【ウマ娘が1.8倍楽しくなるお話 16】ここでクイズです。真機伶、無聲鈴鹿、愛麗數碼ってどのウマ娘だかわかる?

柿ヶ瀬
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 こんにちは。柿ヶ瀬です。

 ジャパンカップはコントレイルが有終の美を飾りましたが、個人的には久しぶりに結果を見るのが怖いと思えるレースでした。見る側ですらそうだったのですから、送り出す矢作厩舎、そして鞍上の福永祐一騎手のプレッシャーは計り知れなかったと思います。

 昨年の無敗の三冠から、苦労したこの1年。『ウマ娘』から競馬を見るようになった方たちも、コントレイルの軌跡を見ることができたのはとても良かったのではないでしょうか。これから競馬を長く見ていく中で、リアルタイムで三冠馬を見ることができたこと、しかし三冠馬でも勝ち続けることは難しいこと、それでも強さを見せつけたことは、とても大事な記憶になっていくはずです。

 そして例えばコントレイルの仔が走る時なんかに、コントレイルと言えばあんなことがあったな、あのレースすごかったな。と思い出を語りたくなる。それが競馬のおもしろさだと思います。

 さて今回のお話です。陳年美酒、愚者眼界、麗冠花環、野田重撃、拉丁城市……。突然なんだと思われるでしょうが、これは今年の香港国際競走に登録している日本馬の香港での表記です。それぞれヴァンドギャルド、ステイフーリッシュ、レイパパレ、ダノンスマッシュ、レシステンシア。なんとなく訳せてるかな? と思う部分もあるし、まったくわからないなと思う部分もあるのではないでしょうか。

 香港国際競走とは、12月に香港で行われる4つの国際招待レース(香港ヴァーズ、香港スプリント、香港マイル、香港カップ)を総称したもので、いわば香港競馬の一大イベントです。賞金も高く、日本からも、そして欧州などからも遠征が多くやってくる一大競馬イベントです。

 今回は間もなく行われる香港国際競走と縁のあるウマ娘、そして香港国際競走の際には必ずネタになる香港表記の話をしていこうと思います。

キャラデザにも使われたかも……な真機伶

 というわけで真機伶です。いやこれではわかりませんね。香港表記では真機伶、日本で言うとカレンチャンです。カレンチャンは4歳時と5歳時の二度、香港スプリントに出走しています。4歳時は5着、5歳時は7着と、結果は出ませんでしたが見せ場はあったかなというレースでした。

 問題は真機伶という表記。カレンチャンなら可憐とか加蓮とか、そういうのでもよかったのでは? と思ったりもしますがこうなっています(発音による当て字だったりすることも多いそうですが……)、エキサイト翻訳してみると「本当に機転がききます」と出ました。正確なところはわかりませんが、“機伶”という部分が機転がきく、つまり頭がいいとか、賢いとか、そんなような意味なんでしょう。

 思い返してみると、『ウマ娘』のカレンチャンって当然“カワイイ”を前面に推してきているんですが、そこかしこですこぶる頭がキレる描写が見られます。賢さの成長率とか学業の成績とかとはまた別の、立ち回りのうまさとかの意味ではウマ娘の中でトップクラスなのではないでしょうか。

 もしかしたら、カレンチャンのカワイイ(実馬もカワイイエピソードがいっぱいでした)以外にも、賢いの部分も実際のカレンチャンから影響を受けているとするならば、この香港表記から取った部分も結構あるのでは? と妄想してしまいます。そのくらい『ウマ娘』においてカレンチャンが機転をきかせるシーンはたくさんあるのですから。

 カレンチャンと香港の話をもう少し。実馬カレンチャンのエピソードでどうしても外せない競走馬がいます。同じ厩舎で1つ年下、同じスプリンターであったロードカナロアです。カレンチャンのことを好きだったのでは? と言われていたのはメチャクチャ有名な話。両馬は2012年の高松宮記念、2012年のスプリンターズステークス、2012年のセントウルステークス、そして2012年の香港スプリントで対決しました(結果はカレンチャンの1勝2敗1痛みわけ)。香港スプリントにおいてはロードカナロアが勝利し、さらにカレンチャンが引退した翌年の香港スプリントでは連覇を成し遂げました。そんな香港遠征した日本馬で1、2を争う成績のロードカナロア、香港表記がこちらも1、2を争うくらいかっこいいんです。その名も“龍王”!

 時を経て、二頭が種牡馬と繁殖牝馬となり、結ばれて生まれたのがカレンモエという現役の牝馬。京阪杯、オーシャンS、函館スプリントSでそれぞれ2着と、あともうちょっとのところで重賞にまだ手の届いていないオープン馬です。モエというのは“萌え”や“燃え”ではなく、ハワイの言葉で“夢”を意味します。カレンチャンとロードカナロアが次世代に託した夢なのです。

 そんなカレンモエ、出走は見送られましたが、両親が出走していた今年の香港スプリントに登録していました。香港表記は“機伶夢”。素敵な表記だと思いませんか?

