アニメ『ウマ娘プリティーダービー ROAD TO THE TOP』4話感想。涙ナシでは見られない菊花賞には友情・努力・勝利が詰まっていた

文: タダツグ

公開日時: 2023年05月08日(月) 19:05

最終更新: 2023年08月27日(日) 12:49

　『ウマ娘プリティーダービー』のアニメシリーズ最新作となる『ウマ娘プリティーダービー ROAD TO THE TOP』、第4話（最終回）が更新されましたので視聴しての感想をお届けします。

【注意】この記事では、『ウマ娘プリティーダービー ROAD TO THE TOP』第1話～第4話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

アニメ『ウマ娘プリティーダービー ROAD TO THE TOP』第4話「想いはひとつ」

　クラシック三冠に夢を馳せるウマ娘たちの熱き戦いを描いてきた本シリーズもいよいよ最終回。3000メートルの長距離レースである菊花賞を舞台にナリタトップロード、アドマイヤベガ、テイエムオペラオーが躍動します。

※まずは本編をご覧になってから感想記事を読むことをオススメします。

菊花賞を前に三者三様の想いが交錯する

　三強が菊花賞へ向けてそれぞれの意気込みを語り合うインタビューシーンからスタートした最終回。過去2回の敗戦を受け、トプロのトレーナーは彼女にロングスパートによるスタミナ勝負を提案します。

　これまでの自分の走りを捨てることになる──その事実に逡巡するトプロに語り掛けてきたのは、ライバルであるオペラオー。自分の進むべき道について語るオペラオーは本当に男前でした。そんな彼女の姿を見て、トプロもまた己の道を信じて進む決意を固めます。

　一方、アヤベさんは相変わらず足の痛みに苦しんでいる様子。これは外的要因というより、レースを楽しむことへの罪悪感が払拭できない心理的なものにも思えますが……。そんなアヤベさんに対し、正面から宣戦布告するトプロ。こちらもメンタル的に相当ナーバスな時期があったものの、今ではそれを乗り越え、大きく成長していることが見て取れます。アヤベさんに突き放されてなお手を取り、一緒に走れる喜びを語るトプロは本当に頼もしいことこの上なし。その持ち前の明るさで、闇でもがくアヤベさんを救ってあげてほしいものです……。

　そして菊花賞当日。勝負前のトレーナーとのやり取りで、笑顔を見せるトプロが印象的でした。ここらへんから作画もいつも以上に力が入っているように感じられ、いよいよクライマックスであることがビンビンに伝わってきましたね。

　コースに入る前、それぞれが勝利宣言をする三強のやり取りは、各々の個性が出ていてお気に入りのシーン。とくに、己の走りを貫く宣言をするトプロがかっこいいです。

　いよいよレーススタート。序盤はやや遅めのスローペースのなか、先頭集団のやや後ろにつけたトプロを中団からオペラオーとアヤベさんが追いかける状況になります。

　ジリジリと互いをけん制し合う展開のなか、やや焦れたかのように仕掛けたのはアヤベさん。それを見て、オペラオーもスパートをかけることになります。

　対して、トプロはまだ足を残す戦略。勝機をこぼさないように足を爆発させる瞬間を待つタメの描写には、彼女の勝利に対する強い想いを感じました。

　そんなトプロのスパートのきっかけは、これまで彼女の頑張る姿に励まされてきたファンの皆さんやクラスメイト、そして彼女を支えてきたトレーナーの姿が見えた瞬間でした。最高の演出だ……こんな激熱フラグにトプロが、そして見ている我々が燃えないわけがないッ!!　そこから始まるトプロとオペラオーのデッドヒートは本作屈指の迫力です。

　そんな2人のやや後ろを走るアヤベさん。苦しい戦いのさなか、亡くした妹と心の奥で会話を交わし、その想いに──そして自分自身の気持ちに向き合うことになります。ここが本当に素晴らしかった。悩み続けるアヤベさんの背中をそっと押してくれる妹ちゃんが本当に健気でかわいくて、思わず涙があふれましたね。

　満天の星空描写が美しくて目を奪われていたら、その夜空を一筋の流星が切り裂きます。さながら太陽のように眩しいその星に、アヤベさんがトプロを重ねる描写は最高の演出。よかった、本当によかったよアヤベさん……。

　レースは最後まで総力戦。はたして誰が勝利するのか……思わず息を止めて見守ってしまいました。作画の力の入り具合も最高潮でしたね。栄光をつかんだあのウマ娘がスタンドからの声援に全力で応える姿を見て、涙腺が再び大崩壊です。

　ラストの記念撮影はとても清々しく、シャッターチャンスを逃さなかったカレンチャンはさすが！　その後のウイニングライブでは、みんな輝くような笑顔を見せてくれて、もう尊さが爆発しすぎていました。楽曲タイトルが「イチバン星が駆ける空」というのも、個人的にグッときましたね。OPソングである「Glorious Moment！」と同様、ぜひゲーム版にも実装してほしい名曲です。