『ハチナイ(八月のシンデレラナイン)』が6年続いた秘訣とは。野球ゲームとしての進化、青春体験というキーワード、そしてユーザーファーストな考え方

カワチ
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 アカツキゲームスより配信中のiOS/Android用アプリ『八月のシンデレラナイン(ハチナイ)』が6月27日でリリース6周年を迎えました。

 ここでは、プロデューサーの後藤さんと開発のレオンくんへのインタビューを実施。この6年間の思い出や今後の展望をお聞きしました。大ボリュームの内容を全3回に分けてお届けするので、ぜひチェックしてみてください。

  • ▲プロデューサー後藤さん(左)と開発のレオンくん(右)

『ハチナイ』が描くのは青春体験

――まずはおふたりの簡単な自己紹介からお願いします。

後藤プロデューサー:プロデューサーの後藤です。エグゼクティブプロデューサーである山口(修平氏)とは師弟関係にあり、『ハチナイ』はリリースする前の立ち上げのタイミングから携わっています。

レオンくん:開発エンジニアのレオンです。新規開発の担当として、スタッフのアサインや、自分自身で実装部分も担当しています。また、一部、企画部分の業務にも携わせていただいています。

 『ハチナイ』の部署には2016年の7月に配属され、今年の7月でちょうど7年目になります。

――あらためて6周年おめでとうございます。運営系のゲームを6年も続けるのは、コンテンツが飽和している現代において、とてもすごいことだと思います。ズバリおふたりは、『ハチナイ』がここまで続いた要因はなんだと思いますか?

レオンくん:さまざまな要因があると思いますが、開発チームとして大事にしているのは監督の皆さんが常に新しい体験が得られるよう、アップデートし続けてきたことです。

 監督さんの求められているものを届けられるよう、日々のアップデートを重ねたことが、この6年に繋がったのではないかと感じています。

後藤プロデューサー:この6年は山あり谷ありで、良いときもあれば苦しいときもあったことは事実です。ただ、運用7年目へと向かっていくことができる一番の理由は監督の皆さんが『ハチナイ』のことを楽しんで遊んでくれていること、そして運営スタッフのみんなも『ハチナイ』を愛していることだと思います。

 『ハチナイ』を楽しんでいてくれる監督さんに我々の好きな『ハチナイ』を全力で届けたいと思い続けてきたことが、苦しいときを乗り越えられた要因なのかなと。

――運営型のゲームは6年も続くとスタッフが変わることもありますが、『ハチナイ』のスタッフは最初から変わっていないのでしょうか?

後藤プロデューサー:チームには6年クラスの選手も在籍していますし、運営している間に参画してくれたメンバーもいます。

 ただ、ディレクターを中心とした各職能リーダーなど、チームの柱となるところでは『ハチナイ』を技術的にも精神的に深く理解しているベテランのメンバーがいて、各々のユニットに『ハチナイ』の持つ“イズム”をしっかり落とし込んでくれています。

――なるほど。では、みなさんが『ハチナイ』を続けるなかで心がけていることはなんですか?

レオンくん:現状維持ではなく、“こうしたらもっとおもしろくなるんじゃないか”という発想をつねに持ち続けることですかね。

 監督の皆さんが現在のゲームを楽しみながらも、未来のアップデートをワクワクしているという状況を目指しながら運営を続けています。

――『ハチナイ』はストーリーもゲーム部分も魅力ですが、とくに注力をしてきた部分について教えてください。

後藤プロデューサー:日々を彩る“青春体験”型ゲームであるという軸を重んじています。スマートフォンゲームには長短あると思いますが、長所のひとつがユーザーさんのライフワークになり得ることだと考えています。

 『ハチナイ』では毎日の練習を経て、ちょっとずつ選手が成長したり、誕生日にはイベントがあったりと、短時間でも日々ログインする意味を持たせられるよう努めています。

 半月毎や1カ月毎の更新に合わせて、集中してログインしたくなるようなゲーム体験にならないよう、『ハチナイ』は月に約4回の更新があります。平日は毎日15分、週末に少し長めに遊んでもらうような設計を理想としています。ランキングイベントは別ですが(笑)。

