2014年11月29日(土)
ファルコムライブで『閃の軌跡II』秘話公開。黒の史書や帝国編の続編の話も(ネタバレあり)
11月29日に東京・新宿ロフトプラスワンで行われたライブ&トークイベント“Falcom jdk band Live & Talk Show Vol.6~近藤社長に聞け!ここが知りたい『閃の軌跡II』”の模様をレポートします。
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キャラアニの主催による“Falcom jdk band Live & Talk Show”は、日本ファルコムの“ファルコムjdkバンド”によるライブ&トークイベントで、今回で第6回となります。
今回は日本ファルコムの近藤社長とファルコムjdkバンドのオカジこと岡島俊治さんによるトークを中心に、『閃の軌跡II』の裏話が明かされました。ソフト発売から約2カ月後ということで、クリア後推奨=ネタバレを交えた裏話が繰り広げられました。
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▲9月25日に発売されたPS3/PS Vita用ソフト『英雄伝説 閃の軌跡II』のエンディングを踏まえたトークが展開しました。まだクリアしていない人は注意! |
■第1部:エンディング曲を中心としたスペシャルライブ
イベントの前半は、ファルコムjdkバンドによるアコースティックライブが行われました。岡島俊治さん(Dr.)、水谷美月さん(Vn.)、宮崎大介さん(Gt.)、榎本敦さん(Ba.)、小寺可南子さん(Vo.)という、このロフトのライブではおなじみのメンバーでした。
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オープニングとして演奏されたのは、なんとPC時代の名作『ダイナソア』のエンディング曲『風の紋章』。演奏後、オカジさんは「もう、今日はオレはやりきった!」と満足気に語っていました(笑)。というわけで、今回のライブは「エンディング曲を中心に行います」と発表され、大盛り上がりでのスタートとなりました。
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ここで恒例のステージ&観客席での乾杯へ。今回はスタンダードに「初ジョッキ(発情期)!」の音頭で乾杯が行われました。ちなみにオカジさんだけは「かくあらん!」で乾杯をすることに。その流れもあり、次の曲は『白き魔女』のエンディング曲をベースにしたヴォーカル曲『その勇気 その瞳 その優しさで』。コテカナこと小寺可南子さんがしっとりと歌い上げていました。
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続く曲は、『閃の軌跡II』のエンディング曲『I’ll remember you』のアコースティックバージョン。オカジさんいわく、「原曲はにぎやかな音源だけど、アコースティックだととてもせつなくなります。どうか、クロウのことを思って聞いてください」とのことで、コテカナさんも静かに強くバラード風に歌っていました。ラストのあのシーンを思い出して、グッと来ちゃいますね……。
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4曲目は『遥かなる時を超えて』。『ソーサリアン』のエンディング曲をヴォーカライズしたこの曲も、コテカナさんが歌を担当しました。そして、「最近、PC-88版をクリアし直しました」というオカジさんのフリから続いたのは、『イース』のエンディング曲のヴォーカルアレンジ『Smile Again』。当時、ミス・フィーナこと南翔子さんが歌った曲で、今回のライブでも明るくかわいい感じで歌われていました。
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そしてライブのラストを飾ったのは定番曲の『パンドラ』(『イースVI~ナピシュテムの匣』より)。今回も観客とともに「ララーララーララーララー」と歌い上げ、一体感を感じられる盛り上がりの中でライブは幕を閉じました。
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●ライブパート セットリスト(楽曲/出典)
M1.『風の紋章』/『ダイナソア』
M2.『その勇気 その瞳 その優しさで』/『英雄伝説III 白き魔女』
M3.『I’ll remember you』/『英雄伝説 閃の軌跡II』
M4.『遥かなる時を超えて』/『ソーサリアン』
M5.『Smile Again』/『イース』
M6.『パンドラ』/『イースVI~ナピシュテムの匣』
■第2部:クリア後推奨の『閃の軌跡II』トークコーナーが展開!
