『バイオ RE:4』『FF16』など“PlayStation Partner Awards 2023 Japan Asia”の受賞者インタビューをお届け

カワチ
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 SIEは、12月1日に“PlayStation Partner Awards 2023 Japan Asia”の授賞式を開催。受賞タイトルライセンシーへのインタビュー取材が実施されました。ここでは印象的だった質疑応答をピックアップして紹介していきます。

 なお『原神』、『ソニックフロンティア』『ホグワーツレガシー』に関してはインタビューは行われませんでした。

パートナーアワード受賞タイトル

『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』

執行役員/プロデューサー:小倉康敬氏
ディレクター:山村 優氏

――これまでシリーズ作をプレイしてきたファンと新規層、それぞれに対して「ここが刺さったんじゃないか」と思われるポイントを教えてください。

山村 優氏:シリーズファンには『アーマードコア』らしい基本的な遊びかたは変えずに、そのうえでさらに遊びやすくなるように調整したところが刺さったのではないかと思います。

 新規ファンには、近年のフロム・ソフトウェアが培ったアクションのノウハウと、『アーマードコア』らしい3次元での立体戦闘のシナジーが好評で、楽しんでいただけたのではないかと思います。

――発売後も細かくアップデートが施されていますが、どのようなプレイフィールを目指しているのでしょう? “理想のアーマードコア”というものはあるでしょうか。

小倉康敬氏:すべてのプレイヤーの機体がそれぞれ異なるというのが理想です。すべての人が自分のいちばん好きな機体を使って、それでいて同じように楽しめる多様性のあるものが理想的かなと思っています。

『eFootball 2023』

シニアディレクター:中西 宏氏
シニアディレクター:木村征太郎氏

――本作は基本プレイ無料の形で売り切り型のタイトルとはまた違う展開の難しさがあると思います。そうした状況でも高収益を記録されている点について、その要因は何だと思いますか?

中西 宏氏:パッケージ型で販売していたときは、実際のサッカーシーズンに合わせて制作をしていたのですが、いまはそうした制限がなくなり、年に3回ほどの大型のアップデートを行っています。

 大型のアップデートを実装しても、すぐに次のアップデートに向けての作業が始まるので、つねに締め切りに追われている状況なのですが、このスピード感があるからこそ、ユーザーの皆様の要望に応えることができているんじゃないかと考えています。

――本作は“AFC eアジアカップ 2023”の競技タイトルにも採用されていますが、同大会について期待されている点など教えてください。

木村征太郎氏:日本だけでなくアジアにも『eFootball』が浸透しのだと捉えており、たいへんうれしく思っています。大会は、2024年1月~2月にかけて開催されるので、『eFootball』を通してアジアのサッカーファンが繋がることに期待しています。

『Wo Long: Fallen Dynasty』

プロデューサー兼ディレクター:平山正和氏

――『三國志』全体で考えると、描けるストーリーはまだまだあると思うのですが、次回作の構想などはありますか?

平山正和氏:現段階ではDLCの開発に全力投球しているところです。ただ、魏呉蜀の三国鼎立や、諸葛孔明が活躍する時代など、まだまだおもしろい時代がたくさんあるので、それらを舞台にした次回作を検討したいです。

――本作は戦闘システムも高い評価を得ていますが、こだわったポイントについて教えてください。

平山正和氏:中国武術の影響もあり、スピーディに攻防が入れ替わるアクションに力を入れて開発を進めました。納得のいく形で発売はしましたものの、そアップデートで調整を加えており、よりよくするための改良は今後も続けていくつもりです。

『ELDEN RING』

プロデューサー:北尾泰大氏

――DLCに期待するユーザーも多いと思います。開発の進捗はいかがでしょうか?

北尾泰大氏:詳細をお伝えできるのはまだ少し先になりますが、開発そのものは順調です。『DARK SOULS』や『Bloodborne』と同様に、新たな舞台と、新たな戦いを用意しているので、どうぞご期待ください。

――発売から2年近く経ちますが、人気が持続している理由は何だと思いますか?

北尾泰大氏:“攻略の自由度の高さ”にあると考えています。もともと開発のテーマとして掲げていましたが、ここを突き詰めることで、ユーザーの皆様ひとりひとりに異なるゲーム体験を楽しんでいただけるようになりました。

 だからこそ、長く遊んでいただけて、それが今日の人気の継続にも繋がっているのだと捉えています。

『クライシス コア ファイナルファンタジーVII リユニオン』

プロデューサー:佐藤万里子氏

――2024年には『ファイナルファンタジーVII リバース』が発売されますが、事前に『クライシス コア ファイナルファンタジーVII リユニオン』をプレイしておくと楽しめる点はありますか?

