【セガ×double jump.tokyo対談】まずは遊んで、気に入ったらNFTへ。『三国志大戦B3K』開発陣が語るブロックチェーンゲームの課題や期待することは?

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 セガのアーケードゲーム『三国志大戦』のIPを使用した新作ブロックチェーンゲーム『Battle of Three Kingdoms - Sangokushi Taisen -』(三国志大戦B3K)。

 本作はセガから『三国志大戦』のライセンス許諾を受けて、double jump.tokyoが開発を担当しています。

 この記事では、セガの代表取締役副社長・内海州史氏とdouble jump.tokyo代表取締役CEO・上野広伸氏の対談をお届けします。

 お二人にブロックチェーンゲームの現状と未来や、開発中の『三国志大戦B3K』について語っていただきました。

■(写真左)内海州史氏
 セガ 代表取締役副社長 Co-COO。様々なエンターテイメント業界を経て、現在はセガのゲーム事業の舵取りを担う。

■(写真右)上野広伸氏
 double jump.tokyo代表取締役CEO。2018年に世界No.1を記録したNFTゲーム『My Crypto Heroes』の開発に携わる。

※本記事はdouble jump.tokyoの提供でお送りします。

二人のお気に入りの武将は? 内海氏はスーパー歌舞伎への造詣も

――お二人の『三国志』との出会いや思い出について教えてください。

上野広伸氏(以下、敬称略):出会いは横山光輝先生の『三国志』です。当時はやっぱり周囲でも、世界史のことはよく分からないけど『三国志』の武将だけはよく知ってるみたいな人がいっぱいいたりしましたね。

 『三国志』のエピソードとしては、王道中の王道ですが“三顧の礼”が好きですね。40代で当時すでにそれなりに高名だった劉備が、まだ20代の若者である諸葛亮を迎えるために礼を尽くすその姿勢には、経営者として学ぶべきところがあると思っています。

内海州史氏(以下、敬称略):小説も漫画ももちろん読んでましたが、ユニークなところではスーパー歌舞伎の『新・三国志』が面白くて好きですね。ビジュアル的にも素晴らしく、猿之助が演じる諸葛亮が実に魅力的でした。

上野:それぐらい、色々なところに用いられるあたり、『三国志』は改めてすごいIPだと思います。

内海:仲間が敵になったり、敵になったら礼を尽くしたり、そこらへんのダイナミックな群像劇が、大変面白い話ですよね。

――お二人とも、お気に入りの武将は諸葛亮なんですね。

内海:お気に入りというと、なかなか迷いますね。

上野:僕はお気に入りというと劉備ですかね。

内海:じゃあ、僕は諸葛亮で(笑)。

ブロックチェーンゲームのハードルの高さをどうするかが大きな課題に

――ブロックチェーンゲームの現状と未来について、お二人の見解をお聞かせいただければなと思います。

上野:現在は、ブロックチェーンという技術が出てきてそれをどうにか新しい遊びに活かせないかなというのを模索している段階です。ユーザーのみなさんが使いづらさを感じているのもあって、まだまだ広まっていないなという風には思っています。

 口で説明すれば「こういう良さがある」とかあるかもしれませんが、エンタメとして説明くさい説明をされても体感として納得しづらいと考えています。まずは触ってもらうためのコンテンツを作るのが先決ですね。

内海:ゲームとして、技術の進化とともに変化していく感覚を、いかにうまく捉えて発展させるのかが大事だと思っています。まだまだ具体的にどんな面白いものが作れるかは、みんな探しているところですね。

 過去にはソーシャルゲームが出てきたときも、虚栄心や競争心を刺激するようなガチャみたいなものはコンソールゲームにはなかったものだと思います。

――メディアとしても、今はブロックチェーンゲームにとっての過渡期ではないかと感じていますが、いかがでしょう?

内海:それこそ、モバイルゲームでいう有名なパズルゲームのような、入口となるコンテンツを用意できればいいですね。

 モバイルゲームの流行には携帯がインフラとして広がっていく流れの影響もあったと思います。スマホもPCも誰もが持つ時代に、いかに訴求していくかは考えていくべきですね。

 ブロックチェーンゲームにおいても、モノを所有できることや、場合によっては稼げるということも今までにはなかった欲求になり得るとは思っています。そういう意味では確かに過渡期であると言えるかもしれません。

――今回のゲームショウで初めてブロックチェーンゲームに触ってみて、そこから始めるユーザーも多そうですね。

上野:やっぱりエンタメなので、触ってみないと分からないところもあると思うんですよね。今回のように体験から色々な人にリーチしていきたいですし、その先に大規模に普及させていく未来もあるのではないかなという風に思っています。

――数年前に比べてウォレット周りも含めてスタートアップのハードルが下がっているようにも思います。

上野:そうですね。なるべく手間を取らせないような形にはしていきたいです。どうしてもゲームを始める時にリテラシーを求められすぎると大変だと思うので。

 コンテンツを触っていくにつれて、ブロックチェーンとかNFTとかウォレットのことも知っていくみたいなコンテンツの方がより良いのではないかなという風に思います。

内海:今までのウォレットのハードルが高いからね。そこをやっぱり下げるっていうのは一つのチャレンジですよね。

――ウォレットなしで遊べるというのが独自の要素だと思いますが、それもハードルを下げるのが狙いでしょうか?

