三国志オカルト。孔明の甥と死神【三国志 英傑群像出張版#9-1】

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 三国志に造詣の深い“KOBE鉄人三国志ギャラリー”館長・岡本伸也氏による、三国志コラム。数多くの書籍が存在するなか、“民間伝承”にスポットを当てて紹介しています。



 今年は特に暑い時期が続きますね。体調など壊されてないでしょうか?

 やはり夏といえば……思い浮かぶのは祭、花火、海などでしょうか? そして出てくるのが肝試しとか怪談話。

 三国志演義でも、関羽がお化けになり、呂蒙を呪い殺したり、息子の関興を助けたりと大活躍?! します。

 諸葛孔明も霊になって鍾会の元に現れたりもします。巨人や神が現れたり、龍や鳳凰がでたりこういう人知を超えた要素があるのも三国志の魅力の一つ何だと思います。

 さて、そういうわけで、今回は民間伝承から離れてこの時期にぴったり!? な三国志に関係しそうな怪談話・妖怪話・オカルト話を「捜神記」という晋の時代(三国時代の次)の書物よりピックアップして紹介したいと思います。

※原文通りでなくわかり易くアレンジしています。

諸葛恪と手の伸びる妖怪

 呉の諸葛恪(しょかつかく)……諸葛瑾の子、諸葛孔明の甥

 諸葛恪が丹陽郡(江蘇省)の太守であったころ、ある日狩りに出かけた。二つの山の山あいにさしかかったとき、少年があらわれ、手をびよーんと伸ばして諸葛恪を引っぱろうとしてきた。

 諸葛恪はその手に引っ張られたまま、少年を向こうの足場からこちらへと逆に引き寄せたところ、足場を離れたとたんに死んでしまった。あとで皆、諸葛恪が神通力を持っていると思って、わけを尋ねるた。

 すると諸葛恪はこう答えた。「実はこれは書物に書いてあることなんだ。【二つの山あいに住む精霊は子供のような形をし人間を見ると手を伸ばして引っぱろうとする。その名は“ケイノウ”という。その立っている場所から引き離せば死んでしまう】と。べつに神通力などといって不思議がることではない。君たちがたまたまこの書物を読んでいなかっただけのことだよ」と。

諸葛恪と死神

 建興2年(253年)諸葛恪が淮南征討に失敗して帰ったのち、朝廷の会議に出ようとする前夜の事。

 彼は目がさえて胸さわぎがして、一晩じゅう眠れなかった。夜が明けてから家を出ようとすると、飼い犬が着物をくわえて引っぱる。

 「わしに出て行くなといっているのか?」と言って、いったん出たのにまた家にはいり腰をおろしていた。

 しばらくしてまた立ちあがると、犬がまた着物をくわえる。諸葛恪は供の者に命じて犬を追い払わせて参内した。

 そして彼は戦の失敗もあって、孫峻らのクーデターにより誅殺されたのであった。

 このとき彼の妻は部屋にいたが、召使の女に、「お前はどうして血の臭いがするの?」と言い、時がたつにつれて臭いはますます激しくなる。

 それからまた「お前の目はぎょろぎょろしているが、どうしていつもと違っているの?」と言うと、女はよろめきながら、建物の梁に飛びあがった。そして腕は延び、するどい歯が飛び出し、悪魔のような姿に変わったあと「諸葛恪は孫峻に殺されたぞ」と言った。

 それにより、知らせを聞く前に皆、諸葛恪の死を知った。そして、役人や兵士が到着した。(その後、一家は皆殺しにされたのだった。)

 諸葛恪の初めの話、カッコイイ! ですね。さすが呉のエースってお話でした。

 手が伸びる少年。一瞬。ワンピースのルフィーか?! なんて思いました(笑)。しかし引っ張り返されてやられる妖怪って弱すぎる。

 諸葛恪の後半の話、何もせず彼の死だけを告げる仕事をする異界のモノといえばやはり”死神”。

 既に死を予想して下女に化けて、家に住んでいたということでしょうか? 今回取り上げませんが「ろくろ首」妖怪が登場する朱桓の話などもこの時代登場しています。

 我々の知る妖怪などのオカルト話の元祖がこの時代にあったのです。

 諸葛恪、有名武将に比べて知名度が低いですが、三国志演義後半の逸材として今後も注目して貰えたらうれしいです!

 次回も怪談話・妖怪話・オカルト話をお送りしたと思いますので、お楽しみに!

三国志交流会第2回「桃園の智会」実施しました!

 KOBE鉄人三国志ギャラリーにて三国志の交流会を8月14日のお盆に行いました。

 県外からも来ていただき、前回よりたくさんの参加者に集まって貰いました。今回は人数限定ですが、オンライン参加もOKとしました。小学生から大人まで年齢層も幅広かったです。

 どうなる事かと思いましたが1回目の内容をパワーアップした質問を用意して、非常に盛り上がりました。

 やり方は1つ、質問に対して全員が一言ずつコメントしていくというもの。随時わたしが追加の質問やコメントをさせて頂いたりもしました。

 街亭の戦いや馬謖の起用についてとかマニアックに突っ込んだ話を演義好きな人、正史好きな人まざってそれぞれ好きな世界観で話ができました。またも時間を30分オーバー(笑)。

 これはきっとただ見てるだけでも楽しい番組のようだろうなあとやってて思いました。

 第1回から「桃園の智会」の会員証も作り配布しています。三顧の礼にちなんで3回来てもらったら絵柄が変わった会員証をお渡ししています。数種類あるので数回パワーアップします。

 好評だったので第3回を冬あたりにまた実施したいなと思っています。また告知しますのでよかったらご参加くださいませ!


岡本伸也:英傑群像代表。「KOBE鉄人三国志ギャラリー」館長。元「KOBE三国志ガーデン」館長。三国志や古代中華系のお仕事で20年以上活動中。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志エンタメサイトや三国志グッズを取り扱うサイトを運営。「三国志祭」などイベント企画。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!



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