News

2015年9月22日(火)

モーフィアスあらためPS VRの実力を総括。ゲームの多様性を示すラインナップを高評価【TGS2015】

文:広田稔

 ソニー・コンピュータエンタテインメントが東京ゲームショウ2015の直前に開いたプレスカンファレンスで、電撃的に正式名称が発表された『Project Morpheus(プロジェクトモーフィアス)』あらため『PlayStation VR(PS VR)』。

『PlayStation VR』

 かぶると全方位が映像に包まれ、“あちら”の世界に入り込んでしまうという新しい体験ができるデバイスになる。SCEのブースでも2階付きのコーナーを組んで、20台の試遊機で以下の10コンテンツを展示していた。

●SCEのブースに出展されたPS VR関連のコンテンツ

・『真・三國無双7 VR DEMO』(コーエーテクモゲームス)
・『ファイナルファンタジーXIV: VRタイタン討伐戦』(スクウェア・エニックス)
・『サイバーダンガンロンパVR 学級裁判』(スパイク・チュンソフト)
・『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project VR Tech DEMO』(セガゲームス)
・『体感合体 アクエリオン・EVOL』(サテライト)
・『サマーレッスン』(バンダイナムコエンターテインメント)
・『KITCHEN』(カプコン)
・『THE PLAYROOM VR』(SCE)
・『RIGS: Machine Combat League』(SCE)
・『JOYSOUND VR』(エクシング)

 Oculus VRブースのレポートでも述べたように、“国産コンテンツの増加とゲーム以外の分野での利用”というのがTGS2015におけるVRコンテンツの傾向だが、さらにPS VRでは、ゲームの多様性を感じられた。10タイトルすべては遊べていないものの、全体の傾向をまとめていこう。

『PlayStation VR』
▲PS4につないで使うPS VR。発売は2016年上半期の予定で、価格は未定。

 ちなみにPS VRは、2014年3月のゲーム開発者向けイベント“GDC 2014”にてお披露目されたのがスタートとなる。昨年のTGSでは、バンダイナムコエンターテインメントの鉄拳チーム・原田氏がプロデュースした女子高生と同じ空間にいられるVRデモ『サマーレッスン』を出展すると発表したところ、新聞に取り上げられたりして、国内外で大反響となった。

 2015年3月の“GDC 2015”にて、製品版の仕様と発売日を2016年上半期と公表。6月のゲーム展示会“E3 2015”では、先の『サマーレッスン』の海外版や、『バイオハザード』シリーズの川田氏が手がけたホラーデモ『KITCHEN』、初音ミクが目の前でライブしてくれるセガゲームスの『SEGA feat. HATSUNE MIKU Project VR Tech DEMO』など、国内大手のデモを海外にアピールした。

『PlayStation VR』
▲『真・三國無双7 VR DEMO』

 ハードウェアをOculus Riftと比べると、頭で固定してHMD部分が前後に動く仕組みのため、顔が圧迫されている感じがほとんどないうえ、メガネも装着しやすい。

 有機ELパネルの解像度は低いものの、フレームレートは最大120fps(もしくは60fpsの倍増)と高いため、周囲を見回したときのなめらかさなどで違いが出てきそうだ。

『PlayStation VR』
▲『体感合体 アクエリオン・EVOL』

 ただ、まだ業界が成熟していない現状ではハードの違いはそんなに問題ではなく、どんなコンテンツが提供されるのかのほうが、「Oculus Riftおもしろい!」「PS VRすごい!」といった評価を分けることになるはず。

 そういった意味で、今回の10タイトルの多様性は、強いアピールになっているはずだ(……といっても行列がスゴすぎて体験できた人はかなり少なそうだが)。

ゲームの中に自分が入れる妄想を実現できる!

