レビュー:Switch版『スーパーマリオRPG』は経験者はもちろん、SFC版未プレイの人こそプレイするべき“名作”

スズタク
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 任天堂より11月17日に発売予定のNintendo Switch用アクションRPG『スーパーマリオRPG』。ここでは、本作の先行レビューをお届けします。

 本作は、1996年に発売されたSFC(スーパーファミコン)用『スーパーマリオRPG』のSwitch版。任天堂とスクウェア(現スクウェア・エニックス)が共同制作したオリジナル版をベースに、さまざまな新要素を盛り込んだファン待望の作品です。

 この記事では、そんなSwitch版『スーパーマリオRPG』をオリジナル版未経験のライターがプレイ。初心者目線で味わった本作の魅力をレビューしていきます。

RPGだけど『マリオ』らしさをたしかに感じられるゲーム

 “ジーノというキャラクターがやたら人気”、“音楽が素晴らしい”、“すいじょうきばくはつ”など断片的な情報は聞きかじっているものの、肝心のゲーム自体をプレイしたことがなかった『スーパーマリオRPG』。今回、四半世紀ぶりにSwitchに登場すると聞き、名作に触れる絶好の機会だったので前のめりでプレイしてみました!

 なお、本レビューは序盤までのプレイ&ネタバレなしでお届けしていきます。自分のように『スーパーマリオRPG』未プレイの人も、安心して読み進めてください。

 まず本作の全体的な感想ですが、“とっつきやすく遊びやすい”のひと言に尽きます。ゲームを始めるとプロローグムービーが流れるのですが、ゴチャゴチャした描写やナレーションはいっさいなく、最低限の展開だけを見せてパパっと操作パートに移ります。スピーディな展開が個人的にうれしいかぎり!

 “クッパにさらわれたピーチ姫をマリオが助けにいく”という図式が刷り込まれている『マリオ』シリーズだからこそ成せる業だと思いますが、それにしてもテンポがいい。これほど導入が短いRPGは久しぶりで、新鮮な気分でした。

 フィールドはクォータービュー方式の立体的な作りで、シンボルエンカウントによってバトルが発生します。バトルについては後述しますが、コマンドバトルとアクション要素が融合したシステムとなっています。

 フィールド上ではマリオがジャンプでき、高いところに登ったりブロックを下から叩いたり敵を跳び越えたりと、アクションゲームの『マリオ』と同じような操作感を味わえるのもおもしろいところ。先に進むためには、ジャンプをこれでもかと駆使する必要があります。

 正直なところ、プレイ前は単に『マリオ』シリーズのキャラクターや世界観を用いたRPG、というイメージを抱いていましたが大きな勘違いでした。RPGならではの冒険感や没入感を打ち出しつつ、『マリオ』らしいアクション性もしっかり感じられる手触りとなっています。

 『マリオ』といえば誰でも初見で楽しめるのが魅力の1つですが、本作でもそのDNAは引き継がれています。わかりやすい物語にUI、快適な動作性と、初心者でもとにかく遊びやすい! プレイを重ねるほど、本作はまぎれもなく“『スーパーマリオ』のRPG”だとわかるでしょう。

緊張感と達成感が身体を駆けめぐる“アクションコマンドバトル”

 本作の戦闘は“アクションコマンドバトル”と呼ばれ、こちらの攻撃や敵の攻撃に合わせてタイミングよくボタンを押すことで、与えるダメージを増やしたり受けるダメージを減らしたりできます。その名のとおり、コマンドバトルとアクションが組み合わさったシステムですね。

 コマンドRPGは奥深い戦術性を満喫できる一方、慣れてくると単調な操作の繰り返しになりがち。しかし、本作のシステムでは、一度の攻防ごとにアクション要素が挟まることでほどよい緊張感が生まれます。

 コマンドバトルにアクション性を持たせたシステムは近年それほど珍しくありませんが、1996年当時にすでにこうしたシステムが生まれていたのは驚きでした!