イベントの後半は、『閃の軌跡II』を中心としたトークコーナーが展開。このためにちゃんと100時間以上かけてクリアをしてきたオカジさんの仕切りのもと、近藤社長に気になる質問を浴びせていました。ここでは、トーク中の注目内容についてピックアップしてお届けします。
ちなみに、今回のライブでも日本ファルコムのゲームにちなんだスペシャルなフード&ドリンクが用意されていました。名前を見るだけでも、ファンはニヤリとできますね。
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●ドリンク
『アセラスの薬(サントリーザプレミアムモルツ 生)』
『ティアラルの薬(サントリーザプレミアムモルツ 黒生)』
『キュリアの薬(レッドブルウォッカ)』
『気付け薬(電氣ブラン)』
●フード
『S-タブレット(かきピー)』
『マジカレー(プレミアムドライカレー)』
『愛情クリームコロッケ(アボカドソースのクリーミー海老コロッケ)』
『魔獣のゼラチン(京風わらび餅アイス)』
――クロウについて
オカジ:基本的に『軌跡』シリーズの中で、メインキャラがああいうことになるのは珍しいので驚きましたね。
近藤:(観客席から剣帝レーヴェという声を受けつつ)確かにそうですね。でも、シリーズの中でもあそこまではっきりと描くのは、珍しいケースだと思います。なんにせよ、今回のクロウの人気はものすごいことになっていますね。
――オズボーンの正体と“黒の史書”について
オカジ:いきなりですが、オズボーンの正体を教えてください(笑)。
近藤:それはインタビューでもよく聞かれますね(笑)。ここでは答えられませんが、ゲーム中にヒントはあります。1つのキーワードは12年前の出来事で、軍人だった彼が政治家になった時期であり、ある人物をあの人に預けた時期でもあります。
オカジ:なぜ狙撃されて生き残ったのかも謎ですよね。
近藤:今回の帝国編は、これまでの『軌跡』シリーズと比べてちょっと違和感があった部分とあると思いますが、そのあたりもカギになっています。
オカジ:ただ、実は2周目を遊んで“黒の史書”を読まないと物語の真相はわからないみたいな話も聞いたんですよ。
近藤:あの“黒の史書”はあくまでおまけ的なものですが、今後の物語に関するいろいろな予想ができるようになっていると思います。
オカジ:今回、至宝が出てこないところも特徴ですよね。
近藤:そうですね。これまでの『軌跡』ではなんらかの形で《七の至宝(セプト=テリオン)》に関連した事件が起こっていましたが、まだ帝国編では至宝も、それを守る聖獣も出てきていません。そういった部分は、今後の帝国編で描かれるかもしれませんね。
オカジ:ということは、『閃の軌跡』や帝国編は続くということですか?
近藤:どういう形になるかはわかりませんけど、あの続きは描かれると思います。そもそも『閃の軌跡II』のラストについても、クロチルダとしてはあれで計画が終わるはずだったところが、とある人物によって計画そのものを乗っ取られてしまったわけです。そういったところを考えても、まだ帝国編は終わっていないと考えることができますね。
――エンディング後のリィンについて
オカジ:ラストシーンにぐっときましたが、リィンはこれから本当に大変ですよね。
近藤:いろいろと課題が残ってますから。父親との関係も、どう接すればいいかわからない状況ですよね。
それにリィンと帝国を取り巻く環境もいろいろと複雑です。共和国やクロスベルとの関係もあり、外伝でのリィンの立ち位置にもその複雑さが現れています。
オカジ:外伝では、リィンの口から“義理”という言葉も出てましたよね。
近藤:あれは父親に対する義理ではなく、帝国の民として、また騎神を操ることができる人物である自分が出ることで対外的な示しになることなどを踏まえた意味での“義理”ですね。
――外伝でのリーシャの衣装について
オカジ:外伝でのリーシャの衣装を見て、CERO的に大丈夫なのかなと思いました。
近藤:意外とそのあたりは関係ありませんね。ちなみに『イース7』ではCEROがCになったんですが、あれはゲーム中にアドルがムチで打たれる部分に対するものなんですよ。最終ボスの衣装もお色気的にギリギリだったんですが、実はそこではなかったんです。
ちなみに外伝や後日談の話を盛り込むかどうかはギリギリまで悩んでいて、今年の1月くらいに決断をして、急ぎでいろいろと調整していきました。
――過去作品に登場した帝国の地名について
近藤:パルムやハーメルのように『空の軌跡』のころに登場した地名も、スタッフは忘れているわけではありません。広い帝国の中で、まだ描ききれていない場所もありますが、できるだけきちんと表現していきたいですね。
――今後の『軌跡』シリーズの舞台について
オカジ:ずばり、次の『軌跡』の舞台はどこですか?
