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2015年10月9日(金)

【電撃の旅団冒険録】『FF14』のダンジョンから見る世界観。第6弾は“蒼天聖戦 魔科学研究所”

文:電撃PlayStation

 『ファイナルファンタジーXIV』の世界に秘められた謎を追う冒険者さんたちに贈る企画第6弾! 今回は『蒼天のイシュガルド』メインストーリーのラストを飾る “魔科学研究所”を通して、魔大陸やアラグ文明の謎の一端に迫ります。もちろん開発スタッフの方々からの公式コメント付き!

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』
『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』

※本記事にはネタバレ要素も含まれます。まだ『蒼天のイシュガルド』のメインストーリーを終えていない方はご注意ください

新たな翼を駆り、古代アラグ帝国の魔大陸へ

 グブラ幻想図書館で得た禁書の知識を用いて飛空艇を改造した冒険者たちは、ガーロンド・アイアンワークスの面々とともに、新たな翼“エンタープライズ・エクセルシオ”で魔大陸を目指します。しかし、魔大陸を覆う形で張り巡らされた防壁を突破していざ領空内へ……というタイミングで、待ち伏せしていた帝国軍飛空戦艦が一行を急襲。砲撃の雨によって、あわや撃墜という状況に。その危機を救ったのは、聖竜フレースヴェルグの背に乗って参じた氷の巫女イゼルでした。

 ……挫折を経て再び舞い戻った彼女の想い、フレースヴェルグの意思については公式サイトの“蒼天秘話”で語られていますので、こちらもぜひご覧ください。こんなん泣くやん。

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 イゼルの助けを借りて魔大陸アジス・ラーに降り立った冒険者たちは、軍団長レグラ・ヴァン・ヒュドルス率いるガレマール帝国第VI軍団と熾烈な戦いを繰り広げつつ、この地で最もエネルギーが集まる場所……教皇たちが向かったであろう旗艦島の“魔科学研究所”を目指します。

 その道中ではアラグ帝国の装置に囚われ続ける七大天竜ティアマットとの邂逅を果たし、彼女からドラゴン族の起源や南方大陸メラシディアでのアラグ帝国とドラゴン族の戦いの顛末、幾多の争いの裏で策動するアシエンたちの動きを知ることに。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』

 “神とは、想像力の産物……願いの力が、星の命を用いて作り出す虚像”
 かつてアラグ帝国に抗うために呼び降ろされ、敗北して魔大陸に封じられた数多くの“神(蛮神=闘神)”。それらを目覚めさせてはならない、とティアマットは語ります。

 のちにアシエンたちの口から直接聞くことができますが、彼らの狙いは、ヒトや獣人をそそのかして神々を顕現し、星(ハイデリン)の命とも言えるエーテルを消費・枯渇させ、“次元圧壊”という“何か”を経て世界を再創造することである様子。

 それで具体的にどうなるかはまだまだ謎ですが、彼らの思惑を防ぐには、ティアマットの言うように、想像の“神”の力に頼ろうとする者たちや、心弱き者を言葉巧みに操るアシエンたちそのものを止めなければなりません。こうして想いを新たにした冒険者は、竜詩戦争をめぐる教皇やアシエンとの戦いを終わらせるため、魔科学研究所へと足を踏み入れるのでした。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』

数多の兵器が守護する、古代文明の技術実験場

 魔科学研究所の内部は、機械兵器研究棟と生体兵器研究棟、そして中枢である三闘神制御区の3区画に分かれている模様。名前の通り機械兵器研究棟には多様な姿を持つ機械兵たちが出現し、生態兵器研究棟では特殊なシステムによってラミアやエンプーサなどの合成獣が培養されているようです。

 それらの多くは大迷宮バハムート(落下した衛星ダラガブ内部)でも見られた顔ぶれであるだけに、やはり同時代に同じ技術を用いて製造されたものなのだと察せられますが……シュワブチなど、ダラガブに配備されていなかった敵もいるのが気になります。もしかしたらダラガブ打ち上げ後に新たに試作研究が進められた兵器なのかもしれません。

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 機械兵器研究棟では、進軍してきたガレマール帝国軍第VI軍団とも対峙することに。軍団長のレグラ・ヴァン・ヒュドルスが用いるタレットや両手剣型の武器・ガンバスタードの機構などについても興味が尽きないところです。

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 機械兵器研究棟、生態兵器研究棟と進んだ先には、兵器の性能をテストするのであろう評価試験場が存在しており、評価の裁定者として“ハルマキス”が配備されています。この敵は兵器の対応力を試すために “転生の儀”を用いてさまざまなモンスターに姿を変えるのですが、変化した後の姿はいずれも大迷宮バハムートで強大な敵として冒険者の前に立ちはだかってきたものばかり。彼らもこの研究棟で製造され、評価試験をパスしてきた個体だった……ということなのでしょうか。