 通常攻撃のアクションコマンドをパーフェクトなタイミングで決めると、全体攻撃に変化するのも重要なポイント。ターゲットに与えたダメージがそのまま全体化するわけではありませんが、通常攻撃で複数の敵にダメージを与えられるのは理屈抜きに“おトク感”があります。

 また、キャラクターは装備武器によって攻撃モーションが変わり、アクションコマンドのタイミングも変化します。マリオであればパンチ、ハンマー、甲羅をぶつけるなど、キャラクターの個性に合ったアクションコマンドが楽しめます。

 アクションコマンドに成功すると画面左下のアクションゲージが増えていき、100%になるとバトルメンバー3人で繰り出す“3人わざ”といった強力なコマンドも使用可能。さらに、連続でアクションコマンドを成功させると“チェイン”がカウントされ、チェイン数に応じて有利な効果が発生します。

 FP(フラワーポイント)を消費して繰り出すスペシャル技もアクションコマンドに対応しており、攻撃、防御、回復などあらゆる行動でアクションが重要なバトルとなっています。

  • ▲アクションコマンドはタイミングよくボタンを押すタイプだけでなく、ボタン連打やボタンを押し続けて離すなどの操作もあります。
  • ▲マリオ、マロ、ジーノの3人わざ。発動時にはカットインも!

 と、ここまで書くと「アクションが不得意だと苦戦しそう……」と思う人もいるかもしれませんが、ご安心を。個人的な体感ですが、アクションコマンドを成功させるだけならそこまでシビアな操作は求められません。初めて使う武器やスペシャル技の場合、しばらくの間は大成功のタイミングがマークで表示されるという措置もあります。

 連続でアクションコマンドを決めていく達成感、増やしたアクションゲージで大技をぶつける爽快感は本作ならではのもので、ザコ戦もボス戦も夢中になれるバトルがプレイヤーを待っています!

  • ▲ゲーム中はいつでも難易度を“ノーマル”と“エンジョイ”で切り替えられるので、RPGが苦手な人もサクサク進められるはずです。

コミカルな登場人物、豊富なミニゲーム、耳に残るBGM……。あらゆる要素が冒険を盛り上げる!

 マリオをはじめとしたおなじみのメンバーにくわえ、オリジナルキャラクターも多数登場する本作。そのいずれもがコミカルで愛らしく、ファンタジー世界での旅を彩ってくれます。

 メインキャラクターたちは2頭身程度でボイスもなく、主人公のマリオにいたってはセリフもありませんが、そのぶん生き生きとしたモーションが豊富に存在。動きだけでここまで感情たっぷりに“生きている”キャラクターを表現できるのかと、プレイ中は感動するばかりでした。

 また、ゲーム中にはサブイベントやミニゲームが散りばめられており、メインストーリー以外の遊びも幅広くあるのが特徴。なかにはヨッシーの住む島を訪れるなど、世界観の掘り下げにひと役買う寄り道要素もあります。

 本作の音楽は作曲家の下村陽子さんが手掛けており、こちらもぜひ注目してもらいたい点です! 下村さんは『キングダム ハーツ』シリーズの楽曲を通じて好きになった作曲家ですが、それより以前の『スーパーマリオRPG』でもこんなに素晴らしい曲の数々を生み出していたとは……惚れ直しました。

 通常戦闘曲は一般的なRPGだとそぐわないような明るい曲調ですが、“『スーパーマリオ』のRPG”だと考えると、これ以上ないほどマッチしています。ボス戦のBGMも、明るさを残しつつテンションが上がる熱いメロディになっており、マリオたちの冒険を大いに盛り上げてくれます。

  • ▲個人的に一番好きだったのは“ハナチャンの森”のフィールド曲。ここで出会うザコ敵・ハナチャンのインパクトも強烈でした。
  • ▲プレイ中のBGMは、Switch版のアレンジ曲とSFC版の原曲を選択可能。

 冒頭で触れたとおり自分はオリジナル版を未プレイのため、今作で進化した細かい部分についてはわかりませんが、グラフィックは間違いなく進化したポイント。それだけでもシリーズ経験者があらためてプレイする価値があると思いますし、未経験者はいわずもがな。少なくとも本作が夢中になれるRPGだというのはよくわかりました。

 『マリオ』らしい温かな世界観とストーリー、初心者でもストレスなく遊べるゲームデザイン、コマンド式とアクションが融合した白熱のバトル。かつて多くのプレイヤーがオリジナル版にハマり、今日まで名作と語り継いできたのも納得のクオリティです。

 本作は往年のファンはもちろん、自分のように『スーパーマリオRPG』を遊んだことがない人にもオススメしたいです。とくに90年代のJRPGが好きな人には、きっと刺さると思いますよ!


スズタク:RPGとアクションをこよなく愛するライター。近年、シミュレーションRPGのおもしろさに気づき始める。


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