感想:『MFゴースト』10話でカナタとレンが急接近!? ハチロク強化の指揮を執るのは『頭文字D』で“ゼロ理論”を学んだあの男

タダツグ
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 今なお熱狂的なファンを持つ名作『頭文字D』の後継作として、満を持して世に送り出された新作アニメ『MFゴースト』。第10話“アップデート”が放送されましたので、視聴してみての感想をお届けします。

【注意】ここからは記事の構成上『MFゴースト』の物語に関する記述が多々含まれます。ネタバレが気になる方は本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

アニメ『MFゴースト』第10話“アップデート”感想

 MFG第1戦“小田原パイクスピーク”でのバトルが終了し、今回レース描写は小休止。タイトル通り、カナタの愛機であるハチロクにアップデートが施される回でした。

 面白かったのは、カナタとレンの関係性も進展が見られたこと。カナタの両親の足跡を探すという名目のもと、2人で鎌倉の町を散策したり、湘南の海を一緒に歩いたり。カナタからレンに、正式にMFGに参加していることも告げられるなど、目に見えて距離感が縮まった印象でした。

 しばしば恋する乙女の表情を見せるレンは、もはや完全にカナタに夢中って感じ。ただ、肝心のカナタがそこに気づいているかというと……答えは残念ながら“NO”なんですよね。

 カナタからすれば、レンは大切な家族の一員って感じで、それはそれで微笑ましいのですが。レースになるとあれだけの超高速ドライブを見せてくれる彼も、こと恋愛にかんしては本当にスローペース。この鈍感ボーイめ、やきもきさせよって……(笑)。

 ちなみに、レンの友人である若菜もカナタのビジュアルには惚れ惚れしていましたし、ヤジキタ兄妹の妹である北原 望も、カナタに本気で夢中になり始めている気配。彼女たちはレンにとって強力なライバルになりえるわけで、正直ウカウカしてはいられなさそう。まあ、カナタは想像以上にウブなのも事実なので、攻略難易度は高そうですがね(笑)。

 とはいえ、前述のとおり2人の距離感が近づいたのは間違いなくて。レンはレンで奥手なところもありますが、カナタにボディーブローを打つなどのコミュニケーションをとったり(偶然会った緒方さんには、成り行きからよりタフなボディをキメていましたが……)、お風呂上がりのカナタとバッタリ遭遇したり(素晴らしいファンサでした)と、一緒に暮らしているからこその距離の詰め方ができています。

 ハチロクのみならず、2人の関係性も現在進行形で“アップデート”されているという意味で、今回のサブタイトルはいい仕事をしているなって感じですね。デート描写、本当に微笑ましいので未見の方はぜひお楽しみに。

 さて、もう1つの“アップデート”であるハチロクの強化について。こちらもかなり前に進めた感触がありました。

 なんと、第2戦からハチロクのメカニックを指揮するのはオートショップ“スパイラル・ゼロ”を経営する奥山広也。『頭文字D』では“チーム・スパイラル”に所属し、完璧なまでに仕上げられたシルビアS15で拓海のハチロク(スプリンタートレノ)の前に立ちはだかった猛者です。

 後ほど詳しく書きたいところですが、奥山といえば『頭文字D』で、クルマのチューニングこそが走りの早さに直結するという考えの持ち主だった男。若かりし頃はかなりヤンチャな部分もありましたが、今ではしっかりとしたオトナの男に成長し、カナタたちに助力してくれることに。

 ひたすらパワーを求め、エンジンのチューニングを希望する緒方に対し、奥山が提唱したのは足回りの強化。エンジンを強化してパワーを上げるには、まず足回りを固める必要があることを口にします。これには驚いた視聴者さんもいるのでは?

 他ならぬカナタがこのアイデアに賛成したわけで、緒方としては引き下がるしかないわけですが……。このあと、奥山は緒方に対し「パワーばかりを求めてチューニングするのはMFGの本質とは異なる」という旨の説明もしていました。

 ニッサンGT-R乗りの相葉 瞬も奥山には絶大な信頼を寄せているようですし、何より、足回りを仕上げたあとのテスト走行で、カナタが出すスピードに、緒方は心底ビビっていましたからね(ここらへんの演出は『頭文字D』の池谷を思い出してニッコリ…笑)。結果として、ハチロクは大幅に強化されていそうなので、次戦では大いに期待できそうです!

