『龍が如く8』発売直前インタビュー。ドンドコ島やエンディングノートなど試遊会のプレイで気になるポイントをプロデューサーの阪本氏に直撃

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 いよいよ1月26日に発売を迎える『龍が如く』シリーズ最新作『龍が如く8』。昨年11月に発売された『龍が如く7 外伝 名を消した男』の感動もあり、そのまま物語が続く『龍が如く8』に期待を寄せるファンも多いはずです。

 そこで今回は昨年12月末、製品版と同バージョンでのメディア試遊会後に行われた、プロデューサーの阪本寛之氏へのメディア合同インタビューをお届け。試遊会レポート記事とあわせて熟読し、発売を待ちきれない心を満たしてもらえたら幸いです(インタビューは2023年12月25日に実施)。

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※対応プラットフォームはPlayStation5、PlayStation4、Xbox Series X|S、Xbox One、Windows/PC(Steam)

  • ▲プロデューサー(シリーズチーフプロデューサー)の阪本寛之氏

『龍が如く8』発売直前インタビュー。プロデューサー阪本寛之氏にプレイヤーが気になる部分を聞いてみた

いちばんの肝であるバトルの改善を大命題にして取り組んだ

――まずは東京ゲームショウ2023(TGS)や『龍が如く7外伝 名を消した男』で遊べた体験版と、本日プレイできたバージョンで大きく変わった部分があれば教えていただけますか?

 今日遊んでいただいたのは製品版のセーブデータを用意したものになります。TGSの体験版、『龍が如く7外伝』に付属されている体験版はそれ専用で作ったので、マップの中にある建造物やお店の場所などは基本的に製品版と同じですが、パーティの成長の具合などはかなりカスタマイズしたものになっていました。

――プレイしてみると、街中で出会う敵が意外と手強いなという印象を受けました。たとえばバックアタックや状態異常付与を使わないとなかなか倒せない敵がいましたし、戦略性は前作よりもだいぶ上がっていると感じます。

 今回は戦闘中にキャラクターの移動ができるじゃないですか。それでバックアタックや連携攻撃の恩恵を強く感じられるゲームデザインにしました。『龍が如く7』ではとりあえずボタン押して効果的な技などを使うだけでしたが、本作は位置を考えると戦いが有利になっていくので、移動がすごく重要な要素になっています。

 あとはクイックバトルという、レベルの低い相手にはボタン1つで戦闘を終わらせられるショートカットバトル機能も用意しました。経験値などは通常よりも少し減りますが、敵が弱くなったら一瞬で戦闘を終わらせることができるようになっています。それらも含めて、バトルはうまく全方位に対してバランスチューニングができたと思います。

――新たに得たジョブの熟練度上げも、その機能を使えばだいぶスムーズに育てられそうでありがたいです。

 そうですね。ジョブについてもいろいろな範囲攻撃の種類があるので、やはり『龍が如く7』よりも全面的に遊びごたえと戦略性が確実に上がっています。

――ジョブ自体も前作と比べてバリエーションが豊富ですよね。さすがハワイというか。

 『龍が如く7』のジョブは“日本の夜の職業”みたいなところからアイデア出しが始まって、ホストやキャバ嬢といったように埋めていきました。今回はハワイで物語が展開する中で、なるべくハワイのアクティビティと紐付けるなど、日本から飛び出たジョブなどを入れてみようと考え、バリエーションを増やしていった経緯があります。新ジョブについては海外でけっこう評判がいいですね。

――『龍が如く7』はキャラクター(ジョブ)の成長に時間がかかるのがちょっと……という声もありましたが、本作でそのあたりの調整はいかがでしょうか?