近藤:大きなところでは共和国が残っていますし、レミフェリア公国や遊撃士と関係が深いレマン自治州、アルテリア法国など、物語を完結させるためには各地の話を描く必要があります。その一方で帝国も西部を描いていないわけでして。まだなんとも言えませんね。
オカジ:『碧の軌跡』のクロスベルも、あと2年ほどで独立するわけですよね。
近藤:そんなロイドたちの一番大きな壁はオズボーンになるわけですが、彼の本当の目的も明らかにはなっていません。なぜクロスベルを占領したのかも、その裏には何かがあるかもしれません。
オカジ:今後、誰がどんな形で主人公になるのかも気になりますが、《VII組》のメンバーもどのような形で物語にかかわってくるのか楽しみですね。
――まだ明かせない伏線について
オカジ:『碧の軌跡』でガレリア要塞ごと消滅したはずの人が戻ってきたというイベントがありましたよね。あれって、どういうことですか?
近藤:それは言えません(笑)。ただ、そういった部分も含めて“黒の史書”がいろいろと鍵になります。騎神やドライケルス大帝の話を読むと、これから帝国に大きな異変が起こることが想像できるのではないでしょうか。
オカジ:結社やクロチルダ的には、獅子戦役を再現すること自体が目的のように見えましたけど……。
近藤:でも、ルーファスもいろいろと言っていましたよね。
オカジ:ああ、ルーファスも謎ですよね。あの人物とあんな関係にあったとは驚きました。
近藤:あの人物との関係は、前作で語られた狩りの話などが伏線になっていた形ですね。
――キャラクター人気について
近藤:リィンやクロウの人気も高いのですが、実は男性ユーザーの間ではデュバリィの人気が非常に高い状況です。逆に女性からの支持が高いのがユーシスですね。
オカジ:ユーシスは今回、とても気になる立ち位置でしたからね。彼の発言が聞きたくて、いつもパーティに入れていました。
それから今回はアーツが強かったので、エマやユーシスはよく使っていました。特にATボーナス“ZEROARTS(詠唱時間やEP消費なしでアーツが使える特殊な状況)”に合わせて強力なロストアーツをぶっぱなすと、本当に気持ちよかったですね(笑)。
――『暁の軌跡』について
近藤:帝国編は『軌跡』シリーズの中でも大きな節目となっていて、物語全体で考えた時に折り返し地点を回った気がしています。
そろそろ「あとはあの国とあの国を描けば、物語を完結させられる」という終わりに近づいた実感も出てきたのですが、どうしても描き切れない場所やエピソードが出てくると思っています。そこに対する答えの1つが、オンラインゲームとして展開する『暁の軌跡』です。
オカジ:かなりストーリー性が高いものになるのでしょうか?
近藤:これまで他社様と一緒に作ってきた中でも、『暁の軌跡』のストーリー性は非常に高いと思います。何よりスタッフの方々が『軌跡』シリーズに詳しいところがありがたいですね。「こんな設定あったかな?」と思ったら、「『空の軌跡SC』のある町にいるNPCがそういうセリフを言っていました」なんて返ってきたりして、本当に頼りになります。
――十三工房について
近藤:十三工房は今後、かなり重要になってきます。『閃の軌跡II』では黒の工房が登場していて、特にミリアムとの絆イベントで詳しく語られています。古くは『空の軌跡』のころに結社のメンバーが口にしていましたが、ようやく物語にかかわってきた形ですね。
――魔女の扱いについて
近藤:これまでは内戦が目くらましになっていましたが、それが終わり、いろいろな部分が明るみに出てきます。今後は魔女に関する設定もきちんと描いていく予定です。また、結社に関する部分も決着がつかなかったところがありますが……このあたりも、いろいろと考えています。
――結社の使徒(アンギス)“破戒”は『閃の軌跡II』に登場していたのか
近藤:その部分について明言はできませんが、帝国方面をまかせるとは言われていたものの、必ずしも帝国にいるとは限りませんし、今回の物語と関係していたかどうかも定かではありません。ここで言えることはそのぐらいですね。
――エステルやヨシュアなど、過去作品のキャラは今後登場するのか
近藤:我々も思い入れがあるので、何かできないかはいつも考えています。パーティキャラとして登場させるには、そのキャラの状況や住んでいる場所などの問題もあるのでなかなか難しいのですが、効果的な形で登場させられればとは思っています。
――魔女の里について
近藤:この場で詳しくは言えませんが、ゲーム中で語られているように魔女の中にも対立があります。このあたりは、エマを主人公として1本の作品ができるくらい、いろいろな設定を用意しています。
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――『那由多の軌跡』の主人公のナユタ=ハーシェルと『閃の軌跡』のトワ=ハーシェルは何か関係があるのか
近藤:そこにどんな関係があるのかは、僕にはわかりません。ただ、1つ言えることは、開発スタッフはトワが大好きです!
