『プロセカ』『アズレン』とファッションのコラボが人気の理由は? ZOZOの若手ヒットメーカーに聞く

電撃オンライン
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 近年『プロジェクトセカイ』や『ラブライブ!』、『アズールレーン』など、アニメやゲームとのコラボアイテムが人気を博している“ZOZOTOWN”

 作品のファンを虜にする、ファッション性にこだわった魅力的なアイテムがどう作られているのか。企画を手掛ける株式会社ZOZO生産企画部の柴崎一樹さんにメールにてお話をうかがいました。

  • ▲株式会社ZOZO生産企画部 柴崎一樹さん

サブカルチャー好きには、服を好きになる素質がある

――はじめに、なぜアニメやゲームなどのサブカルチャーとZOZOTOWNがコラボするようになったのか、ファッション性にこだわったコラボ企画をやろうと思ったのか、そのきっかけを教えてください。

 サブカルチャーが好きな人って、服を好きになる素質を潜在的に持っていると思うんですよ。

 というのも、キャラデザインには“髪色”や“衣装”などファッションの要素も含まれており、それらにも魅力を感じてコンテンツを楽しむ傾向があると考えておりまして。

 私はまさにその1人で、「あのキャラっぽいからこの服を買おう」や、「あのキャラみたいになりたいからこの髪色にしよう」といった原体験があります。

 ZOZOTOWNとサブカルチャー領域のコラボを通じて、自身の原体験のようにファッションに興味を持ったり、ZOZOTOWNを知り利用するきっかけの一助になればと思い、ZOZOTOWNならではのファッション性を落とし込んだ独自性のあるコラボ企画を始めました。

  • ▲ZOZOTOWN × Azur Lane Tee

 年間購入者数が1,000万人を超える膨大なトラフィックを持つZOZOTOWNでサブカルチャーを取り上げることによって、ファッション好きにサブカルチャーの楽しみ方を、サブカルチャー好きにファッションの楽しみ方を提案していけると考えています。

――柴崎さんはいつからコラボ企画に携わるようになったのでしょうか? 担当することになった際の心境やエピソードなどあれば、教えてください。

 2019年8月に入社し、当初はブランドサポート(現・ECマネジメント)部署にいたのですが、2020年2月に現在の生産企画部・企画営業ブロックが設立されたタイミングで立ち上げメンバーとして異動し、ゼロベースで発案から営業といった仕事に携わり始めました。

 自分は、ファッションとサブカルチャー両方に対し同じくらい大きな愛があるので、「この2つを掛け合わせたコラボ企画を担当するのは自分しかいない!」と、意気込んでいたのを覚えています。

 所属する企画営業ブロックは、ゲームやアニメなどに限らず様々な業界・企業さまとのコラボ企画を実施していますが、自分の強みでもあるサブカルチャーへの愛や知識量を生かし、ユーザーの皆さまに喜んでいただける企画を届けることを心がけていますね。

サブカルチャーに興味を持ったきっかけは、『エヴァンゲリオン』

――柴崎さんがサブカルチャーに興味を持つようになったきっかけを教えてください。またこの体験がコラボ企画にどのような影響を与えているのでしょうか?

 小学4年生の時に『エヴァンゲリオン』と出会ったことです。

 DVD全巻が実家にあり、劇場版まで全て鑑賞したのですが、それまでは日中に放送されているアニメを見るだけの普通の男の子だったにも関わらず、この作品に触れた衝撃から漫画・アニメなどの創作物に対して明確に熱中し始めました。

 過去に触れてきた作品は、考察などが必要なくストレートに楽しめるものでしたが、『エヴァンゲリオン』に関しては内容を深く理解をするための考察をする、といった深掘りが必要になり、“徹底的な作品理解”をすることを覚えました。

 現在、私が手掛けている企画でも、この“作品理解”という点を非常に重要視しており、ファンの間で共通認識とされている要素をクリエイティブに反映させる、微に入り細を穿つ仕掛けの基礎となっています。

 “徹底的な作品理解”をすることが、ファンの「このコラボ、分かってるじゃん」という感情を生み出し、それがそのまま購買に繋がり、結果――つまりは売上になっていくサイクルを生み出していると思います。

――他にも好きなアニメやゲーム、漫画があれば、教えてください。

 数えきれないほどたくさんありますが、今パッと思い浮かんだのは『秒速5センチメートル』、『ギルティクラウン』、『GOD EATER』、『バイオーグ・トリニティ』です。

コラボ企画でもっとも重要なのは“作品理解”

――他ではあまり見られないユニークな施策も行われていますが、コラボ企画は立案から販売までどのような流れで進んでいるのでしょうか?

