フリーレンのハンバーグがネットで話題になった理由は? そして、実際に作ってみてわかったこと(ネタバレあり)【葬送のフリーレン】

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 勇者ヒンメルの死から幾年――ある島国のとある一軒の家で、夕食の準備が進められていた。今日は持久走大会を頑張った子に“精一杯頑張った戦士を労うためのハンバーグ”を作る予定である。

※この記事には『葬送のフリーレン』のネタバレが含まれます。

そもそも“フリーレンのハンバーグ”とは? どうしてネットで話題になったの?

 フリーレンのハンバーグといえば、アニメ12話“本物の勇者”に登場したもの(漫画では3巻26話“戦士への贈り物”に登場)。くしくも“いい肉の日”(11月29日)に放送されたことでも話題になりましたね。

 戦士シュタルクくんの誕生日に何をプレゼントしようか悩むフェルンがかわいいとか、おっぱいとかうんこ(のような雲)に気をひかれるシュタルクくんのかわいさも楽しめる神回なのですが、それはさておき、フリーレンがシュタルクに贈ったのが特大ハンバーグでした。

 シュタルクにとってハンバーグといえば誕生日で、彼の師匠であるアイゼンが誕生日にいつもふるまってくれたものでした。いわく「師匠もプレゼントはくれなかったけど、誕生日のハンバーグだけは作ってくれたな」とのこと。

 アイゼンはシュタルクに伝えていなかったのですが、実はアイゼンの地方の風習では、精一杯頑張った戦士をねぎらうための贈り物=ハンバーグだったのでした。……アイゼンはヒンメルやフリーレンなど戦士以外の人の誕生日にもハンバーグをつくっていましたが、「頑張った者は皆(みな)戦士だ」とのこと。うーん、雑。でも、アイゼンならしょうがない。

 さて、そんなハンバーグですが、実は少年時代のシュタルクは兄シュトルツからも誕生日ハンバーグを作ってもらったことがありました(親父には内緒で)。ということは、お兄ちゃんもシュタルクのことを精一杯頑張っていたと感じていたわけで……エモい。フリーレンのおかけで、そのことに気づかされるという流れもまた、エモい……。

 ちなみにそういった“いい話”とあわせて、ネットでは「フリーレンの世界にハンバーグという名前の料理があるのはなぜ?」「どんな肉を使ってるの?」といった突っ込み含めて祭り気味となっていました。ハンバーグという名前の由来はドイツのハンブルグであることから、「フリーレンの世界にドイツがあるの!?」みたいな声もありましたが、まあ、オタク的にはそういう愛あるツッコミで盛り上がることもありますよね(笑)。

“精一杯頑張った戦士を労うためのハンバーグ”を作ってみよう

 では、持久走大会を精一杯頑張った戦士(我が子)のために馬鹿みたいにでかいハンバーグを作っていきましょう。

  • ▲材料はシンプルに、合いびき肉・たまねぎ・パン粉・牛乳(パン粉と同じ器に入れてます)と調味料のみ。

■材料(作中一人前)※フライパンは26センチのものを使用。
・合いびき肉…600グラム
・たまねぎ…大1個半
・パン粉…大さじ7
・牛乳…大さじ5
・ナツメグ…小さじ1/2強
・塩…小さじ1
・こしょう…小さじ1/2
・サラダ油…適量

 フリーレンが作ったハンバーグには、彼女が嫌いなたまねぎは入っていなかったかも知れませんが、今回は見た目と大きさが近ければそれでヨシ! という事で作っていきますよ!

 まずは牛乳にパン粉を浸してやわらかくし、次にたまねぎをみじん切りにします。いきなり辛い作業です。少量でも目に来るものがあるのですが、1個半。叱られたシュタルクの如く涙がポロポロと…たまねぎは目に染みるってわかってたのに…なんでもっと対策しなかったんだろう…、と自分を悔いました。少しでも作品のイメージに寄り添いたく、フードプロセッサーを使わず包丁でやろう! とかこだわるんじゃなかった…。“たまねぎが目にしみない魔法”が欲しい。

 みじん切りにしたたまねぎを、油を敷いたフライパンで弱火で炒めます。生のまま入れてもいいですが、炒めた方が甘みやコクが出る為、頑張った戦士への贈り物としては、より手間=愛情がこもった炒めたまねぎの方が良いでしょう。炒め具合は透き通ってしんなりしたぐらい~茶色く色づくまでのお好みで。炒め終わったらお皿かバットに移して冷まします。

  • ▲26センチのフライパンいっぱいに広がったたまねぎ。

 たまねぎを冷ましている間に、ひき肉と調味料・パン粉を混ぜます。

 粘り気が出るまでしっかり混ぜたら、冷めたたまねぎを入れて全体になじむまでよく混ぜます。これで肉だねの完成!