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 また、最奥部の広大な空間・三闘神制御区にはヒトの姿をしたクローン・コンジュラーなどが出現します。ハイアラガン武器を携えて冒険者の前に立ちはだかる彼らはいったい誰のクローンなのか。クローンといえばクリスタルタワーに関係するウネとドーガが記憶に新しいところですが……まだまだアラグ文明に関する謎は深いようです。

 これらの敵を撃破してたどり着いた三闘神制御区のニューロリンク・ナセスでは、ついにアシエンや教皇トールダンたちと対峙します。ここで語られた新たな事実……アシエンたちの目的、教皇トールダンと蒼天騎士団たちが隠し持っていた竜の眼の力についてや、そこでの戦いの末にどう決着がついたのか……。これらの顛末に関しては、『蒼天のイシュガルド』のメインストーリーを終えた皆さんならきっとご存知のはずですね。

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古代アラグ帝国の遺産、魔大陸にかかわる秘密とは――

――このダンジョンを作る際の方向性、コンセプトを教えてください

 “古代の超文明が作った兵器開発施設”というコンセプトになります。ただし、アラグ系のダンジョンは、大迷宮バハムートを通じて数多く作ってきた実績があるため、“同じ文明のもの”という共通点を維持しながらも、全体としては“目新しさ”が出るように、レベルデザイン、デザイナー、BGの各セクションのスタッフが知恵を絞っています。全体的な構成として、中ボスをはさんで全体を3つのエリアに分割し、それぞれ“機械兵器の研究場”“生物兵器の研究場”“蛮神の研究場”という意味を持たせ、特徴付けを行いました。

――BGMがかなり人気がありますが、祖堅さんに何か特別に“こうしてほしい“など注文はなされたのでしょうか?

 ということで、BGM発注担当の前廣に話を聞いてみました。

 “魔科学研究所”のBGMは、それが存在しているフィールドの“アジス・ラー”とセットで、“ラスダン”として考えてくれと発注しました。ひとつのダンジョンだけでなく、直前のフィールド込みの全体で、最後の盛り上がりを出してくれと。ここは、これまでのFFXIVのBGM発注とは、大きく異なる点です。その上で、『蒼天のイシュガルド』のメインフレーズを組み込んで“締め”の心象を持たせてほしい、と注文した結果になっています。

 とのことでした!

――ここに出現するモンスターたちについて、語れる範囲でぜひ詳しく教えてください

・機械兵器の動力源について

 クリスタルを利用した独自のエンジンを搭載しています。これは、魔法と科学が融合した“魔科学”の知識あればこそ開発できたもので、魔法の知識に乏しいガレマール帝国では再現できていません。その結果、ガレマール製の魔導兵器は、青燐機関で代用している状況です。

・生態兵器研究棟の“バイオマス”はどういったものなのでしょう

 “プレカルチャード・バイオマス”について。“カルチャード=培養された”という意味ですが、“プレ”という単語が付いていることからも解るとおり、培養初期段階の“バイオマス=生物資源”になります。デロンデロンになっており、元がどんな生物だったのか、今となっては解らないですが……。

・シュワブチやエンプーサなど、生体兵器たちの成り立ちと制御方法について(大迷宮バハムートには生体兵器の調教システム的なものがありましたが、彼らにも知能があって、“学ばせる”ことで制御しているのでしょうか?)

 アラグの生物兵器は、複数の生物の長所をミックスして、より強力なキメラ生物を創るという発想で開発が始まっています。その結果として、キマイラなどが生まれる訳ですが、優れた戦闘能力を持つ反面、凶暴性が強すぎてコントロールが難しいという難点がありました。

 そうした“知恵のない猛獣”的な生物兵器は、基本的に“痛みを与えて条件反射を覚え込ませ、躾けを行う”という手法で制御が試みられています。このような調教や、前線での指揮を行う役割を与えられたのが、命令に従順な“機械兵器”です。調教システムとセットで躾けを行う“アバター”や、前線で指揮を行う“ファントムレイ”が、その一例ですね。一方で、知性を付与する方法論も研究されており、後にキメラ生物“イクサリオン”などが開発されるわけです。

・ハルマキスと、大迷宮バハムートに出現したボスたちとの関連性について

 ハルキマスはご指摘の通り、魔科学研究所で開発された兵器群を再現することで、開発中の新兵器と模擬戦を行わせるシステムになります。

・クローンについて(誰のクローンか、ハイアラガン武器を装備しているのはなぜか……など)

 アラグ帝国が、その末期に王族のクローンを開発していたことは、クリスタルタワー関連クエストで語られていますが、同様の技術で創られた存在になります。純粋に“信頼できる親衛隊戦力”として、優秀な兵士を複製した存在になります。なお、ハイアラガン装備は、アラグ帝国軍の兵装として開発されたものですので、クローン兵だけでなく、キメラ兵である“レプトイド”などにも装備されています。

・生体兵器の寿命などにかかわるメンテナンスについて(5000年が経過しているのに動い ている理由など)

 生体兵器に関しては、勝手に繁殖しているものがメインですが、一部には培養タンクの中に入れられたままの状態で保存されていたものもいます。5000年に渡り正規のメンテナンスを受けなかった結果、一部のキメラ生物に関しては、遺伝子的に変異して元の状態とは異なる形になっているものが存在します。

――帝国軍第VI軍団長のレグラ・ヴァン・ヒュドルスについて、彼の出自や使用武器の機構など現時点で語れる部分がございましたらぜひ

 今後の活躍に、ご期待ください!