内海:そこも敷居の問題ですよね。実際にウォレットは作るのは大変なので、まずはプレイしてもらわないとということです。

上野:最初は無料で遊べるようにしておいて、それで気に入ったらNFTを買ってもらったり、ウォレットを持ってもらったりと、そういう流れがいいかと思っています。

アジア市場を狙って『三国志』をブロックチェーンゲームの題材に!

――『三国志大戦』はカードを使うアーケードゲームで、過去トレーディングカードゲームも発売していたこともあってブロックチェーンゲームとしては親しみやすそうです。

上野:そうですね。元々ブロックチェーンとかNFTをゲームに適用する場合に、わりと分かりやすい適用先っていうのがトレーディングカードゲームだと思っています。

 トレーディングカードゲームは今や、プレイヤーよりコレクターの方が多くなったりしていますよね。カードの価値に関しては、二次流通市場で価格がついて、初めてそのカードの価値の物差しになります。その構造を、デジタルの世界に持ってこられるのではないかという試みもNFTの一つの面白みなのかなと思っています。

内海:「カードを所有する」という感覚が、NFTで本当に実現できるのだろうかというところも含めて、楽しみにしていますね。

――開発の経緯はどうだったのですか?

内海:セガでは先進技術や新たなビジネスモデルを活用したコンテンツの研究にも力を入れており、ブロックチェーン技術もその対象の一つでした。

 そのような中、まずは日本を含むアジアのファンに受け入れられるIPであり、ブロックチェーン技術との親和性も高いだろうと思われた『三国志大戦』でサービスを検討出来ないかということになりました。

上野:我々自身もブロックチェーンゲームって、まだこれだっていう典型的なスキームが固まっていないというのを認識していて、ある程度ベンチャー的にやらせてもらっています。

 トライアル&エラーができる中で、『三国志大戦』という非常に大事なIPをお借りした上で、ブロックチェーンゲームとして今double jump.tokyoが考えている理想のゲームとして、本作のプロジェクトが形になっていきました。

 それが結果的に自分の会社やセガさんも、あとはゲーム業界全体に対して良い効果をもたらすことができれば、非常にハッピーだなという風に思っています。

――ちなみに上野さんは『三国志大戦』はご存知でしたか?

上野:もちろんです! すごくやり込んだわけではないですが、ゲーセンには入り浸っていたので(笑)。

ゲームルールに沿って3分で最適解を考えるゲーム

――カードだと価値の変動が難しい要素ですよね。

上野:そうですね。ゲーム的な要素では性能のよさ、コレクション的な要素ではアートワークのよさで価値が変動していくと思います。とくに性能に関しては環境にも左右されるのは、リアルなトレーディングカードゲームと同じになるでしょうね。

――カードイラストには絵違いのような要素もあるのでしょうか?

上野:同じ性能でも少しレアリティが違うものはあります。

――リリース時にはどのくらいの数のカードが実装されるのですか?

上野:100種類以上は考えてます。そのうち描き下ろしは10種類前後ですね。

――リリース後のアップデートの予定はどのくらいの頻度を予定していますか?

上野:こまめにやっていこうかなと考えています。ゲームバランスに関わるようなものというより、表現やエフェクトなどをユーザーの反応を見ながら変えていければと。

――バトルはどんな風に進行していくのですか?

上野:バトル自体はオートバトルですが、バトルルールに沿った最適解を3分以内に考えてデッキ構築をする必要があります。その最適解を考える、シミュレーション要素の強いゲーム性ですね。

 近年の傾向では1バトルにかけられる時間はどんどん短くなっていってるので、一駅分くらいでできるようなバトル感を演出するために制限時間は3分にしています。

リリース後はアジア圏を重視してマーケティングを展開

――リリース後の展開について教えてください。

上野:アジア圏に広げていけるようなマーケティングを考えています。実際にブロックチェーンはアジア圏で広まり始めているので、そこを重視していきたいですね。

――セガからdouble jump.tokyo(本作の開発会社)へのサポートはどのようなものを行っていますか?

内海:ゲームのアセットの提供や、監修に実際の『三国志大戦』のプロデューサーをアサインする事などですね。

 double jump.tokyoさんに『三国志大戦』IPの根幹となる部分を共有できると同時にセガもブロックチェーンゲームのラーニングができるので、双方にメリットがあると考えています。

――最後にメッセージをお願いします。

上野:セガさんの大事な『三国志大戦』というIPをお借りして、double jump.tokyoとして「こういうゲーム性はどうですか」と答えを出すつもりでいます。ぜひ一度プレイしていただいて、評価をいただければと思います。

内海:『三国志大戦』というIPが、この機会にまた復活できるというふうに思っています。ブロックチェーンゲームは我々にとっては未知の世界なので、守るべきところは守りながら、新しく捉えるべきところは新しく捉えていければと。double jump.tokyoさんとは、お互い遠慮なく意見を交わしながら進めていけたらと思っています。

●『Battle of Three Kingdoms』チュートリアル動画


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