 ゲーム自体はデフォルトのジョブだけ突き詰めてもクリアできます。今回も転職時にジョブレベルの差が大きいとパラメータがけっこう減りますが、減少幅は前作よりマイルドにしてあるので、転職はしやすくなっていると思います。

 あとは転職しても別ジョブで使える特技を自分で選べるようになっています。レベルが上がれば履修した特技を自分で組み合わせられるので、ジョブランクが低くても別ジョブで使い勝手のいい特技を引き継げば、レベルアップ作業もしやすいですね。前よりカスタマイズしやすく自由度は高いと思います。

――戦闘でいいなと感じたのが、連携がタッグだけでなくトリオバージョンも用意されている点ですね。テンポが悪くならずに爽快感がすごくアップしています。

 『龍が如く7』で連携技を入れてみたのですが、単に追加攻撃するだけでした。『龍が如く8』は仲間との絆を上げると、連携を積極的にしてくれるという前提を作りました。それで今回は戦闘中に移動できるため、絆が高い相手に接近すると通常攻撃が連携攻撃に変わります。

 ツープラトン攻撃のようなものはぜひやりたいと思っていたんですね。そこが移動という要素とうまく組み合わさったので、『龍が如く7』よりは確実におもしろくなったと思います。

――そうなると、前作から『龍が如く8』に開発を進めるにあたって、真っ先に手をつけたのはバトルでしょうか?

 そうですね。バトルをどうグレードアップしようという部分から始まりました。『龍が如く7』は初心者の方でRPGを初めて遊んだ方には及第点かな、という感じだったんです。でも作っているときから我々も「やはりここはもうちょっと調整すべきだな」とか、「やはり運の要素が強いな」とすごく感じていたので、“運を戦略に変えましょう!”というのが最初のミッションでした。

 そのために何パターンも繰り返しテストをしたのですが、「どうしたらコマンドバトルだけれども、『龍が如く』らしいオリジナリティを出せるか」という壁に当たるんですね。そんななか、唯一のメリットはみんなが動きながらコマンドバトルできるところだと考えました。

 そこからどうおもしろさにつなげようかと考えていき、移動からバックアタックを狙ったり、連携攻撃をしたりというアイデアを出していって、足し算と引き算を繰り返してこの形に落ち着きました。

 それこそ最初は「ボタン押せばパンチが出るアクションRPGの方向にもっと寄せた方がいいんじゃないか」という意見もありましたが、そうなるとターン制みたいなものがどんどん薄れていって、仲間を一切操作しなくなる弊害も生まれてしまうかなと。あくまでも“仲間全員で戦う”というスタイルは守ろうとこだわっていました。

――ただ、桐生だけはアクション要素は残していますよね。

 桐生はスペシャル的なものを用意したかったんです。足して何かが壊れるものではないし、足していく中でよりハッスルするというか(笑)。キャラクター愛も深まりますし、プレイヤーのみなさんもテンションが上がるのであればぜひやろうと。これは一歩ずつ吟味して入れていきました。

――戦略性が高まることによってどうしても付いてくるのが難易度の問題だと思います。万人が遊べるバランス調整はすごく難しかったのではないでしょうか?

 普通に調整すると敵が硬すぎたり、バトル時間が長すぎたりするんですね。それで弱くしてみると、何をやっても倒せるようになってしまい、それを行ったり来たりしていました。だから、そこでなにか新しい理(ことわり)を作らないといけないなと考えたんです。

 そこで考えたのが属性で、属性の種類や掛け合わせによるメリットをうまく理解してもらい、プレイしながらユーザーさんが覚えていけるのがいちばんいいバランスじゃないかなと、そこを目標に開発を進めました。

 たとえば電気属性攻撃が効く敵ならば、1次元的な話でいえば電気攻撃以外はいっさい効かないわけですが、これが水属性攻撃で風邪を引かせた状態の相手だと、さらに電気攻撃が入りやすくなる、といった感じです。

 そういったちょっとした掛け算を覚えていると、さらに戦いが有利になっていくルールを用意しています。知っていると得するところを少しずつ増やしていって、初心者でもコツさえわかれば得をするバランスが、いちばんいい塩梅なんじゃないかなと。そこを目指して開発の終盤は調整を進めていきました。

――属性周りの情報はゲーム内で誘導などがあるのでしょうか?

 チュートリアルでガッツリ解説すると少し興ざめすると思うので、戦いを重ねていくうちに自然発生的に発見してもらうほうが、ゲームとしてはキレイな形なのかなと考えています。

――よく全滅時にヒントが出る作品もありますよね。

 そこまでじゃないですね。もちろんTIPSのような解説はしっかりありますが、プレイをしながら順番を変えたら何か違うな? と気づいてもらえるほうが、ゲームデザインとしてはキレイだと思っています。

――体験プレイでは巨大サメや巨大イカとのバトルが遊べましたが、こういった戦略を駆使してようやく勝てるような隠しボス的な存在はいますか?

 隠しボスとまではいきませんが、巨大イカはまさにそんな感じですね。

――ビジュアル含めてインパクトがかなりありました。

 『龍が如く7』ではパワーショベルと戦ったので、インパクトで行くならつぎはサメだろうと(笑)。ありえないスケールの敵と戦うシチュエーションは、どうボス戦を盛り上げるかというアイデアの1つです。まあ、巨大ボスはノリとか派手さで、楽しく戦ってもらえればいいかなと思っています。ちなみに、巨大イカには飲み込まれました?

――はい! 中から破壊するというのもセオリーどおりの展開でニヤッとしました。

 突然やられて初めてビックリするような“B級映画”的なノリで入れました(笑)。

――飲み込まれるキャラクターはランダムなのでしょうか?

 ランダムです。

――主要キャラクターが飲み込まれるとけっこう厳しかったです。

 春日が飲まれるケースが多いのかな? でも、あのバトルはバグをいっぱい生みましたね。飲まれた仲間が死んだらどこに復活させるのかとか(笑)。普通に外に出てくる形に落ち着きましたけどね(笑)。

お金稼ぎができるドンドコ島は単体でゲーム1本作れるほどのボリューム

――難易度についてのお話が出ましたが、本作ではゲームのメインストーリー以外に春日が軸のドンドコ島、桐生が軸のエンディングノートというコンテンツが用意されています。こちらをプレイしないと、本編の進行が行き詰まるようなことはあるのでしょうか?

 桐生のエンディングノートはメインストーリーの中に一部組み込まれているので、完全コンプリートとはいきませんが、基本的には必ず話の流れを追えるような形になっています。そこで基本的な解放要素、これはこれまでのシリーズにあった達成目録のようなもので、埋めていくとパラメータが上がる仕組みになっています。なので、埋めれば埋めるほど桐生が強くなる形ですね。

 ドンドコ島も必ずストーリー上で導入部分をプレイすることになります。そのあと続けていくかどうかは自由で、メインストーリーを進めることもできますし、そのままどんどんハマり続けてもかまいません。お金を貯めたいからもっとドンドコ島を進めようとか、別の方法で成長させてメインストーリーを進めようという選択肢は、これまでのシリーズ同様です。まあ、今回はできるタイミングで全部埋めていったほうがさすがに強くなりますけど。

――そうなると、プレイ時間はどれくらいを想定していますか?

 今回はすごく難しいですね。何を標準とするのかは今までの中で一番定義しづらくて。ですが、メインストーリーだけでも通常プレイで100時間はかかるんじゃないかな。まんべんなくというか、コンプリートまではいかないにしても、会話シーンをまったくスキップせずにプレイしていけば、最低でも80時間は超えるかもしれません。

 主人公が5人いてボリュームがあった『龍が如く5 夢、叶えし者』より長いですね。僕もドンドコ島だけでデバッグを何回もやっていますが、そこだけをプレイして普通に20~30時間ぐらい平気で過ぎちゃいます。

――ゲームが1本作れるくらいのボリュームですね。

 本当ですよ(笑)。

――ちなみに、ドンドコ島ではまさかのガチャピンとムックが登場して、驚いたファンも多いと思いますが、どんなことがきっかけでオファーされたのでしょうか?

 ドンドコ島自体がメインストーリーから離れて、かつ南国が体験できるちょっと大がかりだけどもセパレートされた要素になっています。そこでプロモーション的にキャッチーでインパクトがあるものがないと、何かそこだけ地味になってしまい、シミュレーションゲーム要素を増やしても、盛り上がりに欠けるなと感じていたんです。だから、世界観はひとまず置いておいて、ガチャピンとムックが出てきたらインパクトがあり、未知数なところにいけそうだなと。

――たしかにバズりますよね。

 画面にガチャピンとムックが出てきた瞬間に、もうなんか何個も先のステージを超えていくなと。ガチャピンなんてスキューバダイビングを始め、アクティビティはなんでもやるじゃないですか。

――ガチャピンとムック以外に候補はあったのでしょうか?

