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2013年9月12日(木)

【レビュー&攻略】『隠り世の村』人が忽然と消える廃村に隠された謎を解き明かすミステリーアドベンチャー(電撃おすすめアプリ 第88回)

文:リプトン熊田

■システムはマップ移動&コマンド総当たり! こういうのでいいんだよ!

 本作のゲームシステムは非常にオーソドックス。マップを移動しつつ、片っ端から選択肢を選んでいくという、いわゆる総当たりってやつです。面倒くさいと思われる方もいるかもしれませんが、個人的に推理ゲームはそれでいいと思うのです。当然ながら、自分でも犯人を予想しながらゲームを進めるわけですが、すべての情報を引き出し、その中から必要な情報を選別していくというプロセスは、やはり犯人を当てるためには欠かせません。攻略情報を見て、必要な選択肢だけを選んでいけば総当たりをする必要はありませんが、それじゃ味気ないんですよね。

『隠り世の村』 『隠り世の村』
▲移動できる場所も登場人物も結構多いので、きっちり総当たりしていかないと大変なことになります。というか、なりました。まぁでもこれが推理ゲームの楽しさですよね!(白目)

■陸の孤島的な村の閉塞感がたまらん!

 日成志村は四方を森で囲まれ、そのうえ森のいたるところに地下鍾乳洞とつながる穴が空いています。よって、夜に村を出るのはほぼ不可能。しかも村には街灯の1つもなく、神出鬼没の怪人がうろついている始末。朝まで無事でいられる保証もない――この脱出できそうでできない感じが、すごくミステリーっぽくていいんですよね。そして誰もいないはずのところに誰かいるっていう恐怖感と、そこから生まれるキャラ同士の疑心暗鬼。言うなれば、館モノとか雪山ペンション系に近いと思います。

『隠り世の村』 『隠り世の村』
▲日の出までは脱出不可能な廃村の中で、次々と恐怖に襲われるこの感じがたまらんのです。あと団体行動を乱す人とか出てきて、案の定、何者かに襲われてみたり。

■どのキャラも怪しく思わせるテキストがいい!

 本作は登場人物(プレイヤーにとっては犯人候補)が結構多いのですが、どいつもこいつも、何気なく怪しい発言をしてくるんです。これがまた厄介。こちとら犯人を当てるつもり満々でプレイをしているわけで、怪しげな発言に敏感になっているのですが……全員が怪しいことを言うので結局わからなくなるんです(笑)。このミスリードを誘う感じも、意外と侮れないポイント。

『隠り世の村』 『隠り世の村』
▲露骨に怪しい人ほど実は怪しくないんでしょ、と見せかけておいてその裏をかいてくるのかも、みたいな脳内疑心暗鬼。なんかもう、どいつもこいつも怪しく見えてきます。

■ちょっと古い感じがいい味を出してる!

 元々が2008年のゲームってところもあるのですが、本作の絵柄は正直、ちょっと古い感じだったりします。で、これも個人的な好みでアレですが、この古い感じが非常にミステリーと相性がいい! と思うのです。こう、ブラウン管っぽいっていうか。今はTVがハイビジョン化して映像もクリアですが、時代劇とかミステリーとは相性が悪いと感じている方も多いのではないでしょうか。誤解を恐れず言うと、ミステリーって絵ヅラの“胡散臭さ”が結構重要だと思うんですよね。その辺りを踏まえ、本作は非常に好みの雰囲気です。

『隠り世の村』 『隠り世の村』
▲このなんとも言えない怪しげな雰囲気がすごくいい。こういうテイスト、改めて作ろうと思ってもなかなか難しいんじゃないでしょうか。

■最後に“推理パート”があるのもうれしい!

 いわゆる、犯人を正確に予想できていないと間違ってしまう選択肢のことです。本作では、たとえ間違って選択しても大丈夫だったりするのですが、他の推理ゲームだと間違った時点でゲームオーバーがお約束。で、間違わずに進められた時は本当に気持ちいいんですよね。まさに推理ゲームの醍醐味! テキストをきっちり読み進め、情報分析を重ねた結果の勝利であります。

『隠り世の村』 『隠り世の村』
▲本作の場合、難易度はさほど高くないですが、それでも正解を正しく導き出す快感はたまりません。

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データ

▼『隠り世の村』
■メーカー:アルティ
■対応機種:iOS/Android
■ジャンル:ADV
■配信日:配信中
■価格:450円(税込)

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