『MFゴースト』第10話で印象に残ったセリフはこれ!

 毎度恒例になってきましたが、今回も僕が気に入ったセリフをご紹介させてください。

「俺は足には妥協しない。おそらく、君が考えている以上に速いクルマが出来上がるぜ(奥山広也)」

 ハチロクの足回り強化に絶対的な自信を覗かせる奥山が、緒方に対して口にしたセリフ。た、頼もしい~~~!

 前述のとおり、彼は『頭文字D』で“チーム・スパイラル”に所属しており、当時からクルマのチューニングに絶対的な自信を持っていました。そもそも“チーム・スパイラル”が提唱していた“ゼロ理論”は「クルマとドライバーが一体となり、クルマの持つポテンシャルを最大限に引き出せれば、おのずとバトルに勝利できる」というもの。

 これはチームリーダーである池田が提唱していた理論ですが、奥山もその考えには賛成していたからこそスパイラルに所属していたと考えられます(じゃなければ自分のオートショップに“スパイラル・ゼロ”とはつけないでしょう)。

 これは僕なりの捉え方ですが、この“ゼロ理論”はつまるところ、レースで勝利するにはドライバーのテクニックだけではなく、しっかりとチューニングされたクルマが必要。なおかつ、そのポテンシャルを引き出す必要があるってことだと思うんですよね。カナタのドラテクとハチロクのポテンシャルが高次元で噛み合ったとき、いったいどんなことになるのか。あのベッケンバウアーとポルシェ ケイマンの組み合わせにも劣らぬものになる可能性もありますよね。うーん、楽しみ!

 ちなみに、今回のチューニングを奥山は“ステージ1”と呼称していました。これはすなわち、その先のチューニングステージもあるということ! ハチロクがどこまでの戦闘力を手に入れるのか、引き続き注目していきたいところ。

「僕はアカデミーで一番信頼している先生からアドバイスをもらいました。パワーのあるクルマを求めてはいけない、と(片桐カナタ)」

 こちらも奥山や緒方とのチューニング会議中、カナタが口にしたセリフ。ちなみにこのあと「ライバルたちよりもアンダーパワーなマシンを選択するように言われました」と続きます。

 もちろん、カナタがいう“一番信頼している先生”とは、『頭文字D』の主人公である藤原拓海のことで間違いないでしょう。拓海がどんな意図をもってアンダーパワーなマシンに乗るようアドバイスしたのか、その真意までは明かされませんでしたが、前作からのファンとして察するに、これはカナタの更なる成長を促すためではなかろうか、と。

 拓海自身、非力なハチロク(スプリンタートレノ)の戦闘力を引き出すことで並み居る猛者を倒してきましたし、彼の父親である藤原文太は「ハチロクはドライバーを育てるクルマ」とも口にしていました。拓海は己の経験則のもと、カナタにも自身と同様パワーだけに頼らないドライビングテクニックをより突き詰めて欲しいという期待があるのではないか……そんなことを考えてしまいます。

 なお、奥山もカナタの天性の才能は認めているようで、ドライバーとしてのスケールは拓海以上であるとも評していました。あながち言い過ぎって感じもしないのが、カナタの頼もしいところであり、恐ろしいところでもありますね(汗)。

 なんにせよ、ハチロクが強化されたことでますます楽しみになった第2戦は“芦ノ湖GT”。小田原に比べると平坦な道が多く、頼みの勾配は少ないコースとのことでした。カナタとハチロクがどんな戦いを見せてくれるのか、また予選からして楽しみですね!

 10話のラストでは“17歳教”を信奉するアイツ(笑)らしき男の姿も見えましたし、期待は高まる一方ですよ。それでは、今回はこのへんで!

©しげの秀一・講談社/MFゴースト製作委員会

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