バットマンなきゴッサム・シティの変化を描く『ゴッサム・ナイツ』の魅力をレビュー

電撃オンライン
公開日時

 WB Gamesから10月21日に発売された『ゴッサム・ナイツ』。日本においても高い人気を誇るヒーロー『バットマン』の舞台として知られているゴッサム・シティで展開するオープンワールドアクションRPGです。

 ゴッサム・シティが舞台のゲームではありますが、本作の主役となるのは、バットマンの相棒を務めた4人のサイドキック(相棒)たち。これまでのバットマンが主役のゲームとは一味違う魅力を持つ本作を、2回に分けてレビューしていきます。


次世代のゴッサム・ナイトとして成長していくサイドキックたち

 ゴッサム・シティの守護者であったバットマンがその命を散らす――そんな衝撃的な展開を初っ端に叩きつけてくる本作。バットマンの意志を継ぐべく、バットガール、ロビン、ナイトウィング、レッドフードの4人が新たなヒーローとして立ち上がる……というのが本作で描かれる物語です。

 ゲーム開始時には、この4人のヒーローから1人を選んでスタート。どのヒーローも基本的な操作は同じですが、モーションや得意な戦い方は異なります。とはいえ、チュートリアルを兼ねたいくつかのミッションを終えたあとであれば自由に切り替えられるようになるため、深く悩む必要はありません。

 ちなみにヒーローにはレベルがあり、レベルアップ時に得られるポイントを消費して新しいアクションを解放していくことができます。レベルは全ヒーローで共通なので、個別にレベル上げをしなくてもいいのは嬉しいですね。

 物語の見どころとしては細かい心理描写が挙げられます。師であり、相棒でもあったバットマンの死にショックを受けた彼らが、それでもゴッサム・シティの治安を維持しようと奮闘する姿は、素直に応援したくなります。

 頼れる者を失ったことによる不安、そしてバットマンの不在を感じ取った犯罪者たちが暴れ始めたゴッサム・シティで、自分たちが代わりを務めなければならないというプレッシャー。仲間たちとの価値観の違いなど、さまざまな障害に悩まされながらもチームとして戦っていく流れは、長編ドラマを観ているような感覚で楽しめます。

 しかも、カットシーン中での会話のやりとりが使用中のヒーローで異なっていそうなのもポイント。NPCとの会話は、捜査中のヒーローの個性が感じられる受け答えになっているため「このシーン、ほかのヒーローだと何て言ってるのかな?」と気になってしまいます。

 なお、この原稿の執筆時点では、同じミッションを再プレイできるかは不明です。全ヒーローでの会話を見ようと思ったら、新しいデータで周回しなければならない可能性も……?

 またヒーローごとにバットマンとの関係性を振り返る個別ミッションが用意されており、彼らがバットマンに対してどんな気持ちを抱いていたのかをうかがい知ることができるのもエモーショナルですね! 実際、プレイを重ねて彼らを知るにつれ、キャラクターとしての思い入れも強くなっていきました。

 『バットマン』シリーズで有名なヴィランたちが複数登場するのもファンにとっては嬉しい要素。ジョーカーのパートナーとして有名なハーレイ・クイン、ゴッサム・シティの裏社会の権力者であるペンギンことオズワルド・コブルポット、犯罪者集団“リーグ・オブ・アサシン”のリーダーであるラーズ・アル・グールなど、複数のヴィランが物語に介入してきます。


 比較的序盤のミッションで、とある事件の手がかりを得るために、収監されているハーレイ・クインに協力を仰ぎに行くシーンがあります。ここでのハーレイ・クインとのやり取りや、その後の展開は非常に“らしく”て、とくにお気に入り。

 私は『バットマン』ユニバースにそこまで造詣が深いわけではありませんが、そんな私がイメージしている『バットマン』世界の、ダークで混沌とした雰囲気はしっかりと表現されていると感じました。

ヒーローごとの個性が光るバトルと、“バットマン”らしいアクティビティ

 本作の魅力は、何といっても爽快感バツグンの戦闘! 近接攻撃と遠距離攻撃、そして固有の特殊アクションを組み合わせ、無数の敵を相手に立ち回るシチュエーションが多めです。

 近距離攻撃&遠距離攻撃は、ボタンを長押しすることで強攻撃になるほか、各種攻撃を組み合わせることで、幅広いアクションを行えるのも楽しいですね。

 同時に、いかに回避を使って敵の攻撃をかわせるかも重要です。盾を装備した敵には強攻撃を当てて体勢を崩したり、銃を撃ってくる敵には遠距離攻撃で阻止したりと、自分の立ち回りで戦況を動かしていく感覚がとてもおもしろい!

