長時間のゲームプレイが常態化しているなら水冷ノートPCで静かな時間を!【電撃ベストバイ2022】

林 佑樹
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 今おすすめのPCガジェット製品などを“電撃”ならではの視点で選出! “ベスト”な商品選びをサポートする特別企画“電撃ベストバイ”をお届けします。

 ゲーミングPCには、デスクトップとノートPCの2種類があります。もっぱら、腰を据えてゲーミング=デスクトップPCといった図式がありますが、設置先の条件によってはデスクトップの設置が難しかったり、ゲームをしないときは机の片隅に放置して置きたかったりする場合、ゲーミングノートPCに目が行く人も多いハズ。

  • ▲今回はマウスコンピュータ―のG-Tune H5-LCをチェックします。

 ただゲーミングノートPCの多くは、コンパクトなボディにゲームに耐える性能を詰め込んでいるため、騒音と熱に対して妥協が必要になります。例えば、ゲーム中はノートPCが爆音になるから、ヘッドフォンを装着してなるべく気にならないようにし、キーボード面も熱を帯びやすいから、外付けキーボードで……などなど、ノートPCのメリットとは? となりがちです。

 その辺の問題を「外付け水冷ユニット」で打開したのが、“G-Tune H5-LC”です。「力技だ」と思った読者もいるでしょうが、熱に対しては、力こそ正義です。さっそく、ロマンと変態性に溢れるG-Tune H5-LCを見ていきましょう。

 G-Tune H5-LCは、15.6型のノートPCです。ディスプレイはWQHD(2560×1440ドット、アンチグレア)で、最大リフレッシュレート240Hz、Dolby Visionにも対応しています。またカタログスペックにパネルの方式は未記載でしたが、ほぼ真横、真上などから見ても画面の破綻を確認できなかったため、IPS方式のようです。

  • ▲天板はシンプル路線です。

  • ▲インターフェイス。背面に電源ポートや有線LAN、Thunderbolt4ポートがあるため、本体の左右をすっきりさせられます。

 では、性能はというと、CPU Core i9-12900H、GPU GeForce RTX 3070 Ti(VRAM 8GB)を搭載しており、ほぼデスクトップな構成になっています。ざっくりいえば、多くのゲームタイトルを高いグラフィック設定で遊べる構成になり、またメモリはDDR5-4800 32GB(16 GB×2)で、これも最近のゲームシーンをよく意識しています。ゲームだけならば、16GBで済むことがほとんど。一方で、ウィンドウモードでゲームを起動し、YouTubeやDiscordなどもとなると、メモリが足りないシーンが増えてしまいます。そこで、32GBもあればそんな心配は不要というわけです。

  • ▲キーボードはほぼフルサイズで、キーストロークは約2mmです。

 そして、ストレージ。NVMe 1TBを搭載しています。おおよそプレイするゲームタイトルが決まっている、もしくは、1タイトルを長く遊ぶ傾向なら、そのままでいいですが、PS4やPS5で気が付いたらストレージがいっぱいだった経験があるのなら、カスタマイズで、さらに1TB追加しておくといいでしょう。もちろん、Steamのセール中、やたら領収書が届いた経験がある人も同様です。

気になる水冷BOX

 水冷BOXを見ていきましょう。注意点としては、お作法がいくつかあるため、初回のセットアップは空冷状態で行ない、それから、水冷BOXの取り付けになります。デスクトップにマニュアル(PDF)があるため、必ずチェックしましょう。冷却材は精製水ですが、これは同梱されているほか、自宅で使い続ける分にはそうそう買い足す必要もありません。

  • ▲隣りに置くとそれなりに存在感があります。

 また、水冷BOXはそれなりのサイズになりますが、チューブのケーブル長に余裕があるため、本体から少し離しておくか、本体ディスプレイの裏側に放置しておくのがおすすめです。なお、冷却性能のキープを考えると水冷BOXの左右に10~20cmほどの隙間を確保しておくといいでしょう。

 水冷BOXはG-Tune H5-LCとチューブで物理的に接続することに加えて、Bluetoothでペアリングもします。これにより、専用アプリケーション「Mouse Control Center」から水冷BOXのファン回転数やLEDライトカラーを変更できるようになります。ちなみに、後述するベンチマークでも触れていますが、ファン回転数60%(最大)でも静かなので、ゲームタイトルの負荷に応じて、その都度、設定を変更しなくてもOKです。

  • ▲Mouse Control Centerで水冷BOXを検出している状態。

 ベンチマークを見ていきます。性能としては、上記しているようにゲーミング環境としては十二分。CPUパワーがあるため、ゲームタイトルによっては、ソフトウェアエンコードで配信しながらも余裕です。ベンチマークは“ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク、3DMARK”を使用しました。なお、Driverは516.94(GRD)。


  • ▲3DMARK Time Spy、Time Spy Extreme。


  • ▲上から、1920×1080ドット/最高品質/ウィンドウモード、1920×1080ドット/最高品質/仮想フルスクリーンモード、2560×1440ドット/最高品質/仮想フルスクリーンモード。

