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2016年8月20日(土)

『アンリミテッド:サガ』をみんなで再評価。スマホ向けかもしれない骨太やり込みRPGを語り合う

文:まさん

 2014年12月で記念すべき25周年を迎えたスクウェア(※現スクウェア・エニックス)の名作RPG『サガ』シリーズ。電撃オンラインでは、シリーズを振り返る“サガ25周年記念連載”を展開中だ。

 振り返り企画のラストとなる今回は、2002年12月19日に発売されたプレイステーション2用RPG『アンリミテッド:サガ』の編集部座談会をお届けしよう。

『アンサガ』

【アンサガが発売された2002年はどんな年?】
<主な出来事>
・ソルトレイクシティオリンピックが開幕
・日本経済団体連合会(経団連)が発足
・日本国内で住民基本台帳ネットワークシステムが開始
・日朝首脳会談で北朝鮮の金正日総書記が日本人拉致問題を公式に認める
・東ティモールが独立し、21世紀初の独立国家となる
・2002 FIFAワールドカップ開催

<主なゲームソフト>
・グランディア エクストリーム
・スーパーロボット大戦R
・スーパーマリオサンシャイン
・ゼノサーガ エピソードI 力への意志
・バイオハザード0

<主なTVアニメ>
・あずまんが大王
・OVERMANキングゲイナー
・機動戦士ガンダムSEED
・フルメタル・パニック!

【座談会参加者】

まさん:すべての『サガ』シリーズはもちろん、『ファイナルファンタジーII』や『ワイルドカード』など、河津氏の作品をこよなく愛するライター。好きな『サガ』は全キャラのエンディングを見たという『アンリミテッド:サガ』と『時空の覇者 Sa・Ga3 [完結編]』。

ごえモン:25周年記念特集を企画した電撃オンラインの編集。『魔界塔士 サ・ガ』からシリーズに入り、『ロマサガ2』の“閃き”と世代交代のドラマに衝撃を受ける。その後、中学生時代に遊んだ『サガ フロンティア』の連携の美しさの虜となった。

ゴロー:電撃オンラインの名物編集。対戦格闘ゲーム『バーチャファイター2』をきっかけに上京し、“五郎弐千歳”というリングネームで20年近く遊び呆ける。『ロマサガ2』の竜槍ゲイボルグの固有技“下り飛竜”は都市伝説と思い込んでいた。

やあ、ボクはキャッシュ! ボクと一緒に『アンサガ』のはなしをしよう!

『アンサガ』

まさん:さて、やっと『アンリミテッド:サガ』こと『アンサガ』の話ができますね。いや~、本当に『アンサガ』はメッチャクチャおもしろかったんですよ!

 メッチャクチャおもしろかったと言いつつも、メモリーカードのデータが残っていないので記憶があいまいな部分はありますが……。この座談会のためにちょっとやり直してみたのですが、やっぱり『アンサガ』は名作でした(断言)。

ごえモン:もう14年前のゲームになるんですよね。2002年と言えば、僕は高校3年生で受験シーズンでした。当時、推薦が決まっていたので毎日遊んでいたのですが、この時期は囲碁ブームでネット碁ばかりやっていたので、あまり『アンサガ』を遊んでいないんですよ。

まさん:えぇ~、それはもったいない……。

ごえモン:いや、何回も挑戦してはいるんです。いつもヴェントを主人公に選んで始めるのですが、どうしても途中で挫折しちゃって……。でも、なぜかある日突然また遊びたくなって、イチからやり直すんですよね。

ゴロー:ヴェントは唯一育てなおしができるキャラクターだから、初めてクリアするなら最適ですよ。自分は発売された当時27歳で『バーチャファイター』全盛期でした。

 タコ部屋で『バーチャ』勢と暮らしていたのですが、友だちが来ていない時にプライベートで『アンサガ』を遊んでいました。『サガ』シリーズと聞いて反射的に買っちゃったのですが、説明書を見てもよくわからなくて。

 一番最初に詰まったのが、まず普通にフィールドを移動できないこと(笑)。アナログスティックを倒しっぱなしにすると移動できることに気づかなくて、どのボタンを押しても動かないから焦りました。その間に敵がどんどんエンカウントするし……。