 じつは、決まったのはけっこう早めでしたよ。ガチャピンとムックから打診を始めて、ダメだったら次の候補を捜そう、というような流れでした。シルエットも含めて日本だと誰でも知っていて、かつ『龍が如く』に出てきたら……というところで僕らが出した答えが、ガチャピンとムックでした。

――ちなみにガチャピンとムックって、他の言語で吹き替えされています?

 吹き替えはされていますね。

――春日がガチャピンとムックと出会ったときに、すごく驚いていましたが、それは幼少の頃にテレビを見られなかった環境だから知らなかったのでしょうか?

 そこまでメタくはないですよ(笑)。ハワイの渚でガチャピンに会ったら、そりゃ驚きますよね。

――「バケモノ」呼ばわりしてけっこうひどかったです(笑)。ちなみに、出会い以外のサブストーリーにガチャピンやムックが関連するものはありますか?

 基本的にはガチャピンとムックはドンドコ島の中だけに終始しています。

――ドンドコ島ではいろいろな家具を島に置けるようになります。中には“指詰めセット”のようなものもありましたが、レーティング(CERO)の調整はいかがでしたか?

 『龍が如く』のレーティングは日本で言えばCERO:Dですが、今回に限った話でなくて毎回基本的に全方位でチェックを受けています。ドンドコ島の家具に限らず全部チェックを受けたものになるので、ギリギリという要素はあまりないんですよね。

――なるほど。家具も本編に出てきているものだから大丈夫と。

 バイオレンス描写もアダルト描写も、サブコンテンツだけの話でなく過去作に山ほどありますから。大小の差はあれど、トータル的に一番激しいシーンなどをピックアップして、そこでレーティング審査を行っています。

――プレイヤーが能動的にやるケースではどうでしょうか?

 あまりそこまで及んではいないです。最初のハードルが絵的にラインを出るか、出ないかなんです。もちろんそのあとに「これをどうしますか?」といった審査があったりはします。ちなみに、『龍が如く7外伝』の実写キャバクラは、けっこうギリギリでした。プラットフォームで基準が違うことがありましたので。

 僕らも昔から実写コンテンツを山ほどやってきたので、ある程度自制するラインみたいな部分がわかっていますし、その範囲で絵を出しています。それでもやはり年々少しずつレーティングの基準や、プラットフォームでスタンスが変わってきているので、そこは毎作チェックを出しています。

――体験プレイでは確認できませんでしたが、ドンドコ島にはオンライン要素もあるようですが、どんな遊び方ができるのでしょうか?

 ドンドコ島の開拓を進めるとオンラインコという鳥が出てくるのですが、自分が作った島に他の人を呼んできてもらったり、他人の島に遊びに行けたりするんです。そこでアイテムを拾ったり、スジモンバトルをすることもできます。ただし、非同期型のオンラインなので、一緒に何かすることはできません。少しかわいいオンライン要素という感じですね。

――たとえば島自慢コンテストのような、ゲーム外での企画などは予定されていますか?

 そこは未定ですね。これまでも『龍が如く』ではオンライン要素をいくつか実装してきましたが、やはりシングルプレイでかつナラティブにゆっくり家でゲームを遊んでいただくタイプの方が多いんです。だから、あまりオンライン主導でというのは考えていなくて。

――焦らず自分のペースで遊んでほしいと?

 そういうゲームだと思っています。

――ドンドコ島に設置できる家具の数も気になりますが、どのくらい可能なのでしょうか?

 詳細な数は伏せますが、メチャクチャ置けることは確かです。もちろん、制限はありますが、そんなにすぐ制限にひっかかるほどじゃないですね。設置スペースも開拓を進めると橋がかかって広がりますし。

 小物からビルまで配置できるものは多種多様で、ビルになるとそれこそかなりのスペースが必要です。ほぼほぼゲーム内にあるビルは建てられるようになりますから。たとえば「この範囲はビルがキレイに収まるようにしよう」などとこだわりだすと、時間がいくらあっても足りないと思います。あとは九州一番星のラーメン屋を始め、店舗もありますから。

――ドンドコ島支店なんて遊びもできますね。ちなみに、ミレニアムタワーはどうでしょうか?