 ここで、普通サイズのハンバーグであれば5~6等分にして、焼き崩れを防ぐため掌で10数回キャッチボールをして空気を抜くのですが、今回はこのままで一人分なので、まずは肉全体を持ち上げてボールに叩き落して空気を抜き、軽く油をしいたフライパンに入れたあと、パンチしながら全体の形を整えました。

  • ▲ひたすら肉にパンチして空気を抜きます。全体をならしたら中央を更にパンチして少し窪ませます。これはハンバーグとの戦いだ!

 まずは片面を中火で3分ほど焼きます。お肉の種類にもよるでしょうが、フライパンの周りに大量の肉汁が浮かびはじめ、ふちの色が変わってきたらひっくり返すのですが…。ここで困った事が…。

 馬鹿みたいにでかすぎてひっくり返せない!

 普通にフライ返しで返そうとすると、途中で肉が割れてしまいそうですし、フライパンが丸いのでお好み焼きの様に二方向から返すのも難しいし、出来たとしても肉汁がものっ凄い勢いではねて攻撃してきそうです。ああ…“パンケーキを上手にひっくり返す魔法”が欲しい…応用でハンバーグやお好み焼きにも使えそうだし。

 魔法が使えない筆者が悩んだ末に編み出したのは、大皿に肉をスライドし、油を綺麗に拭いたフライパンをその皿にかぶせ、一気にひっくり返すという方法。一瞬だけ右手で皿と肉とフライパンを支える腕力が必要になりますが、これならいける! 余分な油を適当な器に移し、クッキングシートを敷いた更に肉を乗せ、フライパンをかぶせて…

  • ▲ていっっ!!

 お皿をはずすと…

 おおっ! いい感じ! 焼き縮んで一回り小さくなりましたが、我が家最大のお皿が24センチなのでちょうど良さそうです。このあと蓋をして弱火で9~10分蒸し焼きにします。時間が来たら竹ぐしや爪楊枝を真ん中と厚みのある部分に刺して、透明な肉汁が出たら(肉汁が濁っていた場合は追加で1~2分蒸し焼きし)お皿に移して完成です! 

  • ▲比較対象のみかん(Mサイズ)と500円玉。で…でかい! 横から撮り忘れましたが、厚みは2.5センチくらい。

 重さ948グラムの“精一杯頑張った戦士を労うためのハンバーグ”一人前が完成しました! 1キロまでもうちょっとだったのがなんか悔しい。もうちょっと大きくても良かったかもしれませんが、厚みを出すと火の通りが心配になるのが悩ましいところ。今回は焦げる事もなく、焼き加減もちょうどでした。

  • ▲作中にソースの描写はありませんが、我が家の戦士の希望により、移しておいた肉汁にケチャップとソースを加えたハンバーグソースをかけていただきます。

 あまりに大きいので、結局切り分けてみんなでワイワイ食べました。5~6人で食べるとちょうど良いサイズだと感じました。割れずにジューシーで美味しく出来てよかった!

作ってみてわかったこと

 アイゼンやフリーレンはこのハンバーグを人数分作っていました、単純計算で2~3キロの肉だねをこねないといけないので、物凄い労力です。手も疲れます。そしてひっくり返すのがとっても大変! お好み焼きだって返すのちょっと緊張しませんか? それより重くて崩れやすいハンバーグを返すのは、アイゼンだってフリーレンだってちょっとは緊張する…はず。“馬鹿みたいにでかい”という事は、勿論通常サイズも存在しているわけで。通常サイズを沢山作ればこんな大変な事はないわけで。そんな苦労と緊張感でもって作る、間違いなく愛情のこもった料理なのです。

 あとはかなりの重量なので、左手でお皿のふちを持って食べていたヒンメルとハイターは、結構力持ちだと思います。ヒンメルは勇者だからわかるとして、ハイターもなかなかの腕力と手首の強さです。私は焼き上がりをお皿に移す時ですら片手だと重さでプルプルしました。

 そしてやっぱり大きいと楽しい! 「えー! なにこれー! すごい!」と笑顔の反応が返ってきます。さすがに一人に一つとはいきませんでしたが、みんなで笑いながら食べることが出来ました。

 作りながらふと“一升餅”を思い出しました。1歳のお誕生日に“一生”食べ物に困らないように、“一生”健康でありますようにとの思いを込めて“一升”の重さの(馬鹿みたいにでかい)餅を背負ったり持たせたり、という日本の風習です。このハンバーグもきっとアイゼンの育った地方では何かしらの意味を持っていたのだろうか……。と、彼らの世界に思いを馳せるのでありました。


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