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2009年12月18日(金)

【経営者は語る 第2回】徹底した日本市場研究でゲームの魅力を引き出すHUE

文:電撃オンライン

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――プレイヤーさんが内輪のノリで楽しんでくれれば、それは一つの正解だと思います。少なくとも個性的なアピール方法になっていると思いますので。ところで『アークサイン』は、発表からサービス開始までかなりの時間がかかっていますよね。T3 Entertainmentさんは長く関わってきたので、いまHUEさんがサービスするという経緯は分かりますが、そもそもHanbitSoftさんからすると、あまり関わりがなかった作品でもありますし。開発経緯を簡単に教えていただけますか?

金氏:このゲームは最初、T3 Entertainment内部でなく、別の開発スタジオの手で開発がスタートし、そこには韓国NHNが出資していました。4~5年前のことですね。開発段階のゲームを見て有望と判断したT3 Entertainmentでは、これを開発スタジオごと買収し、当時の会社代表の言葉に従って、開発期間を1年間延長したのですが、実はそれでもサーバーが安定せず……。その後このスタジオはT3 Entertainment内部に統合され、T3 Entertainment側からも必要な人材が合流して、開発が継続されます。

――初期のグラフィックスとか、いまとだいぶ違いますよね。

金氏:『ORKA』から『Camon Onlime』、そして現在の『アークサイン』ですからね。開発段階でも本当にいろいろありました。一般にプログラミングという仕事は、他人が組んだものを引き継ぐのがすごく大変ですが、現在の開発チームはかつての『ORKA』チームからソースコードを引き継いで解析し、そこからさらに作業を進めたので、本当に難航しました。

 1年の予定が2年に延びて、開発費もかさんでいきましたから、経営陣としては開発を中止することも考えました。しかし、すでにかなりの労力を投じてしまった以上それはもったいない……と。そんな葛藤含みで難産だった『アークサイン』が、いまようやく形になったわけなのです。現在はゲームの方向性もしっかり定まりましたので、ぜひとも成功させたいですね。

――基本的なゲームの出来はいいのにきちんと動かないとは、なんというか、開発者泣かせの作品だったんですね。

金氏:そうなんです。開発途上でアメリカや中国、台湾とパブリッシング契約が成立しました。そのくらい好評だったんですけれど、開発は難航している。海外のパブリッシャさんは「T3 Entertainmentさんならきっと、問題を解決してくれると信じます」と……。諦めるわけにいかなかったのは、そういった事情もあります。

――それは嬉しいけれどプレッシャーですね。

『経営者は語る 第2回』

金氏:ともあれ、オープンβテストの様子を開発チームが確認して、開発チームとしてはいま、ボルテージが上がっているところです。開発チーム内部でもいろいろなアイデアが活発にやりとりされていますし、さまざまな要望にお応えする準備が整ったと思います。「日本側から何でも言って下さい、作りますよ!」という心境らしいです。

――ところで『アークサイン』の日本サービスは当初、ネオウィズジャパンさんが行う予定だったと記憶しています。HUEがサービスすると最初に聞いたときは、驚きつつもなんとなく納得しました。「ああ、開発会社のグループが直轄するのだな」と。

金氏:タイミングで言うと、かなり偶然の要素が大きいかもしれません。ネオウィズジャパンがゲームオンに合流するのと、T3 EntertainmentがHanbitSoftを買収するのがたまたまほぼ同時期で、ネオウィズさんが社内調整で動けないならうちでやりましょうと、すんなり決まりました。ネオウィズさんにその提案をしに行ったのは私です。

――なんだか、ゲームの外でもいろいろドラマのあったようですが『アークサイン』の話はこれくらいにして、このあたりで既存タイトルの話題を。年末年始には、いろいろイベントが予定されているそうですね?

金氏:はい、『X-BEAT』はクリスマスイベントのために、スペシャルソングを20曲追加しましたし、オリジナルアバターも追加予定です。『グラナド・エスパダ プラス』でも、今月は秘密のイベントをたくさん用意しています。来年7月でサービス4周年になりますから、大きな展開を仕掛けていきたいと思っておりますし、『WYD 2』の国家戦である『天上大戦』を、再び日韓間で実施できれば、と考えております。

――では最後にHUEの、オンラインゲームに賭ける意気込みを聞かせてください。

金氏:HUEは来年、さまざまなジャンルの作品を手がけることで、今年の2倍以上の成長を目標としています。作品開発ももちろん重要ですが、オンラインゲームではローカライズのクオリティも大切で、それは決して単なる韓国語から日本語への翻訳などではありません。日本のプレイヤーさんが好む表現や嫌いな言い回しをきちんと把握してローカライズすることで、プレイヤーさんに感動を与える作品となります。一見細かい部分こそ実は重要で、作り手の細部へのこだわりがプレイヤーさんの信頼を呼ぶのです。そうしたHUEのサービスに、今後ともぜひご期待ください。

――本日はありがとうございました。

『経営者は語る 第2回』 『経営者は語る 第2回』

 日本オンラインゲーム市場の成長余地を軸に、作品ラインナップを広げる戦略に出るというHUE。G★2009の出展内容を見るに、HUEのサービスリソースとなる本社開発作品は、三国志あり、釣りあり、ファンタジーアクションあり、ロボットアクションありの新作7本と、選択肢は広い。『アークサイン』に見られるとおり、日本市場に合わせたローカライズに並々ならぬ意欲を注ぐHUEのことであるから、選球眼とサービスクオリティには期待が持てる。来年1月以降の発表が楽しみだ。

 韓国が約4500万人、日本が約1億3000万人という人口を母数として比率を考えると、日本のオンラインゲーマー率は韓国の3分の1の密度しかない計算になる。ここで「これだからコンソールゲーム大国日本での商売は難しい」と考えるべきか、「うなるほど成長余地がある!」と考えるべきかは、なかなか難しい議論だったりする。とはいえ我々ゲーマーにしてみると、とにかく面白い作品が出てきてくれさえすれば、それで満足だ。大手ポータルサイトの影響力を活用しつつ、日本のオンラインゲーム市場全体の拡大を目指すというHUEの挑戦を、末頼もしく思いつつ見守りたいところである。(Guevarista)

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