スクウェア・エニックスが運営するオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV(以下、FF14)』。本企画では、ヒカセン兼ライターが膨大なプレイ時間をかけて旅する中で出会った、『FF14』の“好きなクエスト”や“好きな台詞”を振り返りつつ紹介していきます。

今回の『FF14』振り返り記事では、パッチ5.5『黎明の死闘』のメインクエストより、光の戦士のある選択肢と、それに強く結びついているアルフィノについてお届けします。
「グランドカンパニー・エオルゼア」(主人公)
●メインクエストLv80“エオルゼアの名の下に”(パッチ5.5『黎明の死闘』)

今回の名言は、『暁月のフィナーレ』に繋がるメインクエストで登場した光の戦士のとある選択肢ですが、そのよさを語るには光の戦士自身ではなく、アルフィノについて語らなければいけません。
「我ながらややこしいセリフを選んだなぁ……」と思いますが、今回の名言は『黎明の死闘』までアルフィノが歩んできた旅路の一つの終着点だと思うので、じっくり振り返っていきます。
アルフィノは学術が盛んな“シャーレアン”からエオルゼアにやってきた天才少年で、『新生エオルゼア』からずっとメインストーリーの第一線で活躍してきました。光の戦士との付き合いも長く、“暁の血盟”のなかでも特に距離感が近いと感じられるNPCのひとりですね。

そんなアルフィノですが、『新生エオルゼア』での印象は、正直言ってあまり良くなかった気がします。
優秀な学者が集うシャーレアンでも「天才」「神童」と称えられて育った彼は理想がとても高く、自分が考えることは常に正しいのだという確信が立ち振る舞いから滲み出ていました。
良く言えば自信家、悪く言うと高慢なお坊ちゃん。困ったことに(?)彼に悪気は一切なく、“エオルゼア救済”の理想と真摯に向き合っていたのは伝わってきたので「彼はこの先大丈夫なんだろうか?」と、ヤンチャな甥を見るような気持ちにさせられました。根はいい子だからこそ心配……!

蛮神やガレマール帝国といった脅威に晒されるエオルゼアを救うには、国家の垣根を越えて問題を解決する枠組みが必要だと考えたアルフィノ。
彼は、エオルゼア全体を取りまとめる壮大な組織“グランドカンパニー・エオルゼア”の設立を目指します。
今回の名言である「グランドカンパニー・エオルゼア」は、この時点で登場していたのです。アルフィノが思い描く理想の象徴として。

ですが、アルフィノの理想は現実によって儚く打ち砕かれました。
『第七星暦ストーリー』のクライマックス(という名のトラウマ?)“イシュガルド戦勝祝賀会”において、アルフィノは自らが立ち上げた組織“クリスタルブレイブ”に裏切られます。
クリスタルブレイブはグランドカンパニー・エオルゼア設立を目指す有志によって結成された組織でしたが、メンバーの一部がウルダハ共和派の手駒にされ、ナナモ女王暗殺や“暁”の壊滅といった惨事を招く引き金になりました。

アルフィノ自身も冤罪をかけられ、イシュガルドへ亡命することに。
綺麗な理想だけを見ていたせいで醜く汚い現実に気づけなかったアルフィノは、人生で初めての挫折を味わったのです。


しかし、アルフィノの物語は挫折から始まります。すべてを失ったアルフィノは今までの“お坊ちゃん”な自分を反省し、光の戦士とともに冒険する中でかけがえのない経験を積み重ねます。自分の足で世界を歩く日々の中で、アルフィノは自分はまだ何も知らない未熟者だと悟っていきました。
個人的には『蒼天のイシュガルド』から始まったエスティニアンとの関係は、アルフィノの成長を象徴していると感じます。
“竜詩戦争”の第一線で戦ってきたエスティニアンに、アルフィノは何度も「アルフィノの坊ちゃん」とからかわれるのですが、一緒に旅をする中で打ち解け、年の離れた兄弟のような間柄になっていきました。

『竜詩戦争 完結編』のクライマックスでは、“竜の眼”に囚われたエスティニアンを助けようとするアルフィノが「絶対に貴方を救ってみせるんだ!」と大声を張り上げます。
遠い理想だけを見て側近に裏切られたお坊ちゃんが、目の前の大切な人を救おうと必死になる……アルフィノの人間的な成長を語るうえで、絶対に外せない名場面です。
悪気なく他人を見下す態度もすっかりナリを潜め、『紅蓮のリベレーター』ではカナヅチを妹のアリゼーに暴露されるギャグまで飛びだします。
『漆黒のヴィランズ』でも光の戦士(このときは闇の戦士ですが)が「アルフィノ画伯と助手たちです」と、彼を茶化しつつも暗にリーダーとして持ち上げる選択肢がありました。
今では仲間にもプレイヤーにも愛されているキャラですよね、アルフィノ。

さて、アルフィノが逞しく成長する一方、『黎明の死闘』では世界が未曽有の危機に晒されます。
終末をもくろむアシエン・ファダニエルの陰謀を前に、エオルゼアの各首脳は国家も種族も超えて一致団結する道を選びました。アラミゴやドマといった同盟国はもちろん、今まで“蛮族”と呼んで対立してきた異種族とも手を取り合う決断を下します。
この呼びかけに多くの人々が賛同し、メインクエスト“エオルゼアの名の下に”では、各国、各種族のトップが一堂に会して世界の危機に立ち向かう決意を新たにします。
友好部族クエストで交流した種族も見られ、彼らとメインストーリーで共闘できるワクワクが嬉しかったですね。

全員が団結したところで、イシュガルド神殿騎士団総長・アイメリクが「この歴史的な大同盟にふさわしい名を付けてもらいたい」と、“暁”に依頼をします。「国家の垣根を越えてエオルゼアの問題を解決する同盟」の名を。
誰が言うでもなく、当然のように光の戦士がネーミングをする流れに。少し考えるような仕草をした後、2つの選択肢が現れます。
ひとつは「お任せします……」という、なんとも頼りないもの。
そして、もうひとつが……。

「グランドカンパニー・エオルゼア」
かつてアルフィノが失敗によって取りこぼし、長い長い遠回りを経て辿り着いた理想を象徴する言葉。それが、今回の名言です。
アルフィノの挫折と再起を一番近くで見てきたのは、他ならぬ光の戦士です。
“イシュガルド戦勝祝賀会”で絶望した少年がどれだけがんばってきたのか知っているからこそ、彼がかつて抱いた理想を叶えてあげたい。プレイヤーの分身としてではなく、エオルゼアに生きるひとりの人間としての光の戦士の心を見た気がしました。


同盟の名が「グランドカンパニー・エオルゼア」に決まった瞬間、アルフィノは感極まって一瞬涙ぐみますが、そこで泣きださないのが今の彼です。
すぐに気持ちを切り替え、会議の後には「クリスタルブレイブがなぜ失敗したのか?」を検証し、グランドカンパニー・エオルゼアの組織作りに活かそうと動きだします。
理想だけを夢見ていた少年は、理想が叶っても歩みを止めず、苦い失敗の過去と自ら向き合うほど逞しくなりました。アルフィノこそ、『FF14』で一番成長したキャラではないでしょうか。

電撃オンラインでは、好きなクエストや名言などにフォーカスした『FF14』に関する企画記事をこれからも不定期で展開していく予定です。次回もお楽しみに!