ド直球恋愛青春小説『あした、裸足でこい。』岬鷺宮先生インタビュー。今のこだわりは、本心から書くこと

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 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。今回は、『あした、裸足でこい。』を執筆した岬鷺宮先生(@msksgnmy)のインタビューを掲載します。

 本作は、『三角の距離は限りないゼロ』を生み出した岬鷺宮先生×Hite先生タッグが贈る、青春×タイムリープストーリーです。主人公は卒業式の日に、自然消滅した元カノ“二斗千華”が失踪したのをきっかけに、入学式の日へとタイムリープし、高校時代をやり直すことに。果たして、彼女を救うことはできるのでしょうか?

 岬鷺宮先生には本作の執筆中のエピソードなどを伺いましたが、最後には先生から読者の皆さんへの逆質問もあったりして……? ぜひ最後までご覧ください。

──この作品を書いたキッカケを教えてください。

 「とにかく自分の書きたいものを」という意識で執筆していた『三角の距離は限りないゼロ』が、沢山の方に応援をいただいて最終巻まで走り切ることができました。とてもありがたい経験でした……。

 で、その次に何をやりたいかを考えていたときに、もう少しポップな、王道恋愛青春小説にチャレンジしたいなと思ったんです。

 その前提で担当編集氏とたくさんアイデアを出す中で、担当氏、僕ともに「これだ!」と思ったのが今作のアイデアでした。

──作品の特徴やセールスポイントを教えてください。

 「後悔をなくすことができれば」という誰も抱く願望を題材を、自分の感性を駆使して真正面から描きました。

 王道に行ったことのあまりない自分にとって、珍しくスタンダードな作品になったかなと。

 そもそも、後悔をなくすことが本当にいいことなのか、とかそういう問題にも切り込んだりしようと思っていますが、まずはヒロインのかわいさと、主人公の頑張りが一番のセールスポイントかな。

 あと、ラスト辺りの展開には驚いてもらえるかも……。

──作品を書くうえで悩んだところは?

 あんまり悩まなかったかもしれません。自分にとっては珍しいことなんですが……。

 普段自分が思っていることを、これまで得た技術を駆使して余計なことをせず書いた感じだったので。

 とても楽しい執筆でした!

──執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 執筆、推敲合わせて、実作業は1カ月くらいかな。2カ月はかかってないと思います。

 結構早かったのですが、これは作品の読み味を「勢いよく読める」ものにしかったからです。意図的にテンポよく書いていきました。

 逆に、情報の密度を上げてくすぐり続ける、みたいな読み味も、今後試していきたいところです。

──執筆中のエピソードはありますか?

 「高校時代の自分はどんな感じだったっけ……?」と昔の写真を見てみたんですが、垢抜けてなすぎてびっくりしました。すげえ老けて見えたし。

 20年経った今の方が若干若く見えるレベルで、ちょっとショックを受けました。

──本作の主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 基本的に僕のキャラ作りには二軸があって、「作品、時代に合っているか」「僕自身にとってそのキャラは何者なのか」が重要です。

 前者はそのまま、企画や今のトレンドに合っているか。

 後者は「自分の中のこの部分を抜き出した存在」「自分の擬人化(?)」「自分にとって理想の○○」とかを把握する、ってことですね。

 今作の主人公「坂本」とヒロイン「二斗」は、どちらも「自分の擬人化(?)」「理想の○○」両方の側面があって、書いていても他人と思えませんでした。

 ちなみに、二斗が「元カノ」っていう設定は担当氏から出たアイデアなのですが、なんか今っぽくていいなと思い採用しました。

──特にお気に入りのシーンはどこですか?

 冒頭かな……。

 特にプロローグ、そのあと続く一話の冒頭は作品全体にとって重要な意味を持つので、気合いを入れて書きました。

 あ、あとラストシーンも好き!

──今後の予定について簡単に教えてください。

 今日はこのあと近所の西友に行って昼ご飯と夕飯買って、帰ってきたら『原神』やります!!!

 執筆の方はあれですね、『はだこい』を全力でやりつつ、新しいチャレンジもし続けたいなと思っています。書き尽くしてゆきたい。

──小説を書く時に、特にこだわっているところは?

 今のこだわりは、本心から書くことでしょうか。

 ライトノベルはエンターテインメントであり、読者に楽しんでもらうことが最大の目的ですが、僕個人としては目的を達成するための手段を選びまくりたい。
(もちろん、読者としては手段を選んでいない感じの作品も大好きです。ラノベの美点はそこにあるかもとさえ思う)
(あくまで個人的なこだわり)

 だから、自分自身が好きだと思える、人生を込められる作品を書きたいなと思ってます。
そうやって書くのが、今は一番楽しいので。

──アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 とりあえず、実際に始めることかなあ。アイデア出しでも作業でも。

 これ、自分でもいいことなのかどうかわからないのですが、自分の「やる気」「モチベーション」を全無視して、ひとまず作業を始めるのが癖になっています。

 始めさえすれば、まあ大体の場合気分も乗ってくるし、作業は進むし。

 ただ、もうちょっと自分のコンディションみたいなのを意識して、今は休むみたいな選択をするのも、実は作品にとってプラスだったりするのかなと最近は思います。

──学生時代に影響を受けた人物・作品は?

 今思うと、学生当時聴いていたミュージシャンの活動のしかたを、自分の作家生活でなぞろうとしているところがある気がします。

 ルーツと現代性のミックスって意味だったり、ふるまいとかの部分で。

 小説家として近いことをしてみたい「学生時よく聴いてたミュージシャン」は、今この瞬間で言えば小島麻由美さんとかかなあ……。

──今現在注目している作家・作品は?

 友人の作家、西条陽氏が作っている音声ドラマ『韻ふむふたり』です。

 ちょびっとだけ制作の過程を見せてもらったんですが、素晴らしすぎて泣きそうになりました……。

 一受け手として、公開されるのを今一番楽しみにしています!

──その他に今熱中しているものはありますか?

 これはもうお芝居ですね。特に声優さんのお芝居に夢中になっています!

 ちょっと前までほとんど意識していなかったのに、今や執筆の息抜きは、「アニメやゲームで声のお芝居を楽しむ」一択になりました。

 自分も言ってみれば「キャラ」というものを表現する仕事をしているわけですが、役者の皆さんの表現やその手法、根底にあるキャラ理解が本当にすごすぎる。

 そこにもっと触れていけば、自分の小説にも還元できることが無限にありそうな予感がしています。

──最近熱中しているゲームはありますか?

 今になって『原神』にハマってます! こんなに面白いものだったのか……。

 ちなみに、声優さんのお芝居を楽しむっていう意味でも『原神』は非常にありがたいです。

──それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 メッセージというか、むしろ僕が聞きたいことが色々あるんですよね。みなさんどんな人で、何歳くらいで、どんな暮らしをしているのだろう。

 今好きなものや気になるもの、そういうのが知りたい。

 いつかなにかの形で、お会いできる日が来るといいなとこっそり思っております!

 そして新作『あした、裸足でこい。』よろしくお願いしますね。

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