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』

――古代アラグ文明が興ったのは5000年以上前の第三星暦の時代。そこから1000年に渡って栄えたと作中で語られていますが、南方大陸メラシディアへの侵攻や対蛮神兵器(アルテマウェポン、オメガなど)の建造、衛星ダラガブの打ち上げ、クリスタルタワー建築、魔大陸の建造……といった大きな出来事は、それぞれその1000年間のだいたいどのあたりに行われたものなのでしょうか? あらためて順番などを教えてください。

(1)始皇帝ザンデにより、エオルゼアに“アラグ帝国”が興る

(2)アラグ帝国がエオルゼア全土を統一。東進して、北州や東州にも版図を広げる。
 これと平行して、魔法と科学を融合させた魔科学が発展。ある出来事を切っ掛けに、対蛮神研究が始まる。

(3)第三星暦末期に入り、クリスタルタワーが完成する。
 タワーから得られる太陽の力により、繁栄を極めた結果、文化が退廃し、発展が停滞。

(4)天才魔科学者“アモン”による、始皇帝再生計画がスタート。
 ほぼ同時期に、研究機関として魔大陸“アジス・ラー”の運用が開始される。

(5)クローン技術が飛躍的に発展し、ザンデの復活が実現する。
 復活したザンデによる統治が始まり、南方大陸メラシディア遠征が行われる。

(6)メラシディアの複数の種族が、蛮神(闘神)を召喚。アラグ帝国軍、苦戦を強いられる。
 一方、本国サイドではザンデの圧政に耐えかねた民衆による反乱が多発。

(7)魔科学研究所で開発された新兵器(対蛮神兵器を含む)を続々と投入し、南方大陸の蛮神を捕獲。アラグ帝国軍が勝利する。

(8)最大級の蛮神“バハムート”を拘束し、人工衛星“ダラガブ”を打ち上げる。
 バハムートのフレアを操る能力を利用し、より多くの太陽の力を集め、クリスタルタワーに送信する。そのエネルギーを使って何をしようとしていたのかは、クリスタルタワー関連クエストにて……。

(9)クリスタルタワーが受信しそこねた莫大なエネルギーが、地殻を崩壊させ大地震発生。
 土の災厄“第四霊災”発生。重要施設が破壊され、アラグ文明崩壊。地上からの支援が断たれたことで魔大陸“アジス・ラー”も立ちゆかなくなり、放棄される。

 正確な年代表記については、ここでは避けますが(1)~(9)までが、1000年以上の期間であったことになります。なお、(1)と(2)の期間は、(3)~(9)までよりも圧倒的に長い期間だったイメージです。

――三闘神制御区にあるニューロリンク・ナセルに関しましてもし現時点で語れることがございましたらぜひ詳しく教えてください(“ニューロリンク=神経接続”という名称から考えると、何者かと神経を接続して何かを制御するような印象ですが、その“ナセル”というのが三闘神の1柱の名前なのでしょうか? また、ここにだけドクドクと脈打つ肉片・神経のようなものがございますが、これは……?)

 今後の三闘神にまつわるストーリーにご期待ください!
 ※『ナセル』=『Nacelle』ですので、三闘神の名前というわけではないです。

――三闘神制御区へと続く大広間は『ラストレムナント』の“聖域”を彷彿とさせるつくりになっていてMag個人としては胸熱なのですが、何か特別意識した点などがもしございましたら

 あくまで偶然です。“超古代文明の結晶”というコンセプトが魔科学研究所と聖域で共通していたこともあり、自ずと似たイメージになったのではないでしょうか。レベルデザインの担当者にも聞きましたが、意識はしていなかったようです。

 とはいえ、偶然ではありますがFFXIV開発チームには、高井、前廣をはじめ、『ラストレムナント』に関わったスタッフも多く在籍していますので、そういった意味での影響はあるかもしれません……。ちなみに当時“聖域”を実装した担当者は、現在、FFXIVイベント班でリーダーをやっていたりします。


 長きに渡って栄えたアラグ帝国ですが、クリスタルタワーをはじめとする超技術が運用されたのは後期のわずかな期間だったようです。対蛮神兵器が開発されるに至った“ある出来事”についてはかなり気になるところですが、いずれゲーム内でその出来事が語られる日も来るのかもしれませんね。

 次回は10月16日に更新予定。お楽しみに!

(C)2010 - 2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

データ

▼『電撃PlayStation Vol.600』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2015年10月8日
■定価:759円+税
 
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