『どうする家康』31話感想。いよいよ本性をあらわした秀吉と対決! 家康たちは覚悟を持って決戦に挑む

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 毎週日曜20時からNHKで放送の大河ドラマ『どうする家康』。第31回“史上最大の決戦”のレビューをお届けします。

秀吉との対決を決意! しかし相手も一筋縄ではいかず…

 前回は、信長の死後、頭角を現した羽柴秀吉によって、柴田勝家・お市が共に追い詰められ、自害するまでが描かれました。

 今回は、その結末に激しい怒りを覚えた家康が、打倒・秀吉を決意し、行動をはじめていきます。

 さて、秀吉を打ち倒すことを目標に掲げたのは良いものの、相手は一筋縄ではいきません。

 順調に天下人への階段を駆け上がる一方で、秀吉はあくまで跡継ぎは織田家の三法師であるという姿勢を崩さず、主君を立てることで上手く周囲からの批判を逃れていました。

 その秀吉に真っ向から対立しては、むしろこちらが悪者になってしまいます。今は我慢して、秀吉の機嫌を取ることで、その腹の中を探ってやろうという作戦ですね。

 これまでもそうでしたが、家康は目的のためならば、自分が周囲から馬鹿にされようと構わないと考えているようです。

 最後に目的を果たせるなら、たとえその相手や周りの人間たちに侮られ、笑われようと、じっと耐え忍んで時を待つことができる。簡単なようにも思えますが、実際はとても難しいことです。

 家康の我慢強い性格と、どこか泰然自若とした雰囲気がよく出ていて、好きな場面でした。

 現代で言えばスパイのような役割で、石川数正は様子を探るために秀吉のもとを訪れました。部屋の装飾や身につけている着物などを見ると、秀吉の派手好きがよく表れていて、面白いですね。あちこちに金が使われています。

 明るくて気さくな雰囲気を演出しつつも、どこかずる賢い、裏のありそうな秀吉の演技がとても印象的で、つい見入ってしまいました。底知れない恐ろしさのようなものを感じます。

 得体の知れない秀吉の言動に、信じるべきか疑うべきか判断がつかず、家康たちも頭を抱えてしまいました。

 その裏で秀吉は、家康本人が訪問してこなかったことに不満を感じたようです。恐らく、家康よりも自分が下に見られていると感じたのでしょうね。

 少しずつ本性を現しはじめた秀吉は、信長の次男・信雄を追い出してしまいます。その信雄が助けを求めた先は、家康でした。織田と徳川は何があっても助け合うという、織田家との盟約を守ることを決め、秀吉との対決にのぞみます。

 とはいえ、秀吉の軍は今や10万にもなる強大な敵。そう簡単には倒せません。それなりの覚悟と準備が必要です。家臣たちも、激しい戦いになることを予感し、決意を新たにします。

 家康が重大な決心をするときには、必ず瀬名のことを思い浮かべるのが、なんとも切なくて胸が締め付けられます。決して忘れることはないのでしょうね。

 家臣たちと言葉をかわすシーンでは、やはり本多忠勝とのやり取りが一番印象に残りました。まだまだ未熟な頃の、戦から逃げ出してしまった家康を連れ戻した張本人ですからね。

 その頃と比べて、どれだけ辛い出来事を乗り越え、成長してきたか……忠勝は、それを一番実感している人物かもしれません。

 まだ家康のことを主君とは認めていないと言いつつ、天下を取ったら考えてもよいという忠勝の台詞が、とても好きだと感じました。彼なりの応援というか、家康を鼓舞する気持ちが伝わってきて、素っ気ないながらも良い会話ですね。

家臣たちの活躍が光る! 強い信頼関係には胸が熱くなる

 さて、具体的にどう秀吉を倒すか考える場では、本多正信が活躍します。秀吉のもとには多くの軍勢が揃っているものの、みな心のなかでは秀吉のことを見下し、反感を抱いていると指摘。

 その筆頭である池田恒興をなんとか味方に引き入れ、やがては日本中を巻き込むような、大きな作戦を提案します。

 家康の活躍はもちろんのこと、家臣たちにも見せ場があると嬉しくなってしますね。特に家康と正信の関係性は、その堅実さと突拍子のなさでお互いを補い合っているような感じがして、見ていて面白いです。

 池田恒興を味方にするため、家康と織田信雄は手を組んで動きはじめました。秀吉もそのことには真っ先に気がついた様子。お互いに罠を張り合っているような、緊張感のある場面が続きます。

 いざ決戦へ……という矢先に、まさかの池田による裏切りが。秀吉についた池田軍が進軍をはじめ、正信の考え出した策はあっという間に崩れてしまいました。

 いきなりのピンチですが、うろたえる信雄を落ち着かせ、逆に奮い立たせる家康の姿には思わず感動してしまいました。

 危機的状況でも慌てず、どっしりと構える頼もしい姿に、昔の臆病だった頃の面影はありません。まるっきり別人のようで、その成長っぷりに何度でも驚かずにはいられません。

 酒井忠次も、そんな家康の成長していく姿をすぐ近くで見てきた一人です。そして、家康は立派な人物になったと認めている一人でもあります。

 そんな彼が、もう思い残すことはないと言わんばかりに、危険な作戦に打って出ていく姿を見送るのは、悲しく辛いものがありました。無事に帰ってきてくれて本当に良かった。まだまだ、家康のことを見守っていてくれなくては困りますからね。

 あえて兵を引かず、秀吉を迎え撃つことに決めた家康たちは、決戦の場を小牧山に定めます。小牧山城を改良し、難攻不落の要害にするという提案に乗った家康は、榊原康政にすべてを任せました。

 この戦いの間にも、家臣たちとの信頼が見える場面がたくさんあって、胸が熱くなりますね。家康の無茶な要求にも応えようという気概が伝わってきて、とても良いやり取りでした。

 無事にやり遂げた康政によって、難攻不落の要害となった小牧山城を舞台に、史上最大の決戦が幕を開けます。次回も楽しみに待ちましょう。

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