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2014年2月21日(金)

『ガルパン』で黒森峰の主力となった超重戦車に思わず身震い!? 『World of Tanks』での実力も解説! 【めざせ! 戦車道免許皆伝 第20回】

文:田中尚道

 前回は、『ガールズ&パンツァー』の黒森峰女学園の車両の中でも脇を固める戦車たちの説明をしましたが、今回は“主力オブ主力戦車”として登場したドイツの超重戦車をご紹介します。大戦末期に投入され、連合軍を驚愕させた個性あふれる強力な戦車の数々は、ドイツ第三帝国の終焉とともに数々の伝説を史実に刻みました。負けが見えてもなお、高い士気で戦い続けた戦車兵たちのゲルマン魂と、勝利を信じて新戦車を投入し続けた開発者たちの心意気は、判官びいきな日本人好みのエピソードではないでしょうか。

『World of Tanks』
▲大洗女子学園を窮地に陥れた超重戦車【Maus】。『WoT』の開発・運営を行うWargaming社のCEO・ビクター氏もお気に入りです。

 戦争という非生産的行為の極みの中で己の職責に忠実だった彼らの生きざまは、肯定しづらい部分もありますが、それでも心を揺さぶられるものがあるのが男の子というものです。さて個人的には、他国で戦後に登場した戦車が『World of Tanks(ワールド オブ タンクス)』(以下、『WoT』)で、これらのドイツ戦車と同じTierで戦わなければならないのが納得いかん! そのせいで、ドイツ超重戦車の強さが霞んで見えるじゃないかっ!!

『World of Tanks』
▲黒森峰女学園の美しいパンツァーカイル(突破を目的にしたくさび形陣形)。【Tiger I】1両、【Tiger II】2両、【Panther】5両、【JagdPanther】1両、IV号戦車/70(V)4両、【Ferdinand】1両、【Jagdtiger】1両という陣容で、大洗女子学園の戦車隊をじわじわと追い詰めていきます。

■ドイツ戦車の代名詞と言えば【Tiger I】(Tier VII)

 以前、【Tiger(p)】のところでもご紹介しましたが、この【Tiger I】はそれまでのバランス重視だったドイツ戦車開発思想を曲げて作った、重装甲かつ強火力の特別な戦車でした。

『World of Tanks』
▲西住まほ殿が乗る黒森峰女学園のフラッグ車が【Tiger I】。その分厚い陣容の中では最強車両というわけではありませんが、やはりエースには【Tiger I】に乗っていてほしいものです。

 フランス進攻の際、西部戦線で【B1】や【Matilda】と遭遇したドイツ軍は、50mm砲では攻撃力が足りず、装甲も薄くて被害が増大するという状況に大きな不満を持ちました。非力な戦車しかない中でも快進撃が続いたのは、練りに練られた戦車戦術、そしてヤーボ(戦闘爆撃機)や攻撃機との連携による3次元的な運用が革新的だったからです。とはいえ、ことは命のやり取りですから、相手もそう簡単にやられてくれなくなる。そこで、相手に装甲を抜かれず、逆に相手の装甲を抜ける戦車が必要とされたわけです。

 連合軍の重装甲の歩兵戦車がたまたま生存率が高かったのと違い、【Tiger I】は最初から戦車戦を想定した重戦車だったことが特筆すべき点。【Matilda】の後継となる【Churchill I】が歩兵戦車の延長だったことを考えても、戦いのメインが“戦車対戦車”になることを早くから看破していたのです。ただし、最前線で攻撃を受けても進み続け、敵戦車を撃破するという戦車部隊の考え方は、歩兵の支援を行うことを一義としないだけで、歩兵戦車のそれと似ていると言えるかもしれません。

『World of Tanks』
▲敵ににらみをきかせる【Tiger I】。相手にとってみれば、別のポイントへと逃げ出したくなるような威圧感です。

 さて、【Tiger I】が投入された1942年。西部戦線には戦場がなく、ドイツ軍は北アフリカでイギリスを中心とした英米連合軍と、東部戦線でソビエト軍と対峙することになります。いずれの戦場でも、【Tiger I】はその高い攻撃力と防御力を遺憾なく発揮し、期待通りの戦果を上げます。しかし、57tという多大な重量により故障を頻発。さらに橋梁の重量制限を超えることも多く、渡れる橋が限られたり、軟弱地形にはまったりするなど、運用に制限が加えられることも多かったようです。いったん故障してしまうと、他の車両で牽引することが難しいといった欠点もありました。

 【Tiger I】の登場には戦慄したものの、アメリカもイギリスも「大量投入は考えにくい」と考え、特に対抗策を採らなかったそうです。現場の兵士にしてみれば、たまったもんではありません。これは別に【TigerⅠ】を無視するということではなく、戦車は歩兵の支援が一義であるという考えから、重戦車の相手は駆逐戦車が行うものだと考えていたためでした。

 一方、ソビエトは【Tiger I】に対抗するために、大慌てで152mm砲を搭載した駆逐戦車【SU-152】を開発します。この駆逐戦車、たった25日間で設計を完了したとのことで、どれだけ慌てていたかが容易に想像できます。

 【Tiger I】は、1944年には【Tiger II】に製造ラインを譲る形で生産終了しますが、10人を超える戦車長がそれぞれ100両以上の連合軍戦車を撃破したという、エースメーカーでもありました。138両以上を撃破したミヒャエル・ビットマンや、150両以上を撃破したオットー・カリウスなど、綺羅星のごとき面々がこの戦車でスコアを稼いだのです。

『World of Tanks』
▲『ガルパン』最終話のクライマックスシーン! IV号戦車こと【Pz.Kpfw. IV】の75mm砲で【Tiger I】の装甲を抜くには、背面に回り込んでの接射しかありません。肉を切らせて骨を断つ、手に汗握る熱いシチュエーションです。

●『WoT』での【Tiger I】

 絶大な信頼を置かれたさすがのアハトアハト(8.8cm砲)を搭載できるため、同Tierで貫通できない車両はありませんし、ダメージ量も安定しています。反面、正面100mmの装甲は垂直で避弾には優れず、かつ同Tier内で優位に立てるほどの厚みを持ってはいません。弾道に対して斜めに構えるなど、見せかけの厚みを増やさないとあっさり抜かれてしまいます。

 また『WoT』では、史実において【Tiger I】キラーとして開発されたソビエトの駆逐戦車【SU-152】が同Tierにいます。【Tiger I】に限った話ではありませんが、【SU-152】の初期砲は152mm、貫徹力135mmでダメージが700と、驚異的な威力を誇ります。対戦車榴弾(金弾)に至っては250mmの装甲を貫通するので、絶対に狙われないように注意してください。また【Tiger I】は加速性能、旋回能力ともに低いため、とてももっさりした動きに感じられると思います。敵の射撃に対して機敏な行動がとりにくいので、先々を予測しながら行動しましょう。

『World of Tanks』
▲小官は【Tiger I】で出撃するたびに、【SU-152】に撃破されている気がします。Tier VIIの【Tiger I】に対するカウンター車両なんだから、【SU-152】はTier VIIIが妥当だと思うのですが……。

→エレファントの異名を持つ【Ferdinand】と
“王虎”こと【Tiger II】を解説!(2ページ目へ)

(C) Wargaming.net

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データ

▼『World of Tanks(ワールド オブ タンクス)』
■メーカー:ウォーゲーミングジャパン
■対応機種:PC
■ジャンル:ACT
■配信日:2013年9月5日
■価格:無料(アイテム課金)

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