ちなみに最近、会議の中でいろいろと挑戦的な企画が出るのですが、そういったところでもトワやハーシェルに関する何かがからんでくるかもしれませんね。
ちなみに『閃の軌跡II』のトワの最終武器が“那由多”にちなんでいたのは、細かな設定というよりはスタッフの遊び心の部分が大きいです。
――マクバーンが語った“混じっている”と“外の理”という言葉について
近藤:どちらも次回作以降でキーとなるものなので、ここでは言えません。ただ、“外の理”で作られた魔剣ケルン=バイターはレーヴェが持っていたもので、盟主(グランドマスター)からもらったものですよね。ということは、その力と盟主になんらかの結びつきがあることは推測できると思います。
“混じっている”ことについては、ゲーム中では“鬼の力”とも呼ばれているものですね。詳しくは言えませんが、リィンがゲーム中に見せる、とある仕草に注目するとヒントになっています。う~ん、ちょっと言いすぎちゃったかもしれませんね(笑)。
このあたりはネタバレというより、ゲーム中で語られている事実をまとめると普通に見えてくる設定ですね。盟主についてはどうやら女性らしい……というくらいの情報しか出ていませんが、いろいろと見直すと、新たな発見もあると思います。
――オズボーンとオリヴァルトの関係について
近藤:現皇帝のユーゲントの立場からすると、特にオリヴァルトと敵対しているわけではなく、オズボーンとも敵対しているわけではありません。ただ、『空の軌跡』でも話が出たように、彼らの対立は帝国にとって大きな問題となることは確かです。
今回は帝国編なので、本当はもっとオリヴァルトを描きたかったのですが、リィンたちの物語を中心にするためにあまり前には出せませんでした。まだオリヴァルトの目的が果たされたわけではないので、今後の物語では彼とオズボーンとの対立についてもクローズアップされることがあるかもしれません。
――マルガリータの今後について
近藤:これはもう、皆さんの応援次第です。例えばアントンやリックスは僕の友だちがモデルだったんですが、今は僕の手を離れて活躍しています。ちなみにその友だちは、かつてネット廃人で失恋をして以来、自分探しをしていました(笑)。
なので、皆さんの声によっては、マルガリータも帝国を飛び出して別の場所にも登場するかもしれませんね。ヴィンセントもセットで出てくるかもしれません(笑)。
――S級ブレイサー(遊撃士)の設定について
近藤:設定は考えているので、いつも出すかどうかは考えています。帝国編でも登場させるかどうか考えたのですが、S級ブレイサーが登場すると遊撃士協会もからんでくるので、物語の焦点がぶれてしまうので登場をやめました。今考えている続編についても、スゴ腕のS級ブレイサーを登場させるかどうか検討中です。
■冬のコミックマーケットでは新グッズも発売!
イベントの終盤には、さまざまな告知が行われました。次回のトーク&ライブイベントは未定ですが、『軌跡』シリーズ10周年記念として2015年3月28日に日本橋三井ホールでFalcom jdk BANDのワンマンライブが決定しました。『軌跡』の名曲が演奏されるようなので、お楽しみに!
なお、12月28日~30日開催のコミックマーケット87では、ラバーストラップや等身大タペストリなど、『軌跡』シリーズのさまざまな新グッズが発売される予定です。また、『軌跡』シリーズのキャラクターソングの展開が決まり、第一弾はエステル(声:神田朱未さん)になります。本来は2015年1月21日発売ですが、コミケで先行発売されるとのこと。詳しくは、今後の日本ファルコムやキャラアニの公式サイトで発表されるので、ぜひチェックしてみてください。
ちなみにイベントのシメは、来年からの2期放送も決まったアニメ『みんな集まれ!ファルコム学園』のテーマ曲にちなんで「ゴーファイ!」でした(笑)。
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▲今回のライブも熱かったです。来年3月28日のライブも楽しみですね! |
●過去のファルコムライブのレポート
・Vol.2 『白き魔女』から『閃の軌跡II』へ受け継ぐべきもの
・Vol.3 秘められた『碧の軌跡』と『閃の軌跡II』の繋がり
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