『バイオハザード RE:4』ケースやナイフもプレイの幅を広げる? 闇の表現や怖さなどの違いを平林プロデューサーが語る

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 カプコンから2023年3月24日に発売予定の『バイオハザード RE:4』。そのプロデューサーを務める平林良章さんへのインタビューを掲載します。

 『バイオハザード RE:4』は、原作の核を大切にしながらも、2023年に発売されるシリーズ最新作。現代のゲーム作品として高いクオリティを目指して制作が進んでいるリメイク作品です。

 平林さんにはタイトルのコンセプトからこだわりの表現、新要素までさまざまな質問にお答えいただきました。

多様性を飲み込めるレベルデザインを心がける

――『RE:4』のコンセプト、テーマがあればお聞かせください。

 “死を逸し(かわし)、倒す快感”です。原作の核を大事にしつつ、現代のプレイフィール、再構成されたストーリー、最新のグラフィックによって、最新のサバイバルホラーとしてリメイクすることです。

――原作と比べると闇の表現に力が入ってると感じました。

 物語が始まる時の不気味な村に来たというコンセプトは原作にもありましたし、「この先で何が起こるのか?」という部分も踏襲しています。このシチュエーションでの表現の方向は「みなさんにより不気味に感じていただけるシチュエーションは何か?」ということです。その結果、光源には気を使いました。

 とくに朝の日差しが少し入り込むような暗い森や小屋などを含めて、すべてが見えない、視界の悪い状況の中、どんどん敵に押し込まれていく状況は、サバイバルホラーゲームとしてユーザーのみなさまへのご挨拶の仕方として受け取っていただけたらと思います。

 なお、単に原作以上に暗い『バイオハザード4』を作りたいわけでは決してありません。あくまで原作の各エリアのコンセプトを、今できる表現の手法を使ってそれぞれに掘り下げて、みなさんにお届けしたいのです。その表現の一端が暗闇になります。


――村に入って見張り台のある広場に入った感覚は、オリジナル版を思い出しました。

 すべてを変えるつもりはなくて、思い出深いものは思い出深いまま、どんな演出にしていくのか……。「原作はこんな感じだったかも?」と感じていただけるのを目指していますが、「原作はこうだったっけ?」と思われる瞬間もあるかもしれません。

 ですが、コンセプトは変わりません。表現の仕方が違ったんだなと思ってもらえる場所が存在します。

――アクション面ではナイフの仕様が変わっていたり、銃を構えたまま移動できたりとアレンジが加わっていると思いますが、大きな新要素はどこでしょうか?

 ナイフがとくにわかりやすいポイントです。同時に新しい要素を取り入れたうえで「どうですか?」と僕たちがユーザーのみなさまに提案している部分もあります。

 実際、操作体系は原作とは違います。けれども操作感や動きへの直感……多分レオンはこういう行動、動きができたよねという部分はスムーズに行えるようになっています。例えば銃を構えて動けるようになった点がそうですね。

 原作のいいポイントとして、ユーザーの方がそれぞれ、攻略の仕方に幅を持てました。レベルデザインや敵の配置も含めて、さまざまなプレイスタイルを許容できるゲームだったから愛されたというのは大きいと思っています。

 リメイクするうえで原作よりも選択肢を少しでも増やせるアクションは何かを考えた結果として、足されたものがいくつかあります。目指すべきところは、それぞれのプレイスタイルに対応できそうな遊び方、具体的には多様性を飲み込めるレベルデザインだったり、アクションだったりです。

 その結果として今作ならではの原作と違う部分で、わかりやすい例がナイフや後退、しゃがみの存在ですね。

――ステルスキルもこれまでにありそうでなかった要素だと感じました。

 そもそも『バイオハザード』シリーズとしてもあまり採用しなかった要素です。それをやり始めると、ステルスキルをしなければいけないように設計してしまいがちですし、ユーザーの方にも強制する形になりがちです。

 いろいろな戦い方を提供したい、考えて試していただきたいと思っているため、極端にステルスゲームに寄せるような設計にはしていません。ただ、ステルスキルも狙えますが、見つかったら戦闘するか逃げるかというキャパシティはあった方がいいだろうというように、柔軟に作っている部分がありますね。

――ナイフに耐久値がありましたが、壊れた場合はどうやって復活させるのでしょうか?