 では、熱はどうでしょう。空冷と水冷でそれぞれ、3DMARK Time Spy Extremeを実行した結果は次の通りです。なお、計測時の室温は28℃。


  • ▲3DMARK Time Spy Extremeのリザルト画面からクロップしたものです。上が空冷、下が水冷になり、青がGPU温度、薄いグリーンがCPU温度を示します。GPUの温度傾向の差が顕著です。

 また、追加テストとして“ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク”を最高品質/仮想フルスクリーンで60分間ループさせてから、3DMARK Time Spy Extremeを実行した際の温度もチェックしてみました。長くゲームを遊んでいると、どうしても全体的に熱を持ち、最終的にCPUやGPUのパフォーマンスが低下しがちです。その点をクリアできているのかのチェックというわけです。

  • ▲水冷時に“ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク”の60分間のループを終了した直後に3DMARK Time Spy Extremeを実行した結果です。

 傾向としてみると、やや温度は高めになっていますが、GPU温度は60度を超えておらず、良好な結果といえます。CPU温度は空冷に近い傾向になりました。スレッドをキレイに使うゲームタイトルの場合、温度の上昇が気になりがちですが、下記するように騒音が気にならないため、長時間のプレイでも問題ナシといえるでしょう。また、スコアも上昇していますが、劇的な増加ではありません。どちらかといえば、水冷BOXによって長時間の負荷でも性能をキープできている点に注目すべきです。

 またキーボード面は、空冷時は全体的に温度が上昇し、水冷時はタッチパッド左側とYキー周辺の温度が触れて分かるレベルで上昇していました。タッチパッド左側は左手のひらが触れる部分であるため、長時間のゲームプレイでは気になる人が多い可能性があります。ちなみに、水冷BOXから出てくる風はぬるいままでした。

 同時に騒音値も計測しました。空冷と水冷ともにG-Tune H5-LCから約70cm離れたところから計測し、水冷BOXはG-Tune H5-LCの右横としました。空冷時は平均53dBで、水冷時は平均41dBでした。体感でいえば、水冷時に騒音はほとんど気にならないもので、水冷BOXをG-Tune H5-LCのディスプレイ裏側に置いておくと、より良い感じです。なお、図書館がおおよそ40dBと言われています。

 最後にMouse Control Centerをチェックします。水冷BOXのセッティング以外にも、ファンクションスイッチやパワーセッティング、キーボードのバックライト、ライトバーを変更できるもので、例えばWindowsキーをロックしたい場合やキーボードのバックライトカラーを変更したいときに便利です。パワーセッティングには、パフォーマンスモードとバランスモード、静音モードの3つがありますが、水冷BOXを使用する場合はパフォーマンスモード1択でOKです。またパワーセッティングは、電源ボタン横にあるスイッチでも切り替え可能です。

  • ▲Mouse Control Centerの画面。ファンクションスイッチはゲーム前にチェックしておきたいですが、ゲームプレイごとにWindowsキーをロックするのは面倒なので、アプリケーションを紐づけられるといいなと思うばかりでした。
  • ▲G-Tune H5-LCの場合、パフォーマンスモードにしておくだけでOK。

価格に見合う静かさ

 G-Tune H5-LCはハイスペックな構成に加えて、水冷BOXもあるため、価格は2022年8月末時点で369,800円(税込)となっています。慎重に検討すべき価格帯ですが、水冷BOXによる良好な排熱により、騒音を気にせず遊べる点もスペックとして捉えるなら、候補にいれてもいい存在です。また、本体の熱をほとんど気にする必要がない点もよく、フィジカルな要因のストレスを減らしたいのであれば、ノートPC派には救世主といえるでしょう。

特別企画:“G-Tune H5-LC”における取り組みについて

 “G-Tune H5-LC”含め、最近行われているマウスコンピューターの取り組みについて、電撃オンライン編集部から気になるポイントをうかがってみましたので最後に掲載しておきます。

――キーボード印字に視認性や可読性に配慮されたユニバーサルフォントを採用したとのことですが、その経緯や狙いについて教えてください。

マウスコンピューター:お客様の声を製品に反映していく中で、ブランド製品問わずにキーボードのフォントに対するご意見を一定数いただきました。社内で検討を行う中で、キーボードの目的は「見やすく、使いやすいこと」はブランド問わず変わらないと考え、全製品に同じユニバーサルフォントを採用することを決定し、順次適用しています。

※ブランド:一般向けパソコン「mouse」ゲーム向けパソコン「G-Tune」クリエイター向けパソコン「DAIV」ビジネス向けパソコン「MousePro」

――御社の多くのPCでDolby VisionやDolby Atmosへの切り替えを進めているとのことですが、その経緯や狙いについて教えてください。

マウスコンピューター:コロナ渦で動画配信サービスのニーズが伸び、配信サービスではDolby VisionやDolby Atmosが適用されているものが多かったことが採用のきっかけとなります。Dolby VisionやDolby Atmos適用の製品をご使用いただくことで、お客様が特段、設定をしなくても最適な状態で動画を視聴することが可能となります。


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