 コラボ企画には、完全なゼロ(自分)ベースでの立案から営業をするパターンと、企業さまからお持ち込みいただいたIPをアレンジしていくパターンの2通りがあります。

 これまでの実績や反響から、ありがたいことに現在は後者が増加しており、「この作品とコラボしませんか?」というお問い合わせを受託して自分なりのアイディアで企画に仕立てていきます。

 例えば「●月に放送される●●●というタイトルで商品企画を実施してほしい」といったご依頼が発生した場合、ファンが喜ぶコンセプトやファンが買いたくなる商品設計、適切な販売タイミング、リーチが伸びるSNSプランを企画書にまとめて、キックオフしていきます。

 立案から販売までの全てのフローを、自分自身がメイン担当として一気通貫することで、企画全体のクオリティが上がると考えています。

  • ▲25時、ナイトコードで。 × ZOZOTOWN フラワーモチーフ トラックジャケット、フラワーモチーフ トラックパンツ

――コラボ企画で最も重視しているポイントは何でしょうか?

 “作品理解”です。奇想天外なアイディアもファンに絶対にウケるアイディアも、どちらもベースは“作品理解”にあると思います。

 作品を“完全に理解”することは難しいと思いますが、1人でも多くのファンに喜んでいただくため、エンドユーザーと同じ視点でユーザーファーストなコラボ企画にすることを徹底しています。

 また、“ZOZOTOWNのフィルターを通したアウトプット”も意識しています。ファッションに向き合ってきたZOZOTOWNだからこそ落とし込める要素や、ZOZOTOWN以外では展開できない企画構成などが、弊社がコラボレーション先やエンドユーザーへ提供できる価値だと考えています。

――コラボ企画で柴崎さん自身が1番気に入っている、または印象に残っている企画を教えていただけますか?

 印象に残っているのは、2022年2月に実施した『アズールレーン』とのコラボ企画です。

 自分がゼロから考えた、キャラクターに黒いファッションを纏わせた描き下ろしデザインを使用したシリーズ『BLACK COLLECTION』というフレームを初めて実装した企画で、大きな反響をいただけたことで自分のアイディアに自信を持つきっかけになりました。

  • ▲ZOZOTOWN × Azur Lane Hoodie

――ユーザーから1番反響があったコラボ企画や商品はどれでしょうか?

 2022年12月に実施した『プロジェクトセカイ』とのコラボ企画です。

 Twitterの関連ツイートでトレンドを連日獲得し、ユーザーだけでなくゲームやファッションの業界内からも高い反響をいただくことができました。ファンの皆さまの反応から学ぶことも多く、今後にも繋がる大きな企画になりました。

  • ▲25時、ナイトコードで。 × ZOZOTOWN PVCトートバッグ

――こういった業種に就きたいと考えている方にアドバイスをお願いします。

 この業種では、“知識量”が最も大事だと考えています。

 にわかでもいいので、沢山の作品に触れることで自分の脳内にアーカイブを充実させていけば自ずと企画の発案力や、たくさんのコラボレーションに関わるきっかけになると思います。

――最後に、今後コラボしたいと思っているタイトルや、挑戦していきたいことをお聞かせください

 今後ゲーム・漫画原作とのコラボ企画をさらに増やしていきます。そして引き続きにはなりますが、私にしか考案できないクリエイティブや仕掛け方・見せ方をさらに探求していき、多くのコンテンツを皆様にご提供したいです。

 1人でも多くのエンドユーザーが喜んでくれるコラボ企画をZOZOTOWNからリリースしていくことが、私の役目だと思っています。

© ZOZO, Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

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