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2017年5月18日(木)

『アライアンス・アライブ』松浦P&Dインタビュー。“取り返しのつかない要素”だらけのリハビリゲーム?

文:まさん

 フリューが6月22日に発売予定の3DS用RPG『アライアンス・アライブ』。本作のプロデューサー&ディレクターを務める松浦正尭さんに、電撃オンライン読者から募集した『アライアンス・アライブ』に関する質問を回答していただきました。

『アライアンス・アライブ』

 『アライアンス・アライブ』は、種族や性別、年齢、立場が異なる9人の主人公たちを操作し、視点を変えながら物語を進めるファンタジー群像劇RPGです。シナリオを村山吉隆さん、ゲームデザインを小泉今日治さんが手掛けています。

『アライアンス・アライブ』

 現在、ニンテンドーeショップで体験版が配信されており、ガリルとアーシュラの冒険を描いたゲームの序盤をプレイできます。

 体験版の配信にあわせて電撃オンライン読者から募集した質問を、松浦P&Dに直撃インタビュー! まだ明かされていない意外な情報もたくさん聞けたので、ぜひ最後まで読んでみてください。

『アライアンス・アライブ』
▲読者からのたくさんの質問に答えてくれた松浦正尭プロデューサー&ディレクター。

ユーザーの要望を受けて体験版からも修正を反映中

──まずは、質問とあわせて体験版の感想も募集していたのですが、かなり修正の要望などもありました。ユーザーの要望を受けて製品版は修正する箇所などはあるのでしょうか。

 本当に色々なご意見をいただきました。発売から3カ月前の時点でユーザーさんの意見を聞けて、本当によかったと思っています。

 感想やご意見は、すべてスタッフ全員で拝見させていただきました。いただいたご意見の多くはほとんどが想定の範囲でしたので、とりあえず安心しました。

 例えば“十字ボタンを押してもメッセージが送られてしまう”というご意見ですね。これは開発向けの機能で、体験版はプレイできる範囲も短いのでそのままにしていました。製品版ではオプションで“十字ボタンとスライドパッド以外のボタン”と“Aボタンのみ”でメッセージ送りのボタン設定が可能になります。

 それから、“倍速時に覚醒した時は、倍速をやめてほしい”というご意見もありました。これもバトルの演出が一通り実装されてから、最後に調整する予定でした。

『アライアンス・アライブ』

 製品版では“覚醒時に通常の速度に戻るか、倍速のままにしておくか”をオプションで選べるようにしました。初見では覚醒を飛ばしたくないと思うのは当然なのですが、2周目以降のプレイや、5人パーティになって連続で覚醒すると、逆に飛ばしたいという意見が必ず出るので、オプションで選べるようにしています。

 あとは、戦闘中のコマンド入力時に戦闘速度を変更したいという要望ですね。これは“コマンド選択中も倍速にする”という機能の実験をしていて、体験版では入れませんでした。実験の結果、操作性が微妙になるので結局入れませんでしたが……(笑)。製品版では下画面の速度変更ボタンをタッチすると可能になります。

──体験版で少し気になっていた部分は、かなり修正されていそうですね。

 はい。あと“フォントが読みづらい”というご意見もいただきました。割合としては少数だったのですが、フォントのようなパッと見の部分は目立つので批判が集まりやすく、もともと気にならない人も「言われてみれば……」と悪い方に印象のバイアスがかかってしまうため、一発で変化がわかるデザインに変更にしました。

 このフォントは、開発の初期に候補にあげていたものの1つで、フォントマニアの方なら一発でわかるほどの由緒あるフォントで、視認性のよさがお気に入りです。

 フォントもオプション選択できるようにする方法もありますが、中途半端な対応は逆効果で、それよりは「意見を出せば変わるんだ!」とユーザーさんに強く実感してほしいんです。これは自分が好きなオンラインゲームの運営手法を参考にしていて、こういった“前例”を作ることで、次回からもっと積極的に意見を出してもらえるようになっていくと思うんです。

 僕自身も経験があるのですが、自分の出した意見がゲームに採用されると、たまらなくうれしいんですよ(笑)。「俺がゲームをよくしてやったぞ!」みたいな“世界が動いた感覚”を、ぜひユーザーさんに味わってもらいたいなと。今はSNSが当たり前の時代ですし、家庭用ゲーム機でもそれができるかもと思って、プロジェクトを立ち上げた時からやろうと計画していました。

──家庭用ゲーム機向けのゲームで、その試みを実行することがすごいと思います。そもそも、発売の3カ月前というかなり早い段階で体験版を出していますが、これはユーザーの要望を吸い上げる目的もあったのですか?

 はい、そうです。正確には先ほど言ったように「ユーザーさんから要望を受けて、製品版に反映させる」ことが目的です。3カ月前に体験版を公開するのは異例ですが、奇跡的にうまくいきました。このタイミングですと我々も最終調整をする段階に入っているので、ユーザーさんの意見ももらって最後は一緒に作っていこうと考えたんです。

 実は体験版って粗探しの材料にされたりして、決して費用対効果が高くなかったりするんです。かといって、発売前に体験版を出さないのは時代的に有り得ないと個人的に思っていて、今回のような「体験版の意見が製品版に反映される」という前置きで配信しました。これなら自分がユーザーだったら体験版をプレイする意味ができるし、意見出しも楽しそうだなと。

 せっかくプロデューサーを兼任しているので、あまり他でやらない試みを実践させてもらっています。

小泉さん、村山さん、浜渦さんらとのゲームの作り方

──それでは、ここからはユーザーさんからの質問にお答えいただければと思います。「とても豪華な制作陣だと思いますが、このメンバーが集まったきっかけや経緯はどのようなものだったのですか?(ハッチさん)」

