『同級生』が僕に植え付けたポニーテール属性と、大人になった今だからこそ語りたいEDテーマ「Memory」の素晴らしさ【メモリの無駄づかい】

タダツグ
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 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ…」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります! 今回は、PCエンジン SUPER CD-ROM2(スーパーシーディーロムロム)で発売された『同級生』をピックアップ。おもにエンディングテーマである「Memory」の素晴らしさについて語っていきたいと思います。

『同級生』とは

 今回取り上げたPCエンジン版『同級生』の発売は1995年11月23日。元々はR-18作品として1992年にPCで発売された作品で、恋愛アドベンチャーの歴史を語ろうとすると、必ずタイトル名があがるほどの金字塔的な名作です。PCエンジン版はいわゆるアダルト要素をオミットしてリリースされた全年齢版ソフトとなります(今見たら“18歳以上推奨”の表記がありますね)。

 学生である主人公(=プレイヤー)は、学校の夏休みを利用して数々のヒロインたちと交流を深め、そのなかで彼女たちが抱える問題にともに向き合い、心の距離を縮めていく……そんな甘酸っぱい体験ができる作品でした。

 そして、PCエンジン版で意中のヒロインと結ばれたあとのエンディングテーマとして流れるのが、今回のコラムのテーマとなる「Memory」なわけです。

ハッピーエンドのはずなのに? どこか切ないエンディングテーマ「Memory」

 ゲームにオープニング、そしてエンディングソングが存在するなんて、今でこそ珍しいことでもなんでもありませんが。その走りとなったのはPCエンジンやPlayStationなどの、いわゆるCD媒体でリリースされた恋愛アドベンチャー群だったと思っています。あくまで自分の体験のなかでの印象ですが。

 この『同級生』もいわゆる先駆者の部類で、本作は1回の攻略がそれほど長くなかったこともあり、さながら1本の映画を見終えたような気分でエンディングテーマに没入できたことを覚えています。

 この「Memory」、作品内でヒロインたちを演じた声優陣が歌う珠玉のバラードとなっており、聴いていてとてもしんみりできる名曲です。

 歌詞は大人の事情で記述するのがはばかられる部分もありますが、内容が結構リアルかつビター寄りで、ものすごく印象的でした。大人になったヒロインの回想的な形で綴られていて、よくよく聴くと主人公との恋人関係は終わりを告げており、季節の折々であいさつのハガキが届くくらいの距離感になっている……みたいな、ね……。こうして書いてるだけでしんみりしちゃう。

 当時の僕は「アレ? ハッピーエンドのはずなのに、なんかエンディングソングは不穏だな……」なんて訝しんだものでしたよ。もちろん「Memory」で語られる歌詞が、すべてのヒロインとの未来を否定するものではないとわかってはいますけど。

 お気に入りというか、個人的な聴きドコロははいくつかあるのですが。たとえば前述したハガキが届くシーン。手紙の送り主の文字が右上がりになっているという描写があって、これがやたらとリアルなんですよ。僕も真っ白なハガキに文字を書こうとすると、たしかに右上がりになる傾向がある……なんて個人情報は置いておいて。思い出の相手の文字@右上がりなんて見ちゃったりすると、胸に迫るものがありそうだよなあって、妄想が膨らむんですよね。

 あとは楽曲終盤。嵐で夜の校舎に2人で取り残される描写があって、ここはもう本当に歌詞が珠玉。まさに青春ど真ん中です。メロディラインも本当にきれいで、こちらを泣かせようとしてくるものだから、もうたいへんだこりゃ。

 なお、僕がこのPCエンジン版『同級生』を初めて遊んだのは、高校生のとき。あらためて聴きなおすと、当時の自分の恋愛模様であったり、大人になった今だからこそ募る想いであったりと、さまざまな記憶が思いのほか鮮烈に呼び覚まされます。大人になった今だからこそ、昔とは違った感情移入をして聴き入ってしまう部分もあり……本当に大好きな一曲なんですよね。まさに「Memory」……タイトルに偽りなしとはこのことか!

 ちなみにオープニングソングである「夏色のシンデレラ」も好きでしたが、これらの曲、今調べたところでは残念ながらCDなどでの音源化はされていないようで、なかなか聴く機会は作りづらいかもしれません。まぁ、TouTubeでちょいちょいって検索してみるのも手ですけど(苦笑)。

 ちなみにのちなみに、僕はまだゲーム版を所持しているため、CDドライブに突っ込んで音声トラックのみを再生することで「Memory」を聴ける、なんて荒技もできちゃいます。当時あまり推奨はされていなかったこの手法ですが、背に腹は代えられませんもんね。

 ゲームによってはこの手法を用いなければ聴けないような面白いやり取り(※ゲームデータをCDデッキなどで再生しないよう促す警告メッセージ)が収録されていたりもしたのですが、それはまた別のお話かな。そしてこの『同級生』、当時全3冊で発売されていた小説版もめちゃくちゃ出来が良くて、僕は大好きだったということもまた、別の別のお話だったりしますかね。この3冊は今でも捨てずに実家に残してあるくらい好きです(結構えっちではあったものの、青春小説として素晴らしかった)。

 そして最後に告白しておくと。僕はこの『同級生』に登場する田中美沙というヒロインのおかげで、一時期ポニーテール属性に傾倒していました。美沙は今でいうツンデレの走りで、ヒロインたちのなかでも屈指の人気だった印象。僕と同様、彼女のおかげでポニテ萌えに目覚めた同志は少なくないハズ。

 今でもこの属性、心の奥にくすぶっていて消えてなかったりしますし、ある意味、罪作りなヒロインといえるのかもしれない(笑)。まあ、ここらへんはまた語る機会があれば書き綴りたいところではありますかね。

 それでは、本日はこのへんで!

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