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2015年12月1日(火)

『風来のシレン』20周年。お竜にドーーン!! ガイバラにイッカァーーン!! ペケジに倒される!?【周年連載】

文:梅津爆発

 あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。

『風来のシレン』
▲パッケージには、シレン、コッパ、お竜、ガイバラと並び、なぜかカラクロイドの姿が!
『風来のシレン』
▲画像はWiiのバーチャルコンソール版。以降の画像もすべてWiiのバーチャルコンソール版です。

 第31回は、1995年12月1日にスーパーファミコンソフトとしてチュンソフト(現・スパイク・チュンソフト)から発売され、現在も続く人気シリーズとなった『不思議のダンジョン2 風来のシレン』の発売20周年を記念する思い出コラムを、梅津爆発がお届けします。

『風来のシレン』
▲黄金郷の噂を聞いて、こばみ谷にやってきたシレンとコッパ。ときおり挿入される風景が旅の気分を盛り上げました。

 『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』でローグライクゲームのおもしろさを知った自分は、『風来のシレン』ももちろん即購入! 和風の世界観はゲーム内容とマッチしていて、すぎやまこういち先生の音楽も印象的でした。特に「よぉー、ちゃちゃちゃっ、ちゃちゃちゃっ、ちゃちゃちゃっ、ちゃっ、はっ!!」のレベルアップ音は、一度聞いたら忘れられませんよね!

『風来のシレン』
▲敵のレベルアップ音“よぉー、どどどん、どん、はっ!”を聞くとドキリとしましたが、うまく敵のレベルを上げれば、序盤で大量の経験値を獲得することもできました。

 ゲームシステム的にも非常にたくさんの新要素が追加されていて「このアイテムにこんな使い方があったのか!」と驚くことから、予想外の死に様にコントローラを投げたくなることまで、とにかく遊ぶたびに新たな発見がありました。だからこそ泣きたくなるようなヒドい目にあっても、しばらくするとまた遊びたくなるんですよね。

『風来のシレン』
▲「透視の腕輪だ! これで勝てる!!」と思ったら、召喚スイッチを踏んで敵に囲まれるなど、本当に油断できないゲームでした。

 では、『風来のシレン』から実装された要素を中心に、本作の各要素を振り返ってみたいと思います。

『風来のシレン』 『風来のシレン』
▲当時は中学生でしたが、敗北の悔しさをバネに何度も挑戦してテーブルマウンテンをクリア! 早解きキャンペーンに応募したら、No.743のシリアルナンバー入りプレートをもらえました! 20年経っても大事に保管してあります。

壺、あれは……、いいものだ!!

 本作で初めて追加された“壺”系のアイテム。とにかく保存の壺が便利で、貧乏性な自分はアイテムをたくさん持ち運べるのがうれしかったです。

 しかし単純に便利なだけではなく、妖怪にぎり変化に中身ごと壺を大きいおにぎりにされたり、転び石を踏んで落とした壺が割れたりなど、新たな悲劇発生原因にもなっていたのが絶妙でしたね。

『風来のシレン』
▲アイテムをたくさん持ち運んだり、デロデロの湯からおにぎりを守ったり、投てき用のギタンを持ち運んだり……。こんな便利な壺がウチにも欲しい。

 合成の壺により、装備や杖の合成ができるようになったのも『風来のシレン』から。ゲーム開始直後は入手できず、ガイバラのイベントを進めることでダンジョン内にも出現するように。その特別扱いにふさわしくとても強力で、しかも合成して特殊能力満載の装備を作るのが楽しかったですね。

『風来のシレン』
▲出会って5秒で壺を投げ割る凛々しいガイバラ。
『風来のシレン』
▲シレンの持ってる壺を投げ割る容赦ないガイバラ。
『風来のシレン』
▲シレンの壺を割ったことを、笑ってごまかそうとするオチャメなガイバラ。
『風来のシレン』
▲うっぷんばらしの壺の爆発に驚くかわいいガイバラ。
『風来のシレン』
▲さまざまな壺を経て合成の壺を完成させ、いつもより誇らしげなガイバラ。

 合成によって装備を強化する楽しさが飛躍的にアップしたぶん、冒険に失敗したりクロムアーマーに弾き飛ばされるなどして、強化した装備を失ったときのショックは一段とヘビーに! しばらくは“ぬ”と“ね”の区別がつかなそうな顔になってた気がします……。

泥棒……じゃなくてお店が初登場

 お金(単位はギタン)を使ってお店で買い物ができるようになったのも『風来のシレン』からでした。お店の登場で“お金をどう稼ぐか”、“限られたお金で何を買うか”、“お店自体をどう使うか”などなど、自由度がさらにアップ! 

『風来のシレン』
▲アイテムの値段を覚えていれば、未識別アイテムの多くをお店で識別することができました。

 そんなお店の究極の利用法が泥棒でしょう。成功すれば複数のアイテムを無料で入手! 失敗すればゲームオーバー!! ギャンブル性の高い行為なだけあって、うまく逃げれた時は「ヒャッハー!」と叫びたくなります!

