『機動戦士ガンダム 水星の魔女』14話ではついにプロスペラの口からあの人物の話が…。今回も見どころ満載でした【感想&考察】

てけおん
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 4月16日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第14話(Season2 第2話)“彼女たちのネガイ”の感想や考察をお届けします。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』14話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

いくつもの「ついに……」が語られ、動き出したエピソードでした

 今回は「ああ、ついに……」と思わされることの連続でした。

 なんといってもまず書いておくべき「ついに」は、プロスペラのこと、そしてエリクトのことでしょう。

 14話では、ヴァナディース機関の生き残りであるベルメリアが、かつての同志だったプロスぺラにこう問いました。「あなたにはもう1人娘さんがいましたよね。エリクト・サマヤ(エリィ)は今どこにいるんですか?」と。それに対するプロスペラの答えは……。

 「いるわよ。スレッタのすぐそばに。データストームのその先で、私たちを待っている」

 というもの。どういう経緯・方法によるものなのかはわかりませんが、エリクトはエアリアルの中に存在しているであろうことが明かされました。

 この辺はSeason1放送当時からSNSなどでも推察されていたことではありましたが、要約明かされましたね。

 さらにベルメリアは“クワイエットゼロ”――今回プロスペラはミオリネには「データストームを利用してパーメットリンクを介したあらゆるシステムを制御する新機軸のネットワーク構想」、ベルメリアには「GUNDフォーマットで戦いや争いを排除する」と説明していました――の資料に目を通した後、プロスペラに問います。「総裁(デリング)の計画であればあそこまでのスコア(エアリアルのパーメット6)まではいらないはずです。本当の目的を言ってください」と。プロスペラの答えは

 「世界を書き換えたいの。エリィが幸せになるために」

 というものでした。これがプロスペラの目的。彼女の考えるクワイエットゼロ。“世界を書き換える”や“どうやってエリクトが幸せになるのか”などについて具体的なものは見えてきませんでした。いったいどうやって? というのが気になるところです。

 ただ、気にかかるのはプロスペラの「データストームのその先で、私たちを待っている」というセリフです。これはエリクトが“助けが来る、元の身体に戻れる(もしくはそれに準じた状態になる)”ことを待っているとも取れますし、“他の誰もがエアリアルのような新しい身体を獲得する”ことを待っているとも受け取れます。

 ……なんだかクワイエットゼロを発動させたプロスペラがハッピーバースディを歌っている絵が脳裏に浮かびましたが……。プロスペラが考えるクワイエットゼロが発動してしまった場合、いったいどんなことになってしまうんでしょうか?

 また、小説『ゆりかごの星』に「見ててね、みんな。私たちの娘が、仇を取ってくれる!」という描写があったのも気になっています。小説に登場する“お母さん”がそのままプロスペラだとしたら、これもきっと動機にはあるのでしょうし。

シャディクが「ついに」動き出す

 3つめの「ついに」はシャディクが動き出したことでしょう。10話“巡る思い”のラストに「ベネリットグループを解体する」と宣言したシャディク。プラント・クエタ襲撃事件の後、13話では「父さんを引きずり込むよ、俺の計画に」と言っていましたが、物理的に引き込むとは……。

 プロスペラを軸にした展開とは別に、シャディクを軸にしたサイドではアーシアンやスペーシアンといった部分にスポットを当てた物語が展開していきそうな気がしますが、どうなんでしょうね? 今回生き残ったノレアももう地球寮には戻れないでしょうし、ニカも大変なことになりそう。

 というか、ニカはフロント管理社に密告しようとしたところをエナオに抑えられていましたし、命の危機すらあるのでは……?

エリクトを感知できた人とできなかった人の違いは?

 今回、命を落としてしまったソフィですが、その散り際には自分がときめきを感じていた相手がスレッタではなく、エアリアルの中にいる存在――つまりはエリクトだと知ります。そして「聞こえる、感じる……」と、自分のことを殺そうとするエリクトの声を認識しているようでもありました。

 エアリアルがパーメットスコア6を発動した際に苦しんでいたことや、吐血し、目にまでデータストームの影響が表れていたことから、相当量のパーメット流入があったのでしょう。

 そういえば、これまでのエピソードでもエリクトを感知できている人物がいたな……と思ったので、過去のお話を見返してみました。

 6話“鬱陶しい歌”を見返してみると、4号もまた、エアリアルのシェルユニットがひと際赤く輝いた後に放出されたパーメットの波のようなモノを受け。コックピット内で苦しむ描写がありました。あの時もパーメットの流入が起こっていたのかもしれません。その苦しみの後、おぼろげな輪郭のエリクトの姿が複数浮かんでいました。

 ひるがえって、5話“氷の瞳に映るのは”で4号がパーメットスコア2を発動した時には、エリクトを認識している様子はありませんでした。

 パーメットスコア3以降を発動できているスレッタは、エアリアルと意思の疎通ができる。(※ひょっとすると「パーメットスコア3以降を発動できているエアリアルは、スレッタと意思の疎通ができる」が正しい言い回しなのかもしれません)

 9話“あと一歩、キミに踏み出せたなら”では、アンチドートの影響によってスレッタとエアリアルは意思の疎通が難しい状況に陥りましたが、その後パーメットスコア6が動した際にスレッタは「いたんだ」と発言。その後はより明確にエアリアルと意思の疎通ができているようでした。

 この時、グラスレー寮の面々もエアリアルによっシステムをオーバーライドされていましたが、GUNDフォーマットを使用した機体でなかったためか、パーメットの流入による影響を受けることはありませんでした。

 エアリアルがパーメットスコア6に達したことと、GUNDフォーマット搭載機に搭乗していること。この2つがエリクトの姿や声を明確に感知できる条件なのかもしれませんね。

 物語ではこの先――パーメットスコア7以上の何かも描かれたりするのでしょうか? 

