低コストかつ世界最小・最上グレードのMEMSセンサー開発とは? VR、AR、メタバースの3D世代への応用にも期待

電撃オンライン
公開日時

 2022年9月28日に、東京・渋谷で、ゲーム業界にまつわる企業が参加する交流会“928 ご縁の会 2022”が開催されました。

 本イベントは多くのゲームのローカライズや開発に携わってきたキーワーズ・インターナショナルに勤務する中西一彦さんの主催によるもの。多くのゲーム会社の方が参加し、歓談するだけでなく、ステージ上でのトークやプレゼンも行われました。

 本記事では、イベント内で語られた世界最小・最上グレード、かつ低コストのMEMSセンサー開発について解説されました。

世界最小・最上グレードのMEMSセンサー開発とは?

 MEMSセンサー開発のプレゼンは、MEI-Micro Inc, CEOのロスさんが登壇し、解説が行われました。

 MEI Micro Inc.は、MEMS多軸慣性センサー、次世代MEMSパッケージング技術、および家電、ヘルスケア/医療、産業、自動車、航空宇宙/防衛などのさまざまな業界向けのモーション対応アプリケーションを開発しているファブレスセンサー会社です。

 「かなり緊張しております」と語ったロスさんは、電子回路と機械要素を1つの基板に組み込んだ“MEMS(メムス)”について解説を行いました。スマートフォンにも使用されているシステムについて、さらなる知見が広がるスピーチとなりました。

MEMSセンサーの特徴や今後の展開について

 ゲームやアニメといった映像分野も含めて、我々の身近な分野にも影響をしてくるMEMSセンサー。その特徴や今後の展開について、MEI-Micro Incにコメントをいただきました。便利な技術を低コストで提供することが可能となってきており、我々ゲーマーの身近なところとして、VR、AR、メタバースの3D世代への応用も期待されます。これから遊ぶゲームにおいて、MEI Micro Incの技術が使われることが増えてくるかもしれませんね。

 「MEI-Micro Inc,(エムイーアイ・マイクロ/CEOルイス・ロス)は、独自の3DS MEMs IMU プラットフォーム技術を使用して、世界最高のハイパフォーマンス、且つ、最も低い CSWaP (コスト、サイズ、重量、電力)のMEMS 慣性センサー システムの開発に成功し、既に、米国と日本の特許を含む広範な特許ポートフォリオを有す、製造プロセス、デバイス設計、およびアプリケーション関連分野をカバーしている米国企業です。

 これにより、世界トップのゲーム フランチャイズを開発している日本の企業や、今後「3D」分野の開拓を行う様々な企業を強力にサポートしています。

 メタバースの概念がより現実のものになるにつれて、「ゲーム革命」が起ころうとする昨今ですが、同業界で現在使用されている慣性センサー モーション·キャプチャ システム、VR ヘッド トラッキング、ARナビゲーションに比べ、MEIが開発したMEM IMUは実に80倍から100倍精度が高く、コスト面ではるかに低くなっています。これにより、ゲーム制作への新しいアプローチが可能となり、ゲーム中のさらなるリアルな没入感と、より魅力的な体験を叶えることとなるでしょう。


 これまで、MEIと同レベルの高性能慣性システムは、航空宇宙や防衛産業分野でのみ採用されてきたものであり、1ユニットあたりのコスト高が原因で、家電分野や企業レベルでさえその活用が現実的には行われてきませんでした。

  • ▲U.S. Air Force SBIR recipient
  • ▲U.S. Navy SBIR recipient

 MEI Microが開発したこれらの技術は、米国のミリタリー&エアロスペース マガジンのイノベーターズ アワードの金賞、R&D 100の金賞 (2018年)、また数々のTechConnect Defense Innovation Awards(最新2021年)を受賞しています(下図参照)。

 同社はまた、米国陸軍の「xTech Search 4.0」コンペティションのファイナリストにもなり、3DS IMUプラットフォーム テクノロジーで350社を超える企業の中から上位5社に選ばれました。そして、ガイダンスとナビゲーションに関連するアプリケーションのために米国陸軍、海軍、空軍が支援するいくつかの米国中小企業イノベーション研究 (SBIR) の助成金を得て、パートナーと協力し次世代のAutonomous Car(自動自動車)および自律型 (空、陸、海) 車両セクター向けのPNT(Assured Position、Navigation、 Timing)技術も開発しています。

  • ▲Finalist, “xTech Search 4.0” 2020-2021


 また今年、最初の製品である世界初のナビゲーション グレードのチップスケール3DoF加速度計IMUを、東京で開催される第10回イノベーション リーダーシップ サミット(ILS)で発表します。その後、2023年第2四半期の終わりに向けて、6DoFコンボ (多軸加速度計とジャイロ) MEMs IMUも導入。近々東京オフィスを設立する予定もあり、日本企業と提携して独自のアプリケーションを開発することに非常に興味があります。

 MEI創業者の1人であるCEOのLouis Ross(ルイス・ロス)は、東京で外国人としてキャリアをスタートさせる前に、数年間を留学生(慶應義塾大、東大)として過ごしたため、自らを「日米ベンチャー」企業と見なしているのです。

 ゲーム業界においては、このテクノロジーの恩恵を存分に活かせるアプリケーションがいくつもあり、これには、高精度のモーション キャプチャ システムで前例のない精度を低コストで実現すること、VRの低レイテンシのヘッド トラッキング、GPSがない場合でもARの正確なナビゲーションを実現すること等が含まれます。

 また、ゲームがハンド コントローラーやデスクトップ ディスプレイの2D世界からメタバースの3D世界に移行するにつれて、「没入型」体験を改良することでゲームプレイを強化する主要技術の実現が重要となりますが、これは低消費電力、アイ・トラッキング、ヘルス モニタリング システム等で、3DS IMUとともに“重複する業界の利益”とも呼べるものを実現してゆくものでもあります。

 また、ゲーム部門は、これら多くのイノベーションの中心になるため、MEIの高精度なモーションキャプチャーも同時に搭載してゆくことで、この技術でゲーム開発会社と連携し、VR、AR、メタバースの3D世代への応用も視野に入れています。これにより、ゲームプレーヤーが、ゲームプレイ用に開発された3Dワールドに完全に没頭できる世界の実現が可能となります。」

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら