『サイバーパンク2077』拡張コンテンツ『仮初めの自由』の注目点を日本語版ローカライズマネージャーに聞いてみた!

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 9月26日に発売されることが発表された、『サイバーパンク2077』の大型拡張コンテンツ『仮初めの自由』。メディア向け先行プレイの際に、ジャパン・ローカライズマネージャーの西尾勇輝氏にインタビューできましたので、その内容をお届けします。

  • ▲西尾勇輝氏

『サイバーパンク2077』とは?

 『サイバーパンク2077』は、2020年にCD Projekt REDより発売されたオープンワールドRPG。マイク・ポンスミス氏によるテーブルトークRPG『サイバーパンク2.0.2.0.』を原作として開発された、物語主導型の作品です。近未来の巨大都市・ナイトシティを舞台に、新鋭のサイバーパンク“V(ヴィー)”を操作して、さまざまなの選択を通じて自分だけのストーリーを楽しめる作品となっています。

Vがスパイに!? 新合衆国大統領を中心とした、疑心暗鬼に陥る物語が展開!

――開発の進歩はいかがでしょうか?

西尾さん:おおよそできあがっている状態ですね。今回メディアの皆さんにプレイしていただいたビルドは、まだ調整段階であり、導入を変更したり途中をカットしたりしていますが、それ以外は最新のもので構成しています。ローカライズに関してもブラッシュアップをしている段階で、ゲームプレイや脚本などのローカライズはほぼ完成しています。

――ゲーム中で、拡張コンテンツをプレイできるタイミングはいつごろになるのでしょう?

西尾さん:プレイ中に登場したジョニーとの関係性からある程度推測できるとは思いますが、ゲーム本編が少し進んだ段階でアクセスできるようになるとお考えください。『仮初めの自由』はスタンドアローンのお話ではなく、本編を拡張していく形で展開するコンテンツです。エンディングを迎えたうえでプレイするというコンテンツではありません。――なにせ『仮初めの自由』のプレイが反映されるようなエンディングも追加されますからね。

――つまり『仮初めの自由』での選択も、物語に大きく影響してくるということでしょうか?

西尾さん:そうなります。細かい選択肢が本編と比べても増えているので、のちのち大きな意味を持ってくる選択もある……かもしれません。どの選択がどう影響するかはネタバレになるためお伝えできませんが、もしかしたら本編よりも厳しい決断を迫られるかもしれませんね。

 『仮初めの自由』はスパイスリラーをテーマにしているので、誰を信用していいかが本当にわからなくなっていきます。誰が味方で、自分はどちらにつくのか、あるいはこの選択が本当に自分が思い描いている結果を招いてくれるのかなど、すべてがわからないなかで考えながら選択していくことになります。

 こういった選択と結果という要素は、CD Projekt REDのゲームとしてのコアの部分とも言えますが、その魂は『仮初めの自由』でもしっかりと引き継がれていますね。それを踏まえたうえで、スパイスリラーという、これまでなかなか描かれてこなかったジャンルに挑戦している感じです。

 V(ヴィ―)とスパイってなかなか結び付かない要素かと思いますが、そこをどうやって魅力のあるお話にしているのか……そういう意味でも、『サイバーパンク』というIPとしての集大成のひとつになっているかなと思います。

――登場するキャラクターは『仮初めの自由』固有のキャラクターたちですか?

西尾さん:はい。主人公であるVやジョニー・シルヴァーハンドは別として、『仮初めの自由』のなかで登場する新たなキャラクターたちが、中心となって展開していきます。ソロモン・リードやソング・バード、マイヤーズといった人物は、ここでしか出会えないキャラクターとなっています。

 この三人の関係がすごくおもしろいんですよ。三人が織りなす関係と、それぞれがそれぞれに対して思っていることがどんどん紐解かれていく、ちょっとした謎解きのようなものは本編にはあまりなかった魅力となっています。

 これまでは企業というものが権力の象徴として描かれていました。とくにナイトシティは自由都市として新合衆国政府の管轄下ではないですから。しかし今回は、新合衆国大統領であるマイヤーズを救出するところからお話が始まるということもあって、新合衆国が大きく関わってきます。存在していることはわかっていたものの、実態はあまり知らなかった部分を深堀しているのも『仮初めの自由』ならではの要素かなと思います。

 なお本編同様、『仮初めの自由』でも原作者のマイク・ポンスミスさんがコンサル担当として付いてくれていますので、ロアに関しては彼のフィードバックを受けたうえで作っています。

車上戦闘や近接武器の新アクションなど、追加要素もたくさん!