――日々の積み重ねで愛着が湧いていくわけですね。『ハチナイ』は生放送の頻度も高く、新選手のスカウトも多いので、飽きずに追うことができます。

後藤プロデューサー:周年や夏にコンテンツが集中することは事実ですが、平時も3日に1回目安で新ストーリーや新選手、Twitterキャンペーン、イベントやグッズ情報のお知らせなど、コンテンツの供給が止まらないよう小粒でも細かいサイクルで情報発信することを理想としています。

 ゲームを軸としながら、周辺の情報も交えてライフワークとして『ハチナイ』の世界観を楽しんでいただきたいです。

  • ▲監督さんが参加する企画など、多くの企画が実施されてきました。

 大粒の情報だけを出して、何もない状態が続くとユーザーさんも不安になってしまうと思いますし、細かいサイクルで小粒の情報も出していくという運営スタイルにしています。

――そのようにユーザーさんに寄り添ってきたことが、この6年に繋がったのかもしれませんね。

後藤プロデューサー:まだまだ勉強中です。ただ、そういった取り組みを会社として重要視しているところは大きいです。

 施策の中には、直接的な売り上げに紐付くわけではありませんが『ハチナイ』を楽しんでくれているユーザーさんがその気持ちを確認したり、あるいは積みあげたり、口コミが広がっていくことも作品全体にとって重要だと思っています。

 社として、このオリジナルタイトルを大切にしていこうという気概があるのは弊社の自慢です。

今年はハチサマでの声出しも復活! オフラインイベントも増えそうな気配?

――更新情報がガチャだけになってしまう作品もあるなか、『ハチナイ』運営のスタイルはほかのアプリとは違う魅力を感じます。

後藤プロデューサー:監督さんとのコミュニケーションを大切にしたいと思いこの6年間運用してきた中で、フレンドリーな距離感を維持できてた部分もあるのではないかと感じています。ただ、コロナ禍になってからは試行錯誤でしたね。

 監督の皆さんとのコミュニティに関しては、ほかの運営タイトルには負けたくないという強い気持ちはあったのですが、コロナ禍になってからは、リアルのイベントを実施すべきなのか難しい部分も出てきまして……苦しかったですね。

 ファンミーティングにしても、それまでオフィスを会場にして対面で実施していたものが、チャットツールを使ったオンライン上のものに変わりました。それまでに比べるとどうしても一方通行なコミュニケーションになってしまったかなと。そういった想いもあって、この夏からは、オフラインのイベントの強化を検討しています。

レオンくん:地方のファンミーティングを仙台・大阪・福岡でおこなう予定だったものの、仙台の直後にコロナ禍になり中止せざるを得なかったのが、当時すごい残念でしたね。

後藤プロデューサー:そうですね。いつかまたリベンジができればと思っています。

――イベントといえばライブの“ハチサマ”も復活するようで楽しみです。

後藤プロデューサー:ハチサマに関しては『1』と『2』は予定通りに開催できたのですが、『3』は台風で中止。『4』はコロナ禍になったため、無観客のオンライン配信、『5』は有観客の声出しなしとオンライン配信でした。

 今回の会場はライブハウスということで、声出しOKになっているのでこれまでのぶんも盛り上がれたらいいなと!

 ただ、このご時世でライブに不慣れな方もいると思うので、声を出すエリアと出さないエリアを分けました。静かに観賞したいというニーズも絶対にあると思ってチケットを分けて販売しているのが特徴です。

――そういうところまでケアされているのも、ほかのゲームと違うところですね。

後藤プロデューサー:生放送やライブなど、ゲーム外での監督さんとの接点は極力自分たちで企画しているのですが、だからこそ「こうしたほうがもっと良くなる」と企画工程でスムーズに盛り込むことができ、独自性に繋がっているのかもしれません。

昨日よりも今日、今日より明日が遊びやすくなるように。青春体験型ゲームとして進化をし続けた歴史の中で、思い出深いアップデートは?

