『遊戯王』スケープ・ゴートの思い出。昔はライフを守る防御カード、今は一気にリンクモンスターを展開するパワーカードへ【メモリの無駄づかい】

ライオン松本
公開日時

 三つ子の魂百までと言われますが、幼少期に限らず、ゲームを遊んだ思い出は脳に深く刻まれるもの。

 何年、何十年たっても、「なんでオレ、こんなこと覚えてるんだろ……」と愕然とするような記憶が残りがちでして。

 そんな脳のメモリ(記憶・容量)を無駄づかいしている例を語ります!

 さて、幼少期、特に小学生から高校生にかけて男子なら一度は興味が惹かれる、謎の魔力を持ったホビー“トレーディングカードゲーム(以下、TCG)”。あの頃に夢中で遊んだ僕たち、私たちの大切なカードたちは思い出とともに永遠に胸に刻まれるもの。

 そんな誰しもがハマってしまった経験があるだろうTCGというジャンルから色々な昔話をお届け。本稿では『遊戯王』から“スケープ・ゴート”の思い出を語っていきます。

今ではリンク召喚で便利な“スケープ・ゴート”って、昔は防御のためのカードだったんですよ

 この記事で紹介するスケープ・ゴートは数あるカードの中でもかなり有名な1枚ですよね。初めて登場したのはアニメ、漫画の『遊戯王』に登場する主人公・遊戯の親友でありライバルのひとりでもある城之内くんがピンチの場面で発動し、一気に4体の羊トークンを展開して時間を稼ぐという、いわゆる防御のためのカードだったんです。

 絽場による人造人間サイコ・ショッカーと魔鏡導士リフレクト・バウンダーによる猛攻を羊でしのぐ……名シーンですね。リシド戦でもスケープ・ゴートを使おうとして、妨害されてしまう場面も印象的でした。

 一見するとそんなにモンスターを並べることができるなら、その羊トークンを生贄(今で言うところのリリース)にして、強力な上級モンスターを召喚すべき、と思ってしまいます。というか当時の私もそうでした。

 だって特殊召喚で一気に4体もモンスターを並べることができるなら、当時の強力な5〜8星モンスターを召喚できるはず……。まぁ、もちろんそんな上手い話はないからこそ、この使い方になったわけですが。

 強力なスケープ・ゴートというカードですが、ちゃんとデメリットもあるんです。

 それは“アドバンス召喚のためにはリリースできない”というものと“このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。”という2つの制約。

 このテキストがあるおかげでゲームが壊れなかったという面もありますが。
あと、突然変異を使ってサウザンド・アイズ・サクリファイスを特殊召喚することなんかも一時期有名でしたね、

 しかし、時代は大きく変わって新た召喚方法であるリンク召喚が登場してから事態は一変しました。

 これまでのリリースできない、カードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できないというデメリットをかわしながら、エクストラデッキから強力なモンスターを呼び出せるようになってしまったんです。

 OCGの『遊戯王』でも汎用カードとして大きく注目を浴びたカードで、準制限カード(デッキに2枚までしか入れることができないというルール)というものに指定されてしまうほどでした。

 まだリンクがない時代でも結構な悪さをして、制限カード(デッキに1枚までしか入れることができないというルール)になったことがありましたが、時代が動くにつれてシンクロやエクシーズというインフレの波で、気づけば規制がなくなっていたはずだったんですが……リンクでめでたく(?)再び制限されたというわけです。

 今ではそれ以上の強力なカードが多く登用したこともあって、3枚フルでデッキに入れることができますが、またいつ暴れてもおかしくはないスペックではあるので、一部のデュエリストにとっては今でも脳裏にチラつくと思います(笑)。

 個人的には2004年ごろの環境で強力な防御札として使われていた頃が1番印象深いです。このカードの影響で、守備貫通してダメージを与えることができるイグザリオン・ユニバースという少しマイナーなカードが注目されたくらいですからね。

 今ではあまり見ないカードにも歴史あり。このカードが強力&汎用的すぎて、とにかくデッキに入れようなんてこともあったんだよ、という昔話でした。

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