――『仮初めの自由』のボリューム感はどんな感じでしょう?

西尾さん:遊び方によって大きく変わってしまうので、具体的に何時間と示すことは難しいですね。コンテンツとしては、いくつかのメインジョブに加え、新しいエリアである“ドッグタウン”にもさまざまな要素が用意されています。

 加えて何度も遊べるループコンテンツとして、投下物資を回収するアクティビティや車の配達業があります。そして前述したように、本編に新しく追加されるエンディングもありますから。とりあえず、これだけの要素が追加される大型のコンテンツであるということは理解してもらえるかと思います。

――投下物資は、コンバットゾーンの中にしか落ちないのでしょうか?

西尾さん:そうですね。投下物資は、設定としてハンセン(※新合衆国と敵対しているカート・ハンセンのこと。ドッグタウンを独裁的に支配している)用の物資ですから。基本的にはハンセンの手下たちが回収にきているため、彼らと戦闘をして物資を奪う形になります。場合によってはすでに奪いにきている第三勢力との三つ巴になることもありますね。投下物資からは武器やサイバーウェアなどが手に入るので、ちょっとしたトレハン要素も兼ねています。

 ちなみに、本編でもありましたが、倒した相手のチップを手に入れてログを見ると、その現場で何が起きたのかがわかるようになっています。ほかにもミニストーリーのようなものがドッグタウン内に散見されたり、イースターエッグもいろいろ仕込まれていたりするので、探してみてください。

――ドッグタウンはナイトシティとは別の、独立したインスタンスエリアとして追加されるのでしょうか?

西尾さん:いえ、パシフィカにスタジアムがあったと思うのですが、その周辺地区として追加されます。スタジアムを北として、そこから少し南に広がった地区……これまでコンバットゾーンと呼ばれていた地区ですね。ドッグタウンの中にもさまざまなエリアがあるので、サイドコンテンツなどをやりながら、ナイトシティのほかの地区との違いを楽しんでみてください。

――パークツリーが一新されていましたが、この変更は拡張を導入すると変更されるのでしょうか?

西尾さん:まだ調整中なので詳細は言えませんが、拡張パックで導入される一部のものは、パッチアップデートとして導入されるものもあるということは確かです。ただ、レリック専用パークについては、『仮初めの自由』専用の要素となっています。『仮初めの自由』の物語の中で、レリックのパークが解放されるきっかけのようなものがあります。また、舞台となるドッグタウンについても同様に、拡張パックを導入後に訪れることができるエリアとなっています。

――武器や服などの追加はありますか?

西尾さん:もちろん、武器や乗り物、サイバーウェアなど、アイテム類はいろいろ増える予定です。『エッジランナーズ』関連のものが追加されたパッチ1.6で、見た目にこだわりを反映させられるワードローブ機能も追加されていますし、そこでステータスと外見を両立できるようになりましたが、それがさらにやりやすくなるかなと思います。

――『仮初めの自由』をプレイしていて、西尾さんが大きく変化を感じたものは何でしょうか?

