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2015年12月15日(火)

生まれた意味を知る『テイルズ オブ ジ アビス』10周年。魅力的なキャラや爽快なバトルが充実【周年連載】

文:電撃オンライン

 あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中。

 第33回は、2005年12月15日にナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたPS2用ソフト『テイルズ オブ ジ アビス』の10周年を記念する思い出コラムを編集Oがお届けします。

『テイルズ オブ ジ アビス』
▲パッケージイラストは、人物の配置や顔の向きなどで、関係性を妄想するのも個人的には楽しみの1つ。発表当時は左上に描かれたアッシュがまだ未公開で、「この赤毛は誰だ!?」とワクワクしました。

 『TOA』の舞台となるのは、未来を記した予言(スコア)により支配された惑星オールドラント。この地はキムラスカ・ランバルディア王国とマルクト帝国の二大国家が支配し、長きにわたり対立を続けてきました。

『テイルズ オブ ジ アビス』

 そんな一触即発の均衡状態のなか、キムラスカ王国の公爵家の息子である主人公のルーク・フォン・ファブレは、屋敷に潜入した第七音譜術士(セブンスフォニマー)のティアと接触。その結果、超振動と呼ばれる現象が発生し、敵地であるマルクト帝国へ飛ばされてしまいます。ルークは故郷に戻る術を探そうとするも、世間知らずでさまざまな困難にぶち当たります。

 自身の出生、師との対立などさまざまな試練が彼を襲うのですが、くじけず向き合うことでルークは“生まれた意味を知る”ことになるのです。その劇的なラストはプレイした人の心を激しく揺さぶり、名作として今もなお語り継がれています。そこで今回の思い出コラムは、その名作たるゆえんを軸に『TOA』をひも解いていこうと思います。

『テイルズ オブ ジ アビス』

 なお、キャラクターデザインを手掛けるのは、いのまたむつみさんとともに、シリーズを支えてきた藤島康介さんです。

不遇な境遇のなかもがく主人公のルークが魅力

 『TOA』と聞かれてまず思い浮かぶのは、やっぱり主人公のルークでしょう。彼は世間知らずな時期と、自らを見つめ直して生き方を変えようともがく時期があり、その境遇と一生懸命に生きようとする奮闘する姿がファンの心をつかみました。

『テイルズ オブ ジ アビス』
▲ルーク・フォン・ファブレ(声優:鈴木千尋)

 なかでも印象的なセリフは、自分の過ちで多くの命を奪った時に口走った「俺は悪くねぇ」でしょうか。この責任転嫁するような言動に、当然仲間たちはあきれ、やがてほぼ全員が彼の前から立ち去ってしまいます。

 そんな状況に追い込まれ、初めて自分を客観的に見ることができたルークは、正しい道を歩もうと頑張るわけですが、そこに追い打ちをかけるように師であるヴァンが、いろいろと仕掛けてくるんですね。

『テイルズ オブ ジ アビス』

 本作のキャッチコピーの“生まれた意味を知る”という言葉は、この一連の流れで明らかになるのですが、後半はとにかく「ルーク、おまえは十分がんばった!」と、思わず声をかけたくなるほどつらかったのを覚えています。でもこんなに心が締め付けられたからこそ、今でも胸をはって「名作だ!」と言えるんじゃないでしょうか。

 ちなみに、途中に「変わるんだ!」という決意表明の証としてティアの前で長髪をバッサリ切るシーンは、はじめて見たときに驚きましたね。アニメーションの演出と合わせて、『TOA』屈指の名シーンだと思います。

『テイルズ オブ ジ アビス』
▲心を入れ替えたルークだけでなく、最初のころのルークが好きという声もチラホラ。なにせこの「俺は悪くねぇ」は、“テイルズ オブ フェスティバル”でのお約束の持ちネタになっているほどですし(笑)。
『テイルズ オブ ジ アビス』
▲心を入れ替える前から、相手を気遣う優しさを見せるシーンも。根っからの悪い子ではなく、気持ちを素直にうまく伝えられないだけなんです。

ルークを取り巻く仲間たちも“キャラ立ち”しまくり!