まさん:わかります(笑)。最初はみんな移動方法に気づかないんですよ。操作が全部独特なので戸惑うんですよね。

ゴロー:移動できたときの感動は忘れられない。『アンサガ』って入口の部分から斬新なゲームだと思います。

まさん:自分は『アンサガ』が発売されたときに大学生だったので、ヒマに任せて遊びまくっていました。ゲーム雑誌を読んで店頭のムービーを見て「ウワー、カッコイイ!」と思って発売日に定価で買って、ネットの攻略掲示板に入り浸りながら朝から晩までプレイしていました。

 当時からすごく楽しんでいたのですが、ネットを見ていると“操作方法がわからない”とか“何をしていいのかわからない”とか、どうもこれまでの『サガ』発売直後とは雰囲気が違う。本当に誰もが手探りで、みんなで協力しながら攻略するのが楽しかったという記憶があります。

ゴロー:自分は攻略サイトを使わない派だったので、残念ながら当時の雰囲気はわからないですね。絵のタッチが水墨画風なのに惹かれて買ってみたものの、最初は「本当にこれは『サガ』シリーズなのか?」と疑ったくらいで……(笑)。

 “ひらめき”は残っているんですけど、システムがいろいろ変わりすぎていて戸惑いながら遊んでました。

まさん:このゲームは情報を交換しながら遊んだほうが絶対に楽しいですよ。ネットが発達した今の時代に向いたゲームかも。自分も最初は移動すらできない、待機して回復するのがわからない、といろいろ悩みました。

 まずメインシナリオの進め方がわからなくて、クエストを受けずに町から出ちゃって???ってなるし、町に着いても何をしていいのかわからない(笑)。

 サブクエストを受けたら受けたで、宝箱すら開けられない。適当にやったらボカーンと宝箱が爆発しちゃって「えぇー!?」ってなる。その試行錯誤が本当に楽しかったですね。うん……今思い出すと、よくクリアできたなって思います(笑)。

ごえモン:確かにいつも宝箱が爆発してた(笑)。あと、トゲワナだらけでダメージを受けまくっていた記憶もあります。

『アンサガ』
『アンサガ』
▲移動の仕方がわからない。ワナに引っかかる。宝箱の開け方(スキルで罠外し→鍵開け→アクションの順番に選ぶ)がわからない。回復の仕方がわからない。落ちているアイテムを拾えない……。すべての操作が新しく、とにかく斬新!

ゴロー:当時、自分の周囲も『サガ』シリーズだから遊んでみようと始めていたのですが、どんどん挫折していました。自分1人だけ遊び続けていたのですが、その理由の1つが“リール”なんですよ。

 ワナのリールは目押しできなくてスキルレベル依存なのですが、戦闘中のリールは目押しができるんです。自分はスロットをやっていたので、ドヤ顔で「みんな、オレンジ色のところでちゃんと目押しできる?」とか言いながら自慢げに遊んでいました(笑)。

 レベルが高い技もバッチリ目押しできたので“このゲームは俺のためにある”と。

まさん:自分の周囲でも『サガ』好きの友だちがみんな挫折していて、遊んでいたのは自分だけでした。一応、ラスボスのカオス・ルーラーまで行けた『サガ』友だちもいたのですが、カオス・ルーラーが全然倒せないと相談されて、教えても倒せなかったという。

ごえモン:自分はラスボスにすら行けなかったので噂しか聞かないのですが、カオス・ルーラーってそこまで強いんですか?

まさんゴロー:強いってもんじゃないですよ!

まさん:ぶっちゃけ、シリーズ史上最強のラスボスだと思います。このゲームって敵も味方もHP0では死なず、LPを0にするまで削り合うゲームじゃないですか。

 カオス・ルーラーは、単純にLPをボッコボコ削ってくる攻撃が多いんですよ。しかも、相手はHPもLPも多くて全然死なない。そのうえ、何形態にも変身してそれまでの苦労をリセットしてくる……。

ゴロー:最終形態の“オーバーキル”と連携が本当にヤバイ。パーティが壊滅してどうしようもなくなって、替えの仲間もいなくなって「はい、終わり」という絶望を突きつけられてやられるんです。

まさん:一応、『ロマサガ2』の“クイックタイム”みたいな抜け道もあるんですよ。このゲーム最大の禁忌である“全身鎧”。カオス・ルーラーも全員がライフ防御をつけた全身鎧で挑めば、難度がグッと下がって倒しやすくなります。とは言え、きちんと育成して仲間のローテーションも考えないと勝てませんが。

ごえモン:“全身鎧”って、確かアイテムをどの部位にも装備できることを利用した裏技でしたっけ。鎧を全身に装備してHPダメージを減らすってやつですよね?

まさん:ええ。河津さんがインタビューで言っていた「遺物は本来の使い方がわからないから、全身のどこにでも装備できる」という設定からくる仕様を利用した裏技です。

 これだけだとHPダメージしか防げませんが、ライフ防御のアビリティがついた鎧を装備すればラスボス戦でもLPが減りにくい!

ゴロー:でも、全身鎧なしでカオス・ルーラーを倒した達成感は半端じゃないですよ。この時期のRPGは基本的にヌルくて、ラスボスが弱いゲームばかりだったから衝撃的でした。

まさん:ゲーム業界全体として、だんだん難易度が下がっていく風潮でしたからね。そこに反逆している。……カオス・ルーラーは強すぎだと思いますが。

ゴロー:クリアできたから「ラスボスはこういうものだ!」って思いましたよ。もしクリアできなかったら、今ごろ「ふざけんな!」って怒っていたかもしれないけど(笑)。

ごえモン:ははは、ラスボスまで行けなかったから、その気持ちがわからない……。『サガ』シリーズなんだから、5連携を使ってLPを削ったりしても勝てないんですか?

まさんゴロー:全滅する気ですか!

まさん:『アンサガ』の場合、数の多い連携は敵が割り込んでくるから基本的にやっちゃダメなんですよ。3連携でも危険なのに5連携なんて狙った日には速攻で壊滅しますからね。

 基本は単発技で戦わないと死を招きかねません。下手したら、連携しなくても“滅殺異界のオーバーキル”。

ゴロー:そうそう。「連携を使ってこないで、強い技を使わないで……お願い!」と言いながら、地道にLPを減らして倒していた記憶がありますよ。“滅殺滅殺滅殺剣”とかやられたらどうしようもないし、このゲームのLPの減りは“運”も大きいかも。

ごえモン:確かに、LPは序盤から2以上のダメージを受けてガンガン減るのにビビった記憶があります。しかも道中でLPを回復できない。このゲームだとHPはLPを守る盾でしかないからHP0でガンガン進んでいたんですけど、それをやると詰まっちゃうことに気付くのが遅かった。

まさん:だから全身鎧が有効なんです。まあ、できるのは装備がそろい始める中盤からですし、それがあっても詰まるポイントは多いですが……。たとえば、キャラクターの成長はシナリオクリア時の取得パネルの配置で決まるので、そこをいい加減にすると詰み。

ごえモン:はい、ハマりました(笑)。いつもの『サガ』シリーズみたいに技を覚えようとひたすらザコ敵と戦っていたら、どんどん敵が強くなっていっちゃって……。

ゴロー:しかも絶対にパネルを配置しなきゃならないから、ステータスが下がるダメなパネルがくるときもあるんですよ。クエストをクリアしたら逆に弱くなっちゃうのが斬新だった(笑)。

『アンサガ』
『アンサガ』
▲同じスキルパネルでも、配置する場所で強化される能力が変化。出てくるスキルパネルも道中の行動で変わるなど、初見ではわからないことが多いのも『アンサガ』の魅力なのです!

まさん:何を言っているんですか。しょぼいのがきたらリセットしてパネルを取り直すに決まっているじゃないですか! 当時、ネットの攻略サイトで掲示板の人たちと競うように遊んでいたのですが、みんな、そこまでやっていましたよ。

 そうそう、今でも覚えているのですが、発売してから1週間後くらいかな? ネット上で初めてクリアした人が出始めて“イスカンダール編”が存在しているというデマが流れたんですよ。

 7人の主人公をクリアするとイスカンダールが主人公として使えて謎が解ける……という情報があって、半信半疑ながら信じちゃったんです。で、必死になって7人クリアに挑戦してみた。

 当然、デマなので7人全員をクリアしてもイスカンダール編なんてなく、スタッフロールと『天翔ける翼』が流れて終わりました(笑)。いやー、あのときデマを流した人。未だに許していません!

ゴロー:(笑)。でも、ちゃんと『天翔ける翼』を自力で聴けるご褒美があったからよかったじゃないですか?

まさん:それはそれでよかったのですが、そういう問題じゃありませんよ! ボクは、イスカンダールを主人公として使いたかったんです。ルビィ編では仲間になりますけど、過去編としてイスカンダールを使って、アリス・アンブローシアとリース・トーレスとパーティを組んで七大脅威を制覇したかったんですよ!!

ごえモン:まあまあ、ネットにデマはつきものですからデマをデマと見抜けない人は云々です。でも、それをモチベーションに7人遊ぼうとするのはすごいですよ。『アンサガ』に選ばれた人たちには、本当に心底楽しめるゲームだったということですね。

何か用? 主人公ごとの難易度も知らずに『アンサガ』に近づくとケガするよ!

まさん:『アンサガ』って7人の主人公がいますが、7人全員で難易度も攻略法も全然違うんですよね。加入する仲間も違えば、挑む7大脅威もラスボスの前に出てくるボスも違う。だから遊ぶ人によって詰まるポイントが全然違ってくる。

ゴロー:自分は全員プレイしたわけじゃないけど、聞いた話によるとルビィが一番難しいんでしたっけ?

まさん:いえ、違いますよ。ルビィは七大脅威を全部回ることと、ほかのキャラクターのシナリオをクリアしていないと理解できない話があるので最後にプレイしたほうが楽しめるというだけです。難易度で言えば、真ん中くらい?

 自分の記憶では、序盤が1人ぼっちで銃使いというツラさ。最後までLPの少ない女性しか仲間にならず、ラスボス戦が厳しいマイスが苦戦しましたが、マイス編も慣れるとそこまで難しいシナリオではないですし……。

 簡単な順番から言えば、何度も“運び”ができて延々と育成できるヴェント。あとは、パーティに入る家族が強くてメインシナリオも比較的楽なジュディかな?

 この2人で始めないと『アンサガ』自体を投げ出す可能性があると思います。初心者はヴェントで育成してゲームのシステムに慣れたあと、ジュディで術の使い方を覚えたほうがいいです。

ごえモン:『アンサガ』だとほとんど術を使った記憶がないのですが、術ってそんなに強いんですか?

まさん:極めれば最強ですよ。極めれば。頑張って魔道板L4を手に入れて“術合成”のスキルパネルを手に入れて……と、使えるようになるまでの手順が複雑かつ大変なので、まともに使えるようになるまで極めるのはやり込みのレベルだと思います。

 “外道の書”なんて、いったい世界で何人手に入れることができたんですか、アレ。

ゴロー:術は使いこなせなくて、まったくしっくりこなかったんですよね。結局、自分では何が強いのかわからなかったままクリアしました。

まさん:完全にやり込み要素ですからね。ヘタに手を出すと泣きを見るので、クリアするだけなら技だけに絞って覚えていったほうがいいと思います。

ごえモン:奥が深すぎる……。ヴェントとジュディ以外にカンタンなキャラクターっていないんですか?

『アンサガ』
▲初めての人におすすめなのがヴェント編とジュディ編。それ以外のキャラクターには『アンサガ』特有のワナが仕掛けられているので、最低1人はクリアしてから選びましょう。

まさん:そもそも簡単なキャラクター自体いません。ヴェントとジュディは“このゲームの中では”比較的難度が低いだけです。あとはオーソドックスなローラも遊びやすいかな? ただし、途中のルート分岐で間違えるとラスボス戦とその前座が高難度になるワナがあります。

 ダグル・ボースというアヌビスみたいな敵と戦うところがあるのですが、そこでわざと負けて敗北ルートにいかないと難度が上がるんですよ。勝ってしまうとラスボス戦がツラくなるので、1周目でやっちゃうと難しくて詰むと思います。

ゴロー:2分の1の確率で難しくなっちゃうのかい! でも、自分は初見でローラを選んでクリアした記憶がありますよ。デフォルトでカーソルがあっているから、簡単だと思っちゃうんですよね。

まさん:勝つとラスボス戦が難しくなるだけで、そこまでは比較的楽……ではないですが、慣れれば進めますから。パーティも悪くないですし。自分はダグル・ボースに勝っちゃってラスボスに勝てず、最初からやり直しましたけど!

 確実に一番難しいのはアーミックかなぁ。アイテムを集めていくというシナリオなのですが、とにかく『アンサガ』の知識が前提にないと何もできなくなって詰みます。

 流通ランクも高くないと苦労しますし、クリアデータを引き継いで2周目以降で楽しむ主人公です。とにかくアイテムの仕組みがわかっていないと何もできなくなる章。

ごえモン:つまり、一番難しいのってアーミック編なんですか?