 10タイトルで多かったのは、著名コンテンツを元にVR版のデモを作ったというものだ。先ほどあげた『三國無双7』、『FFXIV』、『ダンガンロンパ』、『アクエリオンEVOL』に加えて、『初音ミク』の5本がこれに該当する。

『PlayStation VR』
▲『サイバーダンガンロンパVR 学級裁判』

 人間、誰しも知らないものには、なんとなく拒否感を示してしまうもの。筆者もイベントに出展し、VRヘッドマウントディスプレイを使ったデモをよくやっているが、目が完全に覆われてしまう謎のゴーグルを差し出されて「体験しませんか!」といわれても「なんか怪しい」と思い込んで「いや、いいです……」と敬遠されてしまうことも多い。

 その点、著名なタイトルをベースにしたコンテンツなら、未体験の人でも興味を引く可能性がある。

『PlayStation VR』
▲『ファイナルファンタジーXIV: VRタイタン討伐戦』

 筆者が体験できたのは初音ミクのコンサートを楽しめるデモだけだったが、自分が最前列に近い場所でミクさんを「すごい! 近っ!!」と眺めたり、途中、ステージに上げられて観客を「めちゃめちゃ多い!」と見渡せたりと、平面のディスプレイでは表現できない視点で見られるのがおもしろい。

『PlayStation VR』
『PlayStation VR』
▲両手に握ったモーションコントローラ“PlayStation Move”が、VR空間ではケミカルライトになっており、自然と体が動いてライトを振って応援してしまう。

 デモはなかったものの、2016年春に発売予定の『DEAD OR ALIVE Xtreme 3』もPS VR対応を検討しているとか。「この世界に自分が入ったらどうなるんだろう」という妄想をかなえてくれる装置として、購入する流れも出てくるだろう。

VRならではの個性的なオリジナル作品にも注目

 その他5本は、VR向けのオリジナルのデモだ。中でも知名度が高いのは『サマーレッスン』だろう。金髪女性のアリソンに日本語を教えるE3版を体験したが、CGのキャラクターがそこにいると感じられるリアルさが突出している。

 平面ディスプレイのゲームでも、キャラクターがこちらに近づいてくる動きは表現できるものの、あくまでも画面の向こう側で、パーソナルスペースに入ってくるという感覚は生まれない。

 一方でVRでは「ちょっ! 近い!」とドキッとしてしまうのが新しい。もちろん自分からアリソンに顔を近づけることもできるが、それをためらってしまうほど、その場にいる感覚が強い。

 操作も練られていて、頭の動きだけで“Yes”と“No”を指定してストーリーを選べる。コントローラを使わずに日常と同じ動作でプレイヤーの意思を表現できるので、自然にコンテンツを楽しめるわけだ。

 「こんな体型のモデルさんって、本当にいそう」と思わせるアリソンのCGも素晴らしい。筆者的には、扇風機やポットなど昭和なデザインの小物が作り込まれてているのもグッときて、思わず「懐かしい!」とあちこち見回してしまった。

『PlayStation VR』
『PlayStation VR』
▲キャラの知名度の引力ではなく、コンテンツ自体のつくりこみでVRのおもしろさを引き出した傑作なのでぜひ体験してほしい。

 カプコンのオリジナルホラー『KITCHEN』も、雰囲気と音で恐怖をガンガン煽ってくるのがスゴい。VRとホラーの相性は非常によくて、360度の映像でおどろおどろしいシチュエーションに自分が放り込まれた気持ちを引き出したり、3Dサラウンドで「何かが視界の外にいる」と気を引きつけたりすることが可能だ。

 『KITCHEN』は自分がイスに縛られたシチュエーションで、デュアルショック4コントローラを持ってプレイする。このコントローラを持っている両手の形が、バーチャル空間では手錠をはめられた状態になっているので、没入感が非常に高い。

『PlayStation VR』
▲スクリーンショットは公開されていない『KITCHEN』。ぜひVR空間で恐怖を体験してみてほしい。

 SCE製のタイトルである『PlayRoom VR』と『RIGS』は、マルチプレイに対応。VR空間で完結してHMDを外したら終わりというのではなく、そのあとに同じ体験を共有したメンバーでで会話するのが非常に楽しい。