 さて今回、ガンダムが暴力マシンであることを見せつけられたスレッタは、ソフィに反論できませんでした。さらには、プロスペラはなぜエアリアルを作ったのか? 武器を持たせたのか? などにも疑問を覚えていました。

 今回この記事を書くにあたって改めて“PROLOGUE”を見直したのですが、そこでカルド・ナボは、そもそもGUND技術は戦いのためのものではなく、“宇宙で生きていくために必要なもの”とエリクトに説明していました。GUND技術には“人を救う”という側面もまたあるのでしょうが……。

 最後は再び、プロスペラから授けられた「進めばふたつ」という言葉を唱えるスレッタですが、その目には涙が。あの涙にはどういう意味があるのでしょうか?

 次回第15話のサブタイトルは“父と子と”。デリングとミオリネの話かもしれませんし、サリウスとシャディクの話かも? またこのキーワードだとグエルのことも脳裏をかすめます。いったいどんな話になるのか、楽しみなところです。

その他気になったこと

●ジェターク寮の生徒たち、仲がとても良さそうでしたね。第14話でとてもほっこりしたシーンです。ラウダとペトラもなんかいい雰囲気でしたし。フェルシーは意識を失ったラウダの安否を心配していましたが……はたして?

●ファラクトの新装備や、何よりモビルスーツ型ガンビット・ガンヴォルヴァが登場するなどメカ的な意味でも見どころ満載でしたね! ビット型の無人MSが出てきた時は思わず「うおお!」とTVの前で声が出てしまいました。

●ソフィを通じて描かれたエリクトの姿、“PROLOGUE”の時よりも成長しているように思えました。『ゆりかごの星』でエアリアルの1人称が“僕”だったのはこれが由来しているからなんでしょうか?

●これも「ついに」と言っていいのかもしれないポイントですが、だんだんとエラン(強化人士5号)の動きが気になるようになってきました。サリウスを拉致するシーンをファラクトの機上から目撃しているわけですが……。このカードをどう切ってくるのかも楽しみですね。また13話から14話にかけて、なにやらノレアとも因縁が生まれているようにも思えます。今後、なにかしら展開していくのかどうかも気になりますね。

●チュチュやリリッケなど、プラント・クエタで心の傷を受けたキャラクターたちの描写が今回もありました。チュチュはむしろ、実戦になったあたりから吹っ切れているようにも見えましたが……?

●戦う理由について話すソフィとスレッタ。2人の間には埋めがたい温度差を感じました。

●Season2になってから、まだ直接言葉を交わしていないスレッタとミオリネ。次に会った時にはどんな会話を見せてくれるのでしょうか? 早く見たいです!!

●物語に本格的に絡んできていないグエルやケナンジはどのように物語にかかわってくるのでしょうか? また、“宇宙議会連合”などの組織の動きもそろそろあっても不思議じゃない気もしますが……はたして?

おまけ

 ここから先は10割妄想のヨタ話なので、軽~い気持ちで読んでいただきたい文章になります。実は「エリィが幸せになるために」という考えは元々はプロスペラのものではない、そしてプロスペラがエルノラ本人でない可能性すらあるのではないかなという気もしてきました。

 かつて“PROLOGUE”でカルド・ナボは、エリクトに「これでルブリスはエリィを認識した。この世界は怖くないって教えてやってくれ」と言いました。

 筆者は「ルブリスにはAIか何かが搭載されていて、それに向けて“教えてやってくれ”ということなのかな?」と思いましたが、『水星の魔女』ではAIのようなものを活用している機体ってそんなにない(そういう描写があると思われるのはダリルバルデに搭載されている“第5世代の意思拡張AI”くらい?)ような気がしますし、とすると、エリクトがコミュニケーションを取った相手は、ルブリスに搭載したAIではなく、“パーメットに由来する意識体のようなもの”……とも考えられなくもないなと。

 エリクトは他の登場人物と違って、データストームによる身体的ダメージを受けることなく(※これはアニメの描写から筆者が推察したもので、実際はダメージがあるのかもしれません)パーメットリンク3を発動できました。パーメットととても相性がよく、エルノラたちが時間をかけてもクリアできなかったレイヤー33からのコールバックをクリアし、レイヤー34にまで到達していました。

 もしも“パーメットに由来する意識体のようなもの”があるのだとしたら、それにとってエリクトは非常に希少な存在でしょうし、何らか便宜を図っているのかもしれません。それが「エリィが幸せになるために」に表れていたのかもな、と。もしくはエリクトのような存在を増やすために動いていたとしてもおかしくない気がします。

 この妄想を進めていくと、スレッタが実はプロスペラの子どもではなく……みたいな話にもなりそうですが、所詮は妄想にすぎませんのでここまでにしておきたいと思います。


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