まさん:絶対にアーミックだと思います。あとはキャッシュだけ語っていませんが、キャッシュは序盤の剣難峡で苦労するのと突然発生する“ガントレットバトル”が面倒なので初心者にはおすすめできません。

 その代わり、一定のところを越えれば自由度が高くなるので、慣れてくるとちょうどいいかも。正直、どの主人公も難しさが違うので『アンサガ』を初めてやる人にはどれもツライといえばツライから、いきなり好きなキャラクターを使って挫折するのも『アンサガ』の醍醐味ですよ。1周目はチュートリアルです!

『アンサガ』
▲キャッシュ編は15分に1回発生するガントレットバトルがやっかい。よくコントローラーを放置する人だと、ガントレットバトルがバンバン発生します。武器が壊れた状態で発生すると泣きを見ることも。

ごえモン:いやですよ。ちゃんと勝ちたいじゃないですか。それに自分はキャッシュを選ばないと思います。キャッシュはパーティが男ばかりだから一度も使いませんでした。

ゴロー:色気がないんですよね。キャッシュのシナリオ。ハーレムパーティのマイス編のほうが興味あるなあ。

まさん:おい! 剣難峡さえ越えれば、リラム族のプラティフィラムが仲間になるでしょ! まあ剣難峡越えるのが辛いし、上級者向けの見た目をしていますけど彼女。結論としては、主人公はヴェントとジュディ以外どれも難しいと思っていいと思います。

『アンサガ』
▲植物をモチーフにしたリラム族のプラティフィラムさん。キャッシュ編で紅一点となる癒し系の女性です。……女性なのかな?

毎夜毎夜『アンサガ』の夢を見る。起きていても『アンサガ』の曲のことばかり考えていて、何も手につかない。こんなこと初めてだ。

ゴロー:『アンサガ』で一番好きなのは、やっぱりBGMです。とくに通常戦闘曲の“バトルテーマI”がすっげえ好き。『サガ』シリーズの大半とは雰囲気が違って透明感があるんですよね。バトルっぽくない曲なのですが、聴いていくうちにすごく好きになりました。

まさん:アレはいい曲です。みんな『アンサガ』というと通常戦闘曲ばかりあげますが、町(キャラクター)のテーマもいいですよ。キャッシュのテーマとかローラのテーマとか、綺麗な曲が多くて。

ごえモン:すみません。『アンサガ』だと町にほとんど滞在しないのと、ほかのキャラクターを使っていないから各キャラクターのテーマがわからないです。

まさん:も、もったいない! サントラを聴くと本当にいいですよ。『アンサガ』の町ってショップと鍛冶屋くらいしか施設がないですし、会話も宿屋でちょこっと見るだけですから、確かに覚えていないのもわかりますが……。

ゴロー:出口とショップしかなかったり、本当に必要最低限のものしかないんですよね。そこも思い切っている。

『アンサガ』
▲必要最低限の施設だけで構成された町。『サガ』シリーズらしいぶっきらぼうさが極限まで出ている仕様に、戸惑った人も多いとか。

まさん:今考えると『アンサガ』は携帯ハード向けなんですよ。ワンダースワンで出ていた自分のフェイバリットカードRPG『ワイルドカード』みたいに携帯ハードで出ていれば、もっと気軽に遊べて当時の評価も違ったと思ってます。

ごえモン:言われてみれば、今の時代から見るとスマホ向けのゲームかもしれません。移動の仕方もアプリのRPGっぽいですし、スマホに移植したらダラダラと遊べるんじゃないかな。

ゴロー:目押しもタップのほうがやりやすいし、時代が早すぎたのかも。ただ、今の時代に出すならヘルプを充実させたほうがいいですよ。

まさん:『アンリミテッド:サガ 解体真書』を読んで初めてわかった情報が大量にあるくらい、奥が深いです。カオス・ルーラーに勝てる確率だって、製作者が準備万端にしても6割を切るとか鬼畜すぎでしょう(笑)。

ゴロー:あの時期にこれほど自分で開拓していくゲームは珍しかった。『サガ』シリーズの中でも、とくにユーザーをほったらかしているから詰む可能性が高い。自分は2キャラ目で詰んでやめちゃいました。

