須田剛一が明かす“ゲーム開発スタイルと市場ニーズ”の両立メソッド

電撃オンライン
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 “NetEase Gamesゲーム開発者サミット2022”が4月18~21日に開催されました。

 本イベントは、業界のエキスパートが集まり、ビデオゲームの開発や業界での経験について講演するというもの。

 21日には、グラスホッパー・マニファクチュアの創設者で『ノーモア★ヒーローズ』シリーズなどを生み出した須田剛一さんが、“ゲーム開発者が自身のスタイルと市場の好みを両立する上で克服すべき課題について”を講演。

 映像内で“ゲームの芸術性とビジネスのバランス”、“インスピレーションの源”、“アートスタイル構築&ワークフロウ”、“未来のゲームへの想像”、“グローバル化に伴うチャンスと挑戦”、“ゲーム業界の新人へのアドバイス”という、6つの視点を語りました。

 なお、画像は映像をキャプチャーしたもの。

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自分たちの仕事は0から1を作り出すこと

 “ゲームの芸術性とビジネスのバランス”では、須田さんの制作への向き合い方や考え方、そしてトレンドとビジネスについてが語られました。

 ヒューマン時代にメインだったのは、作家性のあるゲーム制作ではなく、会社が持っていたIPを使用してディレクションしていくという職業監督のようなゲーム制作。与えられた仕事をひとつずつ丁寧に作り上げていくそこでの作業が、今のモノ作りの原点になっているようです。
 
 須田さんは、“1を10にも100にもするのがビジネス”だと思っているとのこと。そのうえで同氏らの役割は、新しい発想を繰り返して0から1を生み出していくことだとか。「それを繰り返すことで、いつか花開いて1ではなく10にも100にも1000にも1万にもなっていく」と述べていました。

 さらに、ゲーム業界のトレンドを取り入れるのではなく、世界のムードや日常で感じ取ったものをゲームに落とし込んでいくのがポイント。ビジネスやマーケティングを意識していないようで、「ヒット作を作る!という意識で作っていないかもしれない……」と明かしました。

一番得意なスキルは“うまく落とし込むこと”

 “インスピレーションの源”では、須田さんがもっとも得意なスキルなどについて語られました。

 インスピレーションの源になっているのは、子どものころや青春時代に見たもの、聴いたもの、感じたもの。それらを使って制作することがあれば、周りのスタッフが発想するものや、アーティストやクリエイターの力を借りて制作することがあることが同氏のスタイルだとか。

 そのインスピレーションをうまく1つの作品を落とし込んでいく作業は、須田さんが持っているゲーム作りのスキルの中で一番得意なところであると語っていました。

 こちらはヒューマン時代に職業監督として5年間培ってきたものが大きいようです。

シナリオからアートが作られる!

 普通のワークフロウは、コンセプトアートを作成し、“絵の設計図”と言われるビジュアルターゲットを作成します。しかしゲーム開発においては、それを2Dや3D上で組み上げていくとその通りにいかないことがあるようです。

 グラスホッパー・マニファクチュアのワークフロウの特徴は、シナリオがベースになってプロジェクトが進んでいく流れが多いこと。シナリオを描く際に、各シーンやキャラクターのイメージといったアートスタイルを、ある程度固めながら描いているためだという。そのため、シナリオを他の人に読んでもらうと「絵が浮かびやすい」と言われることが多いそうです。

ゲーム機の未来は生物になる?

 “未来のゲームへの想像”では、ゲーム機の今後について独自の視点から語られました。

 「ゲーム機はPS7ぐらいになるとハードではなくなり、プラグイン化して身体に直接挿すとゲームの世界に入れるようになるのでは?」と予見。

 デヴィッド・クローネンバーグさんの『イグジステンズ』という映画を例にあげて、「近い将来にゲーム機は生物や虫のようになり、体内に寄生していくのでは?」という、独特な発想を展開しました。

世界を意識する必要はない

 “グローバル化に伴うチャンスと挑戦”で語ったのは、グローバルで成功するのに必要なもの。

 今の時代、日本を舞台にして登場人物を全員日本人にしたタイトルが、海外で大成功することが多くあります。舞台や世界を意識しているのかなどは関係なく、熱量高くおもしろいゲーム体験を伝えることが、グローバルで成功していると考えているようです。

若者は背伸びしろ!

 “ゲーム業界の新人へのアドバイス”では、新人へ向けて実体験を元に伝えたい言葉として“背伸びをしろ”というメッセージが贈られました。

 昨今は、オンラインでいろいろなモノに触れられるようになっています。その結果、好きなモノで構築された文化圏を形成しやすくなりますが、そうではなく、自分の文化圏の外にあるものに触れるのがポイント。


 自分の知らない世界を知って経験することは、自分の中にあるものとは全く違うものを与えてくれる力があります。「自身も若いころに、あえて苦手なもの触れるようなことをしていたので視野が広がったり、大きな刺激となり、今でもモノ作りの原点の1つになっている。その経験は今でも立ち返る場所になっている」と述べ、講演は終了となりました。

「NetEase Gamesゲーム開発者サミット2022」の視聴方法

 「NetEase Gamesゲーム開発者サミット2022」は4月18日から21日まで開催され、NetEase Gamesの公式YouTubeアカウントで配信されます。公式YouTubeアカウントはこちらからフォローをお願いします。また、NetEase GamesのFacebookとTwitterの公式アカウントでもイベントのハイライトが投稿されますので、ぜひフォローしてください。

 「NetEase Gamesゲーム開発者サミット2022」の詳細については、こちらをご覧ください。

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