西尾さん:車上戦闘は拡張パックで変化する大きな要素のひとつだと思います。これまでは特定のシーンでしか、車に乗りながらの戦闘はできませんでしたので、オープンワールドのゲーム体験としては大きく変わる部分かと思います。

 また、本編でジョニーのことをかなり知ったはずだったのに、『仮初めの自由』をやることで彼の見えなかった部分が明らかになってくるというのが見どころですね。彼なりに思う正義というものがどこから来ているのかなど、そういうジョニーの隠された面が見れるのは、本編では味わえない感覚かなと思います。

 そして先ほども言った“選択と結果の因果関係”を、新たな形で皆さんにお見せできるかと思いますので、期待していただければと。

 これはローカライズの話になってしまいますが、本編のときはどうしてもボリュームが膨大だったため、吹替えのディレクション時に、複数のスタジオを同時稼働させて収録する必要がありました。しかし今回はそれをせずに、1人でほとんどをディレクションすることができたので、私個人の領域としてはうまくやれた部分かなと感じていますね。

――新要素も追加されたなか、西尾さんお気に入りの立ち回りがあれば教えてください。

西尾さん:やはり刀で弾をはじき返すプレイが楽しいです(笑)。オススメは空中ダッシュを可能にしたうえで、一気に間合いを詰める戦いかた。どうしても難しい場合は、ブロックで銃弾をはじき返しながら接近する……というような、今まであまりできなかったブレードの使い方ができるようになっているので、そういうところを試していただきたいです。うまく決まると見栄えのいいアクションができますし、脳汁が出ますよ!!

日本人アーティストの曲も、ふたたびラジオで流れる!

――本編だとミッション名がすべて曲名になっていたと思うのですが、今回も同様ですか?

西尾さん:はい、楽しくもありますが、今回も日本語訳が大変でした(笑)。難しいのが、すでに邦題がある曲の場合です。邦題がある場合、私は基本的にそれを使いたくなるのですが、英語版がその曲を選んだ理由と必ずしもマッチしないこともあるわけです。理由が曲名にあるのか、歌詞にあるニュアンスに由来するものなのかが違うわけで、すると既存の邦題を当てはめてみたときに、意図されている意味が伝わらないことがあるんですね。そういった場合はこちらで独自に訳を考えています。開発が、この曲を選んだ理由と再生できるリンクをくれるので、それを聴きながら考えていますね。

 最近の曲の場合、邦題をつけないことがほとんどなので、そういったケースも自分で考えていますね。ネットフリックスのアニメ『エッジランナーズ』のエピソードのタイトルも私が邦題候補を出していて、あれも曲名にちなんでいます。

 もともと私は洋楽を聴くほうではありましたが、普段聴かないようなジャンルのものも聞くことになるので、洋楽により詳しくなりましたよ。

――今回はPonpon Shitのような日本のクリエイターの曲は入っているのでしょうか?

西尾さん:春ねむりさんの『さまよえるままゆけ』と、NoWorldさんの『Do or Die』という曲が、Growl FMラジオで流れることがすでに発表されています。本編のときも日本の曲は話題になりましたし、『エッジランナーズ』による反響も大きかったと思います。それこそ『I REALLY WANT TO STAY AT YOUR HOUSE』とかが皆さんに深く突き刺さったっていうこともあって、アニメのおかげでゲーム内の音楽にもまた注目が集まったかなという印象もありました。

――インフルエンサーとのコラボなどはあるのでしょうか?

西尾さん:サーシャ・グレイさんがGrowlのラジオDJとして参加しています。あとはインフルエンサーありませんが、主要人物であるソロモン・リードを演じているのは、ハリウッド俳優のリドリス・エルバさんですね。

――日本側から提案した武器の名前などはありましたか?

西尾さん:私が提案したホテルの名前がドッグタウンで採用されています。あとはブレインダンスの名前や、本間が提案した車や武器名もあります。もともと本編発売前に日本語の名前をいくつか提出していて、それが今回に至って採用されたものとかもありますが。とくにTSUNAMI製の武器は妖怪の名前にちなんでいるものが多いので、TSUNAMI製の武器に新しいものがあれば、だいたい本間が考えていると思っていただいて大丈夫です(笑)。

――パーク周りの調整やエンディングの追加など、このタイミングで触ってみるにもいい環境だと思いました。

西尾さん:そうですね。本編に組み込まれる形での拡張パックなので、新規の方はこのタイミングで手に取って頂きやすいかなと思います。未プレイの人にも、ぜひ遊んでみていただければと思います!

サイバーパンク2077:仮初めの自由 [日本語吹替版] 公式トレーラー

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