『原神』オーケストラコンサートレポート。テイワットでの思い出が蘇る約2時間10分…そして推しの曲が演奏され呼吸を忘れかける

江波戸るく
公開日時

 HoYoverseが配信するオープンワールドRPG『原神』のオーケストラコンサートが11月25日、パシフィコ横浜にて行われました。

 2022年12月~2023年6月にかけても実施されたオーケストラコンサートですが、ストーリーの進行に伴い、今回はスメールの楽曲が大幅に加わっています。2月の横浜公演では特に好きな場所・オルモス港の曲がアンコールで演奏されていたので、また聴けたらいいなぁ、とほのかに期待をしながら現地へ。

 パシフィコ横浜最寄りのみなとみらい駅に着いた時点で、周囲には旅人と思われる人がちらほら。グッズを身に着けていたり、鞄に推しを提げている方を見るとイベントが行われることを実感しますね。

※本記事にはスメールまでの魔神任務に関する記述を含みます。

テイワットに初めて降り立った頃を思い出す……。モンドを彩る楽曲たち

 旅人たちの拍手とともに幕を開けたコンサート。お馴染みのメインテーマの後は、すべての旅人が最初に歩くこととなる地・モンドの曲が演奏されました。美麗なフィールドと穏やかな楽曲を前に、冒険が始まったのだと感じた日からもう3年……時間が経つのはあっという間ですね。

 『モンドの一日』を聴きながら新米旅人だった頃を思い返していると、突然雰囲気が変わり『真紅の騎士、出発!』の演奏が始まります。こちらはクレーのとんでもない可愛さが詰まった実戦紹介PVの曲ですが、オーケストラとして聴くことでクレーの猛者感(?)がより増したように思えます。振り返らずに歩いて行く姿、とても良いですね。

●動画:【原神】キャラクター実戦紹介 クレー(CV:久野美咲)「たったた!」

 モンド所属キャラの実戦紹介PVの曲はもう1つあり、『詩人の仕事』も聴くことができました。曲調がオーケストラと非常に合っていると感じます。演奏と共に久々にPVの映像を見ましたが、天空の翼を携えているウェンティが懐かしい……。今作られていたら、終焉を嘆く詩を持っていたのかも。

●動画:【原神】キャラクター実戦紹介 ウェンティ(CV:村瀬歩)「詩人の仕事」

 そのほかにも大聖堂の曲『風が運んだ聖歌』やドラゴンスパインの曲『清らかな笑顔』などが演奏。聴いているだけで、あのイベント面白かったなあ、とか、探索中のあのギミック難しかったな……という思い出がフワフワと頭の中を漂ってきます。『アカツキワイナリー』は特に用事がなくても立ち寄ってしばらく曲を聴くほど好きなので、改めて聴くことができて嬉しかったです。ディルックの姿が思い浮かびます。

 Ver.3.1のイベント“杯の中のバラッド”で流れた『ささめく帰風』もありました。レザーの両親について触れられた、あたたかみのあるストーリーは今でも覚えています。さまざまな家族の形……ムービーが合わさると、当時のことを思い出しますね。

●動画:【原神】杯の中のバラッドストーリームービー「風の帰りを待ち、ブリューを楽しむ」

構成が強い。璃月の記憶が脳内で蘇る

 続いて、魔神任務では2番目に訪問する国・璃月へ(ストーリー進行を気にせず訪れた人も多そうですが)。中国の楽団が奏でており、そちらならではの楽器を活かした曲が多い印象でしたが、日本の楽団が演奏することでまた違った味わいがあります。璃月の街に寄り添う優しい曲調をオーケストラでじっくりと聴くことで、映像に映っていない部分まで思い出せます。

 『華やかな灯火、星々の如く』はVer.2.4“華々しき流年”の中で使用された曲で、杯の中のバラッド同様、イベントムービーに合わせて演奏が行われました。往生堂の2人が可愛かったな……と感じたことはしっかりと覚えています。刻晴と凝光のコスチュームも華やかで素敵でした。

 また、こちらではエピソードPVの曲も取り入れられており、胡桃とタルタリヤのものが演奏。映像ではキャラクターのボイスはオフになっていますが、どこからか胡桃たちの声が聞こえてくるようでした。

●動画:【原神】エピソード 胡桃(フータオ)「驚いた?」

 予め演奏されることが公式サイトで告知されていた『アヤックスからの返信』や『浮世閑歩』などの実戦紹介PVの曲は期待通り、否、それを上回ってきました。オーケストラコンサートの場では曲しかないので、1つ1つの音が身に沁み込む感覚です。

 どれもテーマ曲と言えるだけあって、キャラクターと強く紐づいています。鍾離は特に、あそこに差しかかった瞬間に(分かってくれる方がいるはず)元素爆発のボイスが自分の中で再生されます。魅せ方があまりにも上手すぎるなと、PVを何度見返しても思いますね。

●動画:【原神】キャラクター実戦紹介 鍾離(CV:前野智昭)「見物人」

 璃月の最後は、間章第2幕“険路怪跡”の終盤ムービーを盛り上げる曲『命の綱渡り』でした。脱出するために必死に戦う旅人たちや、己を犠牲にして皆を救おうとする魈、そしてそんな彼を助けに現れ、静かに立ち去って行ったあの人物……そこに生のオーケストラが合わさり、プレイした時の感情を一気に浴びせられた気分に。感無量とはこのことでしょうか。言葉が(良い意味で)出ない。

●動画:【原神】険路怪跡ストーリームービー「生と死の刹那」

神里兄妹の繋ぎが良い。聴いていると落ち着く稲妻の曲たち

 休憩を挟んだ後、演奏の舞台は稲妻へ移ります。鎖国されているため、テイワットにやってきたばかりの旅人が唯一開始時点では訪れることのできない国でもありますが、最初の曲『落葉風波』からは、そんな稲妻の侘び寂びを感じ取ることができます。魔神任務で描かれているテーマが一番好きなのが稲妻なので、万葉との出会いを経て、海の向こうへ辿り着いた時のことを振り返ってしみじみとしてしまいました。

 稲妻の部にも演奏を楽しみにしていた曲があり、それが神里綾人の実戦紹介PVの曲『流水盈盈』でした。彼のプレイアブル実装はあとのほうだったから演奏は後半のはず……と思い込んで完全に油断していたので、(テーマ曲を除いて)一番で演奏されるとは思わず、数秒呼吸を忘れました。

●動画:【原神】キャラクター実戦紹介 神里綾人(CV:石田彰)「深き林に廻る流水」

 1日に5回近く再生していた日もあった綾人のPVですが、オーケストラで聴ける日が来るとは……。この映像と曲がなければ、綾人の命ノ星座をすべて開けていなかったと言っても過言ではありません。妹である綾華と異なり、魔神任務では姿を見せなかったためどういった人物なのかが把握しきれなかった綾人ですが、実は彼が裏側で動いていた、という部分をPVで見せてくれたのも良かったな~という記憶もあります。

 綾人と来れば……ということで、予想を裏切ることなく綾華の実戦紹介PVの曲が演奏されます。綾華のお淑やかさと秘めた可憐さ、刀を振るう者としての強さすべてを内包しているかのような『風儀の舞』は、(『流水盈盈』にも言えることですが)オーケストラが持つ音色の美しさと見事に噛み合っていました。

●動画:【原神】キャラクター実戦紹介 雷電将軍(CV:沢城みゆき)「浄土裁断」

 Ver.2.5の曲『薄櫻が綻ぶ時』や珊瑚宮心海の実戦紹介PV曲『睡竜の目覚め』、雷電将軍の実戦紹介PV曲『妄念と執念』など、徐々にエリアを広げながら描かれていった稲妻での旅路、永遠を追う地で出会ったキャラクターたちの姿を思い起こす楽曲が次々と演奏されていきます。

 個人的に聴いていて一番落ち着くのが稲妻の曲なのですが、日本人ゆえの感性がそうさせるのでしょうか。雷電将軍の曲は重厚さの中にかすかな寂しさが滲んでいるように感じられるので、彼女の……というより影と眞のことがよぎって、つい聞き入ってしまいました。

 ストーリーPVを彩った曲『羽ばたく時』も、視聴した際の感動がすぐに蘇ってきました。演奏している方々から音が届いてくるのと同時に、スクリーンに映し出された神里兄妹が目に入る空間。至福と言わずに何と言うのでしょう。

●動画:【原神】ストーリーPV「雪晴れに綻ぶ椿」

「セットリストにあったらいいな」と思っていた曲を浴びたスメール。そして最後には……

 演奏の旅はモンド、璃月、稲妻を経て、最後のスメールへ入ります。公演時間はおおよそ2時間10分だったと思いますが、あっという間すぎる……。4時間くらいあっても聴いていられる気がしますね。

