『Voice of Cards 囚われの魔物』レビュー。魔物のカード化で収集&カスタマイズ要素が大幅進化!

Ak
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 9月13日発売予定のNintendo Switch/PlayStation4/PC(Steam)用RPG『Voice of Cards 囚われの魔物』のレビュー記事を掲載します。

※ストーリーに関する核心的なネタバレはありませんが、一部展開に触れているのでご注意ください。なお、本レビューではPS4版をPS5でプレイしています

シリーズの基本は踏襲しつつ序盤からシリアスな物語が展開

 本作は、クリエイティブディレクターをヨコオタロウ氏、エグセクティブ・プロデューサーを齊藤陽介氏が担当するスクウェア・エニックスのRPG“Voice of Cards”シリーズの第3弾。

 テーブルトークRPGのようなグラフィックと、ゲームマスター(GM)によるナレーションによる演出が特徴的です。

 演出こそ独特ですが、実質的には王道のRPGであることも、シリーズで共通。

 なお、ストーリーは3作品それぞれで独立しているので、どの作品からプレイしても大丈夫です。

 本作『囚われの魔物』では、シリーズ初の女性主人公が登場。

 主人公のアルエは、地下の小さな集落で暮らす地下の民の少女。生まれてから地上に出たことがなく、地上に憧れを持っています。

 シリーズ作品と比べると、ストーリー冒頭からショッキングな展開が続きます。

 欲望のままに主人公が行動していた『ドラゴンの島』や、王道ボーイミーツガールだった『できそこないの巫女』と比べても、序盤のノリはかなりシリアスですね。

 最初に仲間になる謎の少年・ルゴールもアルエも抱えているものが重く、真面目な性格なので、“復讐”をテーマに描かれる序盤のストーリーは重厚です。

 とはいえ重い展開は長くは続かず、序盤である決着がつき、新たな旅立ちを迎えると前向きなストーリーになっていきます。

 とくに3~4人目の仲間であるプルケやトラリスが仲間になってからは、パーティの雰囲気が明るくなっていつもの“Voice of Cards”シリーズのノリになります。

 4人の仲間の中でも、カタコトで話す猛獣使いの少女・トラリスは癒し!

 少々やらかし気味なところもありますが、重い過去を持つパーティメンバーの中では行動原理もシンプルで、親しみやすいですね。

 シリーズ初の女性主人公とあって、本作ではGMも初の女性(石川由依さん)に!

 今までの安元さん、速水さんの渋い男性声ももちろんよかったのですが、透き通るような声の女性ボイスもまた雰囲気があっていいですね。石川さんに叱ってほしくて、つい横道に逸れたくなります。(笑)

 登場人物が早口でまくし立てるシーンではGMもすごく早口になったりと、シリーズでお馴染みのメタ的なギャグシーンも多数収録。シリアスになることも多いストーリーのなかで、いいアクセントになっています。

 とにかくボイスによる演出が素晴らしいので、ぜひボイスを飛ばさずにじっくりと聞いてみることをオススメします。

魔物をカード化できるようになり収集要素が大幅にパワーアップ!

 基本的なシステムは従来シリーズと同様。演出やグラフィックはテーブルトークRPG風ですが、実質的にはオーソドックスなRPGなので、誰でも遊びやすいです。

 カードゲームのようなランダム要素は少なく、コマンドやスキルを選ぶタイプの、分かりやすいバトルシステムになっています。

 ただし本作では、魔物をスキルカード化できるようになり、収集要素が大幅にパワーアップしています。

 戦闘終了時、倒した魔物の“魔物カード”がランダムでドロップ。魔物カードをキャラクターに装備することで、魔物に応じたスキルが使用可能になります。

 従来作と比べると、キャラ固有のスキルが少ない(1種類のみ)ぶん、スキルを自由に付け替え可能になり、カスタマイズ性が向上しています。

 プレイヤーによって入手できる魔物カードに差が出るので、育成状況に幅があるのも、個性を出しやすくて楽しいです。

 キャラにはそれぞれ特性があり、それに応じた魔物カードを装備していくのが無難ですが、戦術の自由度が高く、しっくりくるスキル構成を見つけたときはかなりうれしい!

 自分の場合は、回復能力の高いアルエに回復系、ジェムを回復できるプルケにサポート系、攻撃能力の高いルゴールやトラリスに攻撃系のスキルをセットしていました。

 従来作品では敵は単なる敵に過ぎませんでしたが、本作では貴重なスキルカードになるぶん、新しい敵が登場したときは本当にワクワクします。

 見た目が強そうな敵や、回復や妨害ができそうな敵が出てきたときは、カードをドロップするよう祈りますね。(笑)

 ちなみに、魔物カードには星5つまでのランクがあり、上位になるほどダメージ値などが上がります。上位ランクのカードを入手すると下位ランクのカードは破棄されるため、高ランクのカードを収集できると戦力を強化可能。

 物語を進めて新たなエリアに行けば、より高ランクのカードを入手できるようになりますが、同エリアであってもランクの異なるカードをドロップします。

 アイテムドロップ時に入手する宝箱を選んだとき、ラインナップにより高ランクのカードがあったときは、けっこうくやしいです。(笑)

 貴重な性能の魔物カードを見つけたら、より高ランクのものを確保してから先に進むか、ストーリーを進めてから高ランクのカードを探すかの判断はプレイヤーしだい!

 魔物カードを入手し損ねても後々のダンジョンで同種のカードを入手可能なので、個人的にはストーリーの進行を優先したほうがよさそうに感じました。とはいえ序盤は攻撃系のスキルが貴重なので、収集を優先したほうがいい場面はありますね。

 ボスもカード化可能で、もちろん強力なスキルが使用可能です。

 とくに神獣と呼ばれる魔物のカードは非常に強力。ジェム消費が激しいものの戦況を変えるほどの性能を持ちます。そのぶん、どのキャラクターにセットするかに迷いますね。

 ちなみに魔物カードはお店でも購入できるので、最低限の戦力はお金でもそろえられます。

 とはいえお金は貴重で可能な限り装備に使いたいので、本当に欲しいスキルがあったときのみに使いたいところ。

 シリーズと基本的な要素は共通ながらも、魔物カードの収集要素のおかげで、ザコ戦の楽しさが大幅に増した『囚われの魔物』。

 テーブルトークRPGの雰囲気やRPGの収集要素が好きな人にオススメできる作品になっています。もちろん、石川由依さんのファンにも!

 本作から始めてハマったら、シリーズ作品に触ってみるのもオススメです。古きよきRPGファンならサクッと遊べてしっかり楽しめるので、ぜひ気軽に遊んでみてください。

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