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2018年12月18日(火)

『Fate/stay night[HF]』杉山紀彰さんに作品の魅力や登場人物について聞く【Fate[HF]特集その1前編】

文:電撃オンライン

 2019年1月12日より公開される劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]II.lost butterfly』に出演する杉山紀彰さんのインタビュー前編をお届けします。

 『Fate/stay night[Heaven’s Feel]』は、ヴィジュアルノベルゲーム『Fate/stay night』の3つ目のルート“[Heaven’s Feel](通称・桜ルート)”を全3章で映画化する作品です。衛宮士郎を慕う少女・間桐桜を通じて、聖杯戦争の真実に迫るストーリーが展開されます。

 そんな[Heaven’s Feel]について、主人公・衛宮士郎を演じる杉山さんに様々なことを伺いました。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲杉山紀彰さん

 なお、電撃オンラインではこちらと明日公開の後編を皮切りに5週連続で出演声優陣へのインタビュー記事を掲載予定です。次週以降は、下屋則子さん(間桐桜役)、川澄綾子さん(セイバーオルタ役)、植田佳奈さん(遠坂凛役)、門脇舞以さん(イリヤスフィール・フォン・アインツベルン役)といった本作に出演する女性陣と杉山さんの対談を連載していきます。こちらもお楽しみに!

杉山さんから見た『Fate』シリーズ&関連作品の魅力とは?

――これまで杉山さんはさまざまな『Fate』シリーズおよび関連作品で衛宮士郎を演じてきましたが、とくに印象に残った作品はどれですか?

 僕自身『Fate』シリーズの純粋なファンのひとりなのでどの作品も好きですが、とくにおもしろかったという意味で印象に残っている中だと、『カーニバル・ファンタズム』が強烈でした(笑)。

 『衛宮さんちの今日のごはん』のような日常系でもなく、『Fate/stay night』のようなシリアス系でもなく、どちらもありでどちらもない不思議な世界観。日常系の作品とシリアス系の作品、そのどちらも知っているからこそ楽しめるギャグ時空ですよね。

 なんでもありの世界観は演じていても楽しいし、『Fate』シリーズのファンにとっても楽しいという、まさにWIN-WINな作品だと思います。

――『HF』ルートはシリアス系の『Fate/stay night』の中でも、『Fate』ルートや『UBW』ルートとはまた異なる雰囲気・展開が描かれます。各ルートを演じる中で感じた印象の違いについて教えてください。

 セイバーとの物語が描かれた『Fate』、凛と一緒に勝ち残ることを選んだ『UBW』ルートでは、士郎の当初からの「正義の味方になる」という理想はまったく変わることはありませんでした。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]II.lost butterfly』特報映像第1弾より。

 ですが『HF』ルートでは間桐桜と関わる中で士郎の信念に変化が起こり、士郎の在り方が他の2つのルートとは変わっていきます。その変化に説得力を持たせるために丁寧に心の動きが描写されているという印象がありました。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] I.presage flower』より。

――ちなみに、『HF』ルートの士郎は信念が変化していく中で桜に関してとある大きな決断をすることになりますが、杉山さんは自分が士郎なら同じ決断をすると思いますか?

 いやぁ、これは……難しい質問ですね(苦笑)。すごく悩むとは思いますが、やっぱり士郎と同じ決断を出すと思います。あんなに自分を慕ってくれる大切な後輩ですからね。やっぱり支えてあげたいですよ。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] I.presage flower』より。

登場人物たちの意外な一面も描かれる『HF』ルート

――本作の桜に対する印象について教えてください。

 本作において桜はメインヒロインということもあり、他のルートとは違い初めて士郎と出会った頃などが丁寧に描かれています。学園で士郎が桜以外の人物と会話している時も、士郎やその人物ではなく桜の表情や仕草などのリアクションにカメラが向けられています。

 桜に焦点が当たることで、彼女が持つもろさ、ひたむきさ、健気さが今までよりも強く表現されていて、“儚い影のある女の子”としての印象が強調されているように感じました。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]II.lost butterfly』特報映像第1弾より。