 良い意味で独特な旋律が組み込まれている、というイメージがあるスメールの曲ですが、『揺らめく木々の影』や『大夢の集うメロディー』など、静かで神秘的な森を連想させる曲も印象に残ります。そんな中に『賑やかな港』(オルモス港)のような曲が混じっているので、より“良さ”が出ているなと再認識しました。港の曲なのにどうして聴いていると楽しくなってくるのでしょうか。不思議なものです。

●動画:【原神】ストーリームービー「花神の舞」

 スメールから魔神任務のボリュームがかなり増したと思っていますが、花神誕祭はその長さに驚いたなぁと、演奏を聴きつつ、ニィロウが舞うムービーを見ながら思いました。

 “正機の神”七葉寂照秘密主との戦闘曲もどこかで演奏されるだろうし、この先は何が聴けるのかな……と思っていると、PVを見すぎて見慣れた映像がスクリーンに映ります。またしても呼吸を忘れるところでした。

●動画:【原神】エピソード アルハイゼン「疑問、そして沈黙」

 いいんですか、この曲をオーケストラで聴かせてもらって……と内心で思いながら、好きなキャラクターの1人であるアルハイゼンのエピソードPVの曲(サウンドトラックで出ていないため、曲名はまだ不明でした。待ち遠しいです)を聴きます。音の数は控えめで全体的に静かな曲ですが、根底には穏やかさがあるアルハイゼンらしいものだと思えます。

 その後は放浪者のエピソードPV~七葉寂照秘密主との戦いの曲が奏でられます。スカラマシュとして登場した時から、放浪者としてプレイアブル実装されるまで長かったなと感じました。ゲーム中で聴いた際も耳に残りますが、ボーカルの方が特に印象的ですね。同じ空間にいらっしゃるからか、力強さが直に伝わってくるようでした。

●動画:【原神】エピソード 放浪者「灰燼」

 終盤に演奏された曲『いつかの知恵、いつかの願い』は、映像も合わさって涙腺を刺激してきます。マハールッカデヴァータ周りは色々と細かくて驚いた思い出が……。魔神任務を始める前と後では、違った気持ちになる曲の1つだと思います。

 最後に『スメール』が演奏され、オーケストラコンサートの部はすべて終了……と思われましたが、指揮者である栗田さんが場を後にしても、旅人たちの拍手は鳴り止みません。「フォンテーヌの曲が聴きたい」――その場にいた、ほとんどの旅人が思っていたはずです。

 大きな拍手でないとなかなか戻ってきてくれない、という栗田さんのお茶目な一面を挟んだあと、アンコールでフォンテーヌの曲が演奏されます。

●動画:【原神】「白露澄明の泉」Disc 1 - 律令の頌歌

 演奏されたのは『衆の水の詩』などの3曲でした。いずれもフォンテーヌの情景が浮かんでくる曲となっており、水と建物が作り出す美しい景観の数々が、オーケストラの音色と絡み合いながら脳裏に描かれます。

 フォンテーヌといえば「もはやラストバトルの曲では?」と言いたくなるヒロイックな戦闘曲『嘆きと凱旋』なども生で聴いてみたいですね。オーケストラ映えする曲が多いと思うので、来年に期待しつつ最後の拍手を贈りました。

 会場ではチケット風のカードを貰うことができました。やや厚めの紙でできているので、長持ちしそうなのが嬉しいですね。記念になるアイテムなので、大事に保管しておきたいところです。

 また、シリアルコードも別紙で付属しており、そちらを入力すると原石や限定デザインの風の翼などが入手できました。

  • ▲こちらの翼などが含まれるパックは現在、ゲーム内で販売されています。似合うキャラが多いので、この機会にぜひ。

 フォンテーヌの実装で5か国目となり、次々と世界が広がっている『原神』。オーケストラで聴いてみたい曲はまだまだあるので、来年も実施されるといいな、と期待してしまいます。


江波戸るく:永遠に新米のライター兼編集者。業が深いと判断したキャラクターを“海溝”と定めて沈むことに生きがいを見いだす。オーケストラコンサートで演奏された楽曲の中に好きなキャラクター絡みのBGMがありすぎてオーバーキル。


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