 体力を減らした敵はつかむことができ、この状態で攻撃を加えることで、スタイリッシュなトドメ演出で敵を倒すことも! つかんだ敵を別の敵やオブジェクトのほうへ投げ飛ばして活路を開いたり、脅して犯罪の情報を手に入れたりすることもできます。

 また敵の背後や頭上から忍び寄った際は、気付かれずにテイクダウンを狙うことが可能! 他の敵に気付かれにくいサイレント・テイクダウンか、素早く倒せるアンブッシュ・テイクダウンを使い分けることができ、プレイスタイルや状況に応じて立ち回りを変えることができます。テイクダウンは敵との位置関係によってモーションも変わるため、見ごたえもあり!

 敵をバッタバッタと倒していける戦闘がとにかく気持ちよく、ついつい犯罪者を見つけては手を出したくなってしまいます。

 ちなみにゴッサム・シティはそれなりに広く、ただ走って移動しようと思うとなかなか大変。しかし移動のケアもしっかりされており、指定地点へ体をけん引できるグラップリングフックや、路上を疾走できるバットサイクルを利用することで、快適な移動が可能です。


 本作にはメインミッションとは別に、計画犯罪という特殊なミッションタイプが存在します。これは通常ではマップに表示されないミッションで、犯罪者を尋問して情報を集めることでプレイ可能になるミッションです。

 効率よく情報を集めるには、計画犯罪の情報を持っている犯罪者を探すのがポイント。スキャンすると、周囲で犯罪が行われている場所をアイコンで示してくれるので、現場へ行き、犯罪者たちを詳細にスキャンすることで、情報の所持状況を把握することができます。

 文章にすると少しややこしいですが、プレイしてみればすぐに流れを理解できると思います。何より、水面下で犯罪が計画されていることと、それを暴こうとしているヒーローの活動をうまく表現していてユニークな仕組みだと思いました。

 また、事件現場の調査も個人的に好きな要素のひとつ。バットマン譲りの最先端技術を用いて証拠をチェックし、手がかりを組み合わせて犯人特定のきっかけを作る、パズル的な要素が登場します。

 なお、仮に間違えてもそのまま別の組み合わせを試せますし、特にデメリットもないため難易度はそこまで高くありません。ただ、この調査プロセスがこれ以上ないほどに“『バットマン』のゲーム”感があって、たまらなく好きなんですよね。

装備収集やコスチュームの変更、メールによる交友関係など、嬉しい小ネタも多い!

 レベルアップすると、アクションを解放できるスキルポイントを得られるという話をしましたが、ヒーローたちは装備を製作して装備することでもステータスを向上させられます。

 装備品にはレアリティがあり、性能も多種多様。さらに装備することによってスーツの外見が変わることもあります。高いレアリティの装備を探す楽しみや、装備にMODを付けるカスタマイズ性の高さもあり、自分に合った装備を追求する楽しみがあるのは嬉しいですね。

 スーツの見た目は、装備品の外見をそのまま使うこともできますが、さまざまな作品のスーツスキンに変更も可能! これらのスーツを使うにはアンロックが必要ですが、お気に入りのスーツを使いたいという気持ちはモチベーションにもつながるはず! スーツの外見は最初からすべて確認できるため、アンロックしてみたら思っていたものと違った……というようなこともありません。

 また、バットコンピューター(ゲーム内メニュー)画面では、各キャラクターに届いたメールの内容を見ることができます。本編には直接関係ないものも多いのですが、興味深いのはバットマンシリーズの作品以外のキャラクターからのメールも届く点。

 一例をあげると、クラーク・ケント(スーパーマン)からは、バットマンを失ったことでショックを受けているであろうチームメンバーへ、励ましのメールが届きます。しかもメンバーごとに微妙に内容が違うという、彼の細やかさが出ています。

 他作品のDCヒーローたちが、関わりのあるメンバーにメールを送ってくるというのは、DCユニバースが好きな人にとっては嬉しい要素なのではないでしょうか。

 ほかにも、チーム内でピザを勝手に食べた犯人捜しをしていたり、ポッドキャストをやってみないかという提案をしていたりと、チームの普段の雰囲気を感じられるメッセージも多く、ヒーローの日常が垣間見えておもしろいので、ぜひ自分の目で読んでほしいですね!

 後編では、プレイアブルの4人のヒーローごとの特色と魅力について紹介したいと思いますので、そちらもぜひご覧ください。

GOTHAM KNIGHTS software (C) 2022 Warner Bros. Entertainment Inc. Developed by Warner Bros. Games Montréal. GOTHAM KNIGHTS and all related characters and elements (C) & ™ DC Comics and Warner Bros. Entertainment Inc.
BATMAN and all related characters and elements (C) & ™ DC. WARNER BROS. GAMES LOGO, WB SHIELD: ™ & (C) Warner Bros. Entertainment Inc.
(s22)

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら