですべてを受け持つのかで変わってきますし、仮に我々がやるとしたら、ゲーム本編の運営との兼ね合いもあります。

 また、多くの方々にとってはプレイ動画を投稿するという敷居が高い部分もあると思います。より多くの方にイベントを楽しんでいただくためには、もっと参加しやすい形を考えることも必要だと思っています。

 そういった課題はありつつ、多くの皆さんに楽しんでいただけましたし、また開催してほしいという声もたくさん届いています。もろもろを含めて、前向きに考えていきたいですね。

 ブレキャスの他では、1周年記念として開催したオフラインイベント“ブレフェス2014”も印象に残っています。やはり、ユーザーさんの生の声を聞けたことは僕やスタッフにとってはすごく大きなことでした。あのイベントは皆さんに感謝するためのイベントだったのですが、逆に僕たちが得たもののほうが大きかったんじゃないかと思うくらい、気力をチャージできました。いろいろと大変な部分もあったのですが、また開催したいですね。

■次なる調整はアリーナか? 今後の『ブレフロ』が目指すもの

――個人的に気になる質問なのですが、先日のアップデートで☆7の進化が可能になりましたよね。となると、最終的に☆6のキャラが全員☆7へと進化するのかどうかが気になるのですが、いかがでしょうか?

 現時点で明言はできませんが、設定上での☆7という位置付けは、“ある理由から神の領域すらも超えた存在”なんです。そういう意味では、すべてのキャラクターが☆7になれるわけではないというのが僕の見解ですね。

 ただ、以前にそんなことを言っておきながら、なんだかんだ☆5から☆6へはほとんど全員が進化しているという経緯もありますので、どうなるかは今後のストーリーの展開しだいだと思います(苦笑)。

――確かにカル→セリアと☆6が開放されてきたので、物語の流れ的に次はルジくん(ルジーナ)の番かなと思っちゃいます。

 そうですね。時期は明言できませんが、ルジーナの☆6開放も近いとは思います。

――ちなみに、村の青い屋根の家についてはいかがでしょうか。以前にミニゲーム的な要素を実装したいと発言されていましたが?

 ごめんなさい。現状は放置している状況です。他に優先しないといけないことがあるので……。

 ただですね、実はミニゲームの開発自体はある程度進んでいて、そこに関するグラフィックは着々と仕上がっていたりします。そういう意味では、いつ完成してもおかしくないので、突然ひょっこりと実装されるかもしれませんね。

――それは楽しみです! ちなみに『ブレイブ フロンティア』の歴史を振り返ると、協力バトルでのレイド戦や対戦を楽しめるアリーナなど、サービス開始から次々と新要素が実装されてきました。いい意味で円熟をしてきていると思いますが、今後はどのようなゲーム運営を考えているのでしょうか。

 新要素については、現状慎重に考えているところです。というのも、1年以上運営を続けてきて、ユーザーさんがコアな内容を求め始めるのは必然だとは思うのですが、その一方で新規ユーザーとして入ってくる初心者の方への配慮を忘れてはいけないと考えています。

 そう考えた時に、要素が多すぎることは敷居を高くしてしまうかもしれません。新要素を増やすことよりも、今遊べる要素をより楽しく、遊びやすくすることが、結果的に多くのユーザーさんのためになるかもしれません。そういった意味で、足を止めて振り返る時期にさしかかっていると考えています。

――なるほど。そう言われてみると、レイドバトルの際にせっかくマッチングしたのに放置をしているプレイヤーと当たってガッカリ……なんてこともあるんですよね。個人的には、逆に周囲のリアルな知人と遊ぶことが多いです。

 細かい仕様やインターフェースについては、もっと改善できる部分があると考えており、そこを最優先にしたいと思っています。特にリリースしてからほとんど仕様が変わっていない“アリーナ”は、なんらかの更新をする必要があると考えています。

『ブレイブ フロンティア』
▲12月19日のアップデートで、実績要素となる新機能の“ミッション”などが追加されました。
『ブレイブ フロンティア』
▲ダブったユニットを納入して、アイテムなどと交換できる納入機能は、ユーザーからの要望も高かった要素とのこと。

――ちなみに、現在はボイス付きのゲームがかなり増えていますが、ボイスを追加する予定はありますか?