まさん:途中で詰んだら最初からやり直して当たり前ですから。セーブデータを別に取っておかないと危険ですし、ラスボスで勝てなかったら最初から鍛え直すのも視野に入れないといけない。いつの時代のゲームなのかという厳しさですが、そこが好きな人にはたまらないんです。

ゴロー:ただ、思い返してみるとカオス・ルーラー以外のボスにまったく思い入れがないんだよね。『サガ』シリーズってボスに思い入れがあるんだけど、カオス・ルーラーが強すぎて、そこで苦戦した記憶しかない。

まさん:そんな……ナイト・オブ・ザ・ラウンドテーブルとか獅子王とか覚えてません? ジーン・ムーアさんとか最高でしょ!? 声優が雪野五月さん(※現在はゆきのさつきさん)ですよ?

ゴロー:ストーリーが難しすぎて理解できなかったのも、キャラクターを覚えていない理由なんじゃないかと思っています。

まさん:いや、難しいというよりも説明がなさすぎるからだと思います。ラスボスだってゲーム中だとなんだかわからない(笑)。「あとはユーザーが想像してね」というところが『サガ』っぽくないですか?

ごえモン:河津さんのゲームの特徴ですね。装備ですら、何かわからない物だから頭や体のどこにでも装備できる。ゲーム内のキャラでさえ本来の使い方がわからないからという理由づけもすごい(笑)。

 ナイト・オブ・ザ・ラウンドテーブルは“七大脅威”について知っているけど、敵だから主人公たちに説明なんかしない、というこだわりも最高。親切に説明してくれるボス敵にこの姿勢を見せてあげたいです。

『アンサガ』
▲どの部位にも装備品をつけられる斬新なシステム。全身にソックスを装備させたフランシスとかもできます。全身ソックス(超弱い)。

ゴロー:盾に見えるけど、もともとは鎧だったかもしれない。プレイヤーと主人公たちの知識量が同じで、右も左もわからないんですよね。だからゲーム中でわかることしかわからない。

まさん:当時よりも、情報が充実している今のほうが再評価されている作品なんですよね。奥の深さがネットの集合知で明らかになって、やればやるほどおもしろいゲームという評判に落ち着いています。

ごえモン:あの時代に『アンサガ』という変わったソフトが、ドーンと出てきたのはインパクトがありました。未来に行き過ぎたゲームが出ちゃって、プレイヤーの感性が追い付いていなかったのかもしれません。

ゴロー:難しいと言うけど、全身鎧という救済措置もあるんですよね。自分は、こだわりがなくてイヤだから使いませんでしたが。

まさん:『アンサガ』マニアは全身鎧を認めないという人も多いですね。自分は7人クリアをしたかったので途中から妥協して使いました。ゲーム自体も、テーブルトークRPGやボードゲームに回帰した感じが好きでしたね。

ごえモン:今までのRPGは比較的ほかのRPGの文法が通用したじゃないですか。『アンサガ』は、それがほとんどない。1からのスタート。『サガ』の知識もあまり通用しないし、ひらめいても目押ししないとその技が使えない。『サガフロ2』をさらに発展させた形で、LPを削り合うゲームに変わった。

『アンサガ』

まさん:目押しもそうですけど、敵に連携を割り込まれるところも印象的でした。敵も味方もLPを大幅に削られるので連携が怖い。でもこれだけは言わせてください。かわづ連携ができるのは『アンサガ』だけですからね! “かわづフルチンオーラ”と“かわづフルチンダンス”ができるのは『アンサガ』だけなんですよ!!

ごえモン:それ、本当にそこまで主張するほど重要なことですか……? “かわづがけ”から発動する連携ですよね。

まさん:“かわづがけ”+“フルスイング”+“チンクラッシュ”だったかな。狙って出すのは難しいのですが……あと“なで斬り”と組み合わせて“かわづフルチンなで斬リ”とかもできたはず。途中で攻略するのに疲れるとネタ連携を作るんですよ。

ゴロー:とりあえず、“かわづがけ、フルスイング、チンクラッシュ”まではワンセットなんですね。自分の周囲では流行らなかったんですけど、本当にかわづ連携を探す文化なんてあったの?