 今作にも武器商人がいまして、武器商人のところでナイフを修理できます。メインのナイフは折れても修理が可能で、他に消費するタイプのナイフも存在しています。この消費型ナイフは修理ができず、耐久がゼロになったら失くなりますが道中で拾えます。

 そのため、ナイフも1つのリソース武器としてユーザーの戦略に組み込んでいただけるような重要なポイントとなっています。遊びを広げる要素としてナイフに耐久値を組み込みました。耐久値が設定されたぶん、パリィができたり、ナイフを用いた緊急回避や追撃などが可能になっています。

――ナイフの強化要素もあるのでしょうか?

 あります。詳細は今後の情報をお待ちください。

――『バイオハザード4』はたびたび登場するQTEが印象的でしたが、本作にも組み込まれているのでしょうか?

 まず人によって“何をもってQTEとするか?”が異なると考えています。ムービー時に押さなければやられることがQTEと呼ばれることが多いですが、銃を撃って怯んでいる敵にボタンを押すのはQTEと呼ぶ方もいれば、呼ばない方もいたり。大まかには決められた出来事に対して強制的にボタンのルールを付与しているような状態をQTEと呼ぶことが多いと考えています。

 何かしらコマンド入力を強制させる要素をQTEと呼ぶのであれば、今作にもあります。ですが、原作にあったようないわゆるムービーの中で突発的に起きて、プレイヤーに何かしらネガティブになることを押し付ける要素は今作にはありません。

 コマンド入力を要求されるのは操作し続ける体験の中、つまりゲームの中に落とし込まれています。

――原作から改善したかった点、変更した点はありますか?

 原作の制作時に「ムービー中でも気を抜けない環境がいいのでは?」とQTEを足した過去があります。しかし、予測していない時にボタンを押せないとやられるというのは嬉しくない体験であるため、プレイヤーが努力で楽しんで乗り越えていけるものに注力していくスタイルを忘れずに制作しています。

――多彩な武器を扱えるのが印象的でしたが、新武器は用意されていますか?

 武器の種類については現時点ではお答えできません。ただ、原作相当の武器の選択肢のキャパシティはございます。

――アイテム欄に書かれていたチャームとは何を指しているのでしょうか?

 本作ではアタッシェケースをカスタマイズできます。原作ではサイズ変更のみでしたが、今回はセーブポイントであるタイプライターにてアタッシェケースのカスタマイズが可能です。アタッシェケース・シルバー、ゴールド、クラシックのように柄に加えて、カワイらしいハーブ型のチャーム、要はキーホルダーも付けられます。

 それらは少しだけプレイに影響を及ぼします。例えば、アタッシェケース・ゴールドを付けている人は“少しだけドロップアイテムにお金が落ちやすくなる”といったものです。1つ1つに大きな効力はありませんが、選択肢の幅の広げることに助力できているかなと。

――平林さんの考える『バイオハザード』のコアはなんでしょうか?

 僕自身が会社やチームを代表してお答えすることはできませんが、僕個人として言えるのであれば“緊張と緩和”です。怖さに怯えながら死をかわすべく逃げるけれど、努力した瞬間に爽快な結果を生む。生き延びたという一瞬の安堵感。熱いものと冷たいものを交互に触る温度感を楽しめるのは『バイオハザード』らしいと考えています。

――VR版も同日に発売されるのでしょうか?

 VRの開発については先日開示された情報以上についてはお伝えできません。今は本編に注力しているということだけお話したいと思います。

――最後に本作のポイントをお話いただけますか。

 原作をプレイしていただいたみなさま、そして本作で初めて『バイオハザード4』に興味を持っていただいたみなさま、それぞれにご満足いただけるタイトルになるよう、スタッフ一同頑張っております。ぜひご期待いただければと思います。

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