『バイオハザード ヴィレッジ』はいつからVR化を予定? PSVR2版開発スタッフにこだわりや苦労を聞く

電撃オンライン
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 PlayStation VR2(PSVR2)の先行プレイがメディア向けに実施。その会場で行われた『バイオハザード ヴィレッジ』プロデューサー・神田剛氏と、PSVR2版『バイオハザード ヴィレッジ』ディレクター・高原和啓氏へのインタビューをお届けします。

 PS VR2版『バイオハザード ヴィレッジ』は、ゲーム本編をVRで体験できるというもの。壁や調度品などの質感がさらに際立っていることから、一層深い没入感を実現しているとのこと。

 インタビューでは、VR2版開発の経緯や開発で感じたこと、注目ポイントなどを語っていただきました。

 なお、インタビュー中は敬称略。

『バイオハザード ヴィレッジ』は開発当初からVR版を意識して製作された

──PSVR2版『バイオハザード ヴィレッジ』を制作するにあたって、視覚的なインパクトについて何を意識しましたか?

神田:PSVR2の解像度と『バイオハザード ヴィレッジ』が本来持つビジュアルである程度のインパクトは出せると考えていました。

 そのなかでイベントや実際に敵と対峙する距離感や、VR空間にプレイヤーが入って直感的な操作で銃を扱うアクションの部分で没入感を助長させることを意識しています。

──『バイオハザード ヴィレッジ』は当初からVR版を意識して制作したのでしょうか?

神田:そうですね。『バイオハザード7 レジデント イービル』をVR化した際にユーザーさんから非常に好評だったので、今回も開発当初からVR版を意識していました。

 ただ、本格的に制作を始めたのは本編が発売されてからです。ホラーのテーマパークとして制作した『バイオハザード ヴィレッジ』のユーザーさんの満足度が高かったことを受けてPSVR2版の制作を始めた形ですね。

──PSVR2版を開発するにあたって、『バイオハザード7』のVR対応と比べて変わったことはありますか?

高原:アセットの品質を落とすことなく立体音響やグラフィックなどを体験できることが強みですね。よりよい恐怖体験をしてもらうにあたって、PS5版『バイオハザード ヴィレッジ』そのままの音や絵を生かすことができました。

神田:『バイオハザード7』のPSVR版は、解像度が酔いにつながっていた部分がありました。そこの改善ができたのはPSVR2のテクノロジーが大きなところです。さらに、実際のアクションや、体験の部分は格段に上がっているので自信をもって提供できます。

高原:アクションについて補足になりますが、『バイオハザード7』はPlayStation Moveではなく、DualShockを使って遊ぶタイトルでした。ですが『バイオハザード ヴィレッジ』はPlayStation VR2 Senseコントローラを使ったVRに特化した遊びになっているので、この点も大きな体験の変化になります。

──レンダリングやフレームレートなどはVR版を作るにあたって調整が入っているのでしょうか?

神田:VR版を作る際に大きくオミットしたものはありません。修正したものは、立体視で見る時に左右の目でどうしても違うものが映ってしまうようなパフォーマンス以外が原因になるものくらいですね。元のゲームのビジュアルや雰囲気を壊さずに、ほぼ生かしています。

──確かにいわゆるVR酔いがなく疲れも感じなかったのですが、ソフトウェア面ではどういった工夫がされているのでしょうか?

高原:『バイオハザード7』のVRモードで得たVR酔いを軽減するためのアイディアを盛り込んでいるのが工夫のひとつですね。さらに、姉妹に引きずられるシーンでヘッドセットが震えるのを体験してもらいましたが、あの振動もフレーム単位で強さを含めて調整しています。そういった振動の感じ方や映像の入り方などを総合的に酔いにくいように作っていますね。

PSVR2ならではのVRゲームの開発のしやすさは?

──同じ『バイオハザード ヴィレッジ』でありつつもVR化となると新作を1本作る、もしくはリメイクを1本作るくらいの工数がかかっているように感じますが、実際のところはどうだったのでしょうか?