佐藤万里子氏:本作は『ファイナルファンタジーVII』よりも昔の話になるので、クラウドやエアリス、セフィロスといった主要キャラクターの過去を知ることができるのが大きなポイントです。

 『ファイナルファンタジーVII リメイク』を遊んでくださった方なら分かると思うのですが、本編と『クライシス コア ファイナルファンタジーVII リユニオン』では、設定などで違っている部分があります。

 そうした謎の部分を見つけ出して、考察しながら『ファイナルファンタジーVII リバース』をプレイしてもらえば、よりいっそう楽しんでいただけると思います。

――『クライシスコア』を現代に蘇らせるうえで特にこだわった、大切にしたところをお聞かせください。

佐藤万里子氏:たくさんありますが、とくに大事にしたのはストーリーを変えないということです。自分自身がこの作品の大ファンということもあり、こだわった部分でもあります。

 また、この作品は『ファイナルファンタジーVII リメイク』をプレイしたユーザーが手にすることも多いと思い、『ファイナルファンタジーVII リメイク』を遊んだ人も違和感なくプレイできるように気を配りました。

『ストリートファイター6』

プロデューサー:松本脩平氏

――“ワールドツアー”について、ユーザーからはどのような反応があったのでしょうか。

松本脩平氏:『ストリートファイター6』は、これまでシリーズ作を遊んできてくださった人も、新規ユーザーの人もも、格闘ゲームの魅力を堪能してもらえる要素を取り入れたいと思い、ワールドツアーモードを作りました。

 シリーズファンの方はリュウや春麗といったおなじみのキャラクターたちのバックストーリーを楽しんでいただけます。

 一方、新規の方は、ワールドツアーを遊ぶことで格闘ゲームのいろはが学べる、チュートリアル的なゲームデザインになっているのが特徴です。

 実際に遊んでくださった方からは、「格闘ゲームを“おもしろい”と感じるようになるまでの流れを作ってくれて非常に遊びやすかった」や「キャラクターの事をもっと好きになりました」というご意見をいただいています。

――本作はアクセシビリティに幅広く対応したことでSPECIAL AWARDも受賞しましたが、制作サイドとしていかがですか?

松本脩平氏:アクセシビリティは前作『ストリートファイター5』のころからチャレンジしており、本作では『ストリートファイター5』では実現できなかった部分を改善する取り組みをしてきました。

 基本的に“全人類に遊んでもらう”ということをテーマにしていますので、どんな性別や年齢の方にも対応できるようにアクセシビリティを強化しました。結果的にいろいろな人に体験してもらえて嬉しいですし、まだまだやれることはあると思っています。

スペシャルアワード受賞タイトル

『バイオハザード ヴィレッジ』

VRモード プロデューサー:神田 剛氏

――プレイステーションVR2の操作に対応させるために、こだわった点や苦労した点を教えてください。

神田 剛氏:『バイオハザード ヴィレッジ』の各種操作を、PS VR2 Senseコントローラーでの操作に当てはめていく作業はおもしろく、やりがいがありました。

 オリジナル版ではボタン操作でおこなうう銃のリロードや発砲も、PS VR2では実際にマガジンを装填して、コッキングをしてから撃つというリアルな操作が必要になり、そうした体を使ったアクションを実現できました。

――今後も『バイオハザード』シリーズを、VR化してリリースする予定はあるのでしょうか?

神田 剛氏:サバイバルホラーとVRは相性がいいので、前向きな姿勢で検討していきたいですね。

グランドアワード受賞タイトル

『バイオハザードRE:4』

プロデューサー:平林良章氏
ディレクター:安保康弘氏

――『バイオハザード RE』シリーズはいずれも好評を博していますが、今後も『バイオハザード』のひとつのブランドとして、“RE”シリーズを展開していくのでしょうか?

平林良章氏:我々としても『RE』シリーズには手ごたえを感じており、往年の名作をいまの時代に合わせた形で再び発売できることをうれしく思っています。今後も続けていきたいと考えていますので、今後の展開にもご期待ください。

――9月21日に配信された追加コンテンツ『セパレート・ウェイズの反響』はいかがでしか?

安保康弘氏:本編をプレイしたうえで、もう一度プレイしたくなるようものだったと言っていただけました。ワイヤーを使ったアクションに新鮮さを感じられたというようなポジティブな言葉もいただきました。

――『RE:』シリーズはなぜこれほどまでクオリティが高いものが実現できているのでしょうか?