 主人公のルークだけでなく、彼を支える仲間たちを語らずにはいられないのが『TOA』。本作ではヒロインのティアやルークに仕える親友のガイをはじめ、個性的で魅力あふれるメンバーがそろっています。それは、10年たった今でも目を閉じれば掛け合いが浮かんでくるほど鮮烈に覚えています。その中でも一番のお気に入りは、“陰険鬼畜眼鏡”こと死霊使い(ネクロマンサー)のジェイド・カーティス。

『テイルズ オブ ジ アビス』
▲ジェイド・カーティス(声優:子安武人)

 彼は知識、戦闘能力ともにトップクラスの実力を持ちながらも、普段の言動はおちゃらけた感じで自分を見せない男です。ですが物語を進めると、許されることのない業(カルマ)を背負っており、それゆえの振る舞いでもあることが垣間見えてきます。さらに、普段は笑っているのに目の奥は笑っていないところも、スキをけっして見せない軍師(階級は大佐ですが)って感じがしてイイ。

『テイルズ オブ ジ アビス』

 『テイルズ オブ』シリーズにはいなかったタイプなので、そこにグッと惹かれました。あとは、なんだかんだ言いながらもルークを見捨てないし、最後は「ジェイドも俺の師匠だな」といわれるぐらいの関係になるのもよかった。まあ、これもすべて子安さんの、コミカルと冷酷でスゴミのある声色の使い分けがあるからこそ、ジェイドというキャラが成り立っているんでしょうね。

 そんな形でここではジェイドを取り上げましたが、彼のように主人公以外のキャラについて今も熱く語れるという点も、『TOA』が名作たるゆえんだと思います。

『テイルズ オブ ジ アビス』
▲ルークのあまりにも幼い言動に限界が来たジェイド。怒鳴りはしないが、心に突き刺さる辛辣な言葉がサラッと出るのはさすがのひと言。
『テイルズ オブ ジ アビス』
▲ルークから「師」という言葉を聞き、なんだかんだとまんざらではないジェイド。ふとしたときに見せるほほ笑みも、女性陣のハートをつかんでいるのでは!?

マスコットキャラの元祖(!?)が登場

 今や『テイルズ オブ』に欠かせない要素の1つが、キュートで誰からも愛されるマスコットキャラでしょう。『TOA』ではこのはしりとして、チーグル族のミュウが登場しました。

『テイルズ オブ ジ アビス』
▲ミュウ(声優:丸山美紀)

 『テイルズ オブ エータニア』のクィッキーをはじめ、これまでもかわいいキャラクターは登場していましたが、仲間と会話するタイプのマスコットは初だったのです。しかも「ですの♪」が語尾と、ある意味“あざといぐらい”のかわいさ(笑)。ルークが仲間に見放された時に、離れず寄り添う姿にキュンと来た人も多いはずです。

『テイルズ オブ ジ アビス』
▲出会ったころはルークにぞんざいに扱われたミュウ。でも、そんなヒドイ仕打ちを受けても「ご主人様」と慕い続ける姿にホロリ……。
『テイルズ オブ ジ アビス』
▲腰に付けたソーサラーリングの力で、炎を吐いたり体当たりで岩を破壊したりと、ルークたちの冒険をサポートしてくれます♪

革命的要素を多数盛り込んだ新機軸のバトルシステム!

 名作RPGといわれる作品は、物語やキャラクターはもちろん、戦闘をはじめとするゲームシステムにも革新的な試みが盛り込まれているのが定石です。もちろん『TOA』にもそんなシステムが多数あります。ここではそんな本作で生まれ、その後のシリーズにも受け継がれる革新的なシステムを振り返りたいと思います。

【その1】3D演出のバトルのおもしろさを教えてくれた“FR-LMBS”

 革新的なシステムの最たるものといえば、『テイルズ オブ』シリーズ伝統の戦闘システム“LMBS”(リニアモーションバトルシステム)を踏襲しながら、『テイルズ オブ シンフォニア』での3Dバトルシステム“ML-LMBS”(マルチライン リニアモーションバトルシステム)をさらに強化した“FR-LMBS”(フレックスレンジ リニアモーションバトルシステム)でしょう。

『テイルズ オブ ジ アビス』

 特定のボタンを押しながら動くと、バトルフィールドを縦横無尽に移動できる“フリーラン”が可能になったのです。これにより、仲間と挟撃したり、危険な攻撃を避けたりと戦略の幅が広がり、バトルフィールド全体を把握しながら戦うことが重要に。「3Dのバトルっておもしろい!」と、今後のバトルの未来を見せてくれました。

『テイルズ オブ ジ アビス』
『テイルズ オブ ジ アビス』 『テイルズ オブ ジ アビス』
▲モンスターの攻撃を華麗に避け、すかさず回り込んで背後から奇襲! そんな流れるように戦えるバトルは、「理想が現実になった!」と大興奮でした!

