人間の底すらない欲望と悪意…。まだ息子には遊ばせたくないほど危険で刺激的な物語【オクトラ大陸の覇者 神ゲー説】

そみん
公開日時

 2020年10月28日に配信が始まった、スクウェア・エニックスのiOS/Android用RPG『OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー) 大陸の覇者』

 運営型アプリの側面もありつつ、配信直後からエンディングが用意され、ガチでプレイ時間100時間以上クラスのコンシューマゲーム1本を丸ごと無料で配信してしまったという衝撃的なデビューを果たした本作が、2022年4月28日で1.5周年を迎えました。

 今なお進化が続く本作について、ぜひ体験してほしい神ゲーポイントを力説させていただきます!

自信をもって「ストーリーがよい!」と断言できる神ゲー

 コンシューマゲームにおいて「ストーリーが面白いのでおすすめ!」という言葉はよく聞きましたが、運営型のアプリゲームでは意外と聞かないんですよね。なんででしょうね、ガチでストーリーが面白いゲームも多いのに。

 一時期の運営型ゲームはストーリーの比重が少なく、おまけ程度のメインストーリーしか用意されていないことも多かったのは事実ですが、今や、多くの運営型ゲームにおいて、本当にしっかりした物語が用意されているんですけどね。

 と考えた時、わりとありそうな理由が「エンディングが実装されてないから(もしくは無課金でエンディングを見るのが大変)、ストーリーの評価は保留」となっている気がします。あくまで一因に過ぎない気はしますが。

 ともあれ、『オクトパストラベラー 大陸の覇者』ですが、アプリ配信当初から第1部のエンディングが実装されていたこともあり、その時点からとにかくストーリーの評価が高い作品でした。

 第2部からは連載型となっていますが、節々においてしっかりと物語が完結まで描かれているのがポイントです。多少の謎は次へと残しつつも、ぼちぼち答え合わせのターンに入っていて、リアルタイムで楽しむことを強くお勧めしたい状況となっています。

 おっと、ちょっと抽象的な感想が続いてしまったので、ネタバレに留意しつつ、もうちょっと具体的な“すごさ”について語っていこうと思います。

 ちなみに、これまで電撃オンラインでは第1部の物語について開発者インタビューやライター座談会で掘り下げてきました。本来はそれだけ語っても語りきれないくらいの魅力にあふれているわけでして、この記事はかなり大胆に要素を絞ったものになっていることをご了承くださいませ。

『オクトラ』シナリオ秘話インタビュー

『オクトラ』ネタバレあり座談会

凄惨な死、残酷な描写。万人向けではないが、非常に完成度が高い良質な物語

 最初に1つ、大事な注意点を。Switch版『オクトパストラベラー』にもやや大人向けのシリアスな描写がありましたが、スマホ版『オクトパストラベラー 大陸の覇者』は、さらにもう一段ステージが上がっていると感じる部分があります。

 いわゆるエログロ描写が激しいわけではなく(多少ありますけど)、18歳以下お断りというわけではありませんが、大人が遊んでもトラウマになりうるような“精神的ダメージが高め”な部分はあります。その必然性も含めて、非常によくできた物語なので業が深いのですが……。

  • ▲ちょっとネタバレなんですが、意味がわかると怖いシーンです。

 自分は息子(小学4年生)と一緒にゲームを遊ぶこともあり、最近はファミコンの『天地を喰らう2』、SFCの『エストポリス伝記2』、Switch版『逆転裁判123 成歩堂セレクション』などを遊んでいますが……スマホ版『オクトパストラベラー』は、まだちょっと早すぎるかなと思っています。

 物語の表面だけでなく裏の背景を読み込む読解力が求められる(必須ではないけど、そこまで考えると物語の深みが一気に増す)こともありますが、物語のテーマ的に善悪の概念が揺るがされる部分も多々ありまして。

 人間の死1つとっても、子供向けにデフォルメした死ではなく、大人向けの小説的なリアリティのある死の描写が多いんですよね。“単純な死という結果”というより、“死に至るまでの苦悩や無念という経緯”が描かれるので、本当にむごい……。

 Switch版『オクトパストラベラー』を遊んだ人に対しては、トレサやアーフェン……はともあれ、あのプリムロゼ編を担当した普津澤画乃新さんがスマホ版『大陸の覇者』のメインストーリーを担当したと言えば、「ああ……あのプリムロゼ……」と納得してもらえるんじゃないかと思います(ホメ言葉)。

 ちなみに、キャラクターごとに用意されたトラベラーストーリーについては、素直に明るく楽しい冒険活劇も多々用意されていますが、女性剣士のフィオルのように、いろいろとひどい毒親に苦しめられる話もあったりして油断できません(苦笑)。


  • ▲元気娘のフィオルちゃんが、パワハラママに苦しめられる話も……。

テーマは欲望。人間の底知れぬ悪意が描かれる……

 『大陸の覇者』の第1部は、“富を極めし者”、“権力を極めし者”、“名声を極めし者”の3編を好きな順番で遊ぶことができ、それらをクリアすると“全てを極めし者”をプレイ可能。ここまでが、ゲーム配信初日に用意されていました。

 その後、第2部として“授けし者”篇が配信され、物語が佳境に入っている状況です。

 富・権力・名声という言葉が示すように、『大陸の覇者』で描かれるのは人間の欲望。特殊な薬(粉)で莫大な富を得た“強欲の魔女”ヘルミニア。かつての戦いの功績で権力を得た“英雄”タイタス。そして、大陸中の人々から絶大な名声を集めるカリスマ的な“劇作家”アーギュスト。