 実は一時期ボイスを追加しようと考えて、一部の音声は収録まで終えました。ただ、ボイスを実装するとゲームのデータ量が莫大になってしまい、プレイに支障をきたすかもしれなかったので断念しました。

――そうなんですか!? でも、ボイスのためならちょっとくらいデータ容量が増えても……。

 『ブレイブ フロンティア』には数百種類のキャラが登場するうえに、声を入れるならバトルにも入れたいところです。となると、通常攻撃やブレイブバーストの技名を叫ばせるだけでも数パターンが必要になるわけで、結果的にものすごい量になってしまうんですよ。

 そういった観点に加えて、今ではユーザーさんそれぞれの頭の中で理想の声が固まってきているとも感じています。ボイスは、マンガや小説のように、ゲームによってはないほうが魅力な場合もあると思います。例えば“ブレキャス”でのアテレコが盛り上がったように、固定のボイスがないことで生まれる遊びもありますからね。今後の展開しだいではありますが、現時点ではボイス演出は考えていません。

――いろいろとありがとうございました! では最後に、これからゲームを始める方、またすでに遊ばれているファンに向けてメッセージをお願いします。

 これから始めるという方の中には、本格RPGと聞くと複雑で面倒くさそうに感じている方もいると思います。それに関して『ブレフロ』は本当に操作が簡単ですし、それでいてストーリーやバトル、キャラの育成など、RPGの楽しさを感じていただける内容になっていると思います。ちょっと宣伝になりますが、2015年1月31日までは超お得な“みんなでブレフロキャンペーン”を実施していますので、今ならタイミング的にもバッチリです!

“みんなでブレフロキャンペーン”とは?

 2015年1月31日まで行われるこのキャンペーンは、プレイ開始から10日間にわたって超豪華なログインボーナスがプレゼントされるというもの。ちなみに既存のユーザーにも配布されるので、“最近『ブレフロ』を遊んでなかったなあ”なんて人もぜひ!

 プレゼント内容は、いわゆるバラマキ系。もう、バラマキすぎてステキ! キャラクター強化や進化用の素材はもちろん、なんと合計でダイヤが25個=レア召喚5回分のダイヤがもらえちゃいます!! 自慢ですが、筆者はこのキャンペーンのおかげで☆4の黒翼のアーディンや炎鳳騎アルスをゲットしちゃいました♪

――本当に太っ腹なキャンペーンでビックリです。ちなみに、これから『ブレイブ フロンティア』を始めようという人に向けた攻略テクニックなどはありますか?

 それほど難しく考えずに、ゲームの流れにそってプレイしていただければ、自然といろいろな知識が身につく設計になっていますので、普通に遊んでいただければ大丈夫です。ちょっとした注意点としては、バトル時に属性を意識すると勝ちやすくなると思います。敵の弱点属性を考えてパーティを組むと、バトルの難易度がかなり下がりますから。それから、回復や補助アイテムを惜しまずに使うことも大事ですね。

 意外と見落としがちという部分では、ゲーム開始時に選べる初期ユニット(ヴァルガス、セレナ、ランセル、エゼル)は、進化をさせていくとどんどん強くなり、最終的に☆7まで進化します。ゲーム内で追加の入手チャンスはありますが、間違って合成素材に使ってしまわないように大切に育てていただければと思います。

――ありがとうございました。では続いて、すでに『ブレイブ フロンティア』を遊んでいるファンに向けてメッセージをお願いします。

 すでにプレイしていただいている方には、ありがとうございますという感謝の気持ちでいっぱいです。これからも気をゆるめず、遊びやすく興奮していただけるようなゲームをお届けしていきますので、このままずっと継続して楽しんでいただければうれしいですね。

(C)2013-2014 Alim Co., Ltd. All Rights Reserved.

データ

関連サイト