支えあう姉弟の逃避行が心を打つ『プレイグ テイル』。残酷な物語と秀逸な世界観が特徴【綾那のゲームに夢中】

綾那
公開日時
最終更新

『A Plague Tale: Innocence』は、
暴力表現やゴア表現の頻出により、
“成人向けコンテンツ”に指定されています。

 さまざまなゲームを遊び、愛するゲーマー女優である綾那さんのゲームコラム“綾那のゲームに夢中”の連載第56回をお届けします。

 皆さん、ゲームしてますか?

 そろそろPCの排熱が厳しい季節になってまいりました。エアコン掃除がまだの方は早急にするのをオススメいたします。

 今回書かせていただくゲームはPC版『A Plague Tale: Innocence(プレイグ テイル -イノセンス-)』です。

 1394年、英仏百年戦争の時代。“黒死病”と呼ばれ、人々に恐怖を与えた“ペスト”が猛威を振るっている、フランスが舞台のお話となります。

 なお、暴力表現やゴア表現の頻出により、Steam版は“成人向けコンテンツ”に指定されています。ご注意ください。

姉弟の逃亡劇が描かれる物語

 主人公はアミシアという少女。

 マジメでしっかりしており、弟のユーゴを守りながらはてなき過酷な旅路を進むことに。

 敵はイギリスから来た異端審問官と、もはや動物の枠を超えて化け物じみている人食いネズミたち。残酷な世界で幼い姉弟が必死に生きていこうとする様は、苦しくも力強さを感じるストーリーです。

 世界観がダークファンタジーというのは知っていたのですが、結構ショッキングな場面が多いタイトルでした。

 序盤でいきなり愛犬が死に、その後すぐに異端審問官の衛兵たちが押し入ってきたと思ったら父を殺され、姉弟は母に助けられながら何とか生き延び、そこから逃亡劇が始まるわけです。


 そんな衝撃的で「最初からクライマックスか?」といわんばかりの始まりをきっかけに、何度か心が折れかけましたが、この2人の行く末が気になって最後まで駆け抜けました。

 現代の我々にとって、ペストは歴史の教科書に記されている事柄です。過大表現をしているとはいえ、当時あったであろう差別や迫害の表現がリアルで恐ろしいんですよね。

 化け物ネズミはもちろん恐ろしいのですが、それよりも幼い子どもたちを殺そうとする大人の目が非常に怖かった印象。いつだって一番怖いのは人間なんですよね。

 ちなみに『プレイグ テイル』に登場するネズミは普通のチョロチョロって走ってるようなネズミではなく、大群をなして行動しており、その様は真っ黒い竜巻の様。

 灯りを嫌うので、松明を持っていれば襲われないのですが、松明を持っていない状態でネズミの大群を前にすると、ものの数秒で白骨化させられます。もはや動物版イナゴの大群!

 このゲームの特徴の1つは、弟ユーゴの存在。彼はずっと母親の加護の元、半ば家に閉じ込められているような形ですごしています。

 その理由はこのゲームの肝となるので割愛しますが、実の弟ながらアミシアもそんなに会ったことがなかったのです。

 しかし異端審問官の衛兵たちが家を襲来してきたことにより一変。それまで関わりがほぼなかったのに、アミシアがちゃんとユーゴを守る姉として存在していたのがよかったですね。

 平和な日々から一転し、怒涛の展開であれよあれよと逃げていったので、心の整理がつかずにアミシアは弟につらく当たるのかな……と思っていましたが杞憂に終わりました。

 とは言うものの、彼女も聖女ではないので、ユーゴの発言や自由な行動にカッとなってしまう場面もあります。ただそれでもアミシアはいいお姉ちゃんなんですよね。

 そしてユーゴもすごくいい子。庇護欲をかきたてられるカワイらしい弟です。

 そんな2人が極限状態の中、必死に支えあって生きているのが眩しいです。

 アミシアとユーゴ以外に、逃走の途中で出会い、一緒に生きようとする仲間たちがいます。その子たちも皆、少年少女たち。大人はいません。

 このゲームの闇の部分が大人だとしたら、アミシアたちは光の部分。なので、絶望渦巻く中でも、希望を信じてプレイできたんだと思います。

 基本はステルス中心になるのですが、時として真正面から大人と戦わなければならない時があります。まだ年端もいかない少女のアミシアですが、スリングという投石武器を得意としているため、ただ逃げるだけではありません。

 というか、むしろこのスリングがめっちゃ強い!(笑) エイムアシストを設定できるので、エイム(狙うこと)が苦手でもストレスなくいけると思います。

 このスリングで道を切り開いていくことになるので、アミシアの相棒でもあります。

 フィールドに落ちている素材を集めながら、武器や装備をアップグレードする要素もあります。

 途中から“錬金術”を使えるようになり、攻略の幅が広がります。この“錬金術”が、このゲーム2つ目の特徴です。基本はリアルに描かれているゲームですが、後半になってくるとファンタジー色が強くなっていきます。

 フランスが舞台なので、フランス語でプレイしたのですが、舞台となる国の言語で体験できるのはやはりいいですね。雰囲気が全然違います!

 ただプレイが忙しく字幕を読めない場面もあり、たまに話が分からなくなったので、日本語吹き替えが実装されたらいいなぁなんて思ったり……。

 前述のようにSteam版は“成人向けコンテンツ”に、移植されたコンシューマ版はCERO Zになっています。グロ表現の苦手な人や年齢の達していない人はプレイできないのですが、暗黒時代と呼ばれたフランスの美しくも醜悪な世界観は残酷なリアルさとファンタジーさが入り混じっており秀逸。興味がある方にオススメです。

 どうやら今年2022年に続編『A Plague Tale: Requiem』が発売される予定らしいので、まだプレイしていない人はそれまでにプレイされてみてはいかがでしょうか?

(C) 2019 Asobo Studio and Focus Home Interactive. A Plague Tale: Innocence is developed by Asobo Studio and published by Focus Home Interactive. A Plague Tale: Innocence and its logo are trademarks or registered trademarks of Focus Home Interactive. The game and technology are the property of Asobo Studio. All rights reserved.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら