『どうする家康』18話感想。家康が夏目広次の名前をなかなか覚えられなかった理由とは…変わらぬ思いに涙

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 毎週日曜20時からNHKで放送の大河ドラマ『どうする家康』。第18回“真・三方ヶ原合戦”のレビューをお届けします。

全国に広がる家康討ち死にの報せ。真偽のほどは!?

 前回は、家康のものである金色の鎧を纏った死体が、敵の手によって戦場を運ばれていくという、衝撃的な結末で終わったため、続きを楽しみにしていた方も多いのではないでしょうか。

 今回の“真・三方ヶ原合戦”では、どうなってしまうのでしょうか。冒頭は、前回の続きからそのまま始まります。

 家康の討ち死にの知らせを聞き、動揺する瀬名。しかし、心が揺らいだのは一瞬で、すぐに冷静さを取り戻して状況を見極めようとする姿に、家康への信頼を見た気がして、いきなり胸が熱くなりました。

 上に立つ者として、つらい状況でも毅然とした態度を取らないければいけない時もあります。そうした姿が味方の結束力を高め、瀬名たちは決死の覚悟で籠城戦へ備えることに。

 同じ知らせは全国に広まり、それぞれの思惑が交差するなか、家康のものらしき首を見つめる信玄。

 ここで時間が巻き戻り、家康が信玄の後を追いはじめる直前までさかのぼります。

 こんな緊迫した状況でも、夏目広次の名前がぱっと思い出せない家康。なんでもないシーンのようですが、これが後々非常に重要な意味を持ってきます。

 さて、馬を駆って信玄を追いかける家康たちの姿は、前回見たのと同じです。自分たちが追い詰めたつもりが、実は逆に追い詰められる立場だった。絶望的に不利な状況で、味方の兵士たちが次々と倒れていきます。

 加勢してくれるはずの織田勢にも見捨てられ、圧倒的に不利な状況であることは、留守を守る夏目広次たちにも伝わることに。

 戦場には、必死になって戦う本多忠勝と忠真の姿が。未だに家康を主君と認めようとしない忠勝を「好きなんじゃろうが!」と一喝し、忠真は忠勝を逃がそうとします。

 これが最後の別れであることはどちらも分かっている。お互いに涙を見せないように背中を向けたまま、けれどはっきりとした別れの言葉は言わない二人の姿に胸を打たれました。

夏目広次の名前を覚えられなかった理由に涙。覚悟を決めた家康の表情にも注目

 仲間たちとはぐれてしまった家康ですが、彼もまた決死の覚悟で戦っていました。追いかけてくる信玄の軍から逃げ回り、身を隠す家康のもとに夏目広次がやってきます。

 そして、家康に具足つまり鎧を脱ぐよう頼む広次。初めは意味を飲み込めていなかった家康ですが、その意味に気づいた彼は必死で抵抗します。

 金色の鎧を身につける広次を見て、家康の脳裏には子供の頃の記憶が。当時の広次は吉信と呼ばれており、家康はその頃の出来事をやっと思い出すことが出来たのでした。

 子供の頃によく遊んでくれた吉信に、必死で呼びかける家康。その言葉を背中で聞きながら、涙をこらえる吉信の姿に、こちらまでもらい泣きをしそうになりました。

 幼い家康の誘拐を防げなかった吉信は、広次と名前を変え、今度こそ家康を守ろうと決意します。やっと久しぶりに再会できた家康は、吉信のことを忘れてしまっていた……その時の、とても寂しそうな、けれどとても優しい「よいのです」という言葉に、思わず涙しそうになりました。

 なぜ家康がずっと広次の名前を覚えることが出来なかったのか、それはそもそも彼の名前が吉信であり、広次は後から付けた名前に過ぎなかったからです。

 家康にとって吉信はずっと吉信であり、変わらず大切な存在だった。最後の最後まで家康のことを思い、安心させるように「殿は、きっと、大丈夫」と言ってくれる吉信の優しさが胸に沁みます。

 身代わりとなって死のうとする彼が最期に思い浮かべたのが、幼い家康と過ごした楽しい、幸せな記憶だった。それがせめてもの救いに感じて、よけいに涙が止まらなくなりました。

 さて、場面は変わって浜松城では“空城の計”という、三国志に登場する人物として有名な諸葛孔明が用いた作戦を使い、何とか難を逃れます。

 あえて見逃すような行動を取った信玄は、時間に追われるように都を目指すことを宣言。

 一方その頃、身代わりとなって亡くなった吉信を思い、涙を流す家康。決してその死を無駄にはしないと、改めて強く決意します。そのときの覚悟の決まった表情がとても印象的でした。

 そんな家康たちの元に、ある連絡が。なんとあれだけの戦いを繰り広げておきながら、なぜか武田軍は自分たちの国へ引き返しているというのです。信玄に何があったのか? 家康たちはこれからどうなってしまうのか? 次回に期待しましょう。

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