平林良章氏:リメイクというのはまず原作があって、お客様がいるという状況からスタートするので、有利な面もあります。

 その中で、お客様の声を拾えるということがまずありがたいことです。それを我々は真摯に受け止めて、お客様がこう受け止めているなら我々はこう作ったらどうだろうか、というスタンスで取り組んでいるので、結果的に評価をいただけているのだと思っています。ユーザー目線でのものづくりをスタッフはすごく心がけています。

【受賞コメント】

安保康弘氏:このように名誉ある賞を受賞させていただき、大変光栄に思います。本作は2005年に登場した『バイオハザード4』のリメイクです。

 原作は大変人気が高くファンの思い入れも強いタイトルでしたので、どのようにリメイクすればいいのかとプレッシャーを感じながら、試行錯誤を繰り返して作っていったタイトルです。

 さまざまなアレンジによってユーザーの皆様が楽しんでいる姿を発売後に拝見でき、チーム一同とても喜んでいます。どうもありがとうございました。

平林:本作を手に取っていただいた皆様や本作を伝えてくれた皆様に、チームを代表して感謝を述べさせていただきます。

 12月8日には、PS VR2に対応した無料の追加DLC『バイオハザード RE:4 VRモード』が配信されます。新たな没入感を楽しんでいただけるようにチーム一同がんばりましたので、遊んでいただけると幸いです。

『ファイナルファンタジーXVI』

メインディレクター:高井 浩氏
クリエイティブディレクター&原作・脚本:前廣和豊氏

――世界的に注目される『ファイナルファンタジー』シリーズのナンバリング作品で、制作中にプレッシャーもあったかと思うのですが、いかがですか?

高井 浩氏:スクウェア・エニックスとして、『ファイナルファンタジー』のナンバリング作品は大きなタイトルなので、プレッシャーがなかったわけではないです。

 開発中はそこまでプレッシャーを感じていませんでしたが、いよいよマスターができて、リリースが近づきメディアの皆さんとお話も増えたあたりから、心臓がバクバクしてきたのは正直なところです。

 ただ、プレーヤーの皆さんが賛否両論ありながらもプレイしていただいて、世界中で良かったという声が多かったのもあり、そこでやっと一安心しました。

――システム面の“アクティブタイムロア”が画期的でしたが、実装するのはたいへんだったと思います。開発時に苦労された点と、やってよかったと思われる点を教えてください。

前廣和豊氏:アクティブタイムロアは吉田(直樹氏)の鶴の一声で実装することになりました。

 メインのストーリー動線の中にはシナリオの区切りがあり、そのときどきでプレイヤーの皆さんは何を求めていて、どういった情報を提示すれば、より深く物語を理解していただけるかを追求して導入したシステムで、提示する情報はすべて手作業で打ち込んだものになります。

 なおかつ、ひとつひとつの項目を見たときに長々とした文章だと読みづらいので、ひと呼吸で読める文量にも調整しました。ローテクで地道にコツコツ組み込むという、かなりたいへんな作業でしたが、実装した結果、非常に好評だったので、やってよかったと思っています。

――現在、2種類のDLCを開発中ですが、こちらはどのような内容になりますか?

高井 浩氏:詳しくはまだ話せないのですが、『ファイナルファンタジーXVI』の世界をより深く知っていただけるものになります。

 本編では描かれなかったクライヴの物語の闇の部分や謎を体験していただきつつ、新たな強敵との戦闘も楽しめるコンテンツになりますので、ぜひ楽しみにお待ちください。

【受賞コメント】

前廣和豊氏:このたびは栄えある賞をいただきまして、誠にありがとうございます。この素晴らしい場に立たせていただいているのも、プレイヤーの皆様のおかげです。開発チーム、開発関係者を代表してお礼を申し上げます。ありがとうございます。

 私とディレクターの髙井と、プロデューサーの吉田(直樹)の3人で開発を始めましたが、最終的に数百名規模の大プロジェクトとなったわけですが、そんなわれわれが作った『FINAL FANTASY XVI』が、大変多くのプレイヤーの方々に受け入れていただいて、本当にうれしく思っています。

 この先も引き続き皆様の心に残るようなゲームを作っていきますので、応援のほどよろしくお願いします。本日は本当にありがとうございました。

高井 浩氏:この場で言いたいことを、今全部言われてしまいましたが、開発者一同、思いを込めて作ったタイトルが、こうして皆さんにプレイしていただいて、このような場に立たせていただけたことに、本当に感激しております。

 とくに我々は、ひとりでも多くのプレイヤーの皆さんに遊んでいただきたいという思いで開発してきたソフトなので、USERS’ CHOICE AWARDと合わせて非常に感激しております。『FINAL FANTASY XVI』は、これからダウンロードコンテンツにまだまだ続いていくところですので、そちらも楽しみにお待ちいただきたいと思います。本日は本当にありがとうございました。

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