『どうする家康』3話感想。戦国の世で生き残る、その厳しさ。選ぶのは国か、妻子か

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 毎週日曜20時からNHKで放送の大河ドラマ『どうする家康』。第3回“三河平定戦”のレビューをお届けします。

三河の人々の期待を一身に受ける元康。故郷の星となれるか

 前回のお話は、元康が桶狭間の戦いからなんとか生還し、三河の岡崎へ戻ったところで終わりました。今回は、元康たちが態勢を立て直し、改めて今川家のかたきを討とうとするところから始まります。

 目下の敵は、かつて松平家を裏切って織田側についた水野信元。彼は、元康の母・於大の方の兄にあたります。

 この裏切りが原因で、元康の父は妻・於大の方を離縁せざるを得ず、元康は幼い頃に実の母と離れ離れになってしまったのでした。

 つくづく辛い目にあっている元康ですが、覚悟を決め、自らの伯父にあたる水野信元と対決することに。

 そんな彼のもとには多くの人々が集まって、戦の準備が着々と進められていきます。故郷の人々が、自分たちが殿と仰ぐ者が立ち上がるのを、今か今かと待ち受けていたことがよく分かります。

 強国に囲まれ、立場の弱さから虐げられている三河の人々にとって、元康は希望の星だったに違いありません。

 今の苦況から、自分たちを救ってくれるかもしれない。そんな大きな期待がかけられているのでしょう。

 さて、刈谷城に討ち入った元康たちは、順調に戦いを進めます。特に本多忠勝の活躍はすさまじく、このまま勝てるかに見えた、その時。

 背後から織田の軍勢が迫っていることに気づきます。実は相手の方が一枚上手で、初めから挟み撃ちを仕掛けてきていたのです。元康たちは一転、大ピンチに。戦に不慣れなことが災いし、多くの犠牲を出してしまいます。

 一度撤退し、今川家からの援軍を待ちますが、助けは一向に来ません。そんななか元康たちは、三河南部を治める吉良義昭の協力を受けて、反撃の機会を得ます。がしかし、これも上手くいかず、再びの惨敗。

 敗戦が続いたせいか、元康の臣下たちは少しずつ希望を失ってしまい、なかには「織田に寝返るべきだ」と言い出す者まで現れる事態に。

戦国の世で生き残る、その厳しさ。選ぶのは国か、妻子か。

 上手く状況を打開できないまま、今度は敵である水野信元が直々に元康に会いにやってきます。さらに驚いたことに、元康の母・於大の方が共に訪ねてきたのです。

 ようやく母と会うことができ、涙を流して再会を喜ぶ元康。そんな喜びもつかの間、母からも織田側へ付くことをすすめられ、元康は憤慨します。

 駿府には妻と子供がいるのだと訴える彼に対して、母はそれをつまらぬことだと切り捨てます。己の耳を疑う元康に、さらに母は続けるのでした。家臣と国のためならば、己の妻や子ごとき、平気で打ち捨てなされ、と。

 あまりにも厳しい、非情な言葉のようにも思えますが、人の上に立つものとしては、それぐらいの覚悟がなければ務まらないのかもしれません。一つの国を守るということは、それだけ責任の大きなことなのだと。

 しかし元康は、そう簡単には受け入れることができません。母の申し出を突っぱねて、自分は今川の家臣だと叫びます。

 思い悩む元康を、散歩へ連れ出す家臣たち。田んぼで米を刈り取っている農民たちの姿を見せ、彼らが張り切って収穫をしているのは、今年は今川家に搾り取られずに済むと考えているからだと語ります。

 戦の準備のときと同じ、やはり民衆から大きな期待がかけられていることが分かるシーンです。三河国が独立することを、人々は苦難に耐えながらずっと待っていたのです。そんな希望を、誰が壊すことが出来るでしょう。

 地面に頭を擦り付けながら、今川を見捨てるよう必死で懇願する家臣に、元康も初めは拒否するものの、やがては今川家を裏切ることを決心するのでした。

 しかし今川家からしてみれば、この行動を決して許すことはできません。駿府に残されていた、元康の家臣の妻たちは無惨に処刑され、元康の妻子にも兵士の手が迫ります。

 どうにもならない状況に、ただ耐えることしかできない元康……国か妻子か、という選択に、結局は国を選ぶことになってしまいました。とはいえ、元康のことを非情だと責めることは、とても出来ません。

 大切な家族を犠牲にして、一番悲しんでいるのは元康自身だからです。元康の家臣たちとて、妻を処刑されているのですから、同じです。

 戦国の世で、国を背負って立つ者の責任の重大さ。生き残るためには、時には大切なものをも犠牲にしなければならない、厳しい現実。その両方が突きつけられたストーリーでした。

 あまりにも辛い展開ではありますが、次回にも期待しましょう。

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