 好きな人と仕事をするのが楽しいですし、好きな人と仕事をすることが生きがいだからです(笑)。小泉今日治さんの作るゲームや村山吉隆さんの作るゲームが好きで、単純に一緒にゲームを作りたかっただけで、話を持っていった結果ですね。

 フリューは開発会社ではなくパブリッシャーなので、メンバーを集めないとゲームが作れません。今回も『アライアンス・アライブ』という企画を立てて、一番必要な人たちに声をかけていった結果、奇跡的に協力していただけました。1人でも欠けていたら『アライアンス・アライブ』は世に出ていません。

 小泉さんも、村山さんも、皆さんモチベーションが高いんです。スマートフォン向けのゲームが多くなっている今の時代に、家庭用ゲーム機向けのRPGを作りたいという企画に対して、積極的にかかわってもらえたのが大きいですね。

 それと、豪華な制作陣とおっしゃってくれるのですが、この制作陣は“僕にとって”の豪華なんです。だから、この制作陣が豪華だと思える人は僕と感覚が近いので、きっとこのゲームが合っていると思います。

『アライアンス・アライブ』

──私も豪華スタッフだと思うので、本作を遊ぶのが楽しみです。次の質問は「発売日から逆算してどれくらい前から企画開発がスタートするのでしょうか? 大まかな制作の流れも知りたいです。(今登さん)」

 自分の作品としては、2015年の1月22日に3DS用ソフトの『レジェンド オブ レガシー』が発売されましたが、その前から動いているので2年半くらいですね。なお、企画の根っこ自体は『レジェンド オブ レガシー』より古いものになります。

 これは裏話なのですが、『レジェンド オブ レガシー』は、自分が提案した企画書を小泉さんが9割9分9厘書き換えて、元の僕の企画は原型をとどめていないんです(笑)。書き換えられた企画書を見て、ここまでゲームについて真剣に考えている人なら絶対によいゲームが作れると考えて一緒に作ったのが『レジェンド オブ レガシー』で、僕自身も骨の髄までしゃぶりつくすぐらい夢中で遊び倒しました。

 『レジェンド オブ レガシー』は、実は一部のユーザーさんからは「史上最低のクソゲーだ!」と怒られたりもしたんですが、僕は元来マゾな性格なので批判的な意見に共感してしまったんですね。「自分が求めてるRPGの路線と同じだ」と(笑)。

 ただ、『レジェンド オブ レガシー』でそのニーズに応えるべきかというとそれは間違いで、続編を作る話が来た時も「重厚なストーリー」「キャラクター性の強化」などを要求されましたが、作品のコンセプトから逸脱してまで、名ばかりの続編を作る意義はありませんから断固として拒否しました。『レジェンド オブ レガシー』の本質的なおもしろさを続編にして伝える術は、残念ながらそこではないんですよ。仮に僕が『レジェンド オブ レガシー2』を作るなら、まずハードから変えます。

 ……と、そんな経緯もあって企画したのが『アライアンス・アライブ』で、これなら自分がずっと飢えていた“普通のRPG”を作れるばかりか『レジェンド オブ レガシー』で培ったノウハウも生かせるし、ユーザーさんからのニーズにも応えられるし、あらゆる意味で都合がよかったんです。ただ、この企画は予算もスケジュールも相当にかかるので、まさか本当に企画が通るとは思っていませんでしたが(笑)。

『アライアンス・アライブ』

 個人的に、ストーリーをなぞるだけのRPGは作る意義を見出せないのですが、“群像劇”という複数視点のシナリオ構造で、それを生かしたRPGは作る価値があると思っていました。その企画を小泉さんや村山さんたちに協力してもらって作っています。

──そんな経緯があったのですね。制作の流れはどのようになっているのでしょう。

 最初に僕と小泉さんでゲームコンセプトをまとめて、村山さんにシナリオをお願いしにいった感じですね。

 これと並行して、コンセプトアートをアートディレクターの浅野雅世さんと進めていきました。今回はデフォルメのワールドマップが必要だったので、ファンシーにならないように硬派な背景が必要と考え、浅野さんの得意とする線画の水彩画のテイストで行こうと決めました。僕は浅野さんが描く、この独特のテイストが大好きなんです。

『アライアンス・アライブ』

──どんどん質問をお聞きします。「『アライアンス・アライブ』の企画段階やストーリーやキャラクターたちが完成するまでのお話が聞きたいです。どのように村山さんと制作を進めていったのでしょうか。(アライブーンさん)」

 まず、最初に“分断された世界がある”というザックリした叩き台のような世界観を僕と小泉さんで決めて、村山さんに持っていきました。そこから、あらすじや世界観設定、キャラクター設定などを村山さんのほうで出してもらっています。

 9人の主人公の設定は村山さんに出していただいたのですが、ユーザーの年齢層と比べても主人公たちの年齢層が若く少年少女が多かったので、それに対して僕と小泉さんのほうでオッサンや年上のお姉さんキャラが欲しいと要望を出したり、人外のキャラが欲しいといった要望を出してバランスを取りました。

 これは村山さんの趣味なのかもしれませんが、村山さんが描くシナリオだと元気な女性のキャラクターが多いですよね。『アライアンス・アライブ』も女性キャラクターが引っ張って、男が苦労人という構成が多いのですが、それが本作の特徴になっていると思います。キャラクターたちの会話がおもしろいですよ(笑)。

『アライアンス・アライブ』

 それから、村山さんと「主人公と言っている以上は、プレイヤーの意に反する行動を基本的にとらせないようにしよう」とも話をしました。シナリオにドラマ性を重視する方もいるので賛否はあると思うのですが、主人公の中に裏切り者がいたり、死んでしまうなどで途中で離脱する展開は、せっかく育てたプレイヤーの気持ちを台無しにしてしまいます。

 また、いなくなってしまうキャラクターがいることがわかっていると、その情報からキャラクターを育てなくなってしまう人もいます。つまり、それをやるとストーリーは一時的に盛り上がっても“ゲーム的に”そのキャラクターが死んでしまうんです。なので、ストーリー的に主人公がいなくなるのはやめようという話をしました。

──「主人公複数案は最初からあったのか、それとも企画が進められていく中で発生したのかを知りたいです。(ヨシザキさん)」『レジェンド オブ レガシー』のように、複数から1人を選択する形にしなかったのも気になります。

 最初に主人公を選ぶシステムにしていないのは、村山さんと相談して情報の出し方を絞ったほうが感情移入しやすいという結論になったからです。

 最初に選ばせる形にして、誰か1人を主人公とすることもできたのですが、村山さんがシナリオを一番作りやすい形をとりました。村山さんは、ストーリーは情報を出す順番がキモだと言っていたので、企画の初期からこの形に決まっていましたね。

 あとは、主人公を特定の1人にしてしまうと気に入らない場合もあるじゃないですか。新規タイトルで主人公が気にいらないからプレイしないと思われてしまうのは機会損失なので、できるだけ多くの主人公を用意して、最初の敷居を下げたいんです。

──続いて音楽関連の質問です。「体験版をプレイしてまず最初に引き込まれたのが音楽だったのですが、P&Dとして音楽面に関してこだわった点などがありましたら教えていただきたいです。(つきみさん)」

 体験版をプレイした方からは“ワールドマップでバトルに入った時のBGMをもっとアツい曲に変えてほしい”というご意見をいただきました。RPGを遊んできたプレイヤーだと、バトルに入ったら勇ましいバトル曲、勝ったら祝福のファンファーレという先入観があるので、当たり前の意見ですよね。RPGの常識と言ってもいいと思います。ただ、僕がこういったニーズに応えるとしたら、まず作曲家を変えますね。

 コンポーザー・浜渦正志さんは、そういったわかりやすい“喜怒哀楽”の感情表現というよりは、むしろそれらの入り混じったさまざまな解釈ができる“うねり”のある曲を書かれる方で、本作の記号的なグラフィックに抽象的な広がりを加えてくれるんです。このミスマッチが『アライアンス・アライブ』の一風変わった世界観を表現しています。

『アライアンス・アライブ』

 ゲーム音楽はメロディをハッキリさせたわかりやすい曲のほうが、ゲーム中でそれこそ何回も繰り返し聴くので耳に残ります。ただ、本作にそういうコテコテの曲を乗せると、逆に嫌悪感を抱くと思います。言ってしまえば「ウケを狙いすぎ」というか……、僕自身がそういうものに嫌悪してしまうんです。だから自分の凝り固まったゲーム音楽観を、清々しいくらいに吹き飛ばしてくれる浜渦さんの個性的な音楽が、僕にはちょうどいいんです(笑)。

 ちなみに、これはボイスやDLC(ダウンロードコンテンツ)についての考え方も同じで、その作品に本当に必要であれば採用すればいいだけであって、時代の流れやウケるからという理由でなんでもかんでも取り入れる必要はないと個人的には考えています。

──なるほど。ボイスについてはこんな質問もありました。「今の時代、ムービーシーンにボイスを付けないのはめずらしい気がします。ちょっとした好奇心からの質問ですが、ボイスを付けなかった一番の理由は何でしょうか?(大剣好きさん)」

 理由はいろいろあります。まず前提として、今は声優さんの影響力が凄まじい時代なので、商品の認知やマンガ化やアニメ化といった広がりを見据えるなら、ボイスがあったほうがいいのは間違いありません。ゲームでも“豪華声優陣”という宣伝をよく見るので“ボイスがない”という時点で、時代に逆行しているのは否めないでしょう。現に、ユーザーさんからの要望で最も多かったのも「ボイスが欲しい」という意見でした。

 ただ、これも作品のコンセプトとの兼ね合いによるもので、キャラクターボイスのような“ハッキリした表現”は、本作の記号的なグラフィックに対してプレイヤーへダイレクトに答えを与えてしまい、情報過多になってしまうと考えています。正直、古臭い価値観かもしれませんが、RPGの場合はプレイヤーの介入が重要だと考えているので、必要以上に作り手側のイメージを押しつけたくないんですよ。

 一方、ムービーシーンだけに限って言えばボイスは断然あったほうがいいのですが、その表現のだけのためにプレイヤーがキャラクターについて、あれこれ想像する余地を奪いたくないんです。ここは村山さんとも最初に相談して“ボイスを入れない”という前提でシナリオを書いてもらっています。

──他にも楽曲についての質問が届いています。「浜渦正志さんとの楽曲のやりとりについて詳しくお聞きしたいです。(しょごさん)」

 浜渦さんは忙しい方なのですが、企画について説明したところ快く引き受けてくれました。

 先ほども触れましたが、今の時代に家庭用ゲーム機でこのようなRPGを出すこと自体が冒険です。浜渦さんからは初めて打ち合わせした時に、「これは男の仕事ですね。大ヒットする作品ではないけど、泡沫候補の意見ではないはずなので、作る意義は絶対にある」と言われたのが、とても印象に残っています。

 楽曲のやりとりに関しては、必要な曲のシーンをムービーに撮り、その上に自分がイメージしている路線の曲を重ねて「こういう曲を作ってください」と、かなり具体的にお願いしています。たまにイメージと全然違う曲があがってくることもあったのですが、不思議と場面には合っている絶妙な雰囲気を生み出すのは、さすが浜渦さんだなと思いました(笑)。

 こちらからの要望としては「ポジティブな曲にしてほしい」という話もしましたね。このゲームは世界が暗いので、それに対して明るい曲を入れたいという要望を出しています。ストーリーも魔族に支配されて悲観している話ではなく、太陽のようなポジティブな人たちの話なので、それを応援してあげるようなコンセプトでお願いしますという話をしました。

 また、今回はスチームパンクや和風の世界もあって、世界によって曲のテイストもガラっと変わってくるので、浜渦さんの曲作りの引き出しの広さに注目してください。

『アライアンス・アライブ』

──「BGMの収録の現場に興味があります。実際のレコーディングの様子や、演奏家の方やスタッフとのやり取りの様子などを教えてください。(正来さん)」

 浜渦さんの楽曲は、打ち込みの音源に対して一部生音源を被せるのが特長です。バイオリンの音など一部を生音源にして、打ち込みの音源とミックスさせます。

 レコーディングもオーケストラではなく小編成で、ピンポイントでギターやバイオリンの曲を収録して、それを打ち込みのデータに重ねて完成させる作り方をしています。

 浜渦さんに、どうしてこういう作り方をするのか理由を聞いてみたら「艶が出る」と言っていました。打ち込みのデータはどうしても起伏が出ないのですが、それに対して生音源は演奏家の個性が出るので艶が出るそうです。

分岐がかなり多い“取り返しのつかない要素”しかないゲーム!?

──「物語のボリュームはどれくらいあるのか、エンディングが複数あるのかが気になります。(ハラミさん)」プレイ時間に関しては気にしている方が多かったですね。

 平均クリア時間は現在検証中なのですが、開発チームの人間は、私も含めてエンディングを見るだけで30時間以上はかかっていますね。正直デバッグが大変です(笑)。仕様を把握している我々ですらこのぐらいはかかるので、初見のユーザーさんはもっと時間がかかると思います。

 ボリュームは元々の想定よりも多くなっていて、乗り物の“方舟”を手に入れると自由度がガンと広がるようになっています。隅々までやり込むならば、40~50時間はかかってしまうと思います。どの程度のボリュームがちょうどよいかは個人差がありますが、“遊び応え”という意味では期待していただいていいと思います。

『アライアンス・アライブ』

 エンディングに関しては、正規のものは1つです。マルチエンディングにすると、結局トゥルーエンド探しになってそれ以外が正解じゃなくなってしまうのが嫌だったんです。今の時代は社会人になったゲーマーの方も多いので、正解を見るためにたくさんのルートをやり込むという人はそこまで多くないだろうという理由もあります。

──確かに、なかなかゲームをする時間がないこともあるので、その仕様はとてもうれしいですね。

 それから、これは村山さんと話したことなのですが、今の時代は細かい条件が必要だったり、2周目からでないと真のエンディングを見られないような出し惜しみをするのは、一方の見方としては時代遅れなのではないか、と。

 1周目はエンターテインメントとしてしっかりストーリーを見せて、せっかくクリアしたのだから満足感を持って終わらせてあげたいんです。2周目、3周目は本作の世界観を気に入ってくれた人が、より深く遊んでくれればいいと思っています。

 もちろん、メインシナリオでは解き明かされない世界観の謎や、エンドコンテンツ的に楽しめる強敵も用意していますが、それらを全部やりこまなくてもクリアはできますので、1周目はあれこれ神経質に考えず気軽に遊んでほしいです。

『アライアンス・アライブ』

──「村人との会話はストーリーが進むにつれて結構変わっていったりするのでしょうか? ちょくちょく話しかけていく派なので気になりました。(はんぺんさん)」

 ちょくちょくという程ではないですが、状況によって変わることはあります。例えば、町が襲撃されたとか、魔族のキャラクターが先頭の場合に村人の反応が変わるとかですね。全部探そうとすると作業になってしまうので、違う反応が見られたらラッキーくらいに考えてください(笑)。

 自分の好きなキャラクターでプレイして、村人やイベントの反応が人によって変わるのは今作の醍醐味でもあります。ガリルが好きだったらガリルを先頭にしておけばたくさんしゃべってくれます。自分が主人公だと決めたキャラクターを先頭にしてプレイするほど、よりそのキャラクターの個性が際立つと思いますよ。

──「後々レアアイテムが取れなくなるような、取り返しのつかない要素、期間限定の要素はありますか?(へろへろタクティクスさん)」

 極端なことを言えば、『アライアンス・アライブ』には“取り返しのつかない要素”のオンパレードです(笑)。例えばある選択でキャラクターが死亡することがありますが、死亡したキャラクターの遺品をもらえる場合があります。どちらかが正解であるものではないので、そこは気にせず自分で考えて遊んでほしいです。

 このゲームは、こうした“取り返しのつかない要素を気にする風習”をリハビリする目的としても実験しています。RPG慣れしている人ほど、取り返しのつかない要素を気にしてしまいますが、それが逆に悪い風習にもなっていると思うんです。むしろ自分がその典型なのですが、効率や損得を意識しすぎて、ゲームを楽しむつもりが逆に疲れてしまうんですよね。

──なるほど。その考え方は確かにそうだと思います。自分でも、期間限定のイベントなどを見逃してしまうとやる気がなくなってしまったりと、心当たりがありますし……。

 そうなんですよね。もちろん、取り逃し要素が嫌いな人は絶対いると思いますが、ユーザーに意地悪しようと思っているわけではなく、意図的に気にせず楽しんでほしいという狙いから、こういう形にしています。