 さすがに床面積が大きすぎて無理です(笑)。

――あとはコラボ系の店舗や、『龍が如く 維新!』などスピンオフ作品に登場した家具などは置けますか?

 コラボ店舗はあえてはずしてありますね。壊されることがあるので。スピンオフ系は入れていません。基本的に現代劇シリーズのものだけになります。

――今日プレイした印象では、街灯の置き方1つで雰囲気が変わるし、建物系が充実してくるとそれこそ歓楽街も作れそうで発売後の開拓が楽しみです。あとは島を訪れるNPCたちも相当数いるそうですが、どんな存在になりますか?

 彼らは完全にAIで動いて、島に招待したらあとは好き放題にウロウロします。

――本当に島に遊びに来ている感じなんですね。

 島に置いたオブジェクトに対して感銘を受けたら、そのぶんおひねり的なお金がもらえるとか、お土産を渡すと好感度が上がります。中には“太客”みたいな人物もいて、満足させられたらいっぱいお金がもらえます。

――太客はキャバクラ経営でもいましたね。となると、ドンドコ島はお金稼ぎが軸のコンテンツなのでしょうか?

 そうですね。島ではゼニーと呼ばれる島内専用の通貨を使いますが、島を出るときにゼニーを現金に両替できるんです。

――なるほど。『龍が如く7』の会社経営のような感じなんですね。となると、ゲーム内にはお金を使うコンテンツが山ほど用意されていると?

 ありますね。相変わらず武器なども高額なものがありますし。

――プレイしていて気になったのですが、経過日数表示が3ケタまでありましたが、それを超えるとどうなるのでしょうか?

 999日のままかゼロにリセットされるかのいずれかと思いますが、そこまでやり込むのは大変だと思います。来島するお客は宿泊して3日で次のお客が来る、というサイクルです。

エンディングノートは桐生一馬の生きざまを振り返るのにもってこい

――『龍が如く』シリーズはゲームの発売年と現実の時間がリンクしているのが特徴です。『龍が如く7』の2020年から2024年で4年経過していますが、街などに大きな変化はあるのでしょうか?

 横浜・伊勢佐木異人町はそんなに変化がないですね。『龍が如く7』の続編でありますし。神室町はエンディングノートで桐生が訪れて「昔はこうだったな」と振り返るのですが、桐生の想い出の中で語られる部分と、今はこうなったという時代の移り変わりも含めて、いろいろおさらいしてもらえたらなと思います。

――スターダストのセイヤや狭山薫がつぶやくムービーが公開されていますが、こちらはエンディングノートのワンシーンでしょうか?

 あれはエンディングノートのメインストーリーで見ることができます。エンディングノート自体は、街中を歩いて特定のポイントで桐生が過去を振り返るミッションみたいなもので、その間にストーリーが進むという感じです。

――『龍が如く7』からシリーズに入った人も、これでおさらいができるような感じでしょうか?

 そうですね。だいぶストーリーをおさらいしていますから。桐生という男がどんな歴史を歩んできたのかは、エンディングノートを見るだけでも僕は十分おさらいできると思います。ちなみに、メチャクチャ長いです(笑)。横浜と神室町にそれぞれ用意されていますし。

――これはクリア前にコンプリートできますか?

 できます。

――エンディングノートの冒頭では、じつは寿司ネタのタマゴが好きだけど、見えを張って人前では食べられなかった、というように今まで知らなかった桐生の意外な一面が見られて、あらためて彼を好きになる人も多いと思います。そのあたりは狙っていますか?

 桐生のパーソナリティ自体、エンディングノートで少し変わりつつあるので、それまで語ってこなかった部分を出して、ファンサービスといいますか、桐生にもっと愛着を持っていただけたらいいなと思っています。

物語ありきの作り方である『龍が如く』の最新作でハワイが舞台に選ばれたのは必然的

――ストーリーが決まってから舞台を決めるのか、舞台を決めてからストーリーを決めていくのでしょうか?