『風来のシレン』
▲商品を盗むだけならまだ甘い。真の悪党は、手持ちのアイテムを全部売ってお金まで手に入れる!(むしろセコイ)
『風来のシレン』
▲買い物中に罠などでワープしてしまい、盗む気がなかったのに犯罪者にされてしまうような冤罪事件もたびたび発生。……普段の行いが悪いから仕方ない。

 大部屋の巻物を拾っては泥棒を考え、底抜けの壺を拾っても泥棒を考え、最終的にはつるはし1本でも「階段部屋が近ければいけるんじゃ……」と考えてしまう泥棒脳になっていた気がします。

 いやー、罪深いゲームだ! まあ店主を倒すのは最後の手段だと思うので、殺してでも奪い取る人よりはマシ……なのか?

ダンジョン内にも多数の仲間とNPCが!

 ダンジョン内をモンスター以外のキャラクターが歩き回っていたのも新鮮でした! その場で話して終わりではなく、特定のアイテムを持っているとお礼をもらえたり、何度も話してイベントを進めることで仲間になったりと、さまざまな反応があるのが楽しかったなぁ。

『風来のシレン』
▲ハラヘリじいさんにおにぎりを渡さないと……。
『風来のシレン』 『風来のシレン』
▲次のフロアで亡霊と化したじいさんから、トラウマ物の恐怖を味わう事に……。

 初代シレンの仲間と言えば、紅一点でしかももっとも役立つ目潰しのお竜でしょう。初対面でいきなり「ドーーーーーン!!」と、目潰ししてくるのもインパクト大ですね! 仲間になってからは敵をほぼ無力化する目潰しで大活躍してくれました。

『風来のシレン』 『風来のシレン』
▲お竜と言えば「ドーーーーーーン!!」。こんなセリフが似合うのはお竜かどこかのセールスマンくらいかと!
『風来のシレン』
▲目を潰すモンスターって……もしかして犯人はそこにいる人?

 座頭ケチなんていう、けちな指圧師もいました。当時はまだ中学生だったので“座頭市”のパロディとは気付かなかったなぁ。得意の指圧でHPや力を回復してもらった……気はしますが、どちらかというと指圧失敗でボロボロにされた印象の方が強い……。

『風来のシレン』 『風来のシレン』
▲盲目のふりをしていたけど、実は普通に目が見える座頭ケチ。見えているのに結構な確率で指圧をミスする座頭ケチ。初代『シレン』以外の作品には出ていない座頭ケチ……。

 そして3人目は問題児のペケジ。出会って2回目でお金をせびってくるし、仲間になったら今度はおにぎりをくれとせがむし、戦闘中にときどきシレンを攻撃してくるし……。でも懲りずに何度も仲間にしていれば、最終的にはシレンを殴らない、腹も減らない立派なペケジに! 手のかかる子ほどカワイイ……の?

『風来のシレン』
▲サラッと話しているけど、かなり衝撃的なペケジの過去。
『風来のシレン』 『風来のシレン』
▲「ポンと出して」や「えんりょなくいただくよ」など、相手をイラッとさせる言葉を(きっと)悪気なくかましてくる。
『風来のシレン』 『風来のシレン』
▲見習いたい、このポジティブさ!!

モンスターの肉を喰らい、モンスターを罠にハメる!

 最初の目標である“テーブルマウンテン”をクリアすると、特殊なルールが適用される“食神のほこら”と“掛軸裏の洞窟”へ挑めました。今までこちらを苦しめてきたモンスターや罠の力を利用してダンジョンを突破するのはおもしろかった!

 その後のシリーズでも、モンスターの力を利用する特殊ダンジョンと、罠の力を利用する特殊ダンジョンは定番になってます。

 “食神のほこら”は、ダンジョンで飯……じゃなくて肉を食いまくり、モンスターに変身しまくる肉ダンジョン。モンスターに変身した時の効果は説明されないので、最初はダンジョン肉の味を確かめるかの如く、色々な肉を食い、どんな効果があるのか調べるところから始めた記憶があります。

『風来のシレン』
▲“テーブルマウンテン”をクリアし、さすらいの料理人・ナオキのイベントを最後まで進めていると“食神のほこら”が出現。
『風来のシレン』
▲パコレプキンの肉で壁を通過できたときは「これを使えば泥棒も簡単!」と思ったものです(しみじみ)。
『風来のシレン』
▲装備を錆びさせるゲドロの肉を食ってもお腹を壊さないシレン。風来人に一番必要なものは鉄の胃袋か……。そんな胃袋にもダメージを与えるほどにくさったおにぎりってヤバイ!
『風来のシレン』 『風来のシレン』
▲“食神のほこら”を今遊ぶなら、モンスターの肉の味を想像しながら遊ぶと楽しそうですね。正面戦士の肉は……ざくろの味かな?