まさん:自分の周囲では、自然と“かわづ連携”探しが流行っていました。あと、ネット上でも探している人たちがいたような記憶が。当時、ネット上の攻略は濃い人しか残らなかったので、かなり熱かったですよ。

ごえモン:少し特殊な方向性の熱さですね。主人公によって加入するサブキャラクターが決まっているから、好きなパーティで戦えないところも『サガ』っぽくない要因かも。

ゴロー:町の名前も思い出せないくらいアッサリしているし、電撃オンラインのランキングでもキャラクター人気はあまりなくて、キャッシュが70位で『アンサガ』の中では1番だったくらいシステム寄りなんですよね。

まさん:メインの主人公っぽく見えるローラさんも30代未亡人で、ニッチすぎます。アンリ王子との逃避行は、今で言うおねショタでは!? ライトニングさんとホープくんの先駆けですよ!

ゴロー:それはない(笑)。でも、こうやっていろいろ話していると、もう1回やってみたいと思えるんですよね『アンサガ』。

『アンサガ』

どうも、PS2の『アンサガ』です。スマホに移植よろしくー

ごえモン:そろそろシメということで、皆さんが考える『アンサガ』の魅力について聞いてみたいと思います。どこが一番好き? 試行錯誤を楽しむ部分?

まさん:手探り感かなあ? もう1回7人全員をクリアしろと言われたらやらないと思いますが、『アンサガ』を再プレイして、どのキャラが一番効率よくクリアできるのか挑戦してみたい気持ちはあります。

ゴロー:ほかにないシステムをいっぱい取り入れていたのが、個人的にモチベーションが上がる要因の1つでした。新しいものが好きなんですよ。マゾさも含めて、ほかでは体験できないじゃないですか。戦闘も成長システムも移動もそう。

まさん:確かに新しいですが、ちゃんと理解して遊べばラスボスまで進められるいつもの『サガ』でもありますよ。ラスボスが強すぎるだけなんです。スマホでリメイクしてほしいですが、下手にいじらなくてもいいかなあ。ベタ移植してほしい。

 魔道板とかスキルパネルでリセットを繰り返すゲームなので、スマホはピッタリなんですよ。ダンジョンのなかで中断セーブして、それをいったん別のメモリーカードに移す。再開してダメなパネルだったらデータをコピーしてと、PS2だとかなり手間でした。

ゴロー:『アンサガ』を遊び込む人って、そんなことまでするの!?

まさん:データコピーを利用して、スキルパネルとか魔道板を厳選するんですよ。開発者的には推奨しない遊び方だと思いますが、おそらく『アンサガ』好きはやっていると思います(笑)。

ごえモン:そう聞くと、とがっていて素晴らしいゲームだったと思いますが、当時のハードには合っていなかったのかも。今ならスマホに移植すれば遊びやすいと思います。スマホユーザーにいきなりコレを投げるのはきついかな(笑)。

まさん:課金システムを取り入れればいいんですよ。ゲームバランスはそのままで、ガチャを引けば魔道板やレアパネルが手に入るようにすればいいんです。

ゴロー:合成術確定ガチャとか、外道の書確定ガチャとか絶対引いちゃうよ。でも、マイナスパネルが出るランダム性があったからこそ、よかったという気もするけどなあ。先が見えているよりも、何が出るかわからないほうがいいじゃないですか。

まさん:こうやって思い返すと、やっぱりおもしろかったですよね『アンサガ』。武器の耐久度とか、システムをかなり詰め込んでいるところも好きでした。

ごえモン:あったあった。簡易修理とかしないといけないんですよね。武器の耐久度はどんどん減っていって使えなくなっちゃうし、シナリオ中の緊張感がすごかった。

まさん:町に戻ったあとも、何をすればいいのか最適解を見つけるゲームでした。覚えることが多すぎたからみんな混乱したのだと思います。よくも悪くもオンラインゲームのようなシステムですね。

ごえモン:ああ、確かにそうかも。『サガ』オンラインみたいになっていてもおもしろかったかもしれません。

まさん:演出もよかったですよ。『サガフロ2』や『アンサガ』のような水墨画風の1枚絵を背景にするセンスって、ほかのRPGだとあまり見ないですよね。そこもスマホっぽい。『ワイルドカード』とセットにして移植してほしいですね。というわけで話したかった『アンサガ』の思い出を語りつくしたから、『サガ』特集は今回でおしまいです!

ごえモン:『サガ スカーレット グレイス』の情報が出てきたら、また何か始める可能性もありますが、ここでいったん終了です。今までありがとうございました!

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