 よく聞かれますが、僕たちはストーリーありきで舞台を決めています。今回の物語は春日自身が母親(荒川茜)を捜しに行く旅というのが導入で、母親がどこにいるのかという部分でいろいろ設定を考えました。彼女は春日を生んだあと、ずっと日本中を逃げていたわけですよ。やがてようやく日本人が潜伏できる場所が見つかったのですが、そうなると国内ではなく日本人も多いハワイじゃないかと。そこから舞台が決まった感じです。

 それからはハワイを舞台にするならば、どこを楽しんでもらうかという段階でロケをして、これくらいのスケールでワイキキビーチは必ず入れるけれども、ゲーム的に裏社会みたいなところも必要だから、第5地区みたいな危険な場所も追加していった感じです。

――日本人の春日たちがハワイでコミュニケーションを取るときに、言語の違いなどの壁があると思いますが、そのあたりはどう対処したのでしょうか?

 じつはそれもけっこう最初に問題視していたんですよ。春日が英語をしゃべれて、日本語もしゃべれるけれど英語がわからない……みたいな描写をどうするのかと。ただ、英語の吹き替えは前提で考えていたので、言葉が伝えられないということを前提に物語を作ることはやめました。

 フルボイスで吹き替えすることが上にありましたからね。映画でもありがちですが、言語自体は通じる中で字幕ならば全員が英語でしゃべるし、吹き替えならば日本語でしゃべると。そこはあえて割り切っています。

――ちなみにTGSのインタビューでは『龍が如く7 外伝』の体験版では本編には入らない、この体験版だけで味わえる部分がありますとうかがいました。それはどの部分になりますか?

 導入部分ですね。桐生が最初からあのパーティにいること自体、本編ではないんです。

――酒場に行って春日を助けるというところは、体験版だけになると?

 そうですね。本編の春日は捕まったあとに走って警察から逃げるんですよ。それで逃げた先で桐生がたまたま見つけて、手錠をはずしてそこから初めて2人パーティになるという流れになります。だから、春日との出会いは本編からは少しカスタマイズした形になっています。

 体験版でそのあたりのいきさつを入れると少し遊びづらいと感じたので、体験版専用にそういう描写を入れています。本編は別に出会いを順序立てて描いていきますので、そこであらためて出会いを時系列で追ってもらえると理解できると思います。

――体験版はあくまで発売までの期待値を上げるための演出なんですね。

 体験版はシーケンスもちょっと足しましたし、専用ログのような感じです。

――『龍が如く8』は対象ではありませんが、Xbox Game Passで『龍が如く 維新! 極』と『龍が如く7』が配信されています。こちらは新規層の獲得に大きな影響がありましたか?

 確実に増えましたよ。少し前の話になりますが、サブスクにすごく勢いがあったタイミングで対応すると、興味がある人は「とりあえず遊んでみようかな」となり、それをきっかけに『龍が如く7』が好きになったという方は多くいますね。最後まで遊んだかどうかは国ごとに異なりますが、遊んでくれた人が増えたのは確実だと思います。

――そういう方たちが本作を購入しても楽しめると?

 はい。でもそれは『龍が如く7』のときもそうでしたね。でも『龍が如く8』は『龍が如く7』を遊んでからプレイしたほうがいいとは思います。いちばん理想なのは『龍が如く7』、『龍が如く7外伝』、『龍が如く8』の順番に遊んでいただくことですね。

 とはいえ『龍が如く』シリーズはこれまでもそうやって作ってきたので、興味が出たら過去シリーズをさかのぼって遊んでいただければ、それで構わないかなと。『龍が如く』という世界観のファンになってもらったら、それはどこから入ってくださってもうれしいですね。

――最後に発売を待つファンにメッセージをお願いします。

 いよいよ『龍が如く8』が1月26日に発売されます。正直なところ要素が多すぎて、語り尽くせていないんですよね(笑)。ただ、遊んでいただければ本当に止まらなくなるし、とくにメインストーリーを見終わったあとは、『龍が如く7』以上の感動があると思います。

 「このゲームを遊んでよかったな」と、見終わった後の満足感や心に残るものはシリーズの中で屈指のデキだと自信があるので、ぜひ最後までプレイしていただき、やり込み要素もトコトン遊んでみてください。本当にお買い得な1本だと思いますので、そこは信じてもらえたら幸いです。

(C)SEGA

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