 例えば、このゲームでは図鑑のコレクション要素にも通し番号をつけていませんし、“???”で隠れる部分や空欄も作っていません。人によって、全然違う図鑑ができてもよいと思っています。スクリーンショット機能をつけたのも、まったく違う遊び方をして、お互いに補完しあってほしいからです。

 どんな遊び方でもクリアはできますし、最終的なストーリーが大きく変わることもありません。その代わり、過程の部分はプレイヤーが選択したことに対して、しっかり応えてくれるようになっています。

──“取り返しのつかない要素”に関連しますが、分岐についても質問があります。「選択肢で展開が変わったりするんでしょうか? 例えば、美術館で強盗するかしないかなどで後の展開が大きく変わったりするのでしょうか?(耳男さん)」

 メインシナリオ自体の話が変わるのではなく、道中のゲーム的な展開が変わるようになっています。攻略の仕方が変わってくると言えばいいのでしょうか。

 閉鎖美術館のそのシーンでは、RPGが好きな人だと、だいたいが倒してアイテムを手に入れると思うんです。実は、彼らをその場で倒すパターンだけではなく、倒さないであるタイミングで戻ってきた時のパターンが用意されています。

──ええ! そうなんですね。以前に行ったRPG好きによる座談会でも全員が倒しちゃってましたよ(笑)。

 先に強いアイテムが手に入るメリットがあるので、それも正解です。逆に倒さない場合のメリットもある。どちらを選んでもいいんです。

 本筋のストーリー自体は共通の体験をしてほしいので変わらないのですが、その中で細かいキャラクターのセリフや展開の分岐が鬼のように入ってくるんです。

──なるほど。いい意味でJRPGらしい一本道のRPGだと思っていたので、かなりビックリしました。他におもしろい分岐の展開があったら、少しだけ教えてもらってもいいですか?

 そうですね。RPGの場合はボスをバトルで倒さないと次に行けないのが基本的なルールじゃないですか。ですが、このゲームでは、バトル以外の選択肢で攻略できる場面も用意されているんです。

 とあるボスからあるアイテムを入手しなければいけないシーンでは、この敵を倒してアイテムを手に入れてもいいですし、ボスと交渉をしてアイテムを借りるという方法で解決してもいいんです。交渉したあとも、アイテムを返すか返さないかで分岐したり、選択によって展開が大きく変わっていきます。

『アライアンス・アライブ』

 ゲーム序盤の各主人公ごとの章はある程度進み方が決まっていますが、方舟を手に入れてからはプレイヤーによってかなり違う冒険になってくると思います。いわゆる船を手に入れることで、寄り道してもいいし、仲間集めをしてもいいような自由な流れになるんです。

 また、ギルドにはNPCが150人くらいいて、それを集めていく要素があるのですが、まったくやらなくてもゲームクリアはできます。ダンジョンを攻略する順番も、人によっては逆になるかもしれませんし、その場合もセリフや展開がちょっと変わるようになっています。

 こういうプレイヤーそれぞれで物語が変わっていく分岐をやりたかったんです。最終的な大きな結末は同じですが、その過程が大きく変わる。先ほどのボスにアイテムを返し忘れて怒られても、それがプレイヤーならではの体験になるわけです。

──人によってまったく展開が異なることになりそうですね。それはすごくおもしろいです。

 他にも、ボスにトドメを刺すか、刺さないかというシーンがあって、刺した場合でしか見られないイベントもあります。それもどちらが正解なのか、どちらが正義なのかという答えは出さないで、プレイヤーに解釈を委ねています。

 そういうゲームなので、1回のプレイでは1つのルートしか見ないと思いますから、SNSなどで自分が体験したことを共有しあうのはおもしろいかもしれませんね。正解を探す必要はありません。とにかく取り逃す要素だらけですから、それが自分が選んだ結果だということを誇ってください。

 一応誤解のないように伝えておきますが、こうした選択や分岐は、プレイヤーの損得感情を促すために用意しているものではありません。例えば、最強武器が手に入る選択があったとしたら、そちらを選んだ人は逆に最強の術が手に入らないかもしれません。また、一方のプレイヤーが最強の武器や術を取るために苦労しているうちに、もう一方のプレイヤーは自分のプレイスキルが向上して、キャラクターが弱くても自力でクリアできるかもしれません。

 そういう風にさまざまな手段がある中で、自分なりの攻略を楽しむRPGだとお考えください。

2周目以降の引継ぎ方法は2種類あり!

──次はシステム関連の質問をお聞きします。「パーティはメニュー画面でいつでも自由に編成できるのでしょうか? それとも本拠地みたいな場所で入れ替えるのでしょうか?(猫缶さん)」

 パーティの切り替えは、メニュー画面からパーティ編成画面を開けばいつでも自由にできます。

 サブキャラクターのマチルダたちを先頭にしてもセリフが変わるので、ぜひ楽しんでください。特にロビンスはセリフがおもしろいものが多いですよ。

『アライアンス・アライブ』

──「タレントポイントはパーティに入れていないキャラクターにも入りますか?(おーるりさん)」

 ちゃんと入ります。まだ仲間になっていないキャラクターの分も蓄積しているので、あとから仲間にしてもタレントポイントが一気に入りますから、育成の遅れを気にせずに戦えます。

──「このキャラクターは剣技が覚えやすいなど、隠し要素や隠れパラメータ的なものはありますか?(しゃいさん)」

 隠れパラメータはなく、ゲーム中ですべて明かされます。キャラクターによって能力の違いはありますが、そこはキャラクターの個性ですね。

『アライアンス・アライブ』

 ただ、パラメータが違うからといって、それだけを見てキャラクターの役目を決めてしまうのはもったいないです。攻撃役にしたければ、強い武器を持たせてアタックポジションにつかせて、資質を習得すればいいですし、いくらでも自分でコントロールできるようになっています。