 “掛軸裏の洞窟”は、モンスターが罠にかかるようになる罠ダンジョン。罠を動かすことはできませんでしたが、“ワナの巻物”や“ワナの罠”で罠を増やしたり、つるはしや場所替えの杖でモンスターを誘導し、罠を踏ませていました。

『風来のシレン』
▲“掛軸裏の洞窟”でも、最初はモンスターを罠にかけるとどうなるかを調べた気がします。デロデロの湯でモンスターがくさったおにぎりに変化するのって、深く考えたら怖いですよね……。
『風来のシレン』
▲ワナの罠があると、ついうれしくなって何度も何度も踏んでしまいます。
『風来のシレン』
▲息切れするガイバラ。

アイテム無限増殖が印象的な“フェイの最終問題”

 最後に挑むことになるダンジョンは、ほぼすべてのアイテムが未識別状態で出現し、マイナスアイテムも多数存在する“フェイの最終問題”。最初は全然クリアできなかったのですが、あるとき「分裂の壺に吸い出しの巻物と増やしたいアイテムを入れて、それに吸い出しの巻物を読めば、アイテムを無限に増やせるんじゃ?」と気付き、無限増殖を利用して何とかクリアできました。

『風来のシレン』 『風来のシレン』
▲“フェイの最終問題”を出すためにはフェイの問題を50問すべてクリアする必要があるのですが、50問目のマップが“?!”の形になっていることに、アナタは気付いたでしょうか!?

 分裂の壺以外にも、強化の壺や透視の腕輪、必中の剣にやまびこの盾など、最近のシリーズでは激レアだったり、性能が弱体化していたりする強力なアイテムがたくさん登場していました。時代を感じます!

『風来のシレン』

 上の画像は撮影時のワンシーン。1フロア目のお店に分裂の壺が2つもある幸運と、泥棒できる道具や罠がない不運が重なりました。ンドゥバの肉を店主に投げてお店から脱出したものの、階段まではたどり着けず泥棒失敗! 1フロア目なら多少ムリヤリな泥棒にもチャレンジしちゃいますよね? ……ね?

 『風来のシレン』20周年を記念して、駆け足で思い出を振り返ってみました。写真撮影のために久しぶりにプレイしましたが、『風来のシレン』は1作目から非常に完成度の高かったゲームだと改めて思い知らされました。1作目を遊んでいる方が、今でもかなりいらっしゃることにも納得です。

 そして1作目の完成度が高かったからこそ、多くのファンを獲得して現在も続く人気シリーズになったのだと思います。

 今回紹介した『風来のシレン』はWiiのバーチャルコンソールでプレイ可能です。そして今年の6月にPS Vitaで発売された最新作『不思議のダンジョン 風来のシレン5 plus フォーチュンタワーと運命のダイス』の、最後の無料配信ダンジョン2つが12月1日に配信されます。1作目と最新作を遊んで、変わった部分と変わらない部分を探すのもおもしろいと思います。製品版にデータを引き継げる体験版もありますよ!

『風来のシレン』 『風来のシレン』
▲“波乱の岩場”は、モンスターハウスの出現確率が高く、道具がほぼ未識別のダンジョン。アイテムを素早く識別し、モンスターハウス攻略に役立てるのがコツか?
『風来のシレン』 『風来のシレン』
▲“ワナ師の箱庭”は、ワナでモンスターを倒さないと経験値が入らない特殊なダンジョン。経験値を稼げるようにワナを仕掛けましょう!
『風来のシレン』
▲ちなみに『シレン5 plus』では、発売直後にハイスコアキャンペーンが開催されたのですが、私の順位は172位でした。1作目のキャンペーンでは743位でしたから、20年でシレンの腕前は確実に上がってますね!

 20周年を記念して、“風来のシレン展”で販売されていたグッズを読者プレゼント。会場に行ったが買うのを迷っていた人、もしくは行けなかったという風来人は振るって応募してほしい。締切は12月14日

『風来のシレン』

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【周年連載 バックナンバー】

→第31回:『風来のシレン』20周年。お竜にドーーン!! ガイバラにイッカァーーン!! ペケジに倒される!?【本記事】

→第30回:『ダンガンロンパ』1作目発売から5年! 人気シリーズの開発当時を主要メンバーが振り返る

→第29回:セガサターン名作紹介。編集・ライターのおすすめソフトは!?

→第28回:名作『ワンダと巨像』10周年。今なお色あせない“巨像と戯(たわむ)れる”濃密な時間

→第27回:『クロックタワー』20周年。名作ホラーの思い出をややネタバレありで掲載

→第26回:初代PlayStation(プレイステーション)20周年。おすすめゲームを編集/ライター25人が選出

→第25回:『ぼくのなつやすみ』シリーズ15周年。ボクくんとの夏休みを振り返り、新作への思いを馳せる

→第24回:『アイドルマスター』10周年を記念してガミP、ディレ1を直撃!

→第23回:『アイドルマスター』サウンドチームに聞く楽曲制作の狙い。765と346の曲作りで意識したこと

→第22回:『クロノ・トリガー』20周年。今なお新作が望まれる傑作RPGのストーリーを振り返る

→第21回:アニメ『アイマス シンデレラガールズ』1stシーズンを振り返る。フィルムに隠された伏線と緻密な設定とは

→『MOTHER2』20周年、『ライブ・ア・ライブ』20周年など、その他の周年連載の記事はこちらから

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