 VR、かつゲームのコミュニケーションツールとしての側面を盛り込んでいるのが素晴らしいところだ。

 『PlayRoom VR』は、かわいいロボットのARボットを使っていくつかのミニゲームを遊べる。『Cat & Mouse』という新作では、PS VRをかぶった1人のプレイヤーがネコ役、コントローラーを持った4人がネズミ役となり、“だるまさんがころんだ”の要領でゲームが進む。

 ネズミは散らばったチーズを盗み出せれば勝ち、ネコはすべてのネズミを捕まえられれば勝ちというルールになっている。

『PlayStation VR』
▲『PlayRoom VR』の『Cat & Mouse』。

 『RIGS』はPS VRを6台用意し、3対3でチームに分かれて対決する。TGSでは、敵チームのロボットを倒すなどでパワーゲージをためていき、満タンになったらフィールド上部のゴールリングに自ら突入するとポイントを得られ、そのポイントが多いチームが勝ちというルールだった。

『PlayStation VR』
▲『RIGS』。『Cat & Mouse』もそうだが、ともにデモレベルではなくきちんとゲームとして遊べて、さらに複数人プレイの駆け引きもアリ。ワイワイ話しながら遊べるのが、おもしろさを加速している。

 実は最後の『JOYSOUND VR』も、コミュニケーションツールとしての機能を持っている。“究極のヒトカラ”という触れ込みで、自分の声の大きさに合わせて周囲の演出が変わったり、アイドルと同じステージに立って歌えたりと、非日常空間で歌えるというのが特長だ。

 一方、エクシングが開いたプレス向け体験会でもそうだったのだが、PS VRをかぶって歌ってる人を見て、周囲の人がツッコミを入れるのも楽しさのひとつだ。

 ヘッドホンをかけて周囲の声が聞こえないので、いつもより大声を出してしまうということが怪しくて(?)おもしろいし、VR空間でどこを見ているのか映し出されるテレビ画面を見て視界を共有できるのもいい。

 カラオケルームに導入されれば間違いなく人気のオプションになると思うのだが、エクシングさんいかがでしょうか?

『PlayStation VR』
▲名古屋のご当地アイドル“OS☆U”と歌えるステージ、
『PlayStation VR』
▲ボカロ曲の『千本桜』で声の大きさに合わせて舞う桜の数が変わってくるステージ。

 長々となってしまったが、まだおもしろさを知らない人々の入り口を作りつつ、VR独自の表現を突き詰めて、さらにコミュニケーションツールとしても磨きをかけているという、PS VRの現状がお分かりいただけただろうか。

 PS4は3万4980円に値下げされており、PS VRやPS Moveを含めても、Oculus Rift+ハイエンドゲーミングPCの価格を下回りそうだ。この多様性が来年上半期という発売日までにどれくらい仕上がっているのか。今から楽しみで仕方がない!

■東京ゲームショウ2015 開催概要
【開催期間】
 ビジネスデイ……2015年9月17日~18日 各日10:00~17:00
 一般公開日……2015年9月19日~20日 各日10:00~17:00
【会場】幕張メッセ
【入場料】一般(中学生以上)1,200円(税込)/前売1,000円(税込)
※小学生以下は無料

(C)SEGA / (C)Crypton Future Media, INC. www.piapro.net
(C)Spike Chunsoft Co., Ltd. All Rights Reserved.
(C)2010-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
(C)SHOJI KAWAMORI, SATELIGHT/Project AQUARION EVOL
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
(C)Sony Computer Entertainment Inc.
(C)Sony Computer Entertainment Europe. Developed by Guerrilla Cambridge.
(C)XING INC.

関連サイト

注目記事

アイコン別記事一覧

※クリックすると、ソートされた記事一覧に移動します。