 この3人の“極めし者”の生き様を通じて人間の欲望が描かれるわけですが……もう、悪意がひどい。厳密にいうと、結果的に非人道的な行為になっているだけで、悪意というより、純粋な“欲望”の結果とも言えるのですが……だからこそなお、タチが悪い。

 ネタバレになるので伏せますが、序盤は特に、一見まともそうな人たちが欲望に振り回された結果、悲劇的な結末を遂げることが多いです。気の迷いで悪者になっちゃうとかならまだいいほうで、一部の人は精神に支障をきたす悲しい結末になることも……。

 肉体的な死もきついのですが、精神的な死が多いことも、まだ息子に遊ばせたくない理由の1つであります。
(ちょっとネタバレになりますが、第2部では死者の世界も舞台となり、第1部での死の裏側が描かれることも……)

 このへんはネタバレありの座談会記事などでも触れていますが、しょせん善悪なんて人間が定めたルールであり、後発的なもの。より人間の本質の源泉ともいえる個人的な“欲望”の前では、社会や他人が定めたルール(善悪とか)なんか無力というか無意味なんだなと考えさせられる場面が多々あります。

 別にゲーム中で説教臭く描かれているわけではなく、むしろその解釈が読み手である我々にゆだねられているからこそ、大人の鑑賞に足りる、深みがある物語になっているとも言えます。

悪役が魅力的だからこそ、物語は危険な盛り上がりを見せる

 今しがた述べたように、人間の欲望は業が深いもの。ともすれば醜く描かれ、目をそむけたくなってしまいます。

 そんななか、なぜ『大陸の覇者』は鬱めいたネガティブさではなく、「面白い!」というポジティブな評価が多いのか?

 暗さオンリーで終わるのではなく、きちんと希望の光も描かれているからこそのカタルシスがあることも事実ですが、個人的には悪役の魅力がしっかりと描かれているから、ついつい物語に引き込まれてしまう部分も大きいのではないかと思っています。

 “富を極めし者”ヘルミニア(声優:田中敦子)は「わたくしが白いドレスを着たら白い血を噴きなさい!」という無茶ぶりからもわかるように、傲慢で高飛車な女王様系。その突き抜けた言動はある意味で痛快ですらあります。

 ヘルミニア自身の黒い魅力に対して、それに立ち向かう若きマフィアたち・バルジェロ一家の輝きが増す部分も。マフィアということで、決してバルジェロたちも白い善というわけではないのですが、悪対悪というゲームでは珍しい構図が描かれることも、『大陸の覇者』の物語の深みにつながっているかと。


 ……第2部では女帝タトゥロック(声優:沢城みゆき)という、これまたとんでもない悪女が登場するので、その筋のキャラが好きな方はお楽しみに。

 “権力を極めし者”タイタス(声優:小山力也)はちょっと俗人的な部分が多いのですが、「本当の権力とはなんなのか?」と考えさせられる部分が多いシナリオとなっています。


 思うに、富は有するもの、名声は他者から自発的に集まるものであるのに対して、権力って、他者を強制的に支配するもの。極めようがないものの1つですし、自分の身に余る権力は制御もできないものだと思うんですよね。


 ちょっとネタバレになりますが、ヴェルノートやユルゲンといった優秀な部下を有しながら、権力=恐怖や力を使ってしか御せなかったタイタスの存在は、いろいろな考え方を示してくれています。主に反面教師として。

 「マーヴェラス!」の決め台詞で人気を誇る“名声を極めし者”アーギュスト(声優:浪川 大輔)は、芸術のためなら人間の命をなんとも追わぬサイコキラー。人の命はもちろんのこと、自分の命すら惜しまないような部分があるのもサイコさんっぽさを増していますな。


 3人の極めし者の中でもアーギュストはとりわけ善悪を超越したような言動が多く、だからこそプレイしたユーザーからの支持が厚いんじゃないかと思います。


 この3人のあとには“全てを極めし者”も控えていますが……ここでは伏せておきましょう。この人は魅力的というよりも、徹底的な絶望を与える悪役としての存在感がすごいのですが、物語のなかでいろいろなテーマを投げつけてくる人物でもあります。

 てなわけで、『オクトパストラベラー 大陸の覇者』が神ゲーたる理由の1つである“ストーリーの深さ”について語らせていただきました。

 最初に前置きしたように、ストーリーに関する好みは人それぞれですし、単純な勧善懲悪ではない部分を描く『大陸の覇者』は万人向けとは言い難い部分はあります。

 それでも、そこで描かれるテーマ、人物は魅力的で、いわゆる伏線回収やカタルシスも存分に味わえるものとなっています。

 第1部についてはエンディングもあり、完結した物語としての完成度も高いものとなっているので、まずは第1部クリアを目指し、良質な物語を堪能してほしいと願っています!

今がデビューチャンス! 1.5周年で特別なキャラが参戦&無料ガチャが実施!!

 4月28日からは1.5周年を記念した各種キャンペーンが実施中。ルビー888個がプレゼントされるほか、無料10連の導きが最大5回=50連無料、豪華な1.5周年祭特別任務など、お得なイベントだらけです!

 また、すごろくのような新ミニゲームコンテンツ“天運の遊技盤”が追加されたほか、メインストーリーのボスとして圧倒的な存在感を示したタイタス、ヘルミニア、アーギュストが“追憶の覇者”として期間限定で登場! かなり強いキャラクターとなっているので、この機会にぜひ!


そみん:どんなゲームでも美味しくいただく雑食ゲーマー。幼少期にファミコンやMSXをリアルタイムで遊び、電撃セガサターンのライターとなり、今に至る。二児の父。


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OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2020年10月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2020年10月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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