【その2】オーバーリミッツで一発逆転!

 今では秘奥義の発動条件に絡む要素として定番のオーバーリミッツ。じつはシステム自体は『TOS』で登場していたのですが、任意で発動できるようになったのはこの『TOA』が初だったりします。

 オーバーリミッツ発動中は攻撃力や防御力など基本性能が大幅にアップし、ここぞというタイミングで使って押し切ったり、ピンチをしのいだりと、バトルに新たなスパイスが加わりました。

『テイルズ オブ ジ アビス』
『テイルズ オブ ジ アビス』 『テイルズ オブ ジ アビス』
▲オーバーリミッツ発動中に奥義を使い、○ボタンを押し続けると秘奥義が発動します。こちらはルークの“レイディアント・ハウル”!

クリアしてわかるテーマソング『カルマ』のスゴさ!

 1995年に発売された初代『テイルズ オブ ファンタジア』のころからテーマソングを採用し続けてきた『テイルズ オブ』シリーズ。すでに定番である要素をなぜあえて取り上げたのかというと、それはこの曲を手掛けたBUMP OF CHICKENの藤原基央さんが、ゲームの内容を踏まえたうえで作詞を行っているからです。

 ネタバレ満載なので深くは語りませんが、さまざまなキーワードが歌詞と重なり、当時は衝撃的なエンドと合わせて思わず涙腺崩壊しちゃいました。個人的にこの曲はシリーズでも3本の指に入る名曲だと思っています。

『テイルズ オブ ジ アビス』
『テイルズ オブ ジ アビス』 『テイルズ オブ ジ アビス』
▲アニメーションと音楽のシンクロ度合いも神がかっています。ルークとアッシュが剣を交えるところは特にお気に入り!

今年で20周年を迎えた『テイルズ オブ』の未来に期待!

 というわけでシリーズ10周年記念タイトル『TOA』について語らせていただきましたが、今年は初代『TOP』から数えると、20周年なんですね。そんな節目には、現在発表されている『テイルズ オブ ベルセリア』をはじめ、TVアニメーション展開など多くの仕掛けが用意されています。

 10周年の『TOA』でこれだけ驚かせてくれた『テイルズ オブ』が、その倍の20周年目にどんな驚きを与えてくれるのか。いちファンとして今から期待で胸がいっぱいです!

【周年連載 バックナンバー】

→第33回:生まれた意味を知る『テイルズ オブ ジ アビス』10周年。魅力的なキャラや爽快なバトルが充実【本記事】

→第32回:業界に衝撃を与えた『龍が如く』から10年。重厚な人間ドラマと遊びの幅の広さは初代から健在

→第31回:『風来のシレン』20周年。お竜にドーーン!! ガイバラにイッカァーーン!! ペケジに倒される!?

→第30回:『ダンガンロンパ』1作目発売から5年! 人気シリーズの開発当時を主要メンバーが振り返る

→第29回:セガサターン名作紹介。編集・ライターのおすすめソフトは!?

→第28回:名作『ワンダと巨像』10周年。今なお色あせない“巨像と戯(たわむ)れる”濃密な時間

→第27回:『クロックタワー』20周年。名作ホラーの思い出をややネタバレありで掲載

→第26回:初代PlayStation(プレイステーション)20周年。おすすめゲームを編集/ライター25人が選出

→第25回:『ぼくのなつやすみ』シリーズ15周年。ボクくんとの夏休みを振り返り、新作への思いを馳せる

→第24回:『アイドルマスター』10周年を記念してガミP、ディレ1を直撃!

→第23回:『アイドルマスター』サウンドチームに聞く楽曲制作の狙い。765と346の曲作りで意識したこと

→『MOTHER2』20周年、『ライブ・ア・ライブ』20周年など、その他の周年連載の記事はこちらから

(C)藤島康介
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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