香港で運命が変わったのかもしれないウマ娘

 それは無聲鈴鹿。ああ、さすがに漢字表記だけでどのウマ娘かわかってしまいますねえ! そう、サイレンススズカです。サイレンススズカはデビュー当時から完全無欠の快速逃げ馬だったわけではありませんでした。少なくともダービーまでは、この世代における逃げ馬の座は、人気薄のまま二冠馬となった、サニーブライアンのものでした。

 一方スズカは、先頭に立つときもあれば、番手に控える先行策をすることもあり。ゲートで暴れて出遅れて、後ろから行って惨敗したレースもある、言ってしまえば勝ったり負けたりのどこにでもいる気性難の馬だったのです。秋になって天皇賞秋やマイルCSに出るもパッとしない成績だったスズカでしたが、香港で運命の出会いをします。海外遠征の都合上鞍上が決まらなかったスズカに、他の馬に乗るため遠征に来ていた武豊が乗ることになったのです。出走した香港国際カップでは我々がイメージする快速の逃げ馬の姿を見せ、惜しくも5着に敗れますが、ここから快進撃が始まりました。

 武豊を背に先頭を譲らず4連勝。その後の宝塚記念は急遽出走を決定したため、先約のあったエアグルーヴに乗った武豊を尻目に、やはり逃げ切って初めてのGIを手にします。秋となり、伝説と言われた毎日王冠、そして天皇賞秋……。すでに『ウマ娘』から入った皆さんもご存知の通りの運命を辿るのですが、今日我々が『ウマ娘』においてサイレンススズカと出会えていたのは、きっと香港でサイレンススズカと武豊が出会ったから、なのでしょう。

実は香港に出走していなくても香港表記はある

 これ以外でウマ娘になった競走馬で香港遠征をしたのは榮進閃耀と愛麗數碼。前者はわかりやすい、エイシンフラッシュですね。後者は難しい、これは実はアグネスデジタルです。

 エイシンフラッシュは香港国際競走の日ではなく、春に行われるクイーンエリザベス2世カップに出走したもので惜しくも3着、アグネスデジタルはそのクイーンエリザベス2世カップでは2着でしたが、前年に出走した香港カップでは見事優勝。地方ダートGI、中央の芝GI、海外GIとGIを3連勝。次戦での中央のダートGIの勝利もあり「オールラウンダー」としての名声を高めていくわけです。

 ウマ娘ではこの4頭しか香港に遠征していないけれど、香港でのレースに出走していないと香港表記はないのかというとそうでもありません。香港だって日本馬のデータはちゃんとあるわけです。日本でもヨーロッパやアメリカの(もちろん香港も)競走馬のデータはちゃんとあるのと同じですね。

 というわけでウマ娘にいる香港表記でおもしろいなと思えるものをいくつか紹介しましょう。ソースは香港におけるJRAのような組織である香港ジョッキークラブのサイトなどから。

 まず見てわかるシリーズ。“黄金船”、“特別週”、“玉藻十字”……。あまりにもあまりで答えを言う気にもなりませんねこれ。

 続いてかっこいい! と思える名前として“神鷹”。これはエルコンドルパサー。コンドルなのに鷹なんですね……。ウマ娘のエルコンドルパサーがコンドルのマンボくんを飼っていると言いつつも、どうも鷹にしか思えないというのはここから来ているのかも? ちなみにマンボくんはエルコンドルパサーの父キングマンボからでしょうか。

 最後にちょっと難問で“伏特加”と“重砲”、“伏特加”は直訳で、お酒のウォッカの中国語読みなんですね。というわけで当然ウオッカです。そして“重砲”は消去法で分かるかな? こちらはマヤノトップガンです。飛行機のイメージがあるマヤノトップガンを“重砲”と書かれると、まったくイメージが変わってしまいますね。

 ここに紹介したもの以外にも見ればわかるもの、全然わからないもの、なんか大事なところが消えてるようなのもいたりして、バラエティ豊かな競走馬の香港表記。『ウマ娘』のものだけでなく、色々な競走馬たちの香港表記を調べてみると、かっこいい表記や、おもしろい表記になっている馬がたくさんいます。神業とか魔族紳士とかね。

 ヨーロッパ、アメリカ、ドバイあたりよりもはるかに近い部分もあり、遠征する競走馬が近年ドンドン増えている香港競馬。間もなく始まる香港国際競走も多くの競走馬が出走します。ぜひ注目していただきたいと思います。

 また次回もこういった“楽しみ方”を提示していければと思いますのでお時間ありましたらぜひご一読いただきたければ幸いです!

 それではまた!


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