――桜以外の主要キャラクター(遠坂凛、ライダー、イリヤスフィール、セイバー、間桐慎二)についても印象を教えてください。

 凛は『UBW』ルートとは違って、遠坂家の人間であるという責任感もあるんですけど、それと同じくらい桜を支えたいという意思が表に出ている印象です。親身になって桜のことを考えていて、口には全部出さないんですけど桜を思いやっているのが端々で描写されています。魔術師然とした一面を見せつつも、人としての優しさがすごく出ているかな、との印象があります。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]II.lost butterfly』特報映像第1弾より。
劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]II.lost butterfly』ティザートレーラーより。

 次にライダーについて。ライダーって『第一章』の時点で優しさが見え隠れしているんですよね。たとえば路地裏で美綴綾子を吸血しているシーンがありますが、鎖から降ろす時も気遣いが見られますし、必ずしもすべて慎二に言われた通りに実行しているわけではない。従っているフリをして手を抜いたり気を遣ったりしているところから、実はいい人なんじゃないかって思えますよね。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] I.presage flower』より。

 『第一章』の間桐臓硯との戦いの時にどうして士郎を助けに来たんだろうという疑問があるかと思いますが、その理由も『第二章』から徐々に明らかになっていくので注目してほしいキャラクターのひとりです

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] I.presage flower』より。

 イリヤは他の2つのルートと比べるとどこか(士郎の)お姉ちゃん然とした印象を抱きます。声自体は門脇舞以さんが演じるカワイらしい系統の声なんですけど、どこかお姉さん風を吹かせていると言いますか。アフレコ中の門脇さんへのディレクションでも、そういった“お姉ちゃん的な方向性”で演じるよう指示があったので、『Fate』ルートや『UBW』ルートのような妹的なカワイさとはまた違ったものがあるかなと。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]II.lost butterfly』ティザートレーラーより。

 セイバーは今更言うまでもないですよね。凛としているかと思えば無邪気な一面もある騎士の女の子。『HF』ルートではオルタ化してしまうんですけど……『第一章』を見ただけだと、まだほとんどセリフがないのでなかなか表現しづらいですね。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] I.presage flower』より。

 ただ、セイバーオルタはセイバーの願いが歪んだ形で具現かしたものなのかなと思っています。だから別人というわけではなく、あくまでセイバーの別の側面であって、根っこのところは変わっていない気がします。『HF』ルートの後半で彼女の主張が描かれるんですけど、それが描かれるのは『第二章』なのか、第三章なのかは内緒ということで(笑)。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]II.lost butterfly』ティザートレーラーより。

 慎二については『第一章』、『第二章』を通して丁寧に過去が描かれていきます。原作のゲームをプレイした方はご存知だと思いますが、慎二の境遇を考えると歪んでも仕方ないところがあるんですよね。過去のまだ歪みきっていない時の慎二を見ると、士郎が慎二に対して悪い印象を持っていない理由も見えてくるんじゃないかなと思います。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] I.presage flower』より。

 単に桜がきらいだから罵倒しているわけではないし、士郎に対しては単純な好ききらいだけでは表現できない複雑な感情をいだいている。そんな慎二の人間臭さが『第二章』にはよく表れていると思いますよ。

劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』
▲劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel]II.lost butterfly』ティザートレーラーより。

→後編はこちら

■劇場版『Fate/stay night[Heaven’s Feel] II.lost butterfly』公開情報
【公開日】2019年1月12日全国ロードショー
【公開館数】全国131館

【スタッフ】(敬称略)
原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
キャラクター原案:武内崇
監督:須藤友徳
キャラクターデザイン:須藤友徳・碇谷敦・田畑壽之
脚本:桧山彬(ufotable)
美術監督:衛藤功二
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:松岡美佳
編集:神野学
音楽:梶浦由記
主題歌:Aimer
制作プロデューサー:近藤光
アニメーション制作:ufotable
配給:アニプレックス

【キャスト】(敬称略)
衛宮士郎:杉山紀彰
間桐桜:下屋則子
間桐慎二:神谷浩史
セイバーオルタ:川澄綾子
遠坂凛:植田佳奈
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン:門脇舞以
藤村大河:伊藤美紀
言峰綺礼:中田譲治
間桐臓硯:津嘉山正種
ギルガメッシュ:関智一
ライダー:浅川悠
アーチャー:諏訪部順一
真アサシン:稲田徹

(C)TYPE-MOON・ufotable・FSNPC

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