――この6年でゲーム的に大きく進化して遊びやすくなりました。とくに思い出に残っているアップデートについて教えてください。

レオンくん:作ってきた機能だけを振り返ってみてもいろいろなものが変わってきていて、ひとつひとつが思い出に残っています。

 リリース当時は試合の部分もスコアボードを眺めているだけで、なにも操作することはできませんでした。ただ、『ハチナイ』は野球ゲームであること以上に、自分の育成したキャラクターたちが試合でどういうふうに活躍してるのか知りたくなるような作品だと思いました。

 せめて野球の全貌を見せたいと思い、野球盤の画面を取り入れたのですが、そうすると監督であるプレイヤーがなにもできないのは変なので、今度は戦術の指示を出したりと試合に介入できるようにしました。

――初期のころに比べると別ゲーのようになっていますね。ポジションごとにミニキャラがいて何をしているのか視覚的に分かりやすくなりましたし、監督としての戦術の指示もゲーム性を上げましたね。

レオンくん:“青春×女子高生×高校野球”という独特なテーマを取り扱っていますが、根本には野球ゲームとしての面白さもあると思うので、ここはしっかりと向き合いたいと思っています。

――生放送でも監督さんから“変化球の細かい内部パラメータ知りたい”という要望もありましたし、シミュレーションゲームとして楽しんでいる監督さんは多そうです。

レオンくん:監督さんからのご要望が多いのは理解しておりますので、引き続き検討はしていきたいと思っています。

――スキルのカットインは必殺技のようなイメージで見ていて楽しいですし、“試合のここでこういう効果があった”ということが分かっていいですね。

レオンくん:ランキングマッチなどの対人戦をしているときに、どんな理由で勝敗が決まったのか、監督さんはちゃんと具体的に知りたいかなと思っています。

 相手のオーダーに対して、自分がこういうスキル構成をしていたから有利になったなど、ひとつひとつに納得感がないと、PvPのコンテンツは成り立たないと思っています。

――どんなにヒットを打っても打線が繋がらなければ点にならず、状況に応じたオーダー次第で結果が変わるのも、ちゃんとも野球を表現していておもしろいです。

レオンくん:ありがとうございます。試合だけでなく世界観の表現も大事にしています。また、大きなアップデートでいうと、有原たちが住んでいる街や通っている学校がどんな場所なのか、より具体的に想像できるようにマップを2019年に実装しました。

 各マップを訪れると、キャラクターがしゃべっていたりして、彼女たちがこの街で日々の生活を送っていることが分かるようにしました。

――オーダー編成もすごく分かりやすくなりましたし、スキップ機能によって育成もしやすくなりましたし、日々進化していることを実感します。

レオンくん:開発チームも日々『ハチナイ』を遊んでいて、どこが不便なのか分かっているので、開発スケジュールの合間を縫ってアップデートするようにしています。とくにスキップチケットはどうしても欲しい機能でした。

後藤プロデューサー:正規のスケジュールには組み込まれていなかったのですが、「どうしても実装して欲しい」とレオンくんに直談判した事を覚えています。

レオンくん:そうですね(苦笑)。ただ自分も仕事が忙しい日などは、“元気”を使い切るのは大変だと感じていました。ほかにもアイテムがどこで取れるのか分からないので、タップすることで取れる場所を表示するようにしたりと、細かい改修は日々おこなっています。

 『ハチナイ』を毎日ログインするなかで、昨日よりも便利な機能があったり、新しい機能があったりすれば、監督さんのポジティブな気持ちが積み重なっていき、より『ハチナイ』を好きになってくれると信じています。

 自分はストーリーやキャラクターといった目立つ部分の開発は担当していませんが、細かい機能面について気を配って開発することを心がけています。

――ゲーマーとしては、そういった遊びやすさはすごくありがたいです。

【第2回に続く】

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