──「ギルド支援の範囲は今後広がるのでしょうか? それともずっとタワーの周辺のみの効果でしょうか。図書ギルドの支援がとても役に立ったので、広範囲になったらうれしいと思いました。(叡さん)」

 ギルドタワーを作っていくと支援範囲が広がります。タワーがつながってリンクすることで支援攻撃の発生確率が上がっていきます。攻略する場所の近くにギルドタワーを建てるポイントがあるので、そこにどのギルドタワーを建てるかは自分で選択可能です。

 諜報ギルドや図書ギルド、戦術ギルドなどがあり、人を集めていくことでどんどんギルドが強化されていきます。どのギルドに人員を注力していくのかもプレイヤーが選べます。

 ギルドメンバーを全員集めた時のご褒美などもないので、好きなように集めてもらって大丈夫です。全部のギルドを人員マックスにすることはできないので、どれに注力するのかを自分で選ぶのも大事です。

──「2周目以降を遊ぶ際のおまけ要素はあるのでしょうか。せっかくリアクションが違うので、いろんなキャラを先頭にして何度も遊びたいと思っています。(耳男さん)」2周目に関する質問はかなり多かったです。

 一応、2周目で初めて見るであろうおまけ要素はありますが、本当におまけです。見つけたらおもしろいもの、くらいに思っていてもらえれば……(笑)。

 エンディングも解釈がわかれるようなものではなく、ちゃんと達成感のあるものを用意しています。ただ、“魔族とは何か”といった設定や世界観の謎が知りたい人は、いろいろ寄り道をしてもらったほうがいいかもしれません。

──寄り道することで世界のことがわかるようになっているんですね。なぜそのような形にしたのですか?

 これは、村山さんとすごく話したことなのですが、世界観や設定までメインストーリーで触れていくと、説明臭くなってしまうんです。単純にキャラクターやドラマを楽しみたい人の共感を奪ってしまいますし、専門用語ばかりだとついていけなくなってしまうので、そういう部分は寄り道して掘り下げてもらうようにしています。

『アライアンス・アライブ』

 あと、これも気になっている人が多いと思うのですが、2周目の要素としては、初期から習得している資質が完全にリセットされて自由にキャラメイクができるようになっています。印術や魔術など、特定の種族しか使えない資質は固定ですが、クリア時の累積タレントと10,000ポイントのボーナスタレントを引き継いで、最初から好きなように育てられるんです。

 引継ぎプレイは大きく2種類あり、2周目はほとんどのデータを引き継いで遊べる“ニューゲーム+”と、前述の資質をリセットした“EXニューゲーム”が選べます。無双プレイが好きな人はニューゲーム+で、それ以外の人はEXニューゲームで遊んでもらうのがいいと思います。ちなみにEXニューゲームは小泉さんが推奨しているゲームバランスになります。

ビビアンは胸より背中に秘密が……?

──続いて、キャラクター関連の質問をお聞きします。「9人の主人公たちが登場しますが、主人公たちのデザインや性格などは、開発チームの皆さんの中で、どのようなやり取りを経て現在のデザインや性格に落ち着いたのでしょうか。また、特に人気が高かったキャラ(主人公に限らずすべてのキャラ)は誰なのでしょうか。人気の理由も一緒に教えていただければうれしいです。(ときのじさん)」

 どのキャラクターを見ても主人公に見えるようにしてほしいというオーダーはしました。キャラクターを並べて見せて「どちらが主人公?」と聞いたら意見が分かれるようにしてほしい、と。平尾リョウさんには、かなりそこを意識してデザインしてもらっています。

 村山さんからのオーダーとしては、魔族は1000年以上生きているような者たちで、共通の思想があると言われましたので、魔族のデザインはいくつかの共通のモチーフを作って、それぞれに散りばめています。

 開発チームの人気キャラは……キャトルコールさんの中ではビビアンですね。実は、ビビアンがひどい目にあうような場面があったのですが「ちょっとやりすぎじゃないのか」という話があって、表現を変更した部分もありました。

 あとは、バルバローザが一番イケメンなので女性人気がありそうですね。ギルドタワーを建てる際、バルバローザが建ててくれるんですよ。その様子がシュールなので、ぜひ見てください。

『アライアンス・アライブ』

──バルバローザは確かに人気が高くて、質問も多かったです。「バルバローザは普段、何をして過ごしているのか気になります。バッグの中身も知りたいです。(ダイムさん)」

 ギルドの中で諜報活動のようなことをしています。バッグの中には冒険のためのアイテムがたくさん入っています。体験版では回復薬をくれるじゃないですか。あれもきっと、ガリルたちのためにバッグから出してくれたんでしょう。

 武人なので、基本的にはバッグの中は冒険のためのアイテムしかないのですが、こっそり忍ばせている“土メンコ”を子どもたちにあげているようなキャラなんです(笑)。だから、町の子どもたちには人気があるんですよ。

──「“妖魔”と“魔族”の違いと、序列について教えていただきたいです。(竿竹さん)」

 深く考えずに見た目でいいと思います。人間に近い見た目の存在が魔族。頭まで動物的な存在が妖魔です。違いに関しては世界観的な理由があり、ゲーム中でわかるようになっています。

 妖魔は基本的に情緒不安定だったり、変な奴が多いんです。バルバローザは安定しているほうなのですが、妖魔によって個体差があります。付き合っていくと、妖魔ってなんなんだろうという疑問を持つと思うのですが、そういう人はゲーム中で情報を追ってもらえれば、なんとなくわかるようになっています。

