『真・女神転生』シリーズには、数々の神や悪魔が登場する。彼らとの戦闘や会話による交渉は、本シリーズならではの魅力と言える。そして、最新作『真・女神転生IV』では、そのデザインワークに複数の実力派クリエイターが参加しているのも見どころだ。ここでは、5人の実力派クリエイターによって描かれた個性あふれる悪魔たちについて、現状で明かされている情報から探りを入れていく。また、これらの悪魔たちが神話や伝承ではどのように語られているかについても解説。なお、ここで書いている神話や伝承の内容は、説によって異なるものであることをあらかじめご理解いただきたい。
悪魔の軍団を率いる地獄の王・アスモデウス。ソロモン王72柱の魔神の1柱として知られ、本作でも強力な力を持つと予想される。公開されているトレーラーを見るに、この悪魔と対峙することになるのは間違いなさそうだ。主人公たちサムライ衆と、どのような戦いを繰り広げるのか?
ユダヤ教、キリスト教が伝える悪魔で、『旧約聖書』の外典などでその名が見られる。ソロモン王72柱の魔神の1柱とされ、グリモワールなどの民間伝承においては、キリスト教の7つの大罪の“lust(色欲)”に結び付けられる。
その姿は、牛と人間と羊の頭、ガチョウの足、毒蛇の尾を持ち、手に軍旗と槍を掲げ、地獄の竜にまたがり戦うとされる。
両手に持つ二振りの剣を使って戦う怪力乱神の龍神。伝承で“地底の国をさまよったあげく、肉体が蛇と化した”とされている通り、本作のデザインでも緑のうろこのような、蛇らしい意匠が見受けられる。もし彼が仲魔になったとしたら、心強い味方となるだろう。
『神道集』の“諏訪縁起”で活躍する伝説上の人物で、“甲賀三郎”と書く。
迷い込んだ地底の国をさまよったことで肉体が蛇と化し、のちに諏訪大社の諏訪大明神として祀られたとされている。伝承によっては、土着神のミシャグジや洩矢神、それを平定した軍神のタケミナカタ(建御名方)と同一視されることもある。
神の使いである四大天使の1柱・ラファエル。象徴的な赤い体に、白い仮面のような翼が目立つ。神と悪魔との壮大な戦いが描かれる本作において、大天使ラファエルは間違いなく“神”側の存在だろう。悪魔たちとの対立はもちろん、人間たちへどのように、どんな目的で接触してくるのかが見どころだ。
ミカエル、ガブリエル、ウリエルと並び、天使のヒエラルキーの頂点に立つとされる“四大天使”の1柱。ユダヤ教、キリスト教の聖典や伝承でその名が見られる。
ラファエルという名は“癒す者”を意味し、エデンの園で知恵の木と一対をなす生命の木を守護している。癒しの天使として蛇に結び付けられたり、大地のデーモンとして恐ろしい獣の姿だとされたりと、さまざまな外見で描かれるのが特徴。
東京のとある地域には、地霊と呼ばれる土着の悪魔たちが存在すると言われている。その代表格たる存在が、土地神として知られるクエビコのようだ。崩れた身体は、クエビコ(崩え彦)の名の所以でもある。今なお彼の身体は崩れ続けているようだが、求めるように手前に延びた左手は、何を表しているのだろうか?
日本神話に登場する神で、“久延毘古”と書く。『古事記』の“オオクニヌシ(大国主)の国づくり”の伝説において、海の向こうから渡ってきた小さな神がスクナヒコナ(少名毘古那)であることをオオクニヌシに伝えた。
天日風雨にさらされてきた案山子(カカシ)が神格化した、田の神、農業の神、土地の神だとされる。朽ちた案山子を表す“崩え彦”、すなわち“体が崩れた男”がその名の語源となっている。
知恵を司る神として知られる天津神・オモイカネ。“知略に長ける”という伝承もあるほどの相手だけに、できることなら敵に回したくない存在だ。もしかしたら、主人公たちサムライ衆に知恵を授けてくれる可能性もあるが、その存在は謎に包まれている。
イラストが公開されている5体の新規悪魔の中で、唯一、まだ一度もゲーム中での姿が確認されていないオモイカネ。とても重要な存在なのかもしれないが……? ゲーム中で会える日が楽しみだ。
『古事記』や『日本書紀』などの日本神話に登場する思念を神格化した神で、“思兼”と書く。“思慮を兼ねる”という名前の通り、多くの人々に知恵や知略を与えたとされる。
天岩戸に閉じこもったアマテラスオオミカミ(天照大御神)を招き出すため、集まった八百万の神々に宴の案を提言したのも、このオモイカネである。
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