神田:『バイオハザード7』の時と比べると、アセットのクオリティが高かったのでまずはそのままVR化した時にどう見えるかや、満足のいく映像になっているかのチェックから入りました。そこからPSVR2に合わせてチューニングしていきました。

──チューニングはやはり大変な工数がかかるものなのでしょうか?

高原:正直なところ『バイオハザード ヴィレッジ』はPS5を前提として作っていたのでパフォーマンス上、特に困ることはありませんでした。ですから、VRで遊んだ時のゲーム全体のレベルデザインやカメラの動きありきの演出など、いかに元の素材を生かしてVR化できるかに注力できたのがよかったですね。これはPS5とPSVR2の組み合わせだからできたことだと感じています。

──ハンドガンを使うアクションなど、VRならではの要素はどのようにして作られているのでしょう。

高原:作られていると言いますか、今も作っている真っ最中ですね。例えば今は太ももからハンドガンを取り出しますが、最初から太ももと決まっていたわけではありません。

 そして今後もなにをどうすれば快適に遊べるかを突き詰めていく必要があると考えています。そして、できあがったものがただ楽しいVRゲームというだけでなく『バイオハザード』になっているという点も意識していますね。

──お話を聞いていると『バイオハザード7』のVR化よりもだいぶ開発を進めやすかったように聞こえますね。

高原:間違いなく開発はしやすくなっています。一番わかりやすい例は“シースルービュー(ヘッドセットに現実の周囲の状況を映し出す機能)”の存在ですね。

 開発中にヘッドセットを使っていると、当然メモをしたい、少し調整をしたいといったことがあるんです。そういった時にヘッドセットを外す手間がないのがありがたいですね(笑)。

ドミトレスク夫人は注目ポイントのひとつ

──VRならではのこだわりや逆に苦労した点なども聞かせてください。

神田:こだわっている点としては、銃のアクションをどこまでリアルに近づけるのかですね。あまりリアルに近づけ過ぎると射撃のシミュレーターらしさが強くなり『バイオハザード』が持つサバイバルホラー感を損ないかねません。

 ですから、VRゲームらしさと『バイオハザード』らしさのバランスには注意しています。

高原:VRならではの苦労話は、チェックを行う際にPlayStation VR2 Senseコントローラーを使っているので、VRではないタイトルのチェック作業と比べて手や腕が疲れることですね(笑)。

 ただ、自分で手を動かしながらどうすればより快適に遊べるかを探るのは楽しいところでもあります。

──銃と言えば、照準のようなものが画面に出ないのはVRらしい遊びを意識したものなのでしょうか?

神田:そうですね。ただ、照準に合わせやすさや狙う楽しさを考えてどこまで実銃に寄せていくかは今度の調整ポイントのひとつです。

──今回体験できたハンドガン以外の銃について話せる範囲で聞かせてください。

高原:ショットガンやライフルなど『バイオハザード ヴィレッジ』に登場した銃はVR版でも登場する予定です。他の銃もハンドガンと扱い方は似ていますが、それぞれの銃らしい違った操作感になりますね。

──PSVR2版『バイオハザード ヴィレッジ』の販売形態は決まっていますか?

神田:販売形態、発売時期ともにまだ決まっておらず、検討中です。

──TGSで本作をプレイする人に注目してほしいポイントを聞かせてください。

神田:まずは、ディテールまで含めたアセットのクオリティの高さを見てほしいです。そして、やはりドミトレスク夫人もポイントですね。

 PSVR2であの迫力や妖艶さを再度感じてもらえるはず。そこに、銃を使ったアクションなどを含めた体験を総合的に楽しんでもらえればと思います。

高原:どこを見たとしても破綻がないように作っているので、全部見てほしいとしか言えないですね。PSVR2で見ることで、飾りやイーサンの服の質感、ソファーのしわや傷などを細かく描写していることに気が付いてもらえると思います。

 雪景色や城を精密に作っているので、観光気分でも堪能してほしいですね。

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