『アライアンス・アライブ』

 ちなみに、ロビンスは妖魔ではなくモンスターです。モンスターなので魔族の部下ではありません。現状では、魔族の部下が妖魔と呼ばれている、くらいの認識で考えてもらえれば大丈夫です。

──ビビアンに関する質問でおもしろいものが来ています。「ビビアンの見た目やキャラ設定などとにかく好きです。ビビアンのワールドクラスな胸元はそういうオーダーなのか平尾さんの趣味なのかが気になります。(corcさん)」

 こちらからは大きくしてほしいというオーダーをしていませんから、平尾さんの趣味です(笑)。というのは冗談で、デザイナー的な特徴づけやバランスのために大きくしているのだと思います。

 実はビビアンは胸元よりも、背中のほうが注目ポイントです。かなり大胆に大きく開いた、背中が見えるデザインの服になっています。尻尾があるので服の背中が大きく空いているんですね。髪の毛が長いので普段は見えませんが、移動中や戦闘中だとわかると思います。

『アライアンス・アライブ』

 また、平尾さんは3Dモデルになった時の見た目を意識してくれていて、操作しているとキャラクターの背中を追うので、そこを考えてくれているのだと思います。

──「9人の主人公以外のパーティメンバーはいるのでしょうか。(ザッハトルテさん)」

 すでに戦闘に参加することが発表されているサブキャラクターのマチルダとロビンス、シキは仲間になります。どうもスポット参戦で一定の期間しか仲間にならないと思われているようなのですが、そんな一部のイベントで使い捨てるような、贅沢な作りは僕はやらないです(笑)。

『アライアンス・アライブ』

 ただし、サブキャラクターはメインシナリオで仲間にしなくてもクリアできてしまうので、仲間にしたい人はきちんと探してみてください。ですが、見た目よりは少々ダークなゲームなので、選択によっては多少えげつないことも起こるかもしれません……。

──「キャラクターの名前の由来を知りたいです。(はにょさん)」

 3文字や4文字や5文字でばらけさせようというくらいで、由来は単純なんですよ。例えば、イグナスだったら赤い髪だから炎を意味する名前にしようとか、そういったキャラクターの特徴からつけてます。

 ガリルは、村山さんがミリタリー好きなので銃の名前からとったのではないかと予想しています。アーシュラはウルスラと同じで、聖女的な意味合いがあります。

 シキは、2文字のキャラクターがいなかったので……という感じです。プレイヤーが自由に名前を変えられるというのもあって、わりとノリで決めているところもありますね。

──「魅力的な人外キャラが多数見受けられますが、松浦さん自身の“人外キャラ愛”のお話が聞きたいです!(けんTさん)」

 世界観的に人間ばかりが集まってしまうと、人間的な発想の会話ばかりになってしまいますが、人外のキャラクターがいることですごくいいアクセントになるんです。会話の予想がつかなくなります。

 平尾さんの人外のキャラクターデザインに味がありますし、自分もそういうRPGが好きなので人外を入れていますね。また、人外だからこそ突拍子もないセリフが許されるので、ロビンスに関しては、とんでもなくぶっ飛んだキャラクターになっています。

複数のパーティで攻略する場面も! バトル関連の質問に回答

──バトル関連は細かい質問が多めだったので、一気にお聞きしますね。「バトルの難易度設定はできますか?(みことさん)」

 難易度設定はありません。強敵は多いですが、プレイヤーがとれる手段はいくらでもありますので、自分でバランスを調整してください。どんな戦い方でも勝てないということはありません、必ず突破口は存在します。

──「装備の重量にはどういう要素があるのですか?(Parryさん)」

 行動速度に関係しています。重い武器や防具を持ったら行動速度が低くなります。軽い装備のほうが速くなりますので、回復薬は軽装のほうがいいかもしれませんね。ただし、ターンの最後に回復したい場合もあると思うので、あえて重装備にするという戦い方もあります。

──「製品版でも強敵系と戦えるのは一度きりですか? またレアドロップなどはありますか?(ステさん)」私も体験版で強敵から逃げてしまい戦えなくなってしまいました……。

 体験版では一度きりで撤退すると消えますが、製品版では宿屋に泊まると復活するので何回も戦えますから安心してください。ハクスラ的な楽しみとしてレアドロップもありますが、あまり気にしないで遊んでください。

──「陣形は自分で作るんですか? それとも用意されたものを使うんですか? また、戦闘時の人数は、1人だけ戦わせたりと自由に変更できますか?(ああああさん)」

 陣形は「戦術ギルド」で作ります。パーティの人数も、途中から自由に編成できます。

『アライアンス・アライブ』

──「特定のキャラのみしか使えなくなるシーンがあるなど、9人全員を育てていかなければストーリー上で不都合などは起きたりしますか?(ここぺりさん)」

 成長の差については、各主人公のパートでまんべんなく育てることができるので問題ないと思います。パーティを複数に分けて戦う場面もありますが、能力が低いから足手まといということもなく、むしろ主力以外のメンバーの魅力が輝くシーンだったりもするので、ここは結構新鮮に映るかもしれません。

──「体験版では序盤からサクサクと覚醒しましたが、製品版でも同じくらいの確率で覚醒できるのでしょうか。(柊りおさん)」

 いえ、これは体験版仕様です。体験版ではいろいろな技を見てほしかったので覚醒しやすくしていますが、製品版のほうは全体的に調整されたバランスになります。

──「敵の強さは、地域やダンジョンによって変わるのでしょうか。それとも場所に合わせてではなくこちらの強さで変わるのでしょうか。(京さん)」

 地域やダンジョンなど、場所に合わせて変わります。

──「資質の振り直しは可能ですか?(荒々しく買います。さん)」

 資質の振り直しはできません。気持ちはわかりますが、その手の機能は親切のつもりがいくらでもズルに利用できてしまうので、ゲーム性をスポイルするだけだと考えています。

──「資質を取らないなど縛りプレイでもクリア可能ですか?(フィルミア男爵さん)」

 試していませんが、一切資質を取らなくてもキャラクターは成長しますので、恐らく可能です。

遊んだ人の数だけ物語があるRPG

──他にも細かい質問がいろいろ来ていますね。「製品版ではセーブデータは複数作成できますか?(KEIさん)」

 本体に1個と、SDカードに9個セーブできます。

──「3DSのすれちがい通信を利用した要素はありますか。(幸遥さん)」

 すれちがい通信を使う要素はありません。スタンドアローンで、自分の力だけで遊んでください。また、ダウンロードコンテンツなどの追加も予定していません。

──「フィールドダッシュは資質や装備にて可能になりますか?(おーるりさん)」

 ゲームを進めて、乗り物を手に入れてください。キャラクターの走るスピードを速くする機能は、シンボルエンカウントのバランスが崩れ、乗り物を手に入れてもうれしく感じなくなってしまうので用意しませんでした。

──「一番好きな雑魚モンスターはどれですか。モンスターがかわいいのでキャラクターグッズが欲しいです。(MAっPさん)」

 公開されている中では、のざらしが好きですね。体験版の範囲以外でもいろんなところで出てきます。グッズ販売は、新規タイトルなので正直難しいです。そういった横の広がりに色気を出すよりは、とにかくおもしろいゲームを作ることに全力を注いでいます。

『アライアンス・アライブ』

──「紙媒体の説明書が付いてくるという点にも魅力を感じたのですが、紙の説明書を付けようと思った理由はなんですか。(KEIさん)」

 3DSにある電子説明書の存在を知らない人が多かったからです。それと、電子説明書だと説明書を見ながら遊ぶことができないんですよね。

 あとは、単純にパッケージを開けた時にペラ紙1枚よりも分厚い説明書があったほうがうれしいですよね。それと、何よりも僕自身がシュリンクを外して、ケースを開いたときの匂いが大好きなんです。最近のゲームは説明書がついていないので、あの匂いが圧倒的に不足しているんです。せめて自分のゲームくらいは実現しようと思い、一番いい匂いのする紙を厳選しました。

──「まだ気が早いですが評判などがよければ続編を作る可能性はありますでしょうか。(だれかさん)」

 家庭用ゲーム機向けに新規のRPGを作るのは厳しい時代なので作らないと思います。というよりも、作りたくても作れないのが今の時代は普通なので、悔いの残らないように最後のつもりで作っています。いい企画があれば、また何か提案するかもしれませんが、本作とはまったくの別物になると思います。

 夢のない話ですみませんが、変に期待していただいて結局作れませんというのも申し訳ないので、ありのままの事実をお伝えしておきたいと思います。

 ただ、逆に言うと最後だからというある種の開き直りで作っているので、まったくもって無難な内容にはなっていません。端々に怨念みたいなものを込めたため、なかなか骨太なゲームになりました。そういう思いに満ちたRPGなので、気になる方は、ぜひ本作を手に取っていただければと思います。

──それでは最後の質問です。「ゲームのタイトルはどういう意図でつけたのか教えてください。もしかして、何か深い意味が隠されていたりするのですか?(ふぁるるさん)」

 『アライアンス・アライブ』というタイトルの意味自体は、一番最後まで遊んでもらえればわかると思います。ロゴの形については、太陽をモチーフにしていて“丸い”部分と“尖っている”部分をデザインしています。

 つまり、丸いゲームじゃないということなんですよ。体験版をプレイした方は『レジェンド オブ レガシー』と比べて“守りに入った”ゲームだと思っているのではないでしょうか。でも、実は違うんです。

 本作は、丸いゲームだけど、尖った部分をたくさん内包したゲームなんです。つまり“普通のRPG”の体裁をとりつつも、一風変わった要素が細かく散りばめられていて、それを“尖り”としてタイトルロゴでも表現しています。

 よく尖ったゲームは“人を選ぶ”なんて言われますが、それは作り方次第かなと思っています。本作はシナリオも探索もバトルも一般的なRPGの延長線上にあるのでとても遊びやすいのですが、それでいて独特のプレイ感を味わえる不思議なRPGになったと思います。

──では最後に、『アライアンス・アライブ』を楽しみにいているファンに一言、メッセージをお願いいたします。

 本作は、とにかく“ゆるく”遊んでください。ストーリーを楽しみたい方は、ストーリーをどんどん進めていただければいいですし、探索やバトルを楽しみたい方は、あちこちを寄り道をしながら進めてみてください。基本的にああしろ、こうしろと手取り足取りの説明もありませんので、“正解”を気にせずとにかく自分のペースで、ゆるく遊んでみてください。

 また、体験版の感想では、いい意味で“普通”のRPGという声が多かったのですが、これも先ほど述べた通り、“普通のRPG”ですが決して“無難なRPG”にはなっていません。体験版やこれまで公開している情報から「これは自分のためのゲームだ!」感じていただいている方は、恐らく、僕と住む世界が近い方なのでドストライクにハマれるはずです。そういう“同士”に向けて作ったRPGですので、発売まであと1カ月と少しですが、応援をよろしくお願いいたします!

──ありがとうございました。

※画面は